2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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斎藤祐馬氏(以下、斎藤):せっかくなので、会場の方で、『情熱大陸』のイメージだったり、最近こういうの見たとか、ある方いらしたらいかがですか?
参加者2:私もプランナーの山川咲さん(2016年5月29日放送)のを見たんですけれども、実はご本人と知り合いなのですが、まさにいつも見ている山川さん自身をテレビ番組30分間の中で表現をしていて、すごいなと思いました。等身大の咲さんが映し出されていたので、とても素晴らしいなと感じました。
斎藤:その回は、等身大のものを映すというのはコンセプトだったんですか?
福岡元啓氏(以下、福岡):僕にとっては想定外の回でしたね。
斎藤:そうなんですか?
福岡:というのは、僕がなんでこの方を取材したいなと思ったかというと、有名なウェディングプランナーの方なんですけど、辞めるって聞いたんですよ、ウェディングプランナーという仕事を。
『情熱大陸』ってその道のNo.1というか、輝いている人を紹介する番組じゃないですか。だから、辞める人をやるのって普通で考えたらおかしいんですよね。
でも、辞めてなにをするかといったときに、ものすごい自分探しをしながら新しい仕事を探す。本当の人生を自分でプランニングするみたいな話にできそうだということなので、それはおもしろいなと思って。
ウェディングプランナーを辞めて自分の人生のプランニングするって、これっておもしろいよねって。プランナーという肩書きならそれもいいじゃないっていう。プランナーが職業だっていうかたちにしようと思ったんです。
なかなか山川さんご自身が次のステップに自分的に進みづらい感じになって。まあそれがドキュメンタリーなんですけど(笑)、そういうところがあって。
じゃあ、山川流ウェディングというのをおさらいしてみたいしということで、そっちメインにして、あと彼女のキャラクターのほうにシフトしていったんですけど。
まあドキュメンタリーなので、僕らが最初に「こういうのが撮れそうだね」っていう予想通りになることはまずないので、そういう意味でのお手本のような回だったのかもしれないです。
斎藤:いろんな方を見てきたと思うんですけど、担当して5年ぐらいですか?
福岡:そうですね。もう6年近くになりますね。
斎藤:何人ぐらい見たんですか?
福岡:300人弱ぐらいですね。
斎藤:一番印象的だった回とか、印象的だったとか、ありそうですよね。
福岡:それよく言われるんですよ。なかなかチョイスしづらいんですよね(笑)。
斎藤:例えば、著名人とそうじゃない人の回があるじゃないですか。それによって視聴者さんの受け止め方が違ったりとか。そこらへんで印象に残ってるものとかね。
福岡:やっぱり現場に行ってオーラを感じるという人は多いですけど。オノ・ヨーコさんという方はやっぱり「オーラの塊」でしたけどね。
斎藤:どういう点がですか?
福岡:ホテルオークラってビートルズが定宿にしてたところで、やっぱり彼女も泊まるんですよね、いまだに。
そこでインタビューも取ったんですけれども、やっぱり口数は少ないですけど、いるだけで輝いている人っているんですよね。
それは周りがそういうふうに作っているのかもしれないですけど。それでいて、すごくチャーミングというか、そういう部分がありましたね。
そうやっていろんなものを見てきた人って、やっぱりいろんなものを発するんだなっていう気はしましたね。
ただ、あとは 野球選手とかもやっぱり気合が入ってる人が多いので、オーラの強い人はスポーツ選手にもやっぱり多い。
それと、いわゆる市井の人に関しては、やっぱり『情熱大陸』の放送をきっかけにその方の人生に良くも悪くも影響が及んでしまうことがあります。
島根県の出雲大社の前に竹野屋という旅館があるんですよ。その旅館は、現地では非常に有名な旅館なんですけど。出雲大社の目の前にあるので、すごく出雲大社と関係が深い宿なんです。
そこの宿の主の竹内(信夫)さんという方を放送したことがありまして(2015年1月4日放送)。
当時、世間的にもパワースポットが注目されているなかで、出雲大社との関係性とかも含めて密着取材して、「これからどうなっていくんだろう、この伝統ある旅館は?」みたいな回をやったんですけれども。
放送されたあとにご本人から「ちょっと話がある」と呼ばれまして島根まで行きました。やっぱり田舎であればある程放送のインパクトが強すぎて。
放送後、「神様の目の前で仕事をしてるのに、なんかちょっと出すぎた感じなんじゃないの?」と見えないかと気が気でなくなり、これはどうしたものかなみたいな感じで。まあ……。
斎藤:どういうことですか?
福岡:やっぱり出雲大社の宮司さんに対して申し訳が立たないといったお気持ちになったようです。「一緒に出雲大社に挨拶に行ってもらえませんか?」とご本人から言われました。
その場で涙ながらのお話になったりして。やはり放送のインパクトが強いので、人の人生に対する影響力の強さを感じました。
斎藤:テーマ「挑戦する人」というところ、そちらのほうへいきたいんですけど。おそらく300人見てきて、『情熱大陸』に出るような人の共通点みたいなものがあれば、お話しいただいてもいいですか?
