CLOSE

新R25編集長の突き抜けた企画力を学べ〜新R25編集長・渡辺将基氏×女性起業家サロン主催・経沢香保子氏対談〜(全2記事)

新R25はホリエモン、ZOZO社長をどう口説いたか? 大物キャスティングの舞台裏

2018年6月13日、株式会社キッズラインにて、女性起業家サロンの特別対談が開催されました。今回は、Webメディア「新R25」編集長の渡辺氏を迎え、キッズライン代表取締役/女性起業家サロン主宰の経沢香保子氏と「新R25編集長の突き抜けた企画力を学べ」というテーマで語ります。本パートでは、経沢氏が「新R25」がブレイクするまでの舞台裏や渡辺氏の企画力の秘密に迫りました。

快進撃を続ける「新R25」編集長・渡辺将基氏

経沢香保子氏(以下、経沢): 今日はみんなすごく楽しみにしてました。どうもありがとうございます。よろしくお願いします。

渡辺将基氏(以下、渡辺):よろしくお願いします。

経沢:ここ最近、「新R25」が快進撃ですが、何ヶ月くらいの出来事なんですか?

渡辺:どうだろう。でも、事業譲渡があって、リリースしたのが去年の9月なんですが、そこからちょっとくすぶっていて。年明けくらいからかもしれませんね。

経沢:じゃあ、この半年くらいで急に来てる。

渡辺:きてます、きてます。

経沢:人生のビフォーアフターはどうですか?

渡辺:ぜんぜんそんな……、メンバーも含めて、ちょっとテンションが上がっているくらいです。

経沢:やっぱり、注目が集まると盛り上がりますよね。

渡辺:ただ一方で、一応僕は会社の役員なんですが、実際にはめちゃくちゃ厳しい現実を突きつけられてます。事業としてはまだまだなんで。

経沢:“ぜんぜん調子に乗るには足らないぞ”といったような?

渡辺:そうです。

経沢:一番最初に「新R25」のブレイクのきっかけになったのは、やっぱり藤田さんのお金のインタビューですか?

渡辺:それより前、リリースした日に堀江さんの『多動力』という本に絡んでいく記事を出したんです。

多動力

経沢:「そんなの極論だろう、ホリエモンのための理論じゃん!」というようなノリの記事ですよね。

渡辺:そうです。

経沢:「(インタビューで渡辺氏が)スマホ見るな」「(堀江氏が)スマホ見て当然」(と答える)など、ホリエモンさんらしかったですよね。

渡辺:その記事の反応はよかったのですが、そこからしばらくくすぶっていて。だいぶ試行錯誤して、藤田の記事くらいからやっとうまくいきはじめましたね。

「セカイラボ」を展開するモンスター・ラボ出身

経沢:ちなみにみなさん、渡辺さんのご経歴を知りたいですよね! 知りたい、知りたい!(笑)。私、(渡辺さんと)共通の知り合いの社長さんのいなちゃん、鮄川(宏樹)さんという、世界に……どう言えばいいのでしょうね。世界中のインターネット人材をアービトラージ(地域格差を利用して活躍してもらってる)しているといいますか。

日本のIT人材が不足しているので、タイ、ベトナム、フィリピン、国のアフリカといった、日本より人件費が高くない国の人材に活躍してもらって、日本の開発をしているモンスター・ラボさんという会社の社長で、世界平和を目指している人なんです。仕事を出せばその国も栄える、素晴らしい事業ですよね!

渡辺:(僕は)もともとそのモンスター・ラボという会社の出身で、社長の鮄川さんは大尊敬しているのですが。そのあとに、カカクコムという会社に1年だけいました。そこで1年ほどくすぶっていたときに、縁あってサイバー(エージェント)に入りました。

初めはいろんなコミュニティサービスをサポートするような役割でした。編集ではなくて、どちらかと言うとプロデューサー/ディレクター側のキャリアだったんですが、キュレーションメディアがたくさん立ち上がっていたタイミングで、「新規事業をやりたい」と手を上げました。

