2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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掘義人氏(以下、堀):これからの時間は「What will you do tomorrow?」、つまり「明日、未来への行動宣言」ということで、みなさんがグループワークでディスカッションした内容を、ここで(客席)最前列にいらっしゃるプレゼンターに2分間で話をしてもらいます。そのあとにメンターの方から、補足のコメントをいただいて。それを11回続けます。
そのあとに簡単な総評をもらってから、去年同様ここでプレゼンテーションの機会を30秒。「我こそは」という人がいた場合には手を挙げてもらって、ここに来てもらえれば、発言できる機会を与えたいと思っています。早い者勝ちになるのかもしれませんが、そういう時には準備しておいていただけたらと思っています。
まずは簡単に、グループワークの感想を漆さんからひと言いただけたらと思います。
漆紫穂子氏(以下、漆):おもしろかったです。私は去年から出てるんだけれども、去年よりさらにこの3つの行動指針というのが明確になってきたかな。
去年よりも、自分がコミットしてる子が多かったんじゃないかなと思いました。そして、それは運営チームの学生の子たちが、本当にここまで苦労して準備したということがあったんじゃないかなと思って。そこに拍手を送りたいと思います。
(会場拍手)
堀:では、あともう一方だけコメントをいただきたいと思います。為末さん、簡単にひと言。思ったこと等含めてお願いします。
為末大氏(以下、為末):僕は(担当が)「地域」のところに入ってたんですけど、よくルールを知らなくて、ずっと「メディア」のところでメディアについて熱く語っていて、「地域」をあまり見てなかったというので、プレゼンだけ見たんですけど(笑)。すいません。でも、本当にみなさん熱かった。今、漆先生がおっしゃってるみたいなことをいろいろ感じました。
僕が聞いててよかったなと思うのは、回す仕組みをみんな一生懸命考えようとしてるところというんですかね。それがすごいよかったなという印象があります。僕も選んだんですけども、すごい楽しかったです。
堀:ありがとうございます。では、さっそくプレゼンテーションにいきたいと思います。(会場の一角を指して)トップバッター、こちら側から。2分間になった瞬間にバシッと切りますので、それはご了解(笑)。
(会場笑)
G1参加者はみんなわかってますが、本当にバシッと切りますので。そういう意味で、ご理解いただけたらと思います。時間管理をしながら、前置きなくズバリ結論から言っていただけたらと思っています。では、お願いします。
発表者1:よろしくお願いします。我々、活性のチームは、自治会から町作りを考えるというところで、4人で考えてきました。
我々の結論として、1年後のKPIは、地域のプレイヤーを集めたカンファレンスを行うところをやります。どういうカンファレンスかと言いますと、地域で課題解決をする市民を育てる仕組みをみんなで考えるというカンファレンスをしたいと思ってます。
なぜかと言いますと、4人で議論したときに同じ課題意識がありました。それは「地域で活動している市民の代表の方は、みんな70代とか80代の方で、トップ層しか動いてなくて、本当の市民、若手の活動だったりとか、40代とか50代の方で活動をしている人がすごい少ないんじゃないか?」という課題意識が4人に共通していました。
言い換えると、「今ある市民が、本当の市民になれてないよね」というところに対して、みんな同じ課題意識をもっていました。
なので、我々は本当の意味での市民を作っていくという活動をしたいと思っています。今、その社会課題があるなかで、どうやったら本当の市民を作っていけるのかというときに、我々は中学校、高校という学生のときと、若手社会人のときと、引退したあとの3つの対象に分けて考えました。
中学校、高校のときに地域に対して、いろんな地域活動に関わることによって、地域に愛着をわかせると。そのあとに社会人になったときに、地域課題をちゃんと学んで、地域の課題を解決する人材として育っていく。
