2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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鈴木光司氏(以下、鈴木):人はねえ、妙にバロメーターみたいなところがあってね。1989年に『リング』を書いたんですよ。これは、僕にとって書き上げることができた最初の長編小説だったんですよ。
1990年に『楽園』という小説でデビューして、91年に『リング』が出版された。『楽園』が2万部くらい売れました。『リング』が7千部どまり。ぜんぜん売れなかった。1993年に出した『光射す海』も7千部どまり。ぜんぜん売れない。
最初の3作はそんなに売れないの。まったく無名の作家だったんです。ところが、1993年、1994年、1995年、足かけ3年にわたって『リング』の続編の『らせん』を書いているときに、編集者に連れられて銀座の安いクラブに行ったんです。高くない。そんなに高いクラブじゃない。安いクラブ。
(会場笑)
川下和彦氏(以下、川下):3回おっしゃいましたね(笑)。
鈴木:まだペーペーの小説家ですからね、編集者がおごってくれない。そのときに「あ、あそこに大河(ドラマ)の先生がいる」、「こちらにも大河の先生がいる」と。
超売れっ子の作家が3、4人いたんですよ。そこに編集者やホステスのお姉ちゃんがついていたときに、僕が「さあ、今からカラオケ行くぞ!」って言ったら、他の編集者がみんなついて来ちゃったんです、僕のところに。
僕はこっそり言いました。「君、あの先生を放っておいていいの?」「いいんです、いいんです」。おもしろいほうに流れようっていうかんじで、ドーッて流れていくことがあったんです。これはね、確信しました。この人間の流れができたときは、絶対にいけると。
これは1994年のことですけれども、1995年に『らせん』を完成して出した。これが大ベストセラーになった。僕の初めてのベストセラーだったんだけれども、その1年前に、その人間の動きを見たときにものすごく確かな予感があったんですよ。だから、人の動きはそれを教えてくれるのね。
川下:……。
干場弓子氏(以下、干場):……。
鈴木:ちょっと、ウケないの?
(会場笑)
干場:いや、何てウケようかなと思って(笑)。人の動きが、パワースポットみたいに集まる人の近くに行けばいいってことですね。コネを作りたければ。
鈴木:さっき、1対1対1というのがあったけれども、そのとおりだと思うんですよ。要するに、川下くんと繋がったことによって、川下くんの人脈がドーッとついてきたわけ。川下くんも俺の人脈がドーッといて、俺がいないところで、俺の仲間たちと勝手に飲んだりしてるわけ。
干場:私も川下さんから鈴木光司さんをはじめ、いろんな方をご紹介していただいて、出会える場に呼んでいただいて、ずいぶん……。そのなかで本を書いていただいてる方もいらっしゃるんですけど。
私どもは年末にいつも、その年に書いていただいた著者と書店の社長さんを呼んでクリスマスパーティーをやるんですけど、川下さんは本は書いていなかったんだけど、お世話になっているということで呼んで。
著者が勝手にいっぱい人脈を作って、逆輸入みたく、「こういうのがあるんですけど、干場さん一緒にやりませんか?」って。聞いてみたら、「どこで知り合ったの? 川下さん」「いや、ディスカヴァーのパーティーだ」って(笑)。そういうこと、すごく多いですよね?
川下:多い多い。
干場:(笑)。そういう意味ではね、(人脈って)回りますよね。
川下:本当にそうなんですよね。
鈴木:要するに飲み会の企画、超一流。本のなかにも書いてあるんですけれども、2013年にアメリカの文学賞、「シャーリイ・ジャクスン賞」をいただいたときに、川下くんがすぐに「それを記念するパーティーをやろう」と言い出して。
「じゃあ、川下くんお願いします」って任せてみたら、僕の人脈とはまったく違うところで人を集めてくるんだけれども、そのなかになんと俺の知り合いがいるわけです。
どこでどうやって見つけてきたか知らないけれども、なんでこのなかに、僕が昔、一緒に仕事をした仲間がいるのか。偶然いるわけがない。10人くらいいたけれども。たぶん僕のことをいろいろと調べたんだよな?
川下:調べました。
鈴木:どうしたんだ、あのときは? どうやって集めたの? 俺の知り合いを。
川下:それはGoogle先生に聞いて調べました。
(会場笑)
川下:受賞のお祝いなので、愛している人は絶対に来てくれると思ったので、「こういう会をやろうと思ってるんですけれども、来てくれませんか?」って、全く初対面なんですけど連絡して。よく言うんですけど、これは僕が得なんですよ。なぜなら、その人に会う口実ができるから。
鈴木:ああ。
川下:ごめんなさい。光司さんを使って(笑)。
鈴木:いやいや、いくらでもダシに使ってくれ。
(会場笑)
川下:普通に暮らしていると、会ったことがない人と接点を持つ理由がないじゃないですか。突然、「あなたに会いたいです」て言ったら、驚かれてしまいます。でも、「光司さんのお祝いに来てください」って言うと、来ていただける理由になるわけです。
鈴木:なるほどね。
干場:あのときは「こういうのをやろうと思うんだ」って初期の段階でお声をかけ、ご相談いただいて、私はけっきょく何もしなかったんですけれど、ものすごい真剣にやっていた。
鈴木:ほうほう。
干場:ものすごい工夫して神経を張りめぐらせて、心を込めて企画、実行なさってましたよね。
鈴木:そうだよねえ。
干場:すごかったですね、いつもああなんですか? とくにすごかった?