そして、「Spotlight」というメディアを立ち上げて、しばらく運営をしていたのですが、WELQの件があったときに一緒に炎上したんですよね。会社でもいろいろ意思決定があって、「じゃあ、どうやっていく?」となったときに、それまでは、いろんな人が自由に記事を書けますよという場所を提供していたのですが、それをやめて、自分たちで記事を書こうと。

経沢:編集して、ちゃんと。

渡辺:そうそう。それで「生まれ変わろう」となったタイミングに、会社で『R25』の話があって、そのタイミングで一緒にやりましょう、ということになりました。まあ、事業譲渡。新しい会社を作ってという感じです。

キテる人、キテるサラリーマンの時代

経沢:会社員時代にくすぶっていた時期もあって、今はヒットというかホームランですが、どうやってチャンスをつかんだのですか?

渡辺:どうだろう。

経沢:(私は)会社員の歴史が短いから、どうやって組織で活躍するかということは、まったく知らないのですよ。私は、今の時代は、田端さん、箕輪さんがキテると思うのですが、その次は渡辺さん!(がキテる人だと思っています)。

渡辺:キター!

経沢:キテる人、キテるサラリーマンのような感じですが、どうやってそのポジションが出てくるのかと。自分の知名度など、起業をするにしてもなんにしても、なんにでも使えるじゃないですか。

渡辺:はいはい。その枠に入れていただいてありがたいのですが、なんだろうな。「得してるな」と思うのは、メディアをやっているので、自分の作ったコンテンツが、いろんな人の目に触れやすくなりますよね。例えば、すごく順調な事業をやっていても、to Bの事業だったりすると……。

経沢:なかなか、誰にでも知られる(存在になる)ということは難しいですね。

渡辺:知る人ぞ知るというのはありますが、それがないので。

経沢:そうか、エンドユーザー向けだから、知名度も相関関係(があるん)ですね。

渡辺:そう。自分がやっていることが、もろに自己表現と事業成長が同時にできているという感じなので、それほどやらなくていいのかというものがあって。

経沢:なるほどですね。

SNSの発信がキーポイント

渡辺:それで、SNSの発信などともすごく相性がいいので。だから、ただただ純粋に目の前でやっている事業がラッキーで、それで成果が出せればそっちにつながっていくことがあると思います。

経沢:そっか。でも、それはどうやってくじを引けばいいのでしょうか?

渡辺:いや、そうですよね。

経沢:日の当たる場所に向かっていくということ?

渡辺:そう……、今年はがんばろうと思って、SNSの発信などを意識的にやりだしたんですよ。かなり投稿も増やしていって、それが明らかにキーポイントでした。

経沢:そっか。社長の視点で考えると、私は、経営者はキャスティング業だと思っているのです。そこで新事業をやろうと思って、しかも信用ある『R25』というメディアを持ってくるのであれば、キャスティングする人は、やっぱり掛け算してブレイクしそうな人を選びますね。

つまり、渡辺さんサイドからだと、そのチャンスをどうやって掴むかというよりは、チャンスを与えられやすい自分にしておくことですかね。

渡辺:そうですね。もちろん、自分のやっている仕事も。あざといのかどうかわかりませんが、自分がやっている仕事で自分の存在感が出るように意識していますから。それはやっぱり箕輪さんも一緒だと話していました。

経沢:存在感の出るような仕事の仕方というのは?

渡辺:要は、例えばバズっている記事はたくさんあるかもしれませんが、その中で、どれだけ書き手の存在を意識するかは、コンテンツによって違いますよね。そこは(自分を)出せる、自己表現できるコンテンツをやろうとしているので。

経沢:なるほど、なるほど。

渡辺:これは、自分にしかできないだろうなと思いながら。

経沢:なるほどね。会社から与えられた仕事でも、そこに「いかにオリジナリティを出すか」にかなり命をかけている。

「突き抜けた企画力」を学ぶ

経沢:渡辺さんは、仕事のことをめちゃくちゃ考えすぎて、お風呂で寝落ちしちゃうんですよね。

渡辺:そうです。考えすぎというより、疲れて寝ちゃいますね。

経沢:お仕事大好きという感じ。

渡辺:はい。

経沢:今日はですね、渡辺さんの突き抜けた企画力を学ぶというテーマがありまして(笑)。

渡辺:大それたテーマすぎて、ちょっと行きたくないなと思っちゃいましたね。

経沢:本当?(笑)

(会場笑)

経沢:やだなと(笑)。まず、著名人にアプローチすると、著名人が持っているツイッターやソーシャルメディアでも拡散してもらえますよね。しかし、そもそも著名人に取材を受けてもらうこと自体がすごく難しいと思っています。高いお金を払うという方法でも、必ずしも120%の協力をしてもらえるわけではありませんよね。でも、「新R25」さんは取材費を払っていませんよね。

渡辺:いや、ギャラはほぼ払っていませんね。

経沢:すごくありませんか? このキャスティング力。

渡辺:(会場に)メディア(の仕事)をされている方はいますか? そんなにいませんかね。払わないのは、たぶん普通だと思いますよ。だいたい、なにかしらの宣伝したいものがあるタイミングに絡めて交渉していくんですよ。

経沢:向こうのメリットを考えるということですね。

渡辺:そうです。向こうからしても、数万円もらうよりは、そっち(宣伝)をしたいというモチベーションですから。そのタイミングにかこつけていく感じです。

経沢:なるほど。本が発売されそうといったように。

渡辺:はい。だから、著名人の取材自体の難易度が高いわけではないと思います。堀江さんや前澤さんクラスになると大変ですが。ただ、実際はその人に拡散してもらっても、一次拡散で終わればバズになりませんからね。

経沢:なるほど。

渡辺:そこからもうひとつ、外の円に広げないといけない。

経沢:外の円に広げる(ためにどうするんですか)?

バズる記事にはいい意味でギャップがある

渡辺:そのために必要な企画ですか?

経沢:そう、例えば私は、今よく言われている「シングルマザーの貧困問題」が、すごく嫌なんですよ。実際のシングルマザーには貧困ではない人もたくさんいますが、平均して「貧困」で片付けられてしまうのは、そこで思考停止しているし、問題を切り捨てられているように感じているんです。

でも、つきつめて考えると、シングルマザーが貧困になりやすいのは、結局、育児支援者が少ないから。つまり、育児支援者がたくさんいれば、シングルマザーであっても、そうではなくても一緒じゃないですか。育児支援者がたくさんいれば、仕事の機会も生まれます。自分の人生の可能性も広げることができます。

そうした中で、だったら、育児パートナー探しのお手伝いができればいいと、「キッズラインを全員にプレゼントしよう、1万人のシングルマザーを応援しよう」という企画をやることにしたんです。とはいえ、この企画の広がりを考えてみると、シングルマザーのことだけ言っても、シングルマザーにしか伝わりませんよね。

どうやって関係者を増やせば良いのかと思って、(シングルマザーを)応援する人までベビーシッターを無料プレゼントしようと考えました。つまり、堀江さんだけじゃなくて、堀江さんの周りにいる人まで、どうやって広げていけばいいのか、ということでしょうか。

渡辺:はい。そこが企画力なのかなと思うのですが。

経沢:そこが知りたいです。

渡辺:堀江さんの記事で、自分が成功事例として良かったなと思うのは、ああした記事がきっかけで、堀江さんに好感を持ってくれる人がすごく増えたんですよ。堀江さんの“素”を突き抜けて伝えたら、逆に好感を持つ人が増えた。つまり、バズが起きるときは、新鮮さやギャップがあったりする。

経沢:そうか、そうか。なるほどね。そうか、ギャップ。堀江さんのいつものファンだけではなくて、堀江さんのことが嫌いな人も「読んでみようかな」という。

企画力は「センス」と「実行力」

渡辺:今回は「企画力」というお題をもらっているので、ちょっと考えてきました。ただ、企画力の半分はセンスだと思うんですよ。

経沢:センス!

渡辺:自分で言うのも、あれですが(笑)。

(会場笑)

経沢:どんなセンスを意識しているんですか?