ちなみに、以前、田原総一朗さんにここに来ていただいたことがあって。私の主催しているイベントに来ていただいたんですね。
田原さんに「世の中成功してる人・そうじゃない人、なにが違う?」って聞いたら、0.1秒ぐらいで「好奇心があるかないかだ」って返ってきたことがあって。また、おそらく田原さんのなかだとそれがすべてだと。田原さんはそう言っていて。
逆に福岡さんのなかで300人見てきて、しかも経済だけじゃないですよね。経済も含めていろんな人がいて。ここに今日いらして来ていただいてる方がどうしていくと挑戦する人になっていけるのかですね。
福岡:挑戦する人だけでいうと、「無視する力が強い人」だと思います。無視する力が異常に強くないと挑戦って難しいと思うんですよ。
それは政治家とかほかの人を見ててもそうなんですけど、絶対なにかやろうとすると、絶対にほかの誰かがなにかを言い出すんですよ。そのときに無視する力が異常に強くないと、その先に進めないですよ。
僕が聞いたのは、政治家で2人、無視する力がめちゃくちゃすごい人がいるって聞いたんですよ。それは小泉純一郎と小沢一郎。これは誰になにを言われても無視。それで突き進む。だから破壊力があるって聞いたことがあって。
一途に農家をやってるような人たちもある種の挑戦ですよね、人と違う暮らしをしてるので。
それってやっぱり「誰からなにを言われても突き進む……」という強さがあると思うんです。才能ではないんですよね。挑戦して上にどんどん進んで行く人というのは。才能じゃないってすごい陳腐な感じがするかもしれないですけど。
例えば料理人の回にしても、正直『情熱大陸』に出ている料理人よりもうまい料理を作れる人はたくさんいます。だけど、じゃあなんで『情熱大陸』でやるのかというと、コミュニケーション能力があるんですよ。
要するに2つないとダメで、コミュ力がある人と本質がある人。その両方がないと上にいってないなというのをすごく感じます。
斎藤:どういうコミュ力?
福岡:やっぱり人に「僕はこういう感じでやってます」とか。人との交わりがきっちりできる人。普通に会話ができて、「自分はこういう人です」みたいなことを嫌らしくなくきっちり言えて、人とのつながりをどんどん持てる人ですよね。
でも、そういうのはすごく得意だけど、実は中身がなにもない人もいるんです。そういう人がすごく多いですね。
「この人はすごくコミュ力があって、いろんな人とコミュニケーション取ってて、すごい評判だけど、どうなんだ?」って覗いてみると、中身はなにもない。
斎藤:その中身ある・ないはどう見てるんですか?
福岡:それがすごく難しいんですよ。中身があるだけの人のほうが本当は番組としてはいいですね。コミュ力がなくても。
斎藤:補完してあげる。
福岡:はい。補完してあげるし、要はその人に無視する力があって、世間を無視しちゃってるということなんですよ。そうすると本質があるのでイケてますよね。僕らが見つけたみたいな感じにもなるんです。
本質がなくてコミュ力だけだと難しくて。本質があるけどコミュ力がないとやっぱり世の中に出ていかないので。コミュ力って言い換えると社会との接点の持ち方なんですよ。
例えば、中野信子さんっていう脳科学の学者さんがいらっしゃるじゃないですか? あの方は、むちゃくちゃ無理してコミュニケーションしてるんですよ。
あの方って、一歩間違えるとただの本質だけがある研究者なんですよ。でもあるとき、彼女は、「私は社会と接点を持って、自分のいろんなこと思ってることを流布していって、それでいろいろ進んでいきたい」ということに気づいて、むちゃくちゃ無理してコミュニケーションとってるんですよね。
そうすることで、すごくギリギリの、ものすごいオタクとのギリギリのラインにいる人で、ちょっとだけ社会との窓口があるという人が、世の中に対して一番挑戦していけると思います。
斎藤:コミュ力と本質の話でいうと、仮に今日来ている方で、本質はすごくあるけど、コミュ力が薄い人は、どう改善していくとコミュ力が上がっていくんですか?
福岡:こう見えて僕もコミュ力がないので(笑)。会社でほとんど喋らないんです。どう改善していったらいいのかなというのは、やっぱりちょっと背伸びするということだと思うんですよ。
いろんなアーティストたちが一皮剥けるときってけっこう背伸びするんですよね。というのは、ちょっと無理して自分がこれぐらいのことをやってみようとか、今あるキャパ以上のことをやろうとするんですよ。
それでいうと、僕もけっこう上司から無茶振りされたこととか若いときにあって。それって自分のキャパ以上のことをやるってことじゃないですか。
だから例えば大きい仕事とかできないから、自分はこれぐらいのところでこういうふうにやっていこうってなると、なかなか背伸びできないので。ちょっと無理して背伸びするとバーンといけることがあるんですよね。
たぶん中野信子さんという方だって、普通にオタクの研究してたらけっこう限界があったと思うので。やっぱり自分の殻を破りたいなと思って、ちょっと背伸びしたと思うんですよね。
それで背伸びして、自分と違うジャンルの方とコミットすることで、違う自分のあり方とかを発見したりとかして。「脳科学的にはこういうふうにやったほうがいい」みたいなことをいろいろ話していくうちに、いろんなことがプラスになっていったんじゃないかなという気がしますよね。
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