PR2025.11.27
数理最適化のエキスパートが断言「AIブームで見落とされがちな重要技術」 1,300社が導入した「演繹的AI」が意思決定を変える
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司会者:それでは西野亮廣様、ご登壇ください。みなさん、盛大な拍手でお迎えください。
(会場拍手)
西野亮廣氏(以下、西野): どうもよろしくお願いします。西野です。1時間半くらいしかないのでちょっと駆け足になりますが、去年の10月に『革命のファンファーレ 現代のお金と広告』という本を出して、今日はそのことをちらっとしゃべってくれと言われたんですが、すでに読まれた方はいらっしゃいますか?
半分くらいいらっしゃるんですね。じゃあ、半分くらいその話をして、後半、ぜんぜん違う話をするという構成でいきます。
本題に入る前に、自分が今どういう状況にあるかを改めて説明したほうがいいと思うんですけど、先ほどVTRにありましたが『えんとつ町のプペル』という絵本が35万部売れて、映画化が決定しているという状態です。
それで、映画について、僕は前から決めてるんですけど、「1回ディズニーを倒す」という目標を立てています。今の社長には反対されてるんですが、映画『えんとつ町のプペル』の公開日を、ディズニーアニメの新作の公開日にぶつけて、興行収入と動員数をどっちが勝つかをやりたい。
つまり、内容ではもちろん勝つけど、動員数とか興行収入とかという数字の上でもディズニーを倒す。それを30代のうちに1回やりたいというところです。
それで、あいつらがどれくらい売れているのか、動員数だとか興行収入がどんなものかと収支表を見たら、けっこう売れているんですよ。やばくて。ご存知ですよね、『アナ雪』(『アナと雪の女王』)とか『ベイマックス』とか、思ってる以上に売れているんです。
2年後、ここに挑まなきゃいけないと思ったら、膝がぶるぶるぶるぶる震えてたんですが、ずーっと収支表を見ているうちに、ついにディズニーアニメの弱点に気づいたんです。
ジャングル系のときはちょっと弱め。それがわかったので、今度ディズニーアニメがジャングル系のものを出すとなったら、そろそろ西野が出てくると思っていただいて間違いないです。要は、弁慶の泣き所を思っくそ叩く、というやり方でディズニーを倒すという状況ですね。
こういうスタンスでやっているものですから、挑戦する人だとか、年齢関係なく、打って出る人に対しては、現実を見てやめとけよじゃなくて、「いけいけ! やれやれ!」というほうなんです。
ですが、背中を押すからには、やっぱりある程度、責任は伴うと思っています。そういう世界に出てしまったら、先ほどちょっとVTRにもありましたが、挑戦を阻むものは出てくる。つまり、挑戦を続けられなくなってしまうことがある。
僕たちの挑戦を止めてしまうものは一体何かというと、1つはお金です。資金繰りができなくなった瞬間に、僕たちは挑戦を止めなきゃいけない。例えばケーキ屋さんを出すとき、お店の家賃を払えなくなっちゃったら、ケーキ屋さんを継続することはできない。そういうお金の問題がまずあります。
2つ目は何かと考えると、広告です。キングコング西野がそのケーキ屋さんをやるんだったら、どうやって宣伝していくか、どうやって広めていくか、どうやって集客していくか。そういう広告ですね。ほとんどの人がそこでつまずいてしまって、集客できずに店を畳んでしまう。
僕たちの挑戦を止めてしまう大きな要因は2つです。1つはお金でもう1つは広告、この2つでしかない。と思ったんですが、このお金と広告という、すごく大切なことは、学校では習わないんです。
小中高大と習わずに僕たちは社会に出てしまって、お金音痴、広告音痴のまま、勝負の世界にバッと出されてしまって「お金ってどうやって集めるんだっけ?」「広告ってどうやっていけばいいんだっけ?」となってしまう。
つまり、なんの武器も持たないまま戦場に出てしまっているというのが、今、我々が置かれている状況だと思うんです。そんな知ってるか知らないかというだけのことで、挑戦が止められてしまうのはおもしろくないと思って『革命のファンファーレ 現代のお金と広告』っていう本を出したんです。
タイトルが「現代のお金と広告」。つまり、3年前のお金と広告ではないということです。現代です。言ってしまえば、お金の形はすでに変わってしまったし、広告の打ち方も2、3年前と今ではもうぜんぜん違うことになっていますよ、ということを書いた本です。
半分くらいの方が読まれているようなので駆け足でいきますが、さっきVTRにもありましたが、『えんとつ町のプペル』という絵本をどうやって作って、どうやって売っていったかというところが、だいたい『革命のファンファーレ』の本の軸です。
『えんとつ町のプペル』って、完全に売りにいったんです。5~6年くらい前に、スタッフ全員集めて、『えんとつ町のプペル』が書けたからこれで絶対に当てよう、これでディズニーに戦いを挑もうと。
この絵本をどう売ったら売れるか、メガヒットができるのかを、ほんとにみんなで考えて、ああじゃない、こうじゃないとやって、100個、200個の仕掛けをして確実に売りに行った。だから(ヒットは)まぐれでもなんでもないです。
じゃあどうやって売ったかというところですが、『えんとつ町のプペル』の作り方は、売り方が軸になってます。