渡辺:今日は謙遜しないでいこうと思っています(笑)。センスは明らかにあると思っています。例えば人にインタビューするとき、「この人のどこを掘ればおもしろいのか?」を嗅ぎつけるのは、はっきり言ってセンスです。

経沢さんだったらお金の話を聞くとか、あとはこれだけ大変なことがあっても折れないポジティブさの源泉。そういうふうにどこを掘っていくかのセンサーは、センスでしかないですよね。堀江さんはさんざん本を出していますから、次はどういう切り口でいけば新鮮なのかと。

経沢:確かに、著名人は、もういろんな切り口で切られていますからね。

渡辺:そう、あれだけ本を出しているので。だけど、そこで箕輪さんなら『多動力』という軸で抜き出してくる。さらに自分であれば、「それは極論じゃないか」と言いに行く(笑)。その辺はぶっちゃけ、センスだと思います。ただ、あと半分は「実行」なんですよね。

経沢:ん?

渡辺:実行。

経沢:実行?

渡辺:実現できなきゃいけないので。例えば、企画だけなら出せる人もいると思うのですが、では、それをどう実現するか。そこに残り半分の壁がある。

経沢:確かにね。思いつくけど、実行する前にやめちゃう人がほとんどですものね。

リレーションと勇気で壁を越えていく

渡辺:ひとつはリレーション。結局、取材できるかどうかも、リレーションがなければいけないということもあるし、あとは自分であれば、初めは社内リレーションで、(サイバーエージェントの社長の)藤田晋にお金の話を聞くことができる。

それがある程度仕上がって、認知されて、その実績を持っていくと、田端さんが(取材を)やってもいいとなるわけです。ここでいう藤田をニコ動の川上(量生)さんは「触媒」と言っています。触媒を作れると、そこからガーッと転がっていくんですよ。

経沢:いわゆる実績的な。なるほど、「そのメディアならおもしろいから、取材受けてもいいよ!」というような。

渡辺:はい。だから、最初の触媒を死ぬ気で作りにいく。あとは、やっぱり勇気。(スタートトゥデイ代表取締役社長の)前澤さんのインタビューは、なんの交渉ルートもなかったんですよ。だけど、普通にダメもとで、会社の問い合わせ窓口に企画を投げてみたら通ったんですよね。だから、やればできるんだなというのもあります。

経沢:前澤さんに企画を送る時、工夫した内容はありましたか?

渡辺:もちろん藤田の記事は送ったのですが、通ったのはあまりそうした感じでもなかった気がするな。たまたま前澤さんが、ZOZOスーツの件があるから外に出ていきたい、と思っていたタイミングだったのがよかったみたいです。やってみると意外といけるもんなんですよね。一回僕ね、堀江さんが週刊文春のことがすごく嫌いだから、僕が週刊誌の記者になりきって堀江さんと対談するという、頭おかしい(企画を)……。

会議では頭おかしい(企画だ)と思ったのですが、一応、(堀江さんと)LINEでつながっているので(取材依頼を)送ってみるとOKが出て。逆に「うわっ! やべえ、OK出た! どうしよう」みたいな。「やっぱやりたくない!」って思いました(笑)。でも、無理だと思わずにやってみる勇気も、相当大事だと思いますよ。

大物ほどお金よりおもしろさで動く

経沢:確かに、確かに。意外と、そんなにアプローチしてこないんですよ。Facebookなどでも、たまにきますが、ちゃんと考えて書いてきている人は少ないと思うので。ちゃんと考えていると、絶対反応はします。ただ、言い方が悪いですが「私になんのメリットもないじゃん」というのは、やっぱり後回しになっちゃうし、これはテンプレでほかの人にも送っているよ、というようなものだと、「別に私じゃなくてもいいのかな」というのは確かにあります。

渡辺:ちなみに経沢さんは、そうした取材依頼が来たときに、精査しますか?

