2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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新井一樹氏(以下、新井):今度は「(ログミーに掲載したら、申込みは)何件増えるの?」と、もう数字をすごい気にする部長(商談相手)がいたとして、河井さんは……。
河井鉄平氏(以下、河井):いますよね。マーケ担当でそういうのいますよね。
新井:マーケ担当で。
叶内怜(以下、叶内):導入すると、申し込みは何件増えるんですか?
河井:ちなみに今っていうのは、リード獲得のためにどういったことをされてるんでしょうか?
叶内:今は、普通に答えると運用型全般と、あとはイベントですね。
河井:だいたい、どれぐらい取れてらっしゃるんでしょうか?
叶内:細かい数字はちょっと、まだ……。
河井:なるほど。一応そうですね、私たちのメディアですと、どうしてもアカウントを何件、リードの獲得のためのメディアになりますので、何件増えるのかっていうのは具体的にご説明するというのは、約束させていただくことは難しいんですけれど。
叶内:ぜんぜん約束しろとか、そういうのじゃないので。何件なのかなと思って。
河井:ただ少なくとも、まあ、月間で300万。
叶内:300万?
河井:の、ユーザーですね。
叶内:ユーザーが……どうしたの?
河井:おりましてですね。
叶内:……あ、御社にですか?
河井:ええ、すいません、弊社におりまして。そのうちの200万人以上がビジネスマン層になるんですね。
叶内:……ええ。
河井:ええ。そこの部分でこれまで、今、ちょっと数字のほうは開示していただけないってことなんで難しいんですけれども。
新井:……じゃあ、まあ、そんな感じで(笑)。
河井:(笑)。
新井:はい、ありがとうございます。「何件増えるの?」って言って、「ちなみに、今の施策はなんですか?」っていう話を聞いてるわけですね。まあ、確かに背景を聞いてはいるんですけども、「何件増えるの?」っていうのは、なんでそれを心配してるのかっていうところに発想を持っていかないと、お客さんの立場で考えられてないってなっちゃうんですよね。
なので、「何件増えるの?」って言った時に、「今なにしてるんですか?」っていう話になっちゃうと、「細かいことは言いたくない」って言われちゃう。
「なんでこれを気にするんですか?」「やっぱり件数が増える施策じゃないと上に通しづらいとか、そういうのがあるんですか?」みたいなので、背景なり事情なりをちょっと聞いていくっていうのをしないと、「じゃあ、こうしましょう」って言えなくなってきちゃって。結局、「うちはすごいですよ」っていう説明セリフで、説得モードになっちゃうんですよね。
河井:確かに。
新井:はい。1つ、さっきのお2人のところで言うと、ポイントとしてはですね、お客さんが言った言葉をそのまま受け止める共感のところが、ちょっと弱いのかもしれないですね。共感を示すっていう意味で言うと、1つの方法としては、オウム返しっていうのがあるんですね。
「今日は時間がなあ」「『時間がなあ』。『時間がなあ』と申しますと?」って言ってあげたほうが、いきなり「と申しますと?」って言われるよりもいいですし。
「時間がどう問題になってきますか?」みたいな感じで聞いてあげると、お客さんとしては「あ、いや、実はこういうふうに思っててさ」と、言いやすくなるかなということですね。
さっきの河井さんにしてみると、「何件増えるの?」って言われた時に、「何件増えるの?」は1回置いといて「今何してるの?」っていう話になっちゃうので。そうすると、こっちが聞きたいことを聞いてるだけなんですよね。
確かその時、「ちなみに」っていうキーワードが出てきてたと思うんですけど。「ちなみに、今どんな施策をされてますか?」って。「ちなみに」って言葉が出る時は、実は、ちょっと今日は紹介するつもりなかったんですけど、「英会話セリフ」っていうセリフの使い方になっちゃってる時なんですね。
英会話セリフってなにかっていうと、英語の教科書みたいなセリフのやり取りになっちゃう。「彼はマイケルですか?」「いいえ、彼はジョンです」「ジョンはアメリカ出身ですか?」「はい、アメリカ出身です」「ジョンは野球が得意ですか?」「いいえ、サッカーのほうが得意です」みたいな、中学校のテキストにあったようなセリフのやり取り。
それってなにが起きるかっていうと、こっちが知りたいことばっかりを聞いているっていうものなんですけど、この英会話セリフが続いちゃうと、相手側は尋問されてるように感じちゃうんですね。本間さんが冒頭に言った不自然な聞き出しにつながるかもしれないですね。
その英会話セリフになりがちな傾向として、「ちなみに」っていうのを使ってる時は、なぜか営業マンは、自分の知りたいことを聞く時の接頭語に「ちなみに」を使いがちです。どうですか?