引退したあとの方は、その若者をバックアップする体制を作っていくという。このモデルができれば、本当の市民ができるんじゃないかと我々は考えています。
そのモデルをちゃんともう1回精査をして考えて、いろんなところに波及させていくためのカンファレンスを1年後、この4人で取材してやりたいと思っています。
まずは必達目標30地域から、ドリーム目標は50地域から集めて、カンファレンスをやりたいと思ってるので、応援よろしくお願いします。
(会場拍手)
堀:ありがとうございました。(時間)ピッタシですが。メンターの方は、為末さん? 簡単にコメント、補足等をお願いします。
為末:まったくプレゼンの段階を聞かずに、僕が評価して「これがいい」となっちゃったんですけど(笑)。
(会場笑)
本当によかったなという。あとは地域のサステイナブルというか、人を育てていくという話は、すごくよかったなと思います。実は最初「これも、これも、これも……」と言ってたんですけど、カンファレンスがやりたいというのが一番大きかったので、それを最初に言ってくれて話したので、すごくよかったかなと思います。
(会場拍手)
堀:ありがとうございました。じゃあ、2番手お願いします。
発表者2:社会人枠で参加しています。農業生産法人GRAという、宮城県亘理郡山元町にある会社でイチゴの仕事をしています、〇〇といいます。よろしくお願いします。
まず、僕が取り組んでいる場所の話をします。この宮城県亘理郡山元町は、2011年に(東日本大震災により)「被災地」と言われた場所でした。そこでは、震災後いろんな課題が浮き彫りになりました。
そこにはイチゴハウスがあったんですけれども、たくさんのおいしいイチゴを作るおじいちゃん・おばあちゃんがいっぱいいたんですね。ただ、震災後、そのおじいちゃん・おばあちゃんが、もう一度借金してイチゴのハウスを建てるかというと、そんな元気、余力はもちろんありません。でも、おじいちゃん・おばあちゃんはしっかりとした技術をもっていた。
実際にそのおじいちゃん・おばあちゃんが、10年後、20年後いなくなってしまったときに、何が残ると思いますか? 骨しか残らないんです。でも、こんな暗い話をしたいわけじゃなくて。
(会場笑)
せっかく、この宮城県亘理郡山元町というすばらしいイチゴの産地で作ってきた技術、ノウハウがあるので、それをかたちにして残したいと思うんですね。
これまでの農業は勘と経験による、どうしても伝えにくいものでした。そういったものをマニュアルや動画、そういったかたちにして残すことで、次の世代につなげられる。
おじいちゃん・おばあちゃんがずっと何年もその土地でがんばってきた、その意志や気持ちを残してやることができると思うんですね。
もう一度イチゴの産地になるために、そういった技術を1年後マニュアル化します。そのマニュアルに、おじいちゃんたちがイチゴを愛でる様子だとか……。「ほら、この温度でイチゴは喜ぶんだぞ」、そういった温度を実際に測って「何度でしょうか?」と。
こういうふうに(おじいちゃんの)横について測っていったり。そういったかたちで、マニュアル化、形式知化していきたいと思っています。ありがとうございます。
(会場拍手)
堀:ありがとうございます。田口さん、コメントをお願いします。
田口義隆氏(以下、田口):ここは、実は「補助金を全部カットしよう。それでITにぶっこもう」という、でかいところから始まりました。
そのほうが「メイド・バイ・ジャパン」というのが、商品として展開するであろうというような大きなところを話してくれましたけれど、足元からできるところというところで、マニュアルを作っていくというような具体性にわざわざ絞り込んでくれました。大変、見ていて共感がわきました。どうもありがとうございました。
(会場拍手)
堀:ありがとうございました。では、3番目よろしくお願いします。
発表者3:よろしくお願いします。起業チームから来ました。僕たちは、G1マインドというプロジェクトをやろうと考えています。