経沢:そうね。普通の取材内容で、自社メディアのPV稼ぎのために依頼しているのかなと(いうことが)明らかなものは、あまりお引き受けしていません。雑な作り方をされているところもお受けしたくないなと思っています。でも、ちょっと切り口がおもしろい。例えば、食のネタというので、私の新しい側面を出してくれそうなところにちょっと興味があって受けてみたり。

こちらと同じくらいの努力をしよう、同じくらいの価値を生み出そうとする人とは、仕事をするようにしているんですよ。それで自分も、ちょっとずつ階段を上がってきたので、がんばっている誠実な人で、中長期的に渡って関係を作れそうであれば良いのですが、視野が短期的な場合はできるだけやめる。「この人、自分のメリットしか見ていないな」という人だと、仕事としても楽しくないし、広がりがないので、そうした人との仕事は、やめるようにしていますね。

渡辺:まさにその2つのような気がしていて、単純に今、PRをしたいから、それに乗っかっていくというのがひとつ。これはあるんですよ。ただ、それだと、メディアである我々サイドにあまり実入りがないケースもけっこうあるんですよ。

だけど、大物の人ほどお金というよりは刺激で動いてくれるので、そういう人に対して、「その企画おもしろいな」と思わせることが大事。意外と思い切った企画を当てると、実績がなくても「やってみよう」となってくれる可能性もあると思います。

経沢:そうですね。あと、来た人に「楽しかった」と言ってもらえることがすごく大事だと思っています。例えば今日、渡辺さんに六本木まで来てもらっているのですが、こういったもの(場)を作って、イベントを開催するまで1ヶ月くらいの間に、みんなで渡辺さんのことを考えて企画を立てたり、お土産をつくったりと、女性起業家サロンのゲストに来た人に、「いろいろ楽しかったよ」と言ってもらえることを目的としています。

講演してほしいと頼まれたら、過去の(登壇した)人を見て、「田端さん、起業家サロンってどうでした?」などと聞いたりもすると思う。そうしたときに、「すごく良かったよ」と言ってもらえるように、私もできることはやるという感じで。

渡辺:なるほど。

経沢:講演者が参加しやすいメリットや雰囲気を作るようにしています。それは参加者サイドも一緒で、今日、来ている起業家たちなど、自分で事業をやっている人が多いから、やっぱり、なにか上昇のきっかけは常に必要で、そのきっかけ作りも大切にしています。

渡辺:すばらしいですね。僕はそうしたおもてなし系ではないですね。

インタビューを科学する

経沢:実際に企画を立てて、インタビュー記事を作るときに意識していることはありますか?

渡辺:今、うちのメディアはインタビューが順調なので、そこをすごく科学しているんですが。

経沢:お! インタビューを科学、いいですね。

渡辺:こだわっているポイントはいくつかありますが。一つは、読者が本当に聞きたいことを勇気を出して聞く。あとは、「あ、それは言われてみれば知りたかったことだ」という話を、どれだけ引き出せるか。

経沢:なるほど、なるほど。

渡辺:それがセンスだと思うんですよね。

経沢:そうですね。だいたいインタビューでは同じことを聞かれるので、自分でも小話のようになっちゃって、飽きるんですよ。飽きてしゃべっているから、余計に盛り上がらない。でも、記者さんがおもしろいことを言ってくれたり、新しい切り口を言ってくれると、すごく楽しいんですよね。

渡辺:また同じことを言って、同じことが記事になるんだと思うと、テンションが下がりますよね。

経沢:そうなんですよ。

渡辺:常に王道を避けて話を聞けばいいというものでもないから難しいのですが、さきほど言ったようなことをできるだけ意識して、本質的に深掘っていく。そのためにはかなりリサーチが必要なので、まずは徹底的にリサーチをやるんですよ。

休日は死んだ顔で子どもと遊ぶ田端氏!?