叶内:使うねえ。
秋元洋平氏(以下、秋元):ありがちですねえ。
新井:ありがちですよね(笑)。
秋元:使っちゃうねえ。
叶内:ぜんぜんちなんでない。
(一同笑)
新井:そう、ぜんぜんちなんでないんですよ(笑)。
河井:「ちなみに」を畳みかける感じですよね。
(一同笑)
新井:それってお客さんの立場になってみると、すごいいろいろ聞いてくるけど、さっきみたいに「いや、そんな細かい数字はちょっと……」みたいなリアクションになっちゃうわけですよね。
なので、さっきのところで言うと、やっぱり感情セリフをちゃんと拾うっていうことと、受け止めてあげる。「何件増えるの?」「何件増えるかって気になりますよね。なんで件数が気になりますか?」って聞いてあげないと。
どうしてもネガティブな話だと話をそらしたくなるんですよね。だけど、そこの背景・事情を確認しないと、実は解決策って提案できないよねと。いいことばっかお客さんが言ってくれればいいんだけど、そうじゃない。なぜなら、お客さん、アンチテーゼあるから。だから、お客さんは必ずネガティブなことを言うんです。
そのネガティブなことを言われた時に、「なんでそういうふうに思うのかな?」「どうしてそういうふうにしたいのかな?」「気にしてるところはどこかな?」っていうふうに発想して、背景なり事情なりを確認するっていうのが重要になってくるんだよ、っていうことなんです。
なので逆に言えば、この感情セリフが出てきた時に展開セリフを使って、お客さんの背景・事情をしっかり確認することができれば、この後の説明セリフは生きるんです。お客さんの背景・事情、困っていることとか、こうなったらいいなってことに対して、「ログミーならこうできますよ」って説明をしっかりできるじゃないですか。
でも、「時間がなあ」っていう言葉だけに対して、「ログミーだったらこんなに早く書き起こしできますよ」って言ってても、「イベントの時間が長いのが問題なんだ」と思っているお客さんには、ぜんぜん刺さんないじゃんということですね。なので、刺さる説明セリフを使うためには、背景・事情を取らなきゃねと。
実はですね、ドラマの中で説明セリフって、あんまり使っちゃいけないんですけど、使わざるをえないんですよ。どういう時使うかっていうと、サスペンスドラマとかで、22時40分ぐらいに崖の上でですね、「そうよ。私があいつを殺したのよ20年前にあいつは母を!」みたいな。「あ、この人、全部言ってんな」みたいなやつですね。
(一同笑)
ミステリーだったら「犯人はこの中にいる!」っていうような謎解きのところなんですけど、それ説明セリフです。動機だとか、トリックだとか、全部説明しだすじゃないですか。
あれ説明セリフなんですけど、サスペンスだったら22時40分とか、ミステリーだったら後半になぜ使えるかっていうと、お客さんが「なんでこの人、いい人そうなのに殺したんだろう?」って気になってるから、説明セリフを使えるんですよ。
叶内:説明を求めてるんですね。
新井:はい。説明セリフを使う時には、説明をする状況さえ作れば使えるんですよ。
河井:確かに。
新井:なんだけど、状況を作ってないのに説明すると、お客さんの背景・事情からそれていくんですよ。たまたま合ってればうまくいくっていうぐらいの話で。だから、確度が下がっちゃうんですよね。なので説明セリフを使う前に、背景・事情をちゃんと取ろうぜっていうことです。
そうすることで、相手の立場で考えるっていうのはここだよっていうのがわかりますし、ニーズを理解するっていうことができるわけですね。そうすると、「ちゃんとうちのことわかって提案してくれるな」って信頼してもらえるようになる。
ヒアリングのところが不自然じゃなくっていう意味で言うと、共感っていうのをちょろっとやりましたけど、オウム返しとかしながら深掘りをしていくっていうのをやっていくことで、実はできるよと。
なので、こちらが言いたいテーマ、「ログミーを使うと絶対いいっすよ」っていうテーマに対して、お客さんは「確かにちょっとおもしろそうだな」って期待はあるけど、「本当かな?」「どんだけの効果があるんだろう?」とか、いろんなためらいがあるよねと。
それをこっちのテーマに変化させていくためには、「ログミーいいですよ」「いいですよ」って言ってても、実は変化ってさせられなくて。じゃあ、どうすればいいかっていうと、お客さんの背景・事情をちゃんと深掘りをして、それに合った説明セリフを入れていって。
「あ、なるほどね。そういうことか。じゃあ、これはできんの?」「それはなんでやりたいんですか?」、ちゃんと背景・事情を深掘りして、「それだとこうやったらできますよ」「もっとこういうふうにやったら、ログミーだったらうまくいきます」みたいなことをやっていくことで、「あ、なるほど」と。
