2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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千葉正幸氏(以下、千葉):みなさん、今日はお越しいただきまして誠にありがとうございます。ディスカヴァー・トゥエンティワンでビジネス書の編集をしている千葉と申します。
ここからは、お2人のトークセッションのお時間とさせていただきたいと思います。改めてお2人に入ってきていただきたいと思います。天明さん、猪俣さん、どうぞお越しください。
(会場拍手)
こちらでもいくつか質問を用意していたんですけれど、最初にいらした時に天明さんから猪俣さんに聞きたいことがあるので、その話を最初にしてもいいですかとおうかがいしております。まず、お2人でお話をしていただいて、ところどころ質問があれば挟み込むようなかたちで進めていければと思います。よろしくお願いします。
猪俣武範氏(以下、猪俣):よろしくお願いします。
天明麻衣子氏(以下、天明):よろしくお願いします。
猪俣:レポートされているようで、ちょっと怖いですね(笑)。
天明:やはりアナウンサーとしての血が騒ぐのか、アナウンサーって基本は質問する側なので、聞きたいことがいっぱい出てきてしまってですね。
猪俣:お手柔らかによろしくお願いします。
天明:いえいえ。よろしくお願いします。
まず、MBA、ハーバード留学、お医者さんとキャリアを築いていく時に、具体的に参考にされたのはどういう方なんですか?
猪俣:参考にした方ですね。実際、私たちの医療の分野は、まだビジネスとあまり関連がないんですよね。病院というのは、やっぱり非効率な場所なんです。
どんな患者さんが来るかもわからないですし、それに対して僕たちはすべて対応しなければいけない。例えば、この病気の方が来るとわかっていれば、その準備をしておけばいいわけですけれど、病院ってそういうわけにはいかないので全部の準備をしておかなければいけないんです。ほとんどの病気に対して。
すごく非効率で、ビジネスとはなかなか重なりにくい分野なので、僕のように医者でMBAで、まだ病院で働いていてアカデミアにいるといった人は、実際にはあまりいないんですよね。
だからこそ、僕は自分で挑戦して、病院にはそういった問題点が少なからずあるので、そういうところをよくできるようにチャレンジしたいですね。なかなかあまりいないのが実情ですね。
MBAを取った医師はいっぱいいるんですけれど、みなさん起業されたり、ビジネススクールに行くと病院に戻って来ない方がどうしても多いので。
天明:そうですよね。
猪俣:僕のなかでは、戻って来て、自分の病院や日本の医療に貢献したいという思いが一番ありますね。
天明:確かにコンサルでも医学の博士を持っていらっしゃる方とか多いですけれど、例えば、MBAで経営と考えると、お医者さんでご自分で病院を経営して繁盛させるとか。
猪俣:開業したりですね。それもおもしろいと思うんですよね。ぜひやってみたいと思うんですけど、僕はもう少し大学病院、大きな病院の効率を改善したいと考えています。
天明:なるほど。MBAというと、いろんな職業の人が集まってきているのかな、と。私の旦那が通っていたところだと、母国で俳優をやっていたという人もいれば、アラブの石油会社の御曹司みたいな人が来ていたり。
例えば、お医者さんの立場からなにかコメントを求められたりすることもあったんですか?
猪俣:そうなんです。実は、かなりおもしろいんですけれど、アメリカでは、MD・MBAコースというのがすごく流行ってきているんですよ。ですから、医療の領域でもビジネスが注目され始めているんです。2000年から2015年の間に70校以上新しくできたのかな? 急速に増えてきているんですよね。
僕の行ったエグゼクティブのMBAクラスは30名のクラスだったんですけども、そのうち医者が5人いたんですよ。
天明:意外といますね!
猪俣:そうなんですよ。ヘルスケアという部門、例えば製薬企業とかそういった企業まで含めると、30パーセント以上がヘルスケアの領域からビジネススクールに来ているということで、もちろん僕は日本代表として日本の意見を求められました。
それ以外にも、医者として、医療、ヘルスケアの人が30パーセント以上もいたので、教授がそういうケースも扱ってくれるんですよ。製薬企業のケースとか、医療に関する問題とか、なので、そういう意見もかなり聞かれました。言わされましたというか、授業の場合は、言わないと点数がもらえないというのもあるかもしれないですね。
天明:そうですね。発言点。
とはいえ、会計の勉強とかで英語も難しいと思いますし、なかなかハンデが大きかったかと思うんですけれど、どうやってそこで価値付けというか、貢献しようと思われましたか?
猪俣:おっしゃるとおりで、ファイナンスと会計は、僕は本当に学生時代も1回も勉強したことがなかったので一番つらかったですね。なにもわからなかったので。しかも、英語じゃないですか。
その時の勉強の仕方として、僕の場合は、プロの友達にすぐ聞いちゃいました。それで効率よく教えてもらって。自分でイチから勉強するのはけっこうつらかったので。
たまたまテニス仲間で会計士の人が1人いたので、その人の事務所に行って、ここわからないから教えてくれというふうに、まずは教えてもらって。そうすると、やっぱりプロですから、すごくわかりやすく教えてくれるので、クラスのなかでも知らないうちにけっこう自分がわかるようになっている。そして、プロから学んだ情報を自分だけのものにするのではなく、クラスにシェアすることでハンデを補っていました。
そういった時にも、さっき言ったネットワーキングじゃないですけれど、もちろん打算的に友達になったわけじゃなくテニスで友達になったんですけど、ふとしたところでそういうネットワーキングが活きてくる。友達とかネットワークって大切だなと実感しました。
天明:テニスっておっしゃいましたけれど、大学の時だからこそできる、そういうものってありますか?
