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企業の魅力を伝えるストーリーテリングとライターの役割(全6記事)

記事の構成はいつ考える? 活躍する編集者3名が語る、インタビューの極意

ライティングを学び合うコミュニティ「sentence」が開催したイベント「企業の魅力を伝えるストーリーテリングとライターの役割」。本パートでは、企業や団体の“想い”をストーリーとして伝えるプラットフォーム「PR Table」編集長・菅原弘暁氏、「sentence」を運営するインクワイアのモリジュンヤ氏、編集者・ライターの長谷川賢人氏が、会場からの質問に答えます。いいライター・編集者の条件、構成を考えるタイミングなど、具体的な質問が投げかけられました。 

いいライターの条件とは?

長谷川賢人氏(以下、長谷川):質問をいただいていたので、質問してもよろしいですか? Twitterでリプライいただきました。ありがとうございます。いいですね、このシステム。選べるし。どれにしようかな。あ、これは菅原さんですね。

「PR Tableでいいライター、編集者は、どうやって判断しているんでしょうか?」

菅原弘暁氏(以下、菅原):ああ、今、さんざんストーリーテリングの話をしたのに、急に現実的な話をすると(笑)。

(会場笑)

長谷川:いいと思います!(笑)。たぶん、みんな現実大好きだと思います。

菅原:「遅刻しない」「納期やルールを守る」が最初の第一歩ですね。ちょっと誤字があるとか、事前に連絡していれば遅れるのは別に気にしないですけど、本当にそこですね。最初は。それができれば、あとは学んでいただけるとわかるので。

長谷川:書くものとか作るものに関してのジャッジはどうですか? あまりないですか?

菅原:ありますね。最終的に、僕らが編集したり、フィードバックして直してもらった原稿をお客さんに提出するので、「背景描写が伝わるか」というのは、1つのジャッジのポイントです。

やはりファクトを並べても意味がないので、ちゃんと背景描写を伝えて、取材対象者なり、その会社なりが好かれるかというのは、判断しています。

長谷川:ちゃんとそこまで気が行き届いているかどうかという見方ですかね。

菅原:そうですね。

長谷川:基本的にトライアルという感じになるんですか? 1回目の仕事って。

菅原:そうですね。お金はお支払いしますけど、トライアルから始めていただいて、それが合うなという方は単価を上げてお願いしたり。食いついてくれる方は、また次も、とやったり。

こちらから「じゃあもう、次からはないですね」というのは、あんまりやったことないですね。

「まず話を聞かせてください」とコンタクト

長谷川:なるほど。あと、モリさんに来てます。

「取材する前に一旦、ざっくばらんに話をすると言っていましたが、1回目はどんな名目で会っているんでしょうか?」

モリジュンヤ氏(以下、モリ):たとえば、Facebookのメッセンジャーでメッセージのやりとりをして、「活動に関心があるのでお話を聞かせてください」とアプローチしてます。その際、自分がメディアとかをやっていると話が早くて「あ、見てます」と言ってもらえることもあって、「会って話しましょう」という感じで。

長谷川:そんなに構えることねぇよって感じですかね。

モリ:そうですね。本当に、「まず話を聞かせてください」という姿勢です。

長谷川:あ、これ、すごい難しそうなやつが1個ありますよ。菅原さんもモリさんも事例があるかもれないですけど。

外資系なので、広報がトラブルシューティングの仕事しかせず、日本での情報発信をしたがらないです。広報を動かすためのやり方や事例があれば教えてほしいです。

菅原:外資系なのでというのは、日本法人にも広報がいるけど、なにも動きたがらないという意味なんですかね?

長谷川:ということですかね。文章からだとそういう感じになってますよね。たぶん、この人は◯◯ジャパンみたいな会社にお勤めで、本体がうるさいんでしょうね。今までそういうお客さんっていましたか?

菅原:いました。PR Tableではないですけど、PR会社時代とかありましたね。

長谷川:どうやって本体を動かしてあげるんですか? そういう時って。

菅原:本体を動かす……。けっこう事業モデルによって違うなと思っていて、日本のマーケットが重要視されているかどうかで、ローカライズが許されているか、許されてないかってあるので。グローバルの言うまましろって言われる会社も当然ありましたね。

本当にこの商品に関しては日本のマーケットが重要だから、日本に任せるという時もありましたし、それは誰が動かすとかじゃないですね。モノの問題なところが。

長谷川:じゃあ向いている、向いていない発信の仕方はあるということですよね。そうすると。

菅原:すごく極論を言うと、海外と日本では季節も違うじゃないですか。「ぜんぜん季節感のないメッセージを出されても日本では響きませんよ」って言っても、「いや、でもグローバルでこうだから」というのはありますね。

長谷川:めっちゃキラーワードでありますよね。「グローバルはこうだから」。大変だなと思って聞いてるんですけど(笑)。

菅原:かわいそうに、と僕もいつも思ってましたけど。でもPR会社時代のことだから、これちょっとログミーに書けないな(笑)。まぁいいや。

(会場笑)

記事の構成はいつ考えますか?

