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哲也の部屋 ゲスト:嶋浩一郎氏(全1記事)

「PR」は広告よりも上位概念である--博報堂ケトル・嶋浩一郎×ブルーカレント・本田哲也 

“戦略PR”を標榜するブルーカレント・ジャパンは、2006年8月、世界最大規模のPR会社フライシュマン・ヒラードからスピンオフするかたちで設立されました。2016年11月17日、創立10週年を記念して開かれたパーティに設けられたのは人気長寿トーク番組になぞらえた「哲也の部屋」。同社代表の本田哲也氏をホストに、さまざまな業界から豪華ゲストを迎えて、10年間の歩みとこれからを語り合います。まず一人目のゲストは、ともにPR業界を進化させてきた博報堂ケトルの嶋浩一郎氏です。業界のトップランナー2人が考える、PRの可能性とは?

嶋さん、ようこそ「哲也の部屋」へ

本田哲也氏(以下、本田):どうも改めまして、ブルーカレントの本田です。本日は『徹子の部屋』ならぬ、『哲也の部屋』ということで、すてきなゲストを3名お呼びしていますので、お話していきたいと思います。

1人目のゲストをさっそくお呼びしたいと思います。みなさんもご存じ、博報堂ケトル代表、そしてクリエイティブディレクターでいらっしゃいます、嶋浩一郎さんに来ていただきました。嶋さん、どうぞ。お忙しい中、ありがとうございます。

嶋浩一郎氏(以下、嶋):(ステージのソファを見て)実際も、哲也の“部屋”はこんな感じなんですか?

本田:こんな感じですかね。

:そうですか。本田さんがソーシャルメディアにポストされているのを見ると、リア充っぷりがたまらないので、すごくいい部屋に住んでらしゃるんじゃないかなと思っているんですけど(笑)。

本田:実際、こんなもんです(笑)。

:こんな感じですか(笑)。本日は10周年おめでとうございます。社員のみなさんも本当におめでとうございます。

本田:ありがとうございます。

(会場拍手)

:(運ばれてきた飲み物を指して)いきなり、すごいですね。

本田:あまり時間もないですが、ぜひ乾杯から。

嶋&本田:乾杯~。

本田:ありがとうございます。

:登場の時流れてましたが、『徹子の部屋』のテーマソングに、実は歌詞があるのはご存じでした?

本田:さっそくきましたね。嶋さんらしい、この軽やかな。

:「お酒は絶対やめられない」という歌詞で終わるんですよ。

本田:それで終わるんですか?

:だから、“乾杯~”ということで(笑)。

本田:それは覚えておかなくちゃですね(笑)。

:よろしくお願いします。

PRとクリエイティブの10年を振り返る

本田:実はケトルさんも10年前の2006年設立なんですよね?

:そうですね。今日おうかがいして、「ああ、そうなんだ」と思ったんですけど、弊社も2006年に設立しまして。

本田:同い年なんですよね。先日、(博報堂ケトルの)10周年イベントにお邪魔させていただきましたけれど、どうですか? 嶋さんなりの、この10年。PRとクリエイティブという視点から。

:僕も博報堂時代、PRの部門にいまして、PRの可能性をすごく感じているんですけれど、なかなか世の中の人にPRのことを理解してもらうのはむずかしいなと思っていたんです。ですが、この10年で、PRで何ができるかその可能性を理解いただくクライアントさんはすごく増えてきたんじゃないかなと思っています。

本田:だいぶ増えましたよね。

:PR会社の人は自分がPRをやるくせに、「PRのPRする」のがちょっと苦手じゃないですか?。

本田:それを言っちゃいますか(笑)。

:だけど、本田さんはそのなかにおいて、“戦略PR”を始めとして、「PRパーソンは実は、こんな技をもっているんですよ」ということを、PRを知らない人にも明確に伝えられる方だなと思いますね。

最新 戦略PR 入門編

本田:実は、PRのPRが必要だったということは、本当に強く思って。嶋さんも我々とはまた違ったアプローチでされてきて、1番大変だったことはなんですか? 

:やっぱりPRの仕事は、最初やる時に成果が保証できないところを一緒にやっていただかなければいけないので。

本田:コントロールできないですからね。

:クライアントさんの信頼、「この人に託そう!」という熱い思いがないとやれないところがありますよね。

本田:こっち側の熱い思いがクライアントさんに伝わるかどうかということですよね。(メディアを)買ってないですからね。

:この『徹子の部屋』は、本田さんに質問することもありなんですか?

本田:ありだと思いますよ(笑)。『徹子の部屋』でも、たまにそういうことが起こってるんじゃないかな。

:本田さんが、この10年間で1番つらかったことは、例えばどういうことですか?