経沢:インフルエンサーの表と裏のようなものというか、実ははあちゅうさんにはこんな面があるとか、実は田端さんはこんなにいい人だったという企画で、タレコミを募集していますよね。

渡辺:すごく来てるんです! めっちゃ温かいエピソードが。

経沢:へえ! おもしろい! そういえば、田端さんのおもしろいタレコミがあったんですか?(笑)

渡辺:ぜんぜんたいした話じゃないんですが、田端さんが確か豊洲周辺に住んでいるのかな。「豊洲のデパートで、死んだ顔して子どもと遊んでる」というタレコミでした(笑)。

(会場笑)

渡辺:休日はエネルギーをまったく感じられない、と(笑)。

経沢:土日はちょっと(笑)。

渡辺:田端さんはどんなタレコミだったか知らないので心配していましたが、ちょっと笑いましたね。

経沢:へえ、おもしろい。ああいうのも、すごい企画力というか、アイデアだなと思いました。

渡辺:ありがとうございます。

経沢:今は、ツイッターなどのソーシャルを使ってつながりを作っていくことが、すごくトレンドじゃないですか。そうしたもので、ご自身で企画を立てて、みんながタレコミして、そうすると、田端さんがまた「え? それ何?」というような感じで、また注目が集まって。いい流れ、いい波ですよね。

渡辺:箕輪さんが得意とするやり方ですが。

経沢:箕輪方式で。

渡辺:そう、箕輪方式。

“人となりが現れるインタビュー”の化学方程式

渡辺:ただ、自分はあまり人とのリレーションは持っていないので、やっぱりインタビューを科学して、どうすればおもしろくなるかということをすごく考えます。あと、人の言葉だけじゃなくて、その人のキャラクターや人となりを記事の中に出したいんですよね。

経沢:確かに。普通は表面しか見られないですものね。

渡辺:そう、そう。

経沢:実績などの話に終始しちゃうというか。そこからトヨタ方式のように、5個くらい「なぜ、なぜ、なぜ?」と(つっこんで聞いて)くる人はいませんね。

渡辺:それもありますね。あと、人となりという意味では、「新R25」は動画のような記事をつくりたいんです。

経沢:あー! 動画みたいな記事!

渡辺:そう、その人の表情やテンションなど、そこまでぜんぶ表現したいと思っています。それをやるためには、リスクを犯してでもこちらから踏み込んでいかないと。最悪失敗してもいいから。そうすると、堀江さんみたいなことになる(笑)。

経沢:簡単に怒ってくれるもんね(笑)。

渡辺:そうですね(笑)。そのときは辛いですけど、これをぜんぶ出してやろうと吹っ切れて表現すると、やっぱりそれがその人の魅力になってくる。

経沢:確かに。

渡辺:前澤さんも、他のメディアの記事では真面目な顔でしゃべっている感じのインタビューが多かった。でも、実際に話を聞いていたら、すごく笑顔でニコニコしてチャーミングな方だったので、「新R25」ではそっちを出していきたいなと。

経沢:そうか。相手をノセるというのも、一つのインタビューの化学方程式というか。

渡辺:そうですね。ノセるか踏み込んでいくことで、相手の本質をあぶり出していく。藤田はすごくやる気がないんですけど。

(会場笑)

経沢:テンション低い系ですよね。でも、じわじわくるというか。

渡辺:そうそう。だけどあえてそれを「ぜんぶ出しちゃえ!」と。逆に変な顔(の写真)を使ってやろうくらいの気持ちです。

(会場笑)

渡辺:でも嘘ではなくて、本当にあんな感じなんです。ただ、あれをそのまま出してやろうというメディアはなかなかないのかもしれません。

経沢:みんなが思ういつものカリスマ社長の記事になっちゃうもんね。みんなが思う堀江さんの記事になっちゃうから、違う切り口で動画っぽくというのは確かに。

渡辺:でも、原稿チェックを出しても、大物ほどなにも言いませんからね。なんの修正も入らない。

経沢:確かに。

マネジメントするのではなく「道を創る」

経沢:ちなみに、ご自身が記事を企画して書くだけじゃなく、それをメンバーや外注のライターさんに書いてもらうときに、どうやってディレクションするというか、方向性や良い原稿を書いてもらうためのマネジメントをしているのですか?