長谷川:あ、これモリさんに聞いてみたいな。いや、2人に聞いてみたい。俺も気になる。

取材後にその場で内容を握っちゃうよという話があったじゃないですか。それは取材中に構成を考えるのか、事前にある程度構成を考えてから取材に臨むのか。その場で考えながら取材するために気をつけていることってありますか?

モリ:構成は、事前に下調べしながらイメージを作ってはいます。

長谷川:話を聞きに会いに行く時ですね。

モリ:そうです。一つひとつのトピックに対して、出せるかどうか確認を入れるという感じですね。

載っけていい情報なのか、そうじゃないのかの確認をその場でやったほうがいいという話なので。

構成は、出していい情報だけを使うので、話を聞いているときに、構成を考えながら情報の選別をやるわけではないです。

長谷川:出てきたトピックとかタネに対して、ただジャッジするというだけで、それが全体の構成にどう及ぶかというのは、また別の話ということですね。

モリ:たとえば、話の内容がほどんどオフレコ状態だと、全体の構成に影響するので、その時は軌道修正します。それくらいですね。構成に影響を与える時は。

長谷川:あるんですよね。超話おもしろいのに、これぜんぜん書けないなって思う時、ありますよね。書いたらどうなるかが見えるみたいな(笑)。

足りないピースを取材で埋めていく

菅原さん、どうしてますか?

菅原:最初、構成を考えてから取材してたんですけど、サービス始めて3ヶ月くらい経って、無駄だなと思ってやめましたね。

長谷川:おぉ! 構成考えるのは無駄!

菅原:変わるから、話を聞くと。ふんわりした完成形だけ持って行って僕はわりと取材しながら考えるタイプです。

感覚的なところで言うと、パズルの完成形のイメージだけあって、話を聞くと1個1個埋まるじゃないですか。それで、空いてるところを聞きたいので、そのための質問をぶつけていく感じですね。

完成したら、今日終わりですって。こういう完成形だと思っているんですけど、相違ないですかねって話をして終わるという。

長谷川:これは、ライターさんによってやり方が違うと思うので。僕、まったく考えないで、構成ゼロで行くくらいの時もあります。こういうこと聞くんだよなーくらい。質問もぜんぜん考えないです。3つ4つくらい持って行って、話しながら進めていくみたいな。

おもしろいところから構成をするというやり方をしてたんです、ずっと。それは、たぶんそのおもしろい話を引き出して、おもしろく書けば記事がうまくいくからというほうが大きいんですけど。ただ、記事広告の場合はそこまでフリーにできないので、ある程度は形を決めてかかりますが、どこかに余地は残していますね。

もっとも、ストーリーテリングのように手順を踏まなきゃいけないとか、そういう時は、ある程度の大枠の構成くらいは絶対持っておいたほうがいいんだろうなという気がしました。

取材の最後に絶対聞く質問

菅原:僕が気をつけているのは、絶対これ聞くぞという質問1個だけですね。

長谷川:それ教えてください!

菅原:これは、けっこうアメリカのストーリーテリングを参考にしてるんですけど、アメリカって、路上にブースを出して、一般の通りかかった人に「お立ち寄りください」みたいな感じでやるらしいんですね。

立ち寄ったときに、アメリカ人と言えども、やっぱり自分のストーリーをそんなにペラペラしゃべらないらしいんですよ。その時、質問する側が言うのが、「これが私とあなたの最後の会話だとすると何をしゃべりますか?」という質問をぶつけて、そうすると、すごくいい答えが返ってくる。

長谷川:それはウィットに富んでいていいですね。

菅原:というのを、ちょっとパクって……じゃなくて、アレンジしてみようと思って(笑)。

長谷川:ここ、アレンジでお願いします!(笑)。

菅原:僕との最後の会話って言ってもしょうがないので、「もし明日から会社来ちゃいけないとしたら、社員に何を残しますか?」とか。

長谷川:おぉ。

菅原:そう質問したら、経営者の方とか、すごく考えるんですよ。部長クラスの方もすごく考える。僕が社員に向けてとか言わなくても、社員のことを思い浮かべるんですよね。

これをやっぱり残したいとか、こういうことだけ成し遂げてほしいとかというのが、今までの話とすごくつながるものが出てきたりするので、それは絶対最後にしてます。

長谷川:しかもそれ、100パーセント見出しになりますよね。そのワード。

菅原:そういう時が多いですね。書けないと思ったら、「それが伝わるような原稿」に仕上げますねと話しますね。

モリ:アメリカのストーリーテリングの話が出て思い出したのが、「コミュニティオーガナイジング」という市民運動をどう広めるための手法。アメリカのマーシャル・ガンツという人が開発して、日本でも広めている団体がいます。

コミュニティオーガナイジングのワークショップに行った時に、手法のなかでストーリーテリングが肝になっていました。どうやって自分のストーリーで相手を動かしていくかが体系立てられて、アメリカは、どうやって人をコミュニケーションで動かすについての掘り下げが日本よりだいぶ先を行っている印象があります。

海外には事例がたくさんあるので、質問の仕方だったり、構成の作り方とかを海外事例を参考に研究するのはいいかもしれないですね。

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