本田:10年間で1番つらかったこと? なんだろうな〜。ガチな話になっちゃいますけど……。

おかげさまで、クライアントさんに期待をいただいて、よいお仕事をくださることがありますよね。これは本当にうれしいんです。

ですが、なにがつらいかと言うと、それにお応えできるチームがすぐ作れなかったり。正直、日本の場合、PRのプロがまだまだ足りないじゃないですか。だから、「今、こういう料理を出せたらすごくおいしくいただいてくれる」というときに、それができないということが。

:やっぱり人材ですか?

本田:人材のことですかね。やっぱり10年間経営をしていて、なにに一番頭を悩ませたかというと、人。人材のことが一番じゃないですかね、僕の場合は。

:PR業界、スキルのある人は本当に活躍できると思うので、優秀な人材にぜひたくさん集まってほしいですよね。

本田:そうですよね。でも、10年前よりはだいぶ増えましたね。

:増えてきていると思います。僕たちは、競合で、もちろんコンペティターになることも多々あるんですけど。

本田:そうですね、場合によっては(笑)。

:それと同時にヤングカンヌの日本代表を選ぶ審査員をご一緒していただいたり。日本PR協会、PRSJさんのアドバイザリーボードで今後のPR業界をどうしていこうかというお話を一緒にさせていただいたり。

本田さんとはPRの未来や、今後PRがどうしていけばいいかみたいなことをお話する機会が多くて。PRというテクノロジーの可能性をお互い信じていますよね。本田:そうですね。たまに競合になったり、グループがぜんぜん違っていも、長年PRをやってきたということだけで、気心が知れるというか。会社を横断して、ああいうカンヌの審査員同士もすぐ仲よくなっちゃうんですよね。

:そうですね。今日この会場に来て、歓談の時間にもういろんな方々を……、20年くらいこの業界にいるので、「彼も来てる」「彼女も来てる」と、ブルーカレントさんのお仕事の幅広さをすごく感じさせていただきました。

本田:(嶋さんは)ご存じの方、たくさんいらっしゃるから(笑)。僕たちも10年で700案件ほどやっているので、そこだけは。

PRの可能性はパブリシティだけにあらず

:(飲み物を手にして)これはブルーカレントなので、特別カクテルなんですか?

本田:ブルーカレント・スペシャルカクテルを今日はご用意させていただきました。

:ぜひ、みなさんも飲んでいただいて(笑)。

本田:ぜひ、飲んでください(笑)。テーマが「PRの未来」のわりには、PR業界の話になっちゃいましたね。

ケトルさんの場合、やはりクリエイティブや広告など、グループとの連動もありますから、どうなんですか? 今後10年でいうと、そのあたりはますます進むでしょうし。立ち位置としてはどうですか?

:あえてわかりやすく言うと、広告業界の方々も今日集まっていらっしゃるわけですが。

本田:いらっしゃいますよ。

:僕はアドバタイジングよりPRのほうが上位概念だと思っているんです。

本田:みなさん、嶋さんの言葉、しっかり記録されますので(笑)。

:パブリックリレーションズというものでは、世の中の合意形成のためなら手段を選ばずになにをやってもいいわけです。ロビー活動をしてもいいし、国際会議を開いてもいいし、学会を作ってもいいし、出版してもいいし、広告を作ってもいいと思うわけです。

だから、僕らはPR的な視点でシナリオをつくって、キャンペーンを構築しています。その中に広告をつくる仕事も包含されるわけです。PRパーソンはコミュニケーションのプランニングでもっと活躍できるはずです。だからPRパーソンの可能性をこういう場でしゃべりまくっているんです。

本田:そうですよね。そこはブレないですもんね。でも、最近のヤングカンヌとかすごく応募数も増えましたし、先日終わったPR協会のアワードも去年の倍くらいになっています。熱が、いい感じでは来ていますよね。

:そうですね。僕らはまだまだPRの可能性を理解してもらう活動をがんばらないとね。PRパーソンの持っている技ってすごく多岐にわたるのに、外の人にはパブリシティしか見えてない。もちろん、パブリシティは重要な技術だけど。そこが残念。

本田:まだ、ありますからね。

:メディアトレーニングとかリスク対応とか、企業のコミュニケーションに重要な役割を果たす技を、実は僕たちはすごくいっぱい持ってますからね。

本田:広く深いですよね。この会場にPRとか広報の方が今日は多いんですけど、そうじゃない方は次のキャリアとしてぜひPR業界を(笑)。そのときは、ブルーカレントか、ケトルでお願いします(笑)。

:Facebookの本田さんのポストを見てると、「こんなリア充な生活を送れるんだったら、ぜひPR会社に!」と思うので(笑)。

本田:みなさん、リア充な生活が待ってますので(笑)。

:待ってますよ。

本田:「ぜひ、PR業界へようこそ」ということで、お時間が来てしまいました。お忙しい中、ありがとうございます。

:ありがとうございました。

本田:では、嶋さんにあたたかい拍手をお願いします。どうも、ありがとうございました。

(会場拍手)

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