今回初めてG1カレッジに参加させていただいて、1つびっくりしたことがありました。みなさん「いや、私なんてたいしたことないんですけど……」みたいな、なんか前置きから最初始まるんです。最初「○○さんのあと、自己紹介するのきついんですけど……」とか言って始まるんですけど、「何なんだろう?」と。
全国からすごいアクティブで自信があるやつらが集まってきてるのに、自己防衛というか、すごい守りに入るんですよね。
「うわー、これすごいな」と思って。このG1カレッジでも……。G1カレッジでもこれだったら、街に出たらみんな「あー」という感じだと思うんですよ。
だから、僕たちは「この自信とは何だろう? 自分がやってることに、なんでこんなに自信がないんだろう?」と、すごい不思議に思いました。
おそらく、この一つひとつの自己防衛ワードから始まって、逃げ道を作って、自分たちがやってることに真剣に向かわなくて、その結果、また自信がなくなってみたいな、悪循環入ってるんじゃないかなと思って。
僕たちのやりたいことは本当に簡単です。今言った「あ〜、〜なんですけど」というのと、あと過剰な持ち上げ。「○○さん、すごいですね〜、すごいですね!」みたいな。この2つを禁止します。
(会場笑)
今日から始めます。今日から僕たちは、このワードを使いません! 使いませんよ、本当に。1つ考えてるのは、明日からどうするのかと。今日やらなかったらいいのかという話なので、とりあえず僕IT畑で、データマイニングとかやってた松野研(注:東京大学マテリアル・サステナビリティ研究室)にいたので、今回テキストマイニングを使ってみんなのアカウントを全部フォローします。
(会場笑)
謙虚ワードを使った瞬間、それを徹底的にリツイートします。
(会場拍手)
みなさん、気をつけてください。絶対使っちゃダメですよ。僕たちの目的は、もう簡単で。KPIは簡単です。このリツイート数が、どんどん減っていけばいいんです。
みんな、そういうことを言わなければいいんです。1年後のG1カレッジで、みんなが「僕、見通し、クリエイターで」みたいなことをバンバン言うような、この世界を作っていきたいなと思います。以上で、発表を終わりたいと思います。
(会場拍手)
堀:ありがとうございます。これは、岩瀬さんお願いします。
岩瀬大輔氏(以下、岩瀬):これ、起業チームで本当にいいんだろうかと思ったんですけど(笑)。
(会場笑)
岩瀬:テクノロジーを駆使してすごいのを作ってくれるらしいんで、みなさん今日から気をつけてください。どうもおつかれさまでした。
(会場拍手)
堀:ありがとうございます。では、4番目お願いします。
発表者4:慶応大学の〇〇と申します。私たちは、メディアとインターネットの未来ということを考えました。
今、みなさんが情報と接するところは、たぶんSNSのTwitterとかFacebookのフィードなどの、すごい「点・点・点」で情報を消費していると思うんですよね。
人がシェアした情報とかを中心に消費してしまっているというところで、どれが重要なのかわからない。たぶんシェアされる情報は、すごく感情に訴えかけた情報ばかりだと思うんですよ。
そうしたなかで、本当にインフルエンサイズされている方が重要だと思って得ている情報を知りたいというところで、僕たちはインフルエンサーのインフルエンサーになっている人、つまりTwitterとかでフォロワー数の多い人が実際にどこから情報を仕入れているのかということを可視化して、それを「ハブ」という名前にして、そのハブになっている人を見つけようということを考えました。
本当は世代別だとか、分野別、カルチャー別にすごく細かくやらないと、それはすべてできないと思うんですけれども。
まず、僕たちが考えたのは、このG1のメンバーのなかで参照にしてる人。例えばFacebookで一番「いいね!」を押している人だったりを、まず見つけたいと思います。
そういう人を見つけることによって、今すごく埋没してしまっている、本当ならばすごい有益な情報を出しているかもしれない人たちに光にあてて、将来的にはその人たちを集めたようなメディアを作っていければいいなと思います。以上です。ありがとうございます。
(会場拍手)
堀:ありがとうございます。(発表時間が)40秒も余ってますが、これは佐藤さん、お願いします。
