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ユーザーを巻き込んだコラボ広告の新しい形(全3記事)

ユーザーのリアルな盛り上がりを物語に togetterを使った広告の効果 

ユーザー、クライアント、投稿者、そしてメディア。そのすべてが幸せになれるコラボ広告の在り方とは? 「ユーザーを巻き込んだコラボ広告の新しい形」と題して開催されたセミナーに、オモロキのイセ氏、キャッチボールの新甚氏、ピクシブの笠原が登壇。エウレカの赤坂氏を進行役とし、コラボ広告が持つメリットについて考えました。また、実際に運用する際にはどのような指標で判断し、どう企画を通せばいいのか。参加者からの質問に答えます。

果たして、みんなが幸せになっているのか?

赤坂優氏(以下、赤坂):ユーザーさんを巻き込むかたちのCGMでの広告って、通常のメディアとはまたちょっと違う色があると思うんです。今まではクライアントさんがいて、メディアがいて、それを見ている読者さんがいるって、3つしか登場人物がいなかったところに、作り手がいるじゃないですか。

Togetterもまとめている人がいるし、Pixivにはイラストレーターさん、boketeはボケる人たちがいるわけじゃないですか。その人たちを巻き込んだ結果、クライアントさん、ユーザーさん、投稿してる人、果たしてWin-Win-Winになってるんですか?

イセオサム氏(以下、イセ):(笠原氏に)どうなんですか?

笠原達郎氏(以下、笠原):なってます。

新甚智志氏(以下、深甚):今、ブラウザって開けますか?

赤坂:どうぞ、ここで自由にやってください。

新甚:Togetterは、タイアップのまとめ自体は編集部で作成しています。そこだけは1つ、クオリティを担保するために何本も何本も作っている人たちに作ってもらっています。

これは午後の紅茶のプレゼントキャンペーンです。この記事を順番に見ていくと、概要がわかるようになっています。あと、タイトルとかですね。企業がそのまま出す場合は、こういう言い方ができない。編集してまとめることで、「クレイジーすぎる午後の紅茶のディズニー企画、午後ティーガチ勢が『格の違い』をみせつける!」みたいに、キャッチーなかたちにして、その時見たいと思うような状態を作ります。

プレゼントの話については、今までのプレゼントキャンペーン紹介の流れがあったり、今回は「5月5日の午後だけ、応募すると友達と55人で一緒に行ける(ディズニーリゾートの)パスポートを抽選で1名様にプレゼント」ってことで。

企業はすごく頑張って、企画性のあるもの考えてるんですけど、じゃあなぜこういう風にしているかというと、話題にしたいと。話題にしたいときに、バナーでやってうまく伝わるかというと、そういうわけにはいかないので。今から見ていただくんですけど、ユーザーのツイートを活かすことで、「皆の反応がこんな感じだよ」っていうのを1つのストーリーにして並べています。

「55人の友達と行くのは難しいよね」とか。これは企画した人のすごいところなんですけど、「1人の人はどうするんだ!」みたいなツッコミがありまして、友達54人貸してくれるっていうのを用意してます。「レンタルお友達をご用意します」というのを、公式のキャンペーンアカウントでつぶやいて、まとめて、皆もそういう風に見てくれて。

ここからプロモーションっぽく応募方法も書いてます。読みやすく書いてます。

これにみんなの反応があって。応募条件に「午後の紅茶の写真をあげてくれると、さらにダブルチャンスがあるよ」というのがあるんですけど、それでこういう(午後の紅茶が写り込んだ写真の)投稿が増えてきたと。

まとめることで伝わるリアルな盛り上がり

この一連のキャンペーン、プレゼントキャンペーンの企画として紹介したら文字で書いたらそれで終わるものなんですけど。こういう風な接点を、実は作りたくて企業さんはやっているので、皆さんの反応を活かして、よりこのキャンペーンを楽しんでいただけるようにしている。そういう意味でいうと、伝えたかった企業さんもそうですし、これまとめてくれた人、あとはツイートしてくれた人も、そのツイートが活かされるというところで、皆がWinになってるのかなと。

赤坂:これ、KIRINさんからは終わったときのリアクションとかどうですか?

新甚:おかげさまで、かなり見られたので。

赤坂:ちなみにPVはどれくらい?

新甚:このまとめのビューが8万(PV)ぐらいですね。

イセ:企業サイドでやると、そんな出なかったりするんですか。

新甚:多分、普通にプレスリリース書いちゃいますよね。プラス、あと第三者の声が入っているので、読み手からしたときの自然な感じというか、押し付けられたものを読まされているのではない感を演出できているかなと思います。

赤坂:Twitter上に、午後ティーに関する内容が拡散してるだけだと、1つの箇所に集中してないので、盛り上がってる感というのが薄れますけど、Togetterだとまとめられるから、それが盛り上がり感になっていくんですね。

新甚:そうですね。まとめの強いところがこれで。通常のバズった記事もそうなんですけど、一連の流れをストーリーとして見れるというところ。1個1個のツイート見ても、それはコンテンツじゃなくて、情報の端々なんですけど、それらを1つのコンテンツにすることで、読み物になる。

赤坂:そうですね。ユーザーが上げてる写真も何点かセットになるだけでも、一気に魅力が変わってきますもんね。

新甚:はい。

コンテストが人生を変えることも

赤坂:なるほど、ありがとうございます。じゃあ、Pixivさん。

笠原:はい。

赤坂:どうでしょう。3者登場人物がいるんですけど、それぞれのハッピーにつながっていますか? スライド使います?

笠原:スライドにはそれに該当しそうなところはないかな……。クライアントさんのメリットで言うと、広告商材として販売している、さっき話したようなところかと思ってます。

ユーザーさんのメリットの部分でいうと、単純にコンテストをやっているコンテンツのファンだとか、なにか面白いモチーフないかなって探していたら、たまたま見つけたみたいな感じの参加者の方もいると思うんですけど。言ってしまえば、賞金が欲しいだとか仕事が欲しいといった感じの、ガチな絵描きさんが参加してくることもあるんです。

実際、コンテストをして受賞者の方が決まって、クライアントさんがその人の作品を見た時点ですごく気に入ってしまって、今回のコンテストのテーマとは全然関係ないんだけど、これも書いてくれ、あれも書いてくれみたいな感じで、ビジネスの話に発展したり。

ユーザーさんはユーザーさんのほうで、「ちょうど今、求職中でした。仕事欲しいと思ってました」みたいなかたちで。さっきちょろっと話に上がった、GMOアプリクラウドさんの例は、まさにそんな話です。

あとは、コンテストやってから「気に入ったんで」とかじゃなくて、最初から「採用を全面に打ち出してしまおう」という感じでコンテストをやることもあって。ゲーム会社さんとかが、「イラストレーターを募集しているので、こんな感じのテーマで書いてください。優秀作品はゲームに実装しますし、うちで正社員として採用します」くらいのコンテストをやってしまうこともあります。

ユーザーさんも「その会社で働きたい、イラストを仕事にしたい」という方たちが集まって、かなりクオリティの高い作品をガンガン投稿してきたり。ある意味、コンテストでユーザーさんの人生を変えることもあると考えると、かなりメリットとしては大きいのかなと思ってます。

赤坂:Pixivは27億PVもあるんでしたっけ?

笠原:いや、アプリとかのスクリーンビューも活かすと、全部で30億ちょいとか、それくらいですね。

赤坂:閲覧はどこからが多いんでしたっけ。スマホ?

笠原:今だとスマホのほうが多いですね。

イセ:ブラウザのほうが多いんでしたっけ?

笠原:そうです、ブラウザのほうが。それも、ずっと今まではPCがメインだったというか、デジタルのイラストってPCじゃないと精巧なものが描けないので、そのまま投稿するプラットフォームもPCになって、結果PCのビューが多いっていう状態が長い間続いてたんですけども。先月だか先々月に、ついにスマホのPVがPCを抜きましたね。

赤坂:なるほど。

笠原:でも(スマホが)15億(PV)と(PCが)14億(PV)とかそれくらいです。

赤坂:すごいPVだなと、はたからから見ていてすごく思っていて。なのでこのなかでコンテストをやる意味っていうのが、その時点ですごくあるかなと純粋に感じますね。

笠原:はい。

面白ければ広告でも問題なし

赤坂:時間も時間なんで、boketeはどうですか? クライアントさんとユーザーさんとメディア、それぞれの幸せ、ハッピー、Win-Win-Winというところでいうと。

イセ:はい。基本的に言うと、そうなるやつしか受けないようにしてるんです。新甚さんといろいろ話して決めるんですけど、どうなっても面白くならないようなやつは断っちゃうんです。

やっぱりクライアントからすると、お題を出してボケが集まるじゃないですか。1回で大体3,000~3万コンテンツくらい集まるんで、そこでいくのと。boketeもアプリだけで250万インストールくらいあるんで、しかも男性で20~30代が多かったりするんで。そこに対してガツンとリーチできるというのが1つのポイントになっています。

あと、ユーザーからすると、ボケ職人はいつも面白いお題を求めてるんですよね。笑いたい人も、企業のだろうが、普通のだろうが、面白いボケで笑いたいんですよ。そういうなかに、コンテンツを投稿するプレイヤーの1人として企業さんには参加してもらうので、非常にいい関係だと。

Pixivさんほど、仕事につながってるかと言えばわからないですが。僕、昔コピーライターになりたかったんですけど、やっぱり応募したりしてたんです、いろんなところに。起業コンテストみたいなのに応募して、賞とