2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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森忠彦氏(以下、森):ありがとうございます。では、もう時間となりましたので、もうお1人かお二方だけ。
パトリック・ハーラン氏(以下、パックン):ラガーシャツのかた。
質問者6:地声で。
森:では、ちょっと大きめの声で。
質問者6:はい、ありがとうございます。あの、自覚、自信、自己主張というお話をいただいたんですが、自覚をすればするほど自信が持てなくなるということもないわけではないと思うんです。
パックン:そんなこと、絶対に違いますよ、あなたは! 絶対に自信がある。
質問者6:僕のことではなく、日本人として、どうしても自覚をしていくときに、悪いところばかりを見てしまうとか。それこそさっきの新幹線のホームの話ではありませんが、僕も浅草や秋葉原が近いので、地図を見て迷っている外国人の方には声をかけます。
ただそれでも、日本語で声をかけるのか、がんばって英語でかけるのかと迷ったりします。
声をかけるのが大事だという自覚があるからこそ、いざ話しかけようとしたときに自信がなくなってしまう。そういうこともある日本人に対して、なにか一言アドバイスをいただければと。
パックン:良い質問。というか、みんな本当にさっき仕込んどいてよかったなと思うくらい。
(会場笑)
これも、僕らの講演会ではよく言う話なんですが、外国から来ているみなさんには日本語で話しかけたほうが、まず正しい。間違いないと思うんですよ。
海外に行ったときの日本人の気持ちを考えてください。「ハローハロー」「トゥービアーズプリーズオーケー」で通じたぐらいで喜ぶじゃないですか。一生懸命に覚えた日本語。海外からの観光客も同じ気分です。
日本語をせっかく覚えたのだから、日本人とふれあいたい、その言語に接したいと思っているんです。そこで、こんにちはで話しかけて通じなければ、英語に切り替えればいい。
パックン:僕、パックンマックンで沖縄の世界遺産の城跡に行ったとき、ちょっと離れて歩いていたんですね。僕が先を歩いていて、マックンが後ろ。仲悪いから。
(会場笑)
すると、海外から来た白人系の観光客が5〜6人来たから、僕は「Hi, How're you doing」 と話しかけたのにウゥーンというような、すごくそっけない反応なんですよ。
マックンがそれを見たあとで「こんにちは」と言いました。するとみんな「こんにちはー!」。
(会場笑)
すごく食いついたんですよ。パックンマックンでこんな逆の温度差が起きることはなかなかありません。でも、すごいマックンブームが起きてわかったのは、やっぱり「こんにちは」でいいんです。
第一見た目で、観光客なのか、僕みたいに四半世紀在日外国人なのか、わかんないじゃないですか。僕みたいにちょっとひねくれ者の性格の悪い外国人は、ハローなどと言われたくありません。まず僕がハローと言われて、「ああ、僕は思っているほどの有名人じゃないんだ」と思います。
というのが1つですが、その次に「ああ外国人扱いだ」と。「お箸は使えますか」「フォークをお持ちしましょうか」と言われるときの、「あんこ食べられますか」「漢字は書けますか」なども多少失礼でしょう。
へんな話、23歳、22歳のときかな。日本語を一生懸命に勉強したんですよ。みんなと違って、させられているのではなく、自分でしているんですよ。
森:そこは違うね。
パックン:一生懸命やったんですよ。だから、そこで外国人扱いをされると悲しくなる。そうはいっても、わからないことがあって、しょうがない、外国人だからと開き直らないことはあります。ごめん、開き直らないことはありません。今の日本語を間違えたのもしょうがないと思っているんです。
だからちょっとズルいですよ、正直。でも、おもてなしだったら、まず日本語で話しかけて、日本語で返ってきたら、日本語で話してあげたほうが正解だと思うんです。
僕みたいな性格の悪い方をもてなす気であれば。でも、英語の練習がしたいなら押し通せ。僕も英語で喋りたい日本人といっぱい、かたくなに日本語で押し通したことがあるんです。
(会場笑)
だから日本語がうまくなったんですよ。まあ、何人かは離れていっているんですが、それで。
(会場笑)
でも非常に大事です。ありがとうございます。
パックン:では、最後に1問くらいかな。
森:こっちのほうから、どうぞ。
質問者7:ありがとうございます。日本語が上手ということでおうかがいしたいことがあるんですが、私はあの、カタカナ英語がすごく嫌いなんです。ただまあ、時代とともにIT用語などどんどんカタカナ英語が増える一方で、なんというか日本語のリズムが崩れるというか。
パックン:リズム、カタカナ英語ですよね。
(会場笑)
質問者7:そうです。「間」と本当は言いたいところなんですが、間と調べと言ってしまうと逆に皆さんが馴染まないので、あえてリズムと言うんですが。それで、このカタカナ英語はこれからもっと増えるかとは思うんですが、これをなんとか日本語の調べのきれいなところというのをもっと自覚していただくにはどうしたらいいのだろうと。
パックン:カタカナ英語、僕もこれは心中葛藤しているんですよね。カタカナ英語嫌いだったり好きだったり嫌いだったり好きだったり、と僕も感情がなかなか定まりません。
日本人に英語で喋るときは、「アイ スピーク カタカナ イングリッシュ ビコズ エブリボディ アンダースタンダード」。
(会場笑)
「イッツ ベリーユーズフル」。すごく重宝しているんです。むっちゃくちゃ愛用している面もあります。
