2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
尾原和啓 × 田端信太郎(全1記事)
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田端信太郎 氏(以下、田端):こんにちは。
尾原:今回、『モチベーション革命』の発売に伴って、全章無料公開、5回目の最後が田端さんです。『モチベーション革命』の感想でもいいですし、無料公開の一連の流れでもいいですし、印象はどうですか?
田端:(本の)前半の部分は「ふん、ふん」という感じで、良いか悪いかは別にして、僕はぜんぜん違和感はないです(笑)。後半で一番おもしろいなと思ったのは尾原さんが……。
尾原:(自身の首元を指して)これですね?
田端:そうです。赤いマフラーをし続ける理由というのが……。
尾原:わかりやすく言えば「アイコン」ですよね。
田端:アイコン。あるいはブランドのロゴ。結局、モチベーションを保つためにも、自分自身がコモディティにならないことが大事ですよね。平たく言うと、認知された信頼という言葉とブランディングは裏表だと思うんですけど。
尾原:そうですね。
田端:ブランドの構成要素とは? というと、評価や信用などが本質です。でも、実は本質と同じぐらいパッケージングというか、打ち出し方の部分が重要なんですが、けっこう、こういうことを言うと、みんな馬鹿にしていて(笑)。「セルフブランディング? プスス」とかなっちゃうんだけど、全然そんなことはなくて。
尾原:そうそうそうそう(笑)。
田端:それで気づいたんですけど、尾原さんの赤いマフラーにあたるのが、俺の坊主頭なのかなと。
尾原:確かにそうですね。
田端:でも、2005年ぐらいまでは、もう少し長かったんですよ(笑)。
尾原:本当?(笑)。
田端:長いって言っても、スポーツ刈りというか、ちょっとそれぐらいで。大学生の頃は1回マッシュルームカットだったから。
尾原:マジですか?
田端:そうですよ。
尾原:田端さんって絶対、この坊主頭だからできる「メディア界の武闘派」? 歯に衣着せずに。
田端:初めて会った人からは「もっと怖いと思っていた」と、よく言われますが。
尾原:メディアの未来をバサッと切るみたいなイメージがあるんですけど。
田端:何となく坊主にしてから、運気も悪くないみたいだし、続けとくかみたいな感じで続いてきたんですけど。
尾原:うん。
田端:マフラーもそうだし。何だろう。あるいは。
尾原:ソーラーパネルのバックみたいなのもそうですよね。
田端:僕、Perfume好きなんですけど、あの3人もずっと基本、髪型は十何年変わってないし。
尾原:そうですよね。
田端:そういう「記名性」みたいなシンボル、トレードマークってけっこう大事だと思っているんですよね。
尾原:おっしゃる通りです。この本の最終章で何を語りたかったかというと。みんな勘違いしているんですけど、中身を磨くことと伝え方を磨くことって実は……。
田端:別にイコールですよね。
尾原:そうなんですよ。半々なんですよね。伝え方の部分を磨く人は少なくて、メディアを作っている人の中で、伝え方の達人ってやっぱり田端さんじゃないですか。
田端:いや、それはどうかわからないけど(笑)
尾原:少なくともマニア。
田端:結局、伝わらなかったら、やってないのと一緒ですから。
尾原:そうなんですよ。
田端:赤いマフラーといえば、去年「真田丸」をずっと見てたんですよ。すごい面白いなと思いました。ドラマの最後、大阪夏の陣で真田の集団は赤備え。真田幸村の配下のチームというか武闘集団が、鎧を全部赤く塗って。
尾原:はい。そうですね。
田端:しかも真田家は、家紋が六文銭で。
尾原:六文銭だから。
田端:非常にシンプルなアウディーのマークみたいな(笑)。
尾原:そうですね(笑)。
田端:なんでコインが6個かというと、三途の川を渡る船賃が6紋かかるから、三途の川を渡る船賃だけは取っておくぜ、でもそれ以外は何もいらねえ。「常に死ぬ覚悟で戦え」ということ。四文字熟語で言うと「不惜身命」。
命を惜しまず名を惜しむ態度を、アイコンとしてシンボリックにして、シンプルな図象にしたら、ああなる。こういうわかりやすいエピソードとセットのロゴ、家紋があるからこそ、真田は、すごい軍記物になって、未だに大河ドラマにもなる。
