2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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徳力基彦氏(以下、徳力):こちらのセッションでは「自走するイベントの作り方」というテーマで進めさせていただきます。
ここまでのセッションでいろんなイベントの話があったと思いますけれども、通常のイベントは、主催者が企画して、運営もすべて主催者がやるイメージです。
その一方で、実は「自分たちが主催者としてやる以外にもイベントのやり方があるのではないか?」ということを確立されているのが、今からプレゼンをしていただく小島さんです。小島さん、よろしくお願いします。
小島英揮氏(以下、小島):Amazonから参りました、小島と申します。Amazonというと、みなさんダンボールの箱をイメージされるかもしれません。
ちなみに「お家にAmazonのダンボール箱が届いたことがある」という方はどれぐらいいらっしゃいますか? 「Amazonのクラウドを使っている」という方は、どれぐらいいらっしゃいますか?
(会場挙手)
小島:かなりアウェイな感じがしておりますけれども(笑)。Amazonのクラウド事業のチームで、マーケティング責任者をしています。
今日は「コミュニティ」がキーワードになってきますが、私はいくつかの会社でコミュニティの立ち上げをやっています。
このAmazonのクラウド事業をAWSと言いますけど、この中の「JAWS-UG」というコミュニティを使ったイベントの回し方の話をできればと思っています。
今日このようなタイトルになった背景を、「BACK STAGE」のバックステージということでご紹介したいと思います。
実はAWSでいくつかイベントをやっていまして、そのなかで、毎年やっている「AWS Summit Tokyo」というかなり大規模なイベントがあります。AWS Summitは確かに大きくておもしろいんです。
3日間で13,000人ぐらいの方が来て、ブレイクアウトセッションが100以上あるんです。このAWS Summitは、例えばニューヨークとサンフランシスコでもやる世界中のシリーズなんですけど、日本が一番規模が大きいんですよ。なかなかそういうことはないということで、「(今日は)この話でいいかな」と思ったんですけど……。
規模を追求する話は一応できるし。みなさんも「わかるわかる」という話になるんですけれども、あんまりイノベーティブじゃなくて、おもしろくないんじゃないかと。これよりももっとおもしろい話があるんじゃないかということで、考えました。
要は「自走する」というのがキーワードなんですが、自分たちで企画するのではなくて、お客様がどんどんイベントを企画する。「こういう流れで説明したらどう?」という話をして。「これはおもしろいですね」「やりましょう」と。こちらのほうがよっぽどイノベーティブですよね。こういうのがあるといいと思いませんか? 次のページ見てください。
これが自走しているイベントの写真です。
完全に手作りでユーザーサイドで全部やっています。
先ほどAWS Summitで100セッションぐらいやっているという話をしましたけれども、このコミュニティセッションは、実はユーザーだけで単独で50セッションぐらいやっています。そして、来場者も非常に多い。
こういった場を作っている「JAWS-UG」というコミュニティがあります。
このなかでいくつかのイベントあります。先ほどの写真は真ん中にある「JAWS DAYS」で年1回の非常に大きなイベントです。
それから一番上には、「JAWS-UG」というコミュニティがどれぐらいイベントをやっているのかが書いてあります。
実は全国に50ぐらい支部があります。ユーザーコミュニティイベントなので、毎回東京だとみんな来れないと。やっぱりいろんな地方でやらないとできないと思うんですけれども、それが全国50ヶ所くらいあって、ほぼ毎週どこかの支部で勉強会やミートアップをやっています。
これは非常におもしろい状況です。みなさんの商材に置き換えてもらったらいいと思いますけど、みなさんが扱っている商材やサービスに関して、毎週どこかでユーザーさんがいろんなミートアップをしてくれるていると。非常に強力なマーケティングツールだと思うんじゃないかなと。こういうことが実際にできています。
さらに一番下に「JAWS FESTA」というのがあるんですけれども、これは東京で大きいイベントをやるのは簡単なので、地方で持ち回りで、地方のJAWS-UGがホストになって、そこにみんなで行って大きく盛り上げようという。これも完全にユーザーサイドでやっているイベントになります。
これを回しているのがコミュニティなんですけれども、「コミュニティってなんですか?」とことで今日は「コミュニティ」という言葉の定義をしておきます。
もともとは地域やそれに根ざした共同体を意味します。場所は関係なくて、趣味とか目的とか理念で集まった人。私はよく「粒度」という言葉を使っているんですけど、会話する粒度が合っている人の集まりがコミュニティだと思っています。
こんなロゴを使って、コミュニティをやっています。
これを使うと、どのようなことがマーケター的にいいか、次のページに書いています。
ここは大事なので、少し深く話をしていきます。コミュニティがあると、そのコミュニティの人が自分でどんどん新しいお客様を獲得してくれます。
みなさん、つい自分から好きなサービスについて語ってしまうということがあると思いますけど、それがどんどん広がっていく。みなさんが直接いろんなチャネルを使って新規のお客様にリーチするよりも、かなりいいかたちで新しいお客様にリーチして、中に取り込んでいく。
たぶんBtoCの世界だと、「アンバサダーマーケティング」という言い方になると思いますけど、我々のようなBtoBの商材でもちゃんとできるということなんです。
我々のサービスを非常によく知っている方がコミュニティファンになっていくと、いろいろないいことがあります。
例えばよく「炎上マーケティング」ということがありますけど、会社の対応をめぐって、「これはどうなの?」という話があります。当然謝らないといけないんですけど、多くの場合は噂だったり誤解だったりするシーンがあるわけです。
実はコミュニティがちゃんとしていると、「これってどうなの?」という話が出たときに、ユーザーさんから「いや、これは本当は違うんだよ」と抑えてくれて、味方になってくれるんです。
我々はクラウドのサービスをやっているので、テクノロジーのアップデートが非常に早いんですけど、これを社内の人間が咀嚼して、ブログを書いたり情報提供するのはけっこう大変です。
だけど、このコミュニティが大きいと、我々がいろんな情報を咀嚼する前に、コミュニティでいろいろ試して、「こう使うといいよ」「ここは注意点だよ」とどんどん情報を流通してくれるんです。
情報を流通してくれるだけではなくて、「こんな機能があったほうがいい」「こうすると使いやすい」というフィードバックももらえます。
こんなにいい場があると、マーケティングキャッシュアウトを非常に少なくできるので、非常に効率的なマーケティング手法なんじゃないかなと思います。
先ほど新規の方を獲得できますという話をしましたけど、「使ってみたい」という気持ちを創造するデマンドジェネレーションだったり、「今、Aという商材を使ってるから、B、Cも使おう」というクロスセル、アップセルにつながるような(カスタマー)ナーチャリングにも使えるということです。
このコミュニティをうまくドライブするために、いくつか要素があって、勉強会や懇親会がすごく大事です。
今日はイベンターのためのイベントマーケティングということなんですけれども。ただ、コミュニティって全部オンラインで済むようなイメージがあるんですけど、オフラインの起点がけっこう大事なんです。
オフラインでちゃんと会っていて、体験が共有されていて、はじめてオンラインで生きていくという流れがあります。なので、実はオフラインでの経験・体験がすごく大事です。
これが1回できた後に、そこに来てなかった人にどう拡散するか。それは来ていた人がもう1回リマインドするという意味で、ソーシャルやWebサービスといったデジタルのツールが非常に役に立っています。
このコミュニティマーケティングというのは、数年前はもうちょっと難しかったんじゃないかなと思うんですけど、これだけデジタルのソーシャルやプラットフォームがあって、今非常にやりやすくなっていると思います。
これをやる上でのキーとなる考え方として、2つの絵があります。
上がよくあるコミュニティで失敗する方の絵です。「Sell to the Community」。コミュニティの人に対してどんどんセリングをしてしまうと。これはあまり数字が上がるわけでもないですし、関係もあまりよくなくなってしまいます。
コミュニティと一緒にやっていくのに非常に大事なのが、(下に)もう1つ絵を描いたんですけれども、「Sell Through the Community」ということです。
コミュニティの方を通じて、より多くの方にリーチするという。この考え方でやったほうが私の経験ではうまくいくと思います。
この「Sell Through the Community」という考え方、けっこういろんな人がおもしろいと思ってくれてるみたいです。
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