渡辺:そこもすごく悩んだ上で、やっと活路が見えてきました。はじめは、クリエイティビティってマネジメントができるものなのかとすごく悩んだんですよ。自分が書かないものをどうやってまとめ上げればいいのかと試行錯誤していたのだけど、上手くいかず、何が原因だったのだろうかと。問題は二つあったと思っていて、一つは今のフェーズであれば、自分でやって道を示さなければいけないということ。

例えば、(「新R25」の)リリースのタイミングで堀江さんの(多動力の)記事を出してそこそこ話題になったんですが、その後はしばらく記事を書きませんでした。ただ、うまくいかないことが続いて、上から「もうお前がやるしかない」と言われちゃったんですよね。それで、もう背水の陣だから本気でやろうと決めて、藤田さんの記事を出したんです。

それがうまく話題になったんですが、そのあとにみんなが勝手にそこからエッセンスを抽出してくれて、全体が上手く行きだしたという面が一つ。だから、マネジメントするのではなくて、道を創るという。

経沢:背中で語る的な。

渡辺:そうそう、かっこよく言うと、自分はそっちのタイプ。あとは、みんなが「メディアの方針はこうだから、こういった企画をやればいいんじゃん」というように他人ごとの企画出しをしていたのですが、それがあまり良くなくて。書き手のモチベーションを無視していたんですよ。

経沢:はい、はい、はい。

渡辺:それで出てくる原稿は、ノリがないんですよ。

経沢:確かに。

渡辺:だから、こっちがちょっと直す、じゃどうにもならない。

経沢:根本的にずれちゃってるのは、表面の修正は難しいですよね。

渡辺:根本的。これは事業も同じです。僕は、キッズラインは絶対に成功すると思っているのですが。

経沢:ありがとうございます。

渡辺:それは、経沢さんにこの事業を全うしたいと思う原体験があるからなんですよ。だから起業もそうで、最後の底力のようなものがないと上手くいかない。

経沢:そうですね、そうですね。モチベーションが最後じゃないですか。AIに全部取って換わられたとしても、最後に残るのはモチベーションだけというような。

「やりたいこと」×「向いてるもの」がいい企画

渡辺:だから、個人の「やりたい」を無視した企画は絶対上手くいかない。粗くてもいいから、すごいパワーを感じる原稿じゃないとダメなんですよ。それに気付いてから一度「みんなは何がやりたいんだ」「みんなはどういった価値観なのか」といったことを、一人ひとりが共有する場を作ったんですよ。

そうやって個人の強みをみんなで認識した上で、メディアの方針とかぶるところをやろうと決めてから、(企画が)生きてきた。

経沢:なるほど。やりたい企画に近いものをアサインするような感じですね。

渡辺:そう。そういったパッションのない原稿はガチガチに管理しないと不安になっちゃうんですが、本人の本気でやりたいという意志が感じられれば、とりあえず任せてみようと思えるんですよね。昨日彼女に浮気されたやつに、「誠実にしていたら浮気されるって世の中どうなってるんだ」みたいな企画をやらせたんですけど、やっぱりそのときもエネルギーがすごかった(笑)。

経沢:確かに(笑)。今の時代はエネルギーを感じたいということがありますもんね。多くの人は、その熱狂状態を見たい、エネルギーが欲しいというような感じですよね。

渡辺:もちろん向き不向きもあるので、適性をアドバイスしてあげて、向いてないことは無理してしてやらせないようにしたほうがいいとは思います。例えば、おもしろ系の記事を本当におもしろく書ける人って限られてるんですよ。それは本当にセンスで。向いてない人が書いてもイタイ感じになってしまう。

経沢:なるほど。向いているものと、やりたいものの掛け算をしないといけないと。

渡辺:そうそう。

続きを読むには会員登録
(無料)が必要です。

会員登録していただくと、すべての記事が制限なく閲覧でき、
著者フォローや記事の保存機能など、便利な機能がご利用いただけます。

無料会員登録

会員の方はこちら

関連タグ:

この記事のスピーカー

同じログの記事

コミュニティ情報

Brand Topics

Brand Topics

  • 職場の「無駄な仕事」をなくすために効果的な会議 意味もわからず引き継がれる仕事を減らすためには?

人気の記事

新着イベント

ログミーBusinessに
記事掲載しませんか?

イベント・インタビュー・対談 etc.

“編集しない編集”で、
スピーカーの「意図をそのまま」お届け!