尾原:なおかつ、戦場の中で真田幸村が死を恐れずに大義のためだけに動くヤツらの「アイコン」だから、味方は「真田きたー!」といっただけで上がるし。
田端:戦国時代って、写真も何もないじゃないですか。だから人が口づてに聞いた噂でも拡散して、戦場で相まみえた瞬間に「これが噂のアイツか!」みたいに伝わることが大事。それでその瞬間「アイツか」と思わされているほうが一瞬でも怯むわけですよね。
尾原:そうなんですよね。結局あいつらは命を惜しまずにくると認知されてるから、「やべー! 俺殺されるかも」みたいな。
田端:シャア専用ザクに近いんだけど、実はこういうことが連綿と続いていて。だから、直江兼続のように兜の前立てに「愛」と書いたり、意味がわからないですよ。今戦場に行こうとしているのに、「愛」を兜の前に乗っけてるとか(笑)。普通なら、そんなヤツ絶対にいるわけなんだから。
尾原:いないし。もっと言うと重いから動くの辛いし。
田端:「戦国武将の変な前立て」という、まとめサイトが続々とある。
田端:戦国武将って、あれは暴走族のヘッドみたいなもんですよね。
尾原:ああ、確かに。だからデコったりとか。
田端:本当にデコトラ、デコキーのように暴走族の「全開バリバリ、ブッこむぜ!」と言っているのと戦国武将って変わらなくて、戦場で見た瞬間「やべー、あいつきた!」みたいな。
田端:もし、これがビジネスマンが応用するんだったら、だったら常に同じ色のネクタイするみたいなところからでも始められる。
尾原:ユーグレナ(注:ミドリムシなどの開発を手がける会社)の社長のネクタイは緑色。
田端:そうそう。よくあるパワータイは赤とかだったりするもかもしれないですけど、別になんでもいいんですよね。縦縞のストライプのスーツでもいいし、実はそういうところからやっていくと逆に、僕の『メディアメーカー』で書いた「予言が自己実現する。」のスパイラルに入れるわけで。
尾原:そうそう。その話をまさにしたかったんですよね。
田端:身もふたもないですけど、「嘘も100回言えば本当になる」というか(笑)。だから僕はよく言うんですけど、どんだけネットで「田端死ね」とか叩かれたって、どうとも思ってないんですよ。僕にとっては、ネットに上がって知らない人から罵詈雑言を受けるときの、リングネームみたいなものだから。
尾原:だからiモードの時に、「Tシャツ理論」という似たような理論があって。人は何のために着メロにあんなにお金を払うのか、待ち受け画面にお金を払うのか。
iモードの全盛期に着うたって、着メロと待ち受け画面だけで1,200億円の市場があったんですね。今LINEのスタンプに連綿と繋がっていく市場なんですけど。
これを僕らTシャツ理論と言ってて、それは何か。1つは僕の赤マフラーと同じように、ミックジャガーの舌を出すTシャツを着ている人がいたら、「ミック・ジャガー好きなの?」って言ってコミュニケーションが始まるという。
田端:共通の前提がより高いところから始まる。共感する。
尾原:というのと、もう1個大事なのが、自分に対するコミュニケーションで、「ミック・ジャガーのTシャツを着ている俺は、世の中の権威とか関係ないよ。俺は俺だから」という、まさにプロレスラーのリングネームや覆面と一緒ですよね。生物的な自分とは違う意味での、ステージ上、メディア上での自分というアイデンティティ。
田端:だから、前にセルフブランディング系の本の中で僕がもっとも好きなんですけど、トム・ピーターズ(経営コンサルタント)の『ブランド人になれ!』という本の中で彼が言うんですけど、「まずは自分の名刺の肩書を自分で付けてみよう」と。
別に真面目に考えなくても、酔っ払いながら、ナプキンの裏に書いたり、居酒屋の箸袋の端っこに書いたりしてもいいんだけど。自分が自分で「そうだ、そうだ」と思ってたら、そうなるわけじゃないですか。
尾原:そうですよね。「不沈艦スタン・ハンセン」になったら、何回やられても「ウィー!」って立ち上がるじゃないですか。
田端:それもブランドだし、個人がブランド化するというのは、生身の人間で個人っていう限界を突破して、文化的な遺伝子としてメディア空間内に自分の分身を投げ込むようなことなんです。それがレバレッジされて時空を超えて行く時には結晶化されて「わかりやすさ」というのが、おのずから生じていて。
