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川下和彦トークイベント(全5記事)

「仕事が忙しいけど、行けたら行く」は余計 チャンスをつかむ人の“コネもち術”

書籍『コネ持ち父さん コネなし父さん 仕事で成果を出す人間関係の築き方』の出版を記念して行われた、著者・川下和彦氏のトークイベント。川下氏は「本当に仲良くなりたい人とは、アウェイからホームへ」「ノリの良さがチャンスをつかむ」「『仕事が忙しいから、行けたら行く』といったことを言わない」など、おコネ持ちスパイラルを起こすための方法について解説。また、飲み会やパーティで幹事を行うときに心がけていることなど、自身の経験をもとに語りました。

「おコネ持ち」になる方法

「おカネ持ち」のように「おコネ持ち」という言葉を普及させたいと思ったのですが、まだそんなに盛り上がっている感じしないので頑張ります(笑)。

(会場笑)

僕はわらしべ長者がおカネ持ちになっていったのと同じように、おコネ持ちになることができると思っています。わらしべ長者は一般的に物々交換の物語のように言われてますが、この物語のいいところは、物々交換していることじゃなくて、主人公が困った人を助けてるところです。これが、すごく大切なポイントだと思います。

最初、主人公の男は、アブを結びつけた藁(わら)を子どもにあげました。これは、泣いている子がいて、泣き止まないから「何とかしてあげたい」と思って、喜ばそうとしてアブを結びつけた藁をあげたのです。

そうすると、その子のお母さんからみかんをもらいました。そして、今度は「喉が渇いた、死にそう!」と言っている人に、「じゃあ、僕のみかんを食べてください」と、人のためにみかんをあげ、男は常にギブをしてきました。その結果、おカネ持ちになっていたという話です。僕はコネづくりもこれと同じだと思っています。

人と会う目的をしっかり持つ

それで、最初にどうやって意中の人と出会うかですが、まさに皆さんが実践されているようなことだと思います。会いたいと思う人が登壇したり出席したりしているイベントがあったら、「あの人に会いたい」「会場に来ている人に会いたい」と狙いを定めるこことが大事だと思っています。

繰り返しになりますが、「つながること自体」を目的にしているのではなく、人と会う目的をしっかり持って、人に会いに行こうとすることが大切だと思います。

例えば、ディスカヴァーさんのブックバーは「今回こういう人が話します」ということや、そのテーマに関心を持っている人が来ると事前にわかるので、そのような場を探して、志を共有できそうな人に出会おうとするのがおすすめです。実際に僕はこれまでずっとそうやってネットワークをつくってきました。

本当に仲良くなりたい人とは、アウェイからホームへ

それと、「選択と集中」。パーティーに行ったら、いろいろな人に名刺を配らなきゃいけないと思いがちですよね? でも、まったくその必要はありません。

例えば、今はFacebookが便利なので、事前に会に参加する人がわかったら、誰と会いたいかをある程度想定しておいて、会う人を絞って、その人に多くの時間を費やすことが、僕はすごく効果的だと思います。

初対面の人と仲良くなるコツは、共通項を見出していくことです。今はネットの時代なので、記者さんが取材をするのと同じように、相手がどういうことに興味を持たれているかということを予めある程度事前に調べてから会に参加することもできるでしょう。

それと、これは以外と落とし穴だと思うのですが、イベントで会ったら、すぐにfacebookで友達申請を出してしまいがちです。実は、僕も昔はよくやっていました。でも、知らない間に友達から消されたりしていて、すごく後悔しました(笑)。

それで思ったのは、本当に仲良くなりたい人とは、アウェイからホームへ持ち込むことです。アウェイで一度会っただけだとそれほど仲良くなることはできません。

その先の関係を築きたいと思ったら、今度は自分の得意なところに相手を引き込んで、1対1でじっくり話し合える時間をつくるのがいいと思います。

コネなし父さんは名刺をもらって目的達成

コネなし父さん(画像下)は名刺をもらった瞬間がゴールです。名刺をもらって目的達成です。逆に、コネ持ち父さんは、そこからが始まりであって、好きになった人や波長が合う人と関係づくりをしていくのです。

パーティーというとチャラチャラしたイメージがあるかもしれませんが、必ずしも全部がそうだとは限りません。やり方次第で、目的を持っている人同士でつながるチャンスにすることもできると思います。

ノリの良さがチャンスをつかむ

それと、ノリ、重要です! 今日は皆さん来ていただいて、本当にありがとうございます。ノリがいい人には、幹事は喜んでもらえるようにギブしようとするものです。逆に、いつもノリが悪いと「ああ、あいつ誘ってもどうせ来ないからな」ということになりかねません。

長瀧さんはいらっしゃいますか? あ、いらっしゃいました。僕は、東洋経済の連載を持たせていただいているのですが、長瀧さんはいつもお誘いしたら、四の五の言わずにすぐ「行きます!」と言ってくださるのです。

そこにいるラガーマンの増本くんもそうです。本の中に書いているのですが、ある日の11時にフレンチレストランのシェフに「今からうちの店に来てくれ」と言われたとき、僕が行こうと思って、「増本も行く?」と聞いたら、「行きます!」と瞬時に答えて、彼は来てくれた。