そもそも「なんで西野は絵本を描いてるんだ」と思ってる方がいらっしゃると思いますが、たぶんそこを説明しないと、ふわふわしたまま話に入っちゃうので、ざっくり言います。僕、19歳で芸能界に入ったんです。20歳で『はねるのトびら』という番組がスタートして、25歳のときそれがゴールデンに上がって、視聴率を20%取ってた。
各局で冠番組いただいて、生活はよくなったし、ちやほやされるようになったし、モテるようになったし、いろんなものが手に入って願ったりかなったりの状況にはなったんですが、なんか、スターにはなってないと思ったんです。
つまりその山を登ったら景色が広がっていると思ったら、結局見えたのはタモリさんの背中であったり、さんまさんの背中であったり、たけしさんの背中だった。ダウンタウンさんの背中であったり、ナインティナインさんの背中だった。5年やって、彼らのことは抜けてなかったんです。
一応ディズニー倒すとか言ってるから、たけしさんの手前でつまずいてる場合じゃない。たけしさんやさんまさんを3~4年で抜いて外に出てくる予定だったのに、つまずいちゃってるんです。彼らに追いつく気配もぜんぜんない。
そもそもなんで、たけしさんや、さんまさんや、タモリさんに負けてるのかと考えたときに、今からすると当然ですが、僕が走ってきたレールって、先輩方が引いてくださったレールなんです。そこでどれだけトップランナーになろうが、1番になろうが、レールを引いた人の背中を押すことになっちゃうという、それでしかない。
言ってしまえば、例えば『IPPONグランプリ』の大喜利で、面白い答えを出せば出すほど、松本さんの寿命が延びるわけじゃないですか。『さんま御殿』で爪痕を残せば残すほど『さんま御殿』の視聴率が伸びて、さんまさんの寿命が延びるわけじゃないですか。
何が言いたいかというと、競争する時点で負けが決定してしまってるということです。ここで、勉強になったのは、まず競争しないことです。競争に参加した時点で負けが始まっちゃってる。
どう言ったらわかりやすいですかね。僕ら、ファミリーコンピューター世代なんですが、要は自分がやってたことって、カセットを作ることだったんです。ドラクエだとか、ファイナルファンタジーだとか、良いカセットを作れば作るほど、ハード、つまり任天堂にポイントが入っちゃう。
任天堂を倒そうと思ったら、カセットもハードもまったく新しいものを作らないといけない。プレイステーションみたいなものを作らないと、任天堂は超えられない。芸能界でいうと任天堂はたけしさん、さんまさん、タモリさんで、彼らにはまるカセットを作っても仕方がないんです。
彼らがこっちでレールを走っているところを、ぜんぜん違うところにレールをひいて、彼らが鈍行で走っているところを、一気に新幹線のスピードでばーっと走って行っちゃって、こっちを世間のスタンダードにしちゃえばいいと思った。
そんな感じで、絵本に完全にシフトした。ひとつ、前半のまとめとしては、競争しない、とにかく絶対競争しない。
でも、25歳なんです。絵本作家のスタートとしてはちょっと遅いんです。子どものころから絵を描いている方もいらっしゃいますし、美術を専攻している方もいらっしゃる。僕、絵とかぜんぜん描いたことなくて、25から急に描くことになっちゃった。
でもそこから世界一の絵本作家になりたいと思ったときにどうするかというと、やっぱり先ほど申し上げました通り、基本的には競争しないということです。
世の中の絵本作家さんとは、絶対に競争はしない。位置について用意どんではなくて、世界中の絵本作家さんを前にして、自分が勝っているところで戦おうと思った。正々堂々は絶対にしなくて、自分が勝っているところで戦おうって考えた。
そこで、どこが勝ってるかと考えると、まず体力で負けてるし、出版のノウハウもコネもツテもない。基本的には、やっぱりプロの絵本作家さんには負けてるところだらけなんですが、1つだけ勝ってるところがあって、それは時間です。
時間というのは、1つの作品を作るのにかけることができる時間のことです。プロの絵本作家さんは、2ヶ月とか3ヶ月とか、短いスパンで作品をぽんぽんぽんって出していかないと食っていけないんです。これを生業にしてるから。
僕は絵本の収入っていうのは、別に収入の柱にはなかったので、極端な話、1つの作品を作るのに10年かけることだってできる。これが正業と副業の大きな違い。
正業の人って、実は制作に時間をかけることができないんです。副業の人はひとつの作品を作るのに10年とか時間をかけることができると思って、すぐに文房具屋さんに行って、そのとき一番細かった0.03ミリのボールペンを買って、物語も、普通の絵本だったら18ページとか19ページで終わるところを、自分は80ページぐらいにした。
つまり、どうがんばって急いで作っても時間がかかるように、作り方をデザインしたということです。この作り方をしてしまえば、どうがんばっても4、5年かかってしまうっていう、めちゃくちゃコスパの悪い方法を選んだんです。
その作品は、プロの絵本作家さんには作れないわけです。才能とかセンスとかじゃなくて、物理的にプロの絵本作家さんって、1冊作るのに5年を捧げることはできないので。この時点でもう勝負はあったんです。
つまり、2、3ヶ月で作る作品がこっちにばーっとあって、5年くらいかかっちゃう作品には僕しかいない。この時点で負けることがなくなったんで、あとはこっちを世間のスタンダードにするだけです。
芸能界のときに思ったのとまったく一緒で、絶対に競争しない。1対大勢という構図を作ることが大切だと思っています。
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