鈴木:あのときも貞子出てきたでしょ?(笑)
(会場笑)
川下:そうですね。僕は「利他即利己」って言ってるんですけど。利他のこと、人が喜んでくれることをやることが、すなわち自分の喜びになることだと思うので、それをずっと実践したいなぁと思っております。
鈴木:さっきはね、僕、人がドッと振れたところにやってくるのはものすごくいいサインなんだけれど、芸能界を見ていておもしろいなと思うよね。あいつ誰だっけな。やだなあ。
川下:何系の人ですか?
鈴木:お笑いで、10年くらい前までずっと出てたんだけど、ピタッと出なくなっちゃった奴。
川下:それ、いっぱいいます(笑)。
(会場笑)
鈴木:めちゃくちゃ出てたけど10年前に……。
来場者:ヒロミ!
鈴木:ヒロミ、ヒロミ。
川下:思い出してくださってよかったです。
(会場笑)
鈴木:ヒロミ、ヒロミ。ヒロミってね、何なんだろうって不思議なの。それまではテレビにいっぱい出てたんだけれども、スッと潮が引くように人が引いてったわけですよ。
いろんな都市伝説があるけど、あれはきっと嘘です。あれは潮が引いた。本人はそれを実感したんだと思う。そして今、カムバックしてきたけれど、相当強くなったような気がするんだよね。
人が来るときは、いい感じのサインだと思うんだけど、逆に人が引いていくときの恐怖も話を聞いたことがある。さっき、有吉反省会に出演していたときの変な写真(タンクトップ姿の鈴木氏)がスクリーンに出ていたけれども、僕は格闘技も大好きで、非常に仲が良かったプロボクサーがいたんですよ。
このプロボクサーが東日本新人賞っていうのを取って、デビュー以来、11戦11勝で、連戦連勝で勝ち進んできた。世界チャンピオンを目指していくんだけれども、12戦目で判定で負けたんです。そのときどんな気分だったか聞いたんだけれど、そのプロボクサーがこのように言った。
「判定で負けたのはとても悔しかった。しかしそれよりも、もっと怖かったのは、自分が連戦連勝で進んでいるときは自分の周りに人の波がいっぱいあった。
タニマチみたいなのができてきて、「お前、食えや!」って、連れ歩いてくれていろんな高級レストランに行けたり、取り巻きもいっぱいできて自分の周りには人がいっぱいいた。ところが、負けた瞬間に潮が引くようにそれがスッといなくなった。そのときの恐怖たるやなかった」。
と、言うんですよ。そして、彼はそのまま引退しちゃうんです。出身は姫路なんだけれど、東京の角海老ジムも辞めて帰っちゃった。1年間、悩みに悩んで、その恐怖を味わって、でも朝起きるといつの間にか走りこんでシャドウボクシングをやっている。
自分が背負ったダメージを克服するためには、もう1回やるしかない、というわけで、1年後に東京に出てきてプロボクサーにカムバックしたんだけれども。そのあとは世界チャンピオンになるという話じゃなくて、勝ったり負けたりしながら燃えつきて、今は引退しちゃったんだけれどね。
彼の話を聞いたときに、人が潮を引くようにいなくなっていく恐怖というものがわかる気がするんですよ。ヒロミはそれを経験したから、ひとまわり強くなって芸能界に戻ってきたような気がしてね。だから僕、最近、ヒロミのことを注目しているんです。
川下:有吉さんもそういう。
鈴木:そうそう。有吉もそう。
干場:会社員とか会社をやっていると、私が引退したら人がいなくなるんだろうなっていうのは、まあ納得できるじゃないですか。
個人のいろんな波があったとしても、ある意味チームでやっているわけですし。会社からお客さんが引いていかないかぎり、個人がダメっていう恐怖はそんなにないと思うんです。
どんな仕事でも1人で、有名で売れっ子の作家でも、芸能人でも、1人で張って生きているはすごいことだなと。
鈴木:そうそうそう。
干場:だからこそ、コネ、人間関係、人のご縁は、たぶん私や会社員が思っているよりも本当に重要っていうか。
鈴木:そうですね。まず、組織にいないんだもん。
干場:自分で自分の組織を……。明日なくなるかもしれない一時的な組織をずっと作っているみたいなものですよね。
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