ためらいよりも期待がふくらんでいって、「だったらやってみようかな」ってなるんじゃないかと。ここをないままにやろうとすると、説明ばかりしなきゃいけなくて、どんどん息苦しくなっていくみたいな。
なので、お客さんのことを考える、そして考えたうえで意図的に会話を組み立てる。感情セリフが出てきたら展開セリフで拾って掘り下げて、そのうえで説明セリフを使っていくっていうことですね。というのを、やっていっていただけるといいかなと。
今回は90分っていう短い時間ですが、本当は構成の部分とかガッツリやったりとか。あとはこのセリフ、少しこうみなさんでやりましたけれども、そういうところも、セリフの使い方とかっていうのももっと時間をかけてロールプレイで練習してみたりとか。
っていうふうにやることで、「わかる」から「できる」につなげていく、みたいな感じになっています。ただ、今日は「気づく」っていうところでだったので「あ、背景をちゃんと取らなきゃいけないんだな」「事情をちゃんと取んないといけないんだな」。
「お客さんのことを考えるって、ここだよね」ってことに気づいていただいて。なんで考えなきゃいけないかっていうと、お客さんはアンチテーゼだからだよねと。最初から「いいですよ」とは言ってくれないと。ためらいは必ずあるんだから、そのためらいを克服していってもらうためには、背景・事情をわかったうえでやっていかないと提案にならないよね、ということですよね。
シナリオっていうのを意識してもらうと、これから、例えば同行で営業行ったとした時に、「おまえ、あの時ちゃんと背景取れてないんじゃないか?」とか、「事情をわかったうえでちゃんと話してないよね」とか、「あの感情セリフを拾ってないから、手詰まりになっていくんだよ」とかっていうのを言えるようになります。4人の共通言語になるので。
うまくいってる時は「こうだからうまくいったよね」、うまくいかなかった時は「ここができてないからうまくいってないよね」っていうのを、ロジカルに確認できるようになります。営業プロセスでの問題点も、見極められますよね。そうすると全体的な営業力が上がっていくんじゃないかなと思います。
はい。そんな感じで、どうですか? ログミーの営業力は上がりそうですか?
河井:間違いなく上がります。
新井:間違いなく(笑)。
(一同笑)
それは河井さんが体現していかなきゃいけないですからね(笑)。
(一同笑)
新井:なんか今まで「あ、そういうことだったんだ」みたいなのとか、気づきとしてはありました? 「こういう癖があったな」とか、自分なりに。
河井:そうですね。やっぱり、お客さんの声より自分の持ってる手を先に出そうっていう。たぶん、ビビっちゃってんだろうっていうのもあるんですけど。すぐにちょっと、自分の持ってる知識を出してしまうっていう。もうちょっと聞く側の時間っていうか、アンバランスを調整する必要があるなと思いました。
新井:なるほど。説明セリフを今まですごい使ってたっていうことなんですね。
河井:もうちょっと遅くてもいいかもしれない、説明セリフを持ってくるの。
新井:うんうん。いいですね。どうですか?
本間崇史氏(以下、本間):そうですね。本当に、さっきもありましたけど、説明ですね。背景とか考えずに、説明セリフを多用してる節があったから。自分の中で勝手にお客さんの背景っていうのを決めちゃって、説明セリフを使ってたかなと。
新井:なるほど。「こういうことできっと困ってるんだろう」と、「こう言ったのはきっとこういう意味だろう」みたいなのを先回りしちゃって。
本間:そうですね、勝手に説明してる節があって。
新井:そうですね。そこを確認すれば、むしろ説明が楽になるっていう、なんとなく感覚としては入ってきましたか? はい。
ある意味でこれって、営業としてのスキルではもちろんあるんですけど、でも別に営業って……なんて言うんですかね、物を売るとかサービスを売るっていうのが目的じゃなくて、手段じゃないですか。
ログミ―さんなら、「イベントを残せたらいいのにな」っていう企業の課題を解決してあげるっていうのが、やっぱり一番の目的だと思いますし。シナリオ・センターの目的だったら、プロのシナリオライターになりたい人に最適な授業を提供することだったり、営業をはじめ、コミュニケーションの悩みを減らすお手伝いをするってことでしょうし。
その目的のために、「こういうふうにより良くできますよ」っていう、提案型にできるのがシナリオを使って発想して、会話を組み立てていくっていうことなのかなと思います。ぜひ意識していただけるといいかなと思います。
以上です!(笑)。
(一同拍手)
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