いつのまにか自分が自分で演じるようになるところからだと思うし、いわゆる勝負服的な部分で言うと、勝負服がプロレスとか戦国武将と一緒だと思います。ソーシャルメディアはプロレスのリングの上なんですよ。
尾原:本当にプロレスのリングの上ですからね。
田端:LINEとかはぜんぜん違うかもしれないけど、Twitterとかブログなどのパブリックなものはプロレスリングの上だと思って、照れて斜に構えてるほうが格好悪いから。
尾原:そうですよね。WWFの(ビンス・)マクマホンみたいに、離婚とか家族喧嘩すらもエンターテイメントに変えていくみたいな。
田端:負けたっていいんですよ。負け方にその人なりの味があって美学があって、一貫性があれば全然オッケー。リングの上でのことだから、負けるのが格好悪いんじゃなくて、演じきれてないのが格好悪い。
尾原:そうですよね。
田端:もっと言うと、殉じれてないというか。
尾原:そうですよね。だとしたら自分の演じきれるための約束って何なんだということと、それを「アイコン」化することは何なのかを徹底的に考えたい。
だから僕、今回の対談を何でしたかったかというと、やっぱり『メディアメーカー』って今読み直すと完全に個人の生き方の本なんですよね。実は要はターゲットのユーザーをちゃんと決めて、約束を決めて生きることだったりとか。
じゃあ自分のコンテンツというものを牽引型でいくのか、生成型でいくのかみたいな話しだったりとか、ないしはアイツは常に騒がしいやつだからというフロー型で生きるのか。
僕だったら新規事業とかネットが炎上したら「尾原」はネットの中だとストック型のコンテンツなんですよね。中身をどう決めるみたいな話で、実は今個人の生き方の本として『メディアメーカー』がおもしろい。
田端:だからそういうふうに、一般の方だと、まずはいつも同じ色のネクタイをしてみるというレベルでもいいから、そういう「個人ブランドづくり」に踏み出すべきですね。
田端:セルフブランディングというと、確かに「あれってあの人のキャラとか言うけど、本当はやりたくないことを、あえてキャラ立ちのためにやってるよね」と見透かされたら、凄く格好悪いんだけど、そんな心配よりもそもそも、「キャラ」がなくて、そのレベルにすらいけてない人がほとんどだから。
尾原:埋没化しているほうが。
田端:一番最強なのは天然なんだか、キャラ作りやっているのか、どっちだかわからない状態。しまいには、本人自身も、何が本当の自分なんだか、わからなくなっているのに、観客からの期待には完璧に応えられる状態までいくと最強なんですよね。
尾原:最強ですよね。
田端:無理もないし続けられるし。なんだけど、続けられる範囲でいいから、赤いマフラーでもいいんだけど、ネクタイでもスカーフでも何でもいいんだけど。
尾原:そうですね。
田端:それで思い出した。スマートニュースの松浦(茂樹)さんが、10年ぐらい前は赤メガネじゃなかったんですよ。
尾原:本当?
田端:ある時から本人がそういうふうに意識してやったんですよ。
尾原:スイッチ入ったんだ。
田端:本人も否定してないと思うけど、別に悪いと言ってるわけじゃなくて、「なるほど、そういうもんだよなあ」と。
尾原:僕もブランドの定義をいろんな定義をやるんですけど、dofの齋藤(太郎)さんが言ってた定義が一番好きで、「ブランドとは捨てるものを決めることだ」ということを言っていて。
僕はこの赤マフラーが正義の味方っぽいから、インターネットにとっての正義の味方をやる。一方で「尾原の言っていることがうざい」と言って、声が高いことを含めて消えていくユーザーの方もいるんですけど、やっぱり味方がたくさんいたほうが何よりもいい。
田端:ブランド価値は一目見ればわかるということですか?
尾原:そうですね。ということで、さっき言ったように、個人が埋没するぐらいだったら、「アイコン」を決めてその中で自分が浮かび立つのが重要という話でした。
「戦場における鎧の前立てをあなたは何にするんですか」でもあるし、前立てを決めるとそれはプロレスのリングネームだから、「自分に対してリングネームを言い続けることで自分が強化されていくよ」という話ですね。今日は本当にありがとうございました。
田端:ありがとうございました。
尾原:どうもめちゃめちゃおもしろかったです。
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