2024.12.24
「経営陣が見たい数字」が見えない状況からの脱却法 経営課題を解決に導く、オファリングサービスの特長
清水久三子氏出版記念イベント(全1記事)
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司会者:最初に清水さんの簡単なプロフィールを紹介します。大手アパレル企業を経て、1998年に外資系コンサルタントに入社、企業変革戦略コンサルティングチームのリーダーとしてご活躍され、その中で培われた成功事例が多くのメディアに取り上げられました。2013年に独立され、現在はプレゼン資料作成の分野で抜群の人気をほこるコンサルタントとして活躍されています。
今回は新刊書籍の中から、とくに若手のみなさんが陥りやすい資料作成の誤った進め方、おしい考え方などを明らかにして、「ちょっとした改善法でライバルに差をつけることができる、伝わる資料」を作成するポイントを紹介してくださいます。
それでは清水さんよろしくお願いいたします。
(会場拍手)
清水久三子氏(以下、清水):みなさん、こんばんは。ただ今、ご紹介にあずかりました清水久三子と申します。
実は私、これまでに13冊の本を出版していまして、そのうちの7冊が資料作成やプレゼンテーションといったものをテーマとしています。そういう意味で、「資料作成」は自分の代名詞ともいえ、今回の新刊は集大成という思いで書いた1冊です。
資料作成はいろいろな本が出ていることからもわかるように、ニーズが高く、重要性が高まっているテーマかと思います。その一つの背景として、情報量の変化が非常に大きいと思っています。
みなさん、考えてみてほしいのですが、メディアから受け取る情報量は10年間でどれぐらい増えたでしょうか?
ちょっと手を挙げていただきたいんですが、10年間で10倍くらい、20倍くらい……、50倍、100倍、それ以上。
(50倍に多く手があがる)
それ以上の方はいらっしゃらないですね。実は532倍ぐらいです。テレビや広告、SNSなど、大きくメディアというくくりにおいては、みなさんが思っていらっしゃる以上に増えています。さらにつけ加えると、みなさんがお仕事で使っている、メールやワード、エクセル、パワーポイントといった企業内で流通する情報量は、8年間で約9倍にもなっています。
このような情報の洪水のなかで、何に気をつけて資料をつくればいいのか、それは「ノイズカット」と「フォーカス」です。
「ノイズカット」とは、文章や表、グラフ、図から、伝えたいメッセージに直接関係のない文字や線、色などの余計な情報や演出を徹底的に削除しましょうという考え方です。
みなさんも経験があるかと思うのですが、なんとなくグラフをつくると、たくさんの色づかいや余計な線など、推敲されていない文章と同じように、いろいろなノイズが入ってしまっています。本当に伝えるべきこと以外は、徹底的にカットしていきましょうというのが資料づくりのポイント1つめです。
「ノイズカット」をしたうえで、次に大切なのが「フォーカス」です。資料で相手に伝えたいことを強調するため、表現にコントラストをつけインパクトを出す。「ここが一番伝えたいことですよ」と、読み手からの視線を集める。これがフォーカスの考え方です。
コントラストを意識したときにやってしまいがちなのが、非常にきつい色、赤や黄色や大きい矢印、そしてよくある爆発マークなどで視線を誘導する方法ですが、これはオススメしません。
これらの方法でコントラストを強めても、使えば使うほど、重要な情報というのは薄れていってしまいます。なので、できるだけノイズを減らして、気づいたら重要なところに視線がいっていた……。そう誘導するのが1番いいフォーカスの仕方なのです。
では、ノイズカットのポイントを具体的にいくつか紹介したいと思います。
1つめは、できるだけ文字数を減らすことです。情報量が急増しているということを最初にお話ししましたが、文字数が多いと、おのずと理解に時間がかかってしまいます。
「重複語や修飾語、冗長な語尾を削除」「文章は箇条書きに、項目はキーワード化」というように、徹底的に文字数を減らします。
2つめのポイントが、「因数分解」です。ここでの因数分解とは、繰り返し出てくる言葉を共通項として見出しにすることです。
これは、資料の構造をきちんと見える化するために大切なポイントです。私は仕事柄、さまざまな業界の資料を拝見する機会が多いのですが、その中には私が業務内容をよく把握していないケースもあります。そんな、私のような初めて資料を見る人間でも、目次を見るだけで簡単に理解できる資料を意識してください。ポイントは、単に見出しを羅列するのではなく、それぞれの項目を因数分解して同じグループごとに分けることです。
たとえば建物のフロア案内で、どこに何が売っているかが整理して書かれているように、「AA+AB+AC」という項目があれば、Aでくくり出し「A(A+B+C)」と見出しの共通項をまとめます。現状分析の報告書であれば、大きくいってどのような解決策があるのかを指摘したうえで、それぞれの具体的な内容を小見出しとして提示します。
こうすれば読み手は、今自分が何について説明されているのか、知りたい情報がどこにあるのかということが非常にわかりやすくなります。いきなり資料をつくりはじめるのではなく、自分がつくりたい資料の構造を具体的にイメージすると、自分はもちろん、他の人から見ても、わかりやすい資料になると思います。
最後は文字量をはじめから制限してしまう方法です。たとえば、パワーポイントで資料をつくるとき、いくらでもフォントを小さくすることは可能です。しかし、書きたい内容量にあわせ、その度にフォントサイズを決めるのではなく、“16ポイント以上”というようにあらかじめ級数を固定してしまえば、おのずと文字量が制限されます。
実際にビフォーアフターで紹介すると……。
こちらの例では、非常に文字が多いため、後ろの方は読みにくいかもしれませんね。これを改善した例が、こちらです。
前の資料が大体500文字ぐらいで、こちらが120文字くらいと、大体1/4ほどに文字量を減らしています。こうすることで、大きな4つのレベルがあり、どう変化をしていくのかということが、伝わりやすい資料に変わりました。
最初の資料を横軸で見ると“サービスとしては”、“ビジネス面では”といった、何度も繰り返しでてくる言葉を因数分解して、「サービスと利益」としてくくりだし、中身をキーワード化することでノイズカットすることができました。
このような資料も、いろいろな企業で目にします。やたらとキーワードを囲み込むレイアウトですね。囲む必要のないものまでも、丸や四角で囲まれています。これもやはり、余分な囲みがないほうが、スッキリとします。
区切りをつけたい箇所は空白を使い、罫線はできるだけ使わないようにしましょう。コントラストのために囲むのではなく、レイアウトを工夫することがポイントです。
線や囲みを使うと、後でメンテナンスをするのが大変になってしまいます。後で直そうとした時に、「字数が多くなったから図形を大きくしなければ」ということになってしまうので、メンテナンスをできるだけやさしくできるようにする、これも1つの考え方です。
相手に「伝わる資料」をつくるために大切なのは、こういったほんの少しの差なのです。せっかく資料を頑張ってつくったのに、「なにを伝えたいの?」といわれてしまう人は、ぜひ「できる人の資料のつくり方」を意識してみてください。
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