
2025.02.12
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第36回:子供の英語教育のあるべき姿とは?(藤田祐美先生、リード・イングリッシュ・アカデミー代表)<ラジオ「西澤ロイの頑張らない英語」> (全1記事)
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西澤ロイ氏(以下、ロイ):英検を使っていらっしゃるということなんですけど、なんでそこで英検なんですか?
藤田祐美氏(以下、藤田):子どもたち、まずうちのクラスでも、英語を習い始めた子に「じゃあ今度の6月に英検を受けようか?」とはならないんですね。もちろん。
ロイ:それ嫌ですよね(笑)。
藤田:すごく英語をたぶん嫌いになると思うんですよね(笑)。そうではなくて、最低3年間はしっかり耳と口を鍛えて、文字に興味が出てきたら読み方を教えてますね。自分で絵本を音読ができるように導くという指導を経て、それからの英検ですね。
ロイ:なるほど。
藤田:意味のある環境で学んだあとで、文字だけの英検でも、文字だけで世界を想像できる。英検の文字の世界に導いてあげる。そういったイメージです。
ロイ:文字が大事なんですね。よくあるのは、子どもの頃から、例えば歌を歌ってとかゲームを英語でやって楽しくまず興味を持たせようというのはけっこうあるんですけれども、「じゃあそのあとどうするの?」みたいな。いつまでも歌を歌ってるだけにはいかないじゃないですか。
藤田:そうですね。小学校5、6年ぐらいになってくるともう歌も厳しくなってきますね。
ロイ:そこで文字なんですか?
藤田:そうですね。やっぱり耳と口ってどうしても瞬発力の部分なので、使わないと忘れちゃうんですね。どんな英語漬けの環境にあった帰国子女の子どもたちであっても、帰ってきて使わなかったら、もうきれいさっぱり忘れる天才なので、子どもって。
ロイ:本当、忘れますよね。
藤田:忘れますね。なので、そこで「じゃあこれまで学んできたものをどうやってそれからにつなげてあげようか?」というところで文字なんですね。
藤田:例えば日本語の環境で育っていた子どもたちが普通に育ってきたときもそうだと思うんです。親御さんとの会話を通してまず日本語がわかるようになって、絵本を読み聞かせとかしてたら、次第に自分の名前を読めるようになったりとか、文字に興味を持ち始める。自分でだんだん好きな本を読み始める。
そして、文字の世界に入っていって、いろんな文字だけの本も読めるようになっていくと思うんですけれども。その段階を通じて私たちも日本語をこれまですごく成長させてきた。それを英語で再現するということですね。
ロイ:なるほど。その英検5級・4級・3級って、僕はだんだん受けたくないほうに入っていくんですけど。
藤田:面接が(笑)。
ロイ:ステップアップしていくのもちゃんと意味があったりするんですか?
藤田:そうですね。英検って級が上がったら難しくなる文章が長くなるだけって思っている方ってけっこういらっしゃるんですけど、実はそうではなくて、英検の試験問題ってその受験者の世界が一歩ずつ外に広がっていくように作られているんです。
5級ですと、例えば自分の家族の話とか友達の話。すごく身近な話題を自分目線で話している言葉が多いです。4級になると「友達がね」というような、「Nancy……」とか、そういった友達の話をするような、ちょっと自分の世界から一歩外に出た話になってきますね。
3級になってくると、人に例えば「Mr.Brown is……」って、「ミスターブラウンさん、ブラウン先生はね」って人に紹介するような。自分の世界、相手の世界、3級になってくるとさらに相手がいる世界になってくる。
というかたちで徐々に無理なく自分の世界が広がっていくように作られていて、トピックもすごくおもしろいんですね。長文問題の。事実をもとに作られたものが多いので、子どもたちが英語の問題を解きながら新しいことを学んでいけるような。英語だけじゃなくてですね。その構成がすごく大好きです。
ロイ:さすが元英検にいらっしゃった専門家ですね。いや、勉強になる。
上村:今まで英検というだけでかなりもう耳がパタンって閉じてたんですけど、今の話を聞くとすごくすんなり、「ちょっと受けてみようかな」みたいな気分になりますね。
ロイ:ちょっと「英検すげえ」みたいな。
上村:例え話がすごくわかりやすかったです。
藤田:ありがとうございます。やっぱり低い級だから低く見るということではなくて、自分の世界を広げていくものだと思って受けていただいたらいいのではないかなと思っています。
ロイ:なるほど。
ロイ:あと子どもに英語を教える上で気をつけたらいいポイントとか、ちょっとそのへんをお聞きしたいんですけれども。
藤田:やっぱり小学生の子どもたちって、お子さんをお持ちの方だったら誰でもわかると思うんですけれども、自分の興味のないことにはもう一切意識が向かないですね。例えば60分間自分が好きなじゃないことに向かわせても、たぶん1ミリたりとも脳に残らない。
なので、小学生であったり小学生より以下のお子様に英語を教えるというときには、いかにそれが子どもさんにとって意味があって楽しくてというものであるかというのがすごく大事ですね。
だから例えば「apple、リンゴ、apple、リンゴ 」。
ロイ:ああ……。
藤田:本当に、今はどんどんそういう英語教育ってなくなってきていると思うんですけれども。
ロイ:まだあるんじゃないですか?
藤田:ありますかね。単語をぶつ切りで覚えさせるとか、あとリンゴ本当は嫌いなのに「I like apples」。やめてほしいですね。たぶん子どもにとってなにも心に残らない文章になってしまうので。
やっぱり自分の心に残る。意味がある。読んでて楽しいとか。自分が言いたい気持ちと密接にリンクしたことを取り入れてあげるのがすごく大事だと思っています。
ロイ:これって大人でも一緒ですよね。大人だって「This is a pen」とか、結局つまらないことやってたりして。
藤田:本当ですね。覚えなきゃって。
ロイ:僕ちょっと英会話の塾とかやってるんですけれども、本当に自分の好きなことをしゃべってもらえるほうに持っていってるんですよ。そしたら受講者の1人が超ビールが好きで、毎回ビールのお話するんですよね。「私の好きな居酒屋は……」とか「こういうフェスティバル行った」とか。
藤田:それは絶対に盛り上がりますよね。周りの人も聞いてて楽しいですね。
ロイ:そうそう。子どもはそれが必須なんですね。
藤田:必須ですね。本当に。それがなかったら余計頭になにも残らない。心にも残らない。逆に英語がもしかしたら嫌いになって中学を迎えてしまうかもしれないと思っています。
ロイ:そうですよね。
藤田:本当に大事ですね。大好きなことと結びつけるって。
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