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檀れみ氏インタビュー(全1記事)

「デキる男は酒席での振る舞いを見ればすぐわかる」元銀座No.1ホステスが語る一流の条件

『結果を出す人の「飲み方」の流儀69』の著者であり、かつて銀座の高級クラブのナンバーワンホステスだった作家の檀れみ氏。銀座時代の経験から、お酒の場でわかる“デキる男の特徴”について語りました(この記事は日本実業出版社のサイトから転載しました)。

「一目置かれる存在感」の正体とは?

──檀さんは「できる、できないは酒席での振る舞いを見ればすぐわかる」とおっしゃっていますが、本当ですか? 顔を見てわかるんでしょうか? たとえば服装とか、仕草とかですか?

檀れみ氏(以下、檀):ええ、すぐにわかります。でもそれは外見的なことではなくて、ちょっと抽象的ですけど、その人が醸し出す雰囲気です。

たとえば、お店に入ってくるときに「おおらかさ」や「ワクワク感・ドキドキ感」みたいなものを感じさせる人。なんかこう、「楽しいこと探してます! いいことない?」みたいな。何にでも興味を持ってしまう、ちょっと子供っぽい感じもあったりします。

こういう人には、ほかのお客様たちもひと目見て「おっ、彼は何者?」と一目置くような反応を見せます。ひと言でいって大物に見える。ほとんどの場合、仕事に成功して自信を持っている人ですね。

そして、「できる人」は基本的にマイペースでにこやかです。誰との間にも壁をつくらずに声をかけてくれますね。

ふと頭に浮かんだことをさらっといえることって大事だと思うんですよ。たとえば新人のホステスに「君見たことないよね。最近入ったの?」というように気軽に話しかけるとか。

みんなを仲間に入れてくれる優しさというか、周囲もそんなおおらかさから接しやすいので、すぐ人気者になります。

反対に初対面の人に自然にあいさつができなかったり、相手の出方を待ってしまうような受け身の態度でいる人、周囲との間に壁をつくっているような人は、小物というか、まあフツーに見られがちですね。

──でも、場馴れしてなかったり、初対面の人が多かったりすると緊張しちゃってなかなかそうはいかない気もしますが……。

:緊張? それはしてもいいんです。役者さんは小心者で緊張しやすい人のほうが向いてるっていうじゃないですか。それに、できる男の人って例外なく繊細ですよ。よくお店に来てくださってた某IT企業の有名社長の○○さんなんて本当に繊細な人でした。

──○○さんが? そうなんですか!

:そうです。でも彼らは、さっき役者さんの話も出しましたけれど、大事な酒席にはスイッチを入れて臨みますね。いつもと違う自分を演じることを楽しむんです。それは、お酒を飲む場というのは日常の仕事や生活と違う場所だ、と考えているからだと思うんです。

「おれ緊張しぃだからなあ……」という人も、「演じるスイッチ」を入れてみるといいと思います。本にも書きましたけど、酒席が始まる前にトイレに行って、鏡の前で笑顔の練習をして、顔の筋肉をほぐしながら「今日はこういうあいさつをしよう」と心がまえをつくる。それがスイッチになります。

繊細で、緊張しやすいから、しっかりと準備ができるんですね。むしろ全然緊張しない人はちょっとどうかと思います(笑)。

──そういえば緊張して硬くなってばかりで、準備するなんて考えたこともありませんでした……。では、「できる男」はやっぱりトーク上手ですよね?

:そんなことないですよ。あんまりしゃべらなくても雰囲気づくりがうまい人っていますから。繰り返しになってしまいますが、周囲との壁を無くしてにこやかに声をかけるだけで、「おれたちは仲間だよ」というムードをつくることができます。それが飲み会の流れを決める、といってもいいすぎじゃありません。

うまく話そうとか、バカにされないようなことをいおうすると雰囲気づくりができません。周囲も自信の無さを見抜いちゃう。そんなふうに気にしていたら、飲み会にも、今後のビジネスにもいいことはありません。

一緒にいて楽しい人には「毒」がある

──檀さんから見て、また会いたい、また飲みたい! と思うのはどんな人ですか?

:やっぱり周りも巻き込みながら、楽しそうに、おおらかに飲む人ですね。それに、会話の中に度量とか、人間的な幅を感じさせる人はもっといい。

そういう人は、酒席の場がこなれてくると、会話の中にさりげなく「毒」を入れてきたりします。社内とか業界の人間関係とか、トラブル系の話など、ちょっと秘密めいた話をしてくれる。もちろんマナーは守りつつ、笑いも取りながらですけどね。

──毒ですか! 危険な感じですね!

