2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
尾原和啓×吉田尚記(全1記事)
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尾原和啓氏(以下、尾原):どうも、よっぴーさん、こんにちは。
吉田尚記氏(以下、吉田):どうも、今、ニッポン放送の編集室1におります。はい。
尾原:(笑)。今日はよっぴーさんと話したいのが、まあ僕の本、おかげさまで、はい、Kindle1位取って。
吉田:おめでとうございます! よっ、おめでとうございます。今、撮影してるので拍手できないけど(笑)。
尾原:でも、僕の本の目的って、もっともっと若者に届けたいんですよね。
吉田:うん。
尾原:というなかで、もっとやっぱりありえないことやんなきゃいけないと思って。それで、西野(亮廣)さんがつい最近書いた『革命のファンファーレ』の中で、ビジネス書も無料公開して大丈夫だということを言っていたので、じゃあやってみようということで。
実はこの前に西野さんと対談をして、その対談とセットで、西野さんは第1章を無料公開。その翌週によっぴーさんと第2章を無料公開というかたちで。やっぱり西野さんがおもしろいのは、熱量がある本は中身を読んじゃったら続きを読みたくなると。
一見するとネットに無料で置いてたら全部読めちゃうじゃないかと思うんですけど、公開する場所を散らしておけば、全部探して読むのがめんどくさいから、じゃあそれだったらもうお金払って読んじゃうということなんですよね。
なので、よっぴーさんと石川善樹さんの『どう幸(どうすれば幸せになれるか科学的に考えてみた)』とか、まさに幸せのクックパッドというぐらい、幸せのTipsがいっぱい混ざっているから。
いくつか読んで「えー、これあと何十個も読めるの!?」ってなると、たぶん本を買っちゃうと思うんですよね。
吉田:実はラジオの世界って昔から、お金取れそうなことを無料で言ってる人たちだらけなんですよ。
尾原:ああ、確かにそうですよね。めっちゃノウハウの塊ですもんね。
吉田:これってなにかに似てるなというのが、僕、前に実はアドラー心理学の向後千春先生と子育ての本を出してるんですけど。アドラー心理学に「オープンカウンセリング」という手法がありまして。
尾原:オープンカウンセリング?
吉田:お聞きになったことあります?
尾原:いや、ごめんなさい。初めてです。
吉田:オープンカウンセリングというのは、アドラー心理学、カウンセリングとかで、例えば子どもが不登校で悩んでいるとするじゃないですか。そのときに、普通の心理学って密室で話を聞くじゃないですか。
尾原:そうですね。その対話のなかで「ラポール」という特別な絆ができて、自分の心理を吐露することによってトラウマが治っていくみたいのが定説ですよね。
吉田:そうそう。アドラー心理学ってまったく逆で、もし登校拒否で悩んでいるお母さんがいたら、登校拒否の人の家族とかをいっぱい集めて、1人を壇上に出して話を聞いたりするんです。
尾原:ほう。みんなの前で?
吉田:そうなんです。どうやるかというと、一番はじめに例えば「登校拒否で悩んでいます」と。「どれぐらい学校行ってないんですか?」って聞くと、「もう本当3ヶ月ほど」みたいなことをお母さんが言う。すると会場じゅうから突然手が上がって、「うち、もう2年行ってないんですけど…」っていう人が現れる。
するとなにが起きるかというと、だいたい笑いが起きるんですって。「いやいや、2年かい!」みたいに。
吉田:これのなにがいいかというと、深刻さが薄まるんですよ。
尾原:そうですよね。うん。すごいわかる。
吉田:深刻さが薄まって、なおかつ、自分はカウンセリングを受けていないのに、聞いてるだけで治っちゃう人が続出するんです。
尾原:はあー。これがつまり、ラジオと一緒だということが言いたい?
吉田:ラジオっていうのはオープンカウンセリングなんですね、という話を岸見一郎先生としたことあるんですよ。
尾原:なるほど。でもね、実はそれってすごいよくわかって。僕らもベンチャーで合宿やったりとか、イベントで僕らハードシングスって言い方をするんですけど、心が折れそうなくらい困難なことを共有し合うんですよね。
それって今おっしゃったように、「自分1人だけが悩んでるんじゃない」というので、結構それだけで耐えられるんですよ。
さらに言うと、一緒に困難に立ち向かえる仲間に出会えると、最後まで走りきれる確率がだいぶ上がるんですよね。だから、そういう話ですよね。
吉田:なんかアフリカのことわざを突然思い出したんですけど、「1人なら早く行けるが、複数人だと遠くまで行ける」って言葉がある。
尾原:まさにそこって、今日の一緒に語りたいテーマに近くなってくるんですけど。『どう幸』で、人間というのは見ず知らずの人に食べ物を分け与える生き物だ、という章が途中であったじゃないですか。
吉田:ありましたね。
尾原:霊長研の先生が言っていたのですが、それがあるがゆえに、人間というのは行ったことがないような遠くにも行けるようになったというエピソード。
昔は人が遠くにいくために、旅の途中で知らない人に食べ物をもらわなきゃいけなかった。だけど、今は自分がほかの人とは違う、自分だけの「好き」とか、自分だけのこだわりというのが旅。
それって孤独じゃないですか。その孤独という旅で遠くまで行かないと、ビジネスとか人を本当に長く喜ばせることってできないんですよね。