日本人に通じるためには、僕もよかったこれを勉強してと思うんですよね。ただ、日本人が世界にいって通じるようにするためにはどうすればいいのか。少しずつは良くなっているんですよ。野球用語も少しずつ改善されているんですよね。
なんだっけ、ナイターはナイトゲームに少し直されたし、ツースリーがスリーツーにいつのまにか変わっているし、もう1つあったよね。
セコンドとか、なにか微妙にカタカナが変わったものが前にありましたが、僕は、それこそトップダウンの国ですから、文部科学省が正しい英語に近いカタカナ英語を今から導入しても遅くないと思うんですよね。
だから(例えば)ミディアですね、たぶん。少なくとも、アメリカンイングリッシュを標準語に定めて、それに近づけるなら、アメリカではメディアと言わないでミディアと言うんですね。
だからこれメをミに変えるだけで。表記の大きさでアクセントを示すことはできるはずですよ。「ミ ディア」。いくらでも字体を変えることはできるんですよ。ミディアで。
パックン:日本人はね、横棒を入れるとどこもそこがポイントだと思って「ハハーハー」になったりするんですね、「ハーハハ」なのに。そういうところなども直せるんですよね。これはフランス語ですが英語だと思って言ってください。
参加者:カフェ。
パックン:英語では、「カフェィ」ですよね。だからカフェィと書いてもいいんですよ。カタカナを使い続けても、英語としてより通じるような表記は考えられる。これは文部科学省に言ってるんですよ、「エフ」は最近の子どもは使える、言えるようになったんです。
「th」もちゃんと発音できるようになっているんですが、thとか LかRかわからないなどもあるから、そうしたところになにか新しい文字をつけてもいいし、「th」と小さく書いてもだいたい今大画面でテロップをつけているから、なんとかなるんですよ。だから、その辺りは直してもいいのかも知れない。
でも、そこで出てくるのはアメリカンイングリッシュを標準語として定めていいのかどうか。これ以上アメリカ人を自惚れさせる必要はあるのかと思うんですよね。
もう少し世界の言語として、英語が、アメリカ人に通じる、フランス人にもドイツ人にもシンガポール人にもオーストラリア人にも、どこでも通じる真ん中の英語に少しずつ寄せていけばいいと思うんです。
カタカナ英語は確かに通じる割合がちょっと低い。ですから、より正しい発音を心がけるべきだと思うんですが、だからといって、ああ通じないと思ってコンプレックスを持ってもしゃべらないわけにはいきません。
それもよく言い訳として使われます。「わー通じない」「怖い」と日本人が萎縮してしまう、それが一番もったいないです。
あの、今の世の中はクイーンズ・イングリッシュなどではないから。英語というのは、イギリスのものではありません。カナダのものでもないし、オーストラリアのものでも、ニュジーランドのものでもなく、アメリカのもんです。
(会場笑)
違う、みんなのものです。みんなそれぞれの英語はれっきとした正しい英語だと思って使っていただければと思います。
質問者7:すいません、最後に僕からの質問です。10年後に何をしていたいか、夢はありますか。
パックン:おー、印税生活だなあ。
(会場笑)
そうだねー今の世の中はね。
森:1冊じゃだめですね。
パックン:1冊じゃだめだなあ。そうだね、10年後。それもまぁ、さっきの話ではありませんが、もうほんとうに柔軟性をもって、自分がどんな世の中でも食っていけるように、しかも楽しく過ごせるように、いまのうちに土台作りに励みたい。努めたいと思っているんですが。
確率としては、この延長線にあるなにかを日本でやっているはずだと思うんです、たぶん7割ぐらいの確率で。57歳、キャスターか。
(会場笑)
かなー、司会者かなー。できたらね、そろそろ日本語をマスターしてもいいはずですよ。地上波でなにかいい番組を持って、楽しいメンバーを集めて、こういう笑いながら社会のいろいろなことを考える番組ができたらうれしいなと思います。今もBSで素晴らしい番組をやらせていただいているんですよね。
あちこち地上波でも番組をやらせていただいているんですが、まあ自分の番組、自分のテイストで、毎回楽しく有意義な時間を過ごせるようにできればいいなと。
疲れないで楽しく、家事をしながらでも楽しく聴ける、でも観ていても疲れないぐらいの番組にしたい。今のテレビは観るものじゃない、出るもんです。
そう思っているんですが、絶対に書かないでください。
(会場笑)
干されますから。
でもそうじゃなくて、みんなが観るものだと、勉強になるものだと、笑えるものだというように少しずつ自分向きのテレビができてくるといいなと思います。細く長くで良いんです。低空飛行でいいから、飛び続けたい。それがたぶん、7割くらいの確率で十年後にやっていることかなと。
森:はい、ありがとうございました、もう一時間半になりますが、こんなにいろんな話を喋って、たぶんほとんど本に書いてあること以上のことを。
パックン:というか、ほとんど触れてない。
(会場笑)
森:別にね、今聞いたからといって、この本を読んでも新鮮ですよね。
パックン:はい。わざわざズラしたから、逆に本を買ってくれなかったらこの90分が超もったいないと思う。でも楽しかったですよね。
森:この距離感で、この人数で、これだけ生の音声、マイクじゃなくてね。これでパックンという人柄もよくわかりましたしね、今日はよりファンが増えたのではないかと思います。ぜひぜひ。
パックン:というか、親戚だからね。
(会場笑)
みんなからのお年玉を待っています。
森:ということで、一時間半長々とありがとうございました。
(会場拍手)
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