猪俣:僕は、大学のころはずっとテニス一筋で部活をやっていたんですけれど、その時、僕はキャプテンでした。テニスって大変なのが、試合でチェンジができないんですよ。サッカーみたいに交代ができないので、レギュラーがすごく少ないスポーツなんですよね。
そうすると、一方で、レギュラーじゃない人が部活のなかにいっぱいいて、やっぱり「辞めたいです」って人がどうしても来るんですよ。部活中に。それで僕がキャプテンをしていて、学生のころは「辞めたいです」って人が来たときに、辞めさせたくないんだけけど、なぜ続けたらいいのかをイマイチ説明できなかったんです。
今なら、そういう部活を通して人間関係を学ぶこともそうですけど、マネージメント能力とか、どうやってリーダーシップを発揮するとか、そういうことが勉強できると思うので。ぜひ学生のうちの部活動は、リーダーシップとかマネージメントを学ぶいい機会だと思うので、やっていただけたらいいかなと、今なら言えると思います。
天明:なるほど。会計に強いお友達とおっしゃっていましたけど、やっぱり、働き始めると似たような業界の友達ばかりが増えてきますからね。高校・大学の時は、そのあとぜんぜん違う世界でがんばっている友人ができますから、高校・大学の時の人間関係って意外と大事かもしれないですね。
猪俣:そうですね。とくに、僕は病院なので、ふだんはほとんど病院の人としか会わなくなっちゃうんです。ですから、よほどネットワーキングに気をつけないと、どんどん世界が狭まって、新しい情報が入って来なくなっちゃいますよね。そういうの、どうされていますか?
天明:私もどうしてもマスコミ関係の友人が多くなってはくるんですけれど、JPモルガンで働いていた時の友達とかともまだ連絡を取り合って一緒にご飯に行ったり、趣味のライブに行ったり。大学の時の友達ともいまだに。
実は、今回の本を担当してくた編集者が、私の大学の時のクラスメイトだったりするので、どこで仕事がつながるかわからないなと。
猪俣:あと今の時代はネットワーキングの1つの方法で、例えば、ソーシャルメディアとかいろいろあるじゃないですか。そういうものを使えば、昔よりも、人と人が遠くに住んでいても、海外にいてもつながれるじゃないですか。ああいうものはやはり利用したほうがいいんですかね。どうしていますか?
天明:そうですね。私は、実際の現実世界で仲良くなった人がSNSを利用して、さらに仲良くなったり、連絡を取り続けるというのは、ありだと思うんですけど、例えば、異業種交流会みたいな、むやみに出会うことを目的にする集まりは、正直ちょっとどうかなと思っちゃうんですよね。
ギブアンドテイクのなかで、「テイクしたい!」みたいな人ばかりが集まってきちゃうのかなと思うんです。ギブできるものを持っていない人たちばかりが集まってもどうなのかなという感じがあって。
ただ、やはり社会人になってくると、どうしても人間関係って利害関係重視になってきちゃいませんか? そういう利害関係抜きで付き合えるのが、学生のころの友達のいいところかなと思います。
猪俣:そうだと思います。僕がネットワークで一番心がけているのは、飲み会に誘われたら、なるべく断らないことです。どんなに仕事が溜まっていても飲み会には行くということをけっこう心がけていますね。
今、ソーシャルとかインターネットでなんでも情報が手に入ると思うんですけど、それよりも実際に人と会ってそこで生まれたアイデアとかには勝てないと思っていて。そういうときこそ、新しいアイデアとか事業プランとかが浮かぶのかな、と。僕の場合、研究アイデアとかですよね。
なるべく、こういうソーシャルとかインターネットが全盛の時代でも、人と人とのつながりが重要だと考えています。
天明:私、猪俣さんのご著書を読んで、おもしろいなと思ったのが「週末に勉強の予定を詰め込まない」と書いていらして、お忙しいからどうしても平日になかなか勉強ができなくて、週末にしわ寄せが来るのかなと思うんですけど、どうやってスケジューリングされているんですか?
猪俣:僕、けっこう朝やる人なんです。朝だと時間が確保できるので。夜はやっぱり飲み会に呼ばれちゃったり、緊急手術とか勉強をサボる言いわけがつきやすいんですよね。そうならないように、朝方に時間を確保して、仕事とかやらなきゃいけないことをやるようにしています。もちろん週末も……。どうされていますか?
天明:私は、ちょっと不規則で、今3時過ぎとかに起きたりする生活なんですね。平日は朝の番組を担当していますので。なので、朝、とりあえず行くと。生放送なので、とりあえず行ったところで仕事が半分終わっているようなものですから、とりあえず行って仕事をして、仮眠を取ったあとで、勉強なり仕事を片付けるという感じです。
スケジュールは、いろいろ試したんです。先に勉強してから寝ようかなとか。でも、どうしても眠くて集中できないんですよね。だから、やることが残っているのは気になるんですけど、一旦置いておいて寝るという、その勇気が必要だと思います。
猪俣:やっぱり、頭のいい人は寝るのがうまいですよね。
天明:いえいえ(笑)。でも、お医者様としてそういう知識があると、ここであまりご飯を食べたらまずいなとか、ここは寝ておかないとまずいなとか、そういうのはわかるものですか?
猪俣:実際、勉強はしたんですけど、本当に試験が近くなると、やっぱり詰め込んじゃったり、寝れなかったりしますよね。どうしても。
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