でも孤独なせいで、ついついみんなと同じ方向に寄せちゃいたくなる。それを「実は僕も一緒に旅をしてるんです」とか、「あなたの旅がかっこいいです」みたいに、禅の言い方だと「同行の士」といいますけど。同じ道をゆく人が見つかりやすいことで、自分だけの「好き」を育てて、それで生きられるようになる。それに近い気がしたんですよね。
吉田:それは尾原さんの本だと「偏愛」って言ってるんですよね。『モチベーション革命』の中で。
尾原:そうですね、偏った愛。しかも、偏愛だから、普通の人にはなかなか言えないわけですよね。
吉田:「性癖は選べない」という言葉もありましたね。
尾原:そうそう(笑)。
吉田:真心ブラザーズさんがすごい好きなんですけど、桜井(秀俊)さんがたしかおっしゃってました。「人生が楽しそうな人は誰であるか?」と考えたときに、阪神ファンだと思ったんですって。
尾原:うん、うん。
吉田:阪神ファンのあのテンションの高さがすごくうらやましくて、自分も阪神ファンになろうと思ったけど無理だった。
尾原:なるほど。わかりやすい。なれないんだ。でも、阪神ファンって大阪に生まれたら必然的に阪神ファンになっちゃうから選べないんだよね。うん。
吉田:それで僕はアニメに関して同じことを思っていて。僕らの時代、アニメってコミュニケーションツールでもなんでもなくて。なんだかわからないけど、もう無性に自分が好きであるという。
尾原:そうですね。
吉田:クラスに友達もいないのに、一方的にハマっていたんですよ。日本中というか世界中に俺たちだけだと思ってたら、ブロードバンド革命が起きた瞬間に世界中にオタクの人が現れたわけです。
尾原:仲間発見ってやつですね。
吉田:そうなんです。この経験から、どうも人類というのはオタク遺伝子を3パーセントずつぐらいどの国の人間でも持ってるんだ、と思ったんですよ。
尾原:左利きよりちょっと少ないというか、半分ぐらいだけど(笑)。
吉田:そうそうそう。
吉田:実はその遺伝子を発症させる環境要因が、戦後の日本にしか今までなかったんですよ。それが今世界中に現れたので、オタクが世界中にいる。
尾原:それおもしろいかもしれない。
吉田:ブロードバンド革命によって環境因子が。
尾原:そうですね。だからブロードバンド革命もあるし、僕の本でいう「ないものがない」という状態でもともと潤っていたから。今までって乾いてたから、まず乾きを癒やすってほうにいってたから、オタク遺伝子が発動しなかったけど。
もうみんな食うものに困らなくなったし、なにかほしいというものがなくなったから。最後に残る「自分の中の求めるもの」というオタク遺伝子が発動するのが日本が早かっただけで、世界中で「ないものがない」世代に入るとどんどん発動していくと。なるほど、めちゃめちゃおもしろい。
吉田:そうなんですよ。たぶん自分の中に、なんかね、ないものがあるんですよ。オタク遺伝子ってないものを無理やり作り出してるんですよ。
尾原:そうですね。
吉田:例えば僕はアニメ・漫画がなくなっても死にませんが、アイドル・漫画がなくなったら死んだような気持ちになるわけじゃないですか。
尾原:そうですよね。
吉田:でね、僕、今世界で一番優秀な消費者ってアイドルファンだと思ってるんですよ。アイドルファンの人たちって本当に何もないんですよ。要はアイドルって、言ってしまえば単なる若い女の子なんですよ。
尾原:そうですね。本当はね。単なるね。
吉田:とくにスキルがあるわけでもなくて。でも、その人たちの中にすばらしい価値を勝手に見つけて、勝手に崇める人たちなんですよ。アイドルファンて。
尾原:しかも、その人たちがいなくなったらもう僕たちは生きていけないぐらいまで、勝手に作り出せるということですよね。
吉田:そうです。つまり自分の中に乾きを見つけるシステムを持ってるんですよ、アイドルファンは。これがたぶん偏愛。
尾原:しかもその偏愛というのは、外から押し付けられるものじゃなくて、実は自分の内側にあってそれが発露してくるものだと。
尾原:だからこそ昔の人たちは、自分たちがそういう(偏愛を)持っていることがなんかダメなことなんじゃないかと思っていたけど、いまはインターネットで公開してみると仲間が見つかるし。
さっきのラジオの話じゃないけど、けっこうラジオみたいなパブリックな匿名空間の中だと「いや、もっと俺のほうがひどいっすよ」みたいな人が出てくるから、「なんだ、おれ大丈夫じゃん」みたいに思えるってことですよね。
吉田:そうそう。
尾原:これはめちゃめちゃすごいインサイトですね。やっぱりラジオって偏愛にとってすごく大事って話ですね。
吉田:いまだに経済性に巻き込まれていないからですよ、ラジオって。ありがたいことに。
尾原:そうですね。
吉田:経済効率のいいラジオってないんですよ。例えば超売れてるタレントさん、たぶんもう名前出していいと思うんですけど、福山雅治さんなんて、ラジオやったって絶対ギャラで折り合うわけないんですよ。なのにずっとやってくれてるわけです。それは、なんていうんですかね、そういう価値に気づいている人はそうなんだと思うんですね。
尾原:ということなんでしょうね。そういう偏愛の同行の仲間を作っていくということが、これからものすごい価値になる時代だと彼は気づいて、そのコミュニティをずっと作っていっているということですね。
いや、今日はありがとうございました。よっぴーさんのあとはコルクの佐渡島さんでいきたいと思うので。きっとまたこの話に引き続き、いい話ができると思います。ありがとうございました!
吉田:ありがとうございました。
『モチベーション革命』無料公開リンク・はじめに 【箕輪編集室・公式】「モチベーション革命 はじめに無料公開」・第2章 【Medium よっぴー】
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