佐藤大吾氏(以下、佐藤):要するに発信力のある人を束ねて、1年間で新メディアを作ろうという話ですよ。まず第1号として、為末さんの協力だけは確保していただければと思いますね(笑)。がんばってください。ありがとうございます。
(会場拍手)
為末:僕が間違えて、ずっとメンターしてたのは彼らのところ(笑)。
(会場笑)
佐藤:本当に、間違えてくれたおかげでね。ありがとうございます。
堀:ありがとうございます。では、次は5番目ですね。お願いします。
発表者5:私たちD&Iグループは、2つのグループに分かれて議論を行いました。1つは摂食障がい。障がい者の問題、障がい者の雇用の問題、少年の非行の問題、性の問題とか性教育の問題。
さまざまな多岐にわたる人たちが集まって話したんですけれども、行動宣言として来年の今、D&Iグループ全体で1つ報告会をするということを決めました。
それまでに、それぞれが今抱えている問題に対して、すごく真剣にこれまでどおり向き合い続けて、今やってる活動であったり、これから新しくできる活動をやっていこうというかたちになりました。とくにLGBTのグループがすごく明確なことがあるので、1つ報告させてください。
発表者6:ちなみに、D&Iというのは、ダイバーシティ&インクリュージョンなんですけど、多様性という意味で、とくにLGBTについて関心をもっている人が今回多くて。
当事者、つまりゲイとかバイセクシャルな人も含めてとか、普通に一般の性的指向の人も含めて2時間、真剣にLGBTの問題について話し合ったんですけど。
結局その問題はビジネスだったりとか、メディアだったりとか、テクノロジーだったりとか、みなさんが考えてきたことすべてにおいて、絶対に関わってることなんですね。
でも、そうは言っても、みなさんきっと身近に人がいなかったりとか、情報にアクセスする機会がインターネットしかないという現状をふまえて……。じゃあ、LGBTのチームのみんな、立ってもらえますか?
(会場起立)
これだけのみんなが、真剣に話し合ったんですけど。僕たちが一度聞き手として、みんながなにかLGBTの問題について関心をもったりとか、疑問に思ったりしたことがあったら、いつでもアクセスポイントとして聞きますよという行動宣言をしたいと思います。
なので、もしなにか自分で迷ってることとか、自分がなにかあったりした時とか……。自分がこういう行動を起こしたいけど、LGBTについて考えたいという時が、もしあったら、私たちにいつでも相談してください。以上で終わります。ありがとうございました。
(会場拍手)
掘:ありがとうございました。これは(メンターは)宮城さんですね。お願いします。
宮城治男氏:いや、私、この議論に参加していて、本当に泣きそうになったんですけど。このテーマは、愛だなと思いました。本当に特定のテーマというよりは、みんなが向き合うべきというか、本当は大事だけれども、気づいてるけれども、そこに正面から向き合えてなかったり、行動できてないという人がほとんどかもしれないんですけども。
すごい勇気をいただくような話で、今回のG1で取り扱われたということ、去年できなかったんですけど、すごく意味があったなと思いました。ありがとうございます。
(会場拍手)
関連タグ:
乙武洋匡
作家/東京都教育委員
佐藤大吾
一般社団法人ジャパンギビング 代表理事/NPO法人ドットジェイピー 理事長
堀義人
グロービス経営大学院 学長/グロービス・キャピタル・パートナーズ 代表パートナー
宮城治男
NPO法人ETIC. 代表理事
小澤隆生
ヤフー株式会社 執行役員 ショッピングカンパニー長
岩瀬大輔
ライフネット生命保険株式会社 代表取締役社長兼COO
平将明
衆議院議員
漆紫穂子
学校法人品川女子学院 校長
為末大
一般社団法人アスリートソサエティ 代表理事
牧浦土雅
Needs-One Co., Ltd 共同創業者/東京大学 協力研究員
田口義隆
セイノーホールディングス株式会社 取締役社長
福武英明
株式会社ベネッセホールディングス 取締役
高濱正伸
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