そうしたら、行った先にフェンシングの太田雄貴選手がいらして、シェフから紹介してもらい、その後仲良くなりました。お互いが信頼している人に間に入って紹介してもらえると、一気に2人の距離は縮まるものです。

ノリの良さはチャンスをつかむことでもあると思います。

「仕事が早く終わったら……」は余計

「仕事が早く終わったら行きます」というようにグズグズ言うのはもったいないと思います。

どうせ行くなら、個人の事情は一旦飲み込んで、「行きます!」だけ言ったほうが相手はどれだけ気持ちよいことでしょうか。

(会場笑)

「僕の仕事が早く終わったら行きます」というのは、自分中心感を相手に与えてしまうのでもったいないですよね。いや、誰しも自分がかわいくて当然です。でも、聞いている側を喜ばそうとするなら、「行きます!」だけ言えばいいのです。

それと、この「行けたら行く」というのは、だいたい来ないですよね。ノリが良くて好かれる人は、実際はそうでも「その日は忙しいけど……」とは言わないのです。そこが粋なんですよね。

これは、そこにいらっしゃる筒井さんの名言です。以前、原宿で2人で飲んでいたら、「今日は仕事とが遅くなるかもしれないので……」などと行けるか行けないかあやふやな出席回答をされる方に対して、「あなたの予定なんて、聞いてません!」と、よく幹事をされる筒井さんがおっしゃっていました。

進んで幹事をやることで自分が鍛えられる

ここには「万年幹事、万年下座」と書きましたが、僕もこの年になるとさすがに後輩に幹事をしてもらうことが増えてきました。でも、自分から積極的に幹事をして、下座に座るようにしています。

とにかく人に喜んでもらうには、飲み会でどの店を選んで、誰を呼んで、どんなおもてなしをするのかを考えることです。進んで幹事をやることは、自分を鍛えていくことであり、ホスピタリティを磨いていくことになると思います。

僕の飲み会の考え方は、自分が幹事の会が7。そうすると、今度は「俺やります!」と言われるので、それは幹事をしてもらう会が2くらい。残りの1が会社関係者の会。全部で10あったら1行けばいいと思っています。

同じ仲間と10の7くらい飲む人もいるかもしれませんが、それでは傷のなめ合いになりがちです。僕は自分からイベントを企画するのですが、その際は、蜂になろうと心がけています。

幹事のときは、蜂のつもりで受粉

自分がイベントの幹事になるときは、ご飯を食べません。なぜかというと、自分がゲストをお招きしているので、呼んだ方に喜んでもらいたいから、「この人はこの人とつながったらおもしろいこともできるかもしれない」と、ずっと組み合わせを考えて蜂になって受粉するようにしています。

イベントのコンテンツはご飯や宴会でもなく、人だと思います。参加者は、たまたま横に立った人が何をしている人かわかりません。幹事には、蜂になって、受粉させるように目的を共有することができそうな人同士を結びつける役割があると考えています。

おコネ持ちスパイラルを起こすには

「おコネ持ちスパイラルを起こす」ためには、先ほど申し上げたようにわらしべ長者の物語にならうことです。

最初はコネがないかもしれません。なかったら、目的持ってイベントやパーティーへ行って志をともにできそうな人に会う。人に会ったら、「もう名刺をもらったからOKです」ではなく、そこから関係を深める。

できたコネを自慢してもしょうがない。「人脈あるよ」と言ってる人が人脈を役に立てているのを見たことがありません。コネは持っているだけではなく、人の役に立てるべきだと思います。コネができたら「誰かあの人に紹介したら役に立つかな」と考えて、人のためになることをしてみましょう。

見返りを期待してなくても、コネを人の役に立てていれば、いつかきっとリターンがあるものです。「お世話になったから、お礼にとっておきの人を紹介するよ」と紹介してもらえるようになります。

「マタイ効果」という言葉をご存知ですか? マタイ効果については、マルコム・グラッドウェルが『天才!』という本で詳しく紹介しているのですが、一言で言えば、何でも持っている人のところに、どんどんチャンスがいくという話です。

コネづくりにもマタイ効果が生じます。コネクションがある人のところにどんどん相談が来る。その相談に答えたら、またコネクションができる。そうやって、どんどんマタイ効果が発生して、コネがある人のところにますますコネができるという状態になるのです。

「コネ」という言葉が含まれるタイトルの本を出すと、「利己的に人脈を使っておいしいことしようと思ってるんだろう」というような誤解を持たれることがあるのですが、「人のためにコネを役立てましょう、そうしたらいつか自分も救われますよ」ということを伝えたいと思って書きました。この本の最大のメッセージは「利他」を徹底することなのです。

「利他」の行動を通して、人は自分を幸せにすることができます。皆さんも人に対してプレゼントをすると思うのですが、それを喜んでもらったことが、自分の喜びになりますよね。「利他の気持ち」別の言い方をすれば、「人への愛」を持ちましょうということがこの本のキー・メッセージです。

自分のためだけにコネを得ようとするのではなく、人のためにコネを活かすということに取り組んでいると、自分も幸せになることができると思うのです。

ということで、30分くらい話しちゃいました、長くなってごめんなさい。

コネ持ち父さん コネなし父さん 仕事で成果を出す人間関係の築き方

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