:毒といっても単純な悪口とかゴシップじゃないですよ。人を傷つけない、ということがまず前提にあって、最後に救いのある言葉でまとめてくれる、というイメージです。

以前聞いた、ある社長さんの話は印象的でした。さんざんいろんな社員について、仕事ができないとかバカだとか悪口をいった後に、「でもね、会社ってね、優秀なヤツばっかりだと全然まとまらないんだよ。ある程度バカもいないとバランスが取れない。みんないいヤツだしね。だから会社ってすごくうまくできてるんだ」とおっしゃったんです。

「そうまとめるか!」って私にはすごく腑に落ちて、その人の度量の大きさを感じました。

この社長さんみたいに、話し相手に「新しい視点」を提供してくれる人は素敵ですね。いろいろと他人や出来事について悪くいいながらも、より大きなものの見方を教えてくれる人。こっちが本音を言っても許してくれそうな気がして、「また会いたい!」って思っちゃう。

それに、ちょっとズルいですけど、こういう方の「語録集」って、ほかの酒席でも使えるんですよね。もちろん「ある人から聞いたんだけどね」って前置きして使いますよ。語録の収集のためにもまた会いたい(笑)。

反対に、最後までまじめで人の悪口なんて絶対に言わず、きっちりしたまま帰る人もいますけど、あんまり「また会いたい」とは思わない(笑)。そういう人はたいてい、一緒にいた人たちから「なんか策略あるんじゃないの?」とか言われます。

誰も傷つけない毒を吐けることは、大物の条件かもしれませんね。

──でも人生経験が少ないので、会話に上手に毒を盛れる気がしません……。

:女将さんがいるような小料理屋さんを知っていたら、そこで練習するといいですよ。年配のご夫婦がやっているなじみの食堂でもいい。安心できる状況で、ちょっと誰かをからかってみるとか、毒のある会話のトレーニングをする。これ、思っている以上に上達しますよ。ぜひやってみてください。

生まれつきイヤな人はいない

──ときには自分と合わない、嫌いな相手との酒席もあります。そういうときは、どう乗り切ればいいでしょう。

:たしかに銀座時代、お客様の中に「なんてひどい人なんだろう」という人がいました。当然大嫌いだったんですけど、ある時その人の人生がすごく不幸で、それが原因でひねくれたことがわかって、その瞬間に頭の中が切り替わりました。自分がとても優しくなれて、相手に対する接し方や話し方も変わってきたんです。

そうしているうちに、その人も私に心を開いてくれるようになったんです。「優しい人に出会った!」という感じで。じつは、いまでもその人とはつながっていて、近況を報告し合ったりしてます。最初から仲が良かった人よりもむしろ付き合いが深くなりました。

そんな経験をして、「生まれもって悪い人なんて絶対にいない」と思うようになった。イヤな人がいたら、「これまでの人生で何かつらいことがあったんだな」と自然に考えることができて、優しくなれるようになりました。

世の中にはいろいろな、違う人たちがいて、違う人たちが協力するからいいものが生まれる。その中には「自分と合わないな」と感じる人もいるけれど、そんな出会いも自分が成長するきっかけにしようと思えることが大事なんじゃないでしょうか。考え方を柔軟にして。なんて、少し話が堅くなってしまったでしょうか(笑)。

──いえ、すごく素敵です……。いやその、檀さんのそういうおおらかな考え方は銀座時代に培われたものですか?

:銀座の経験は大きいですね。男の人の本当の姿を見ましたから。自宅につらさを持って帰れないのでしょう、おいおい泣く人もいました。それどころか、人生が終わってしまう、というような瀬戸際に立たされた人を何人も見てきました。

私にもいろいろとうまくいかないことはあったけれど、経営者の方たちの苦労の大きさに比べたら取るに足らないようなものです。

それでもやっぱり、みなさん仕事が好きで、楽しんでいるんです。さきほどの某有名IT企業の社長さんなんて、異常なほど忙しいはずなのに絶対に「忙しい」って言わないですから。特に人と会うときはそんな素振りは一切見せないで相手と向き合ってます。活躍している人ほどそう。だから、「忙しそうですね」なんて気軽に言えない。

これはみなさんにも覚えておいてほしいのですが、酒席で「忙しそうですね」とは言わないほうがいいですね。「バタバタしてる感」を見せたくないビジネスマンは多いですから。

もうひとつ、「きょう疲れてますね」はもっとNG。特に女性にはね。気を使ってるつもりでしょうけど、「私きょうイケてない?」ってすごく気にしますから。嫌われちゃいますよ!

──楽しく深いお話、ありがとうございました! さっそく、きょうの飲み会から実践します。「こいつできるな!」と思われるように……。

:いきなり「できる男」ぶってはダメですよ! まさしく小物の振る舞いになって痛い目にあいますから。まずは、この本を読んでみてください!(笑)

結果を出す人の「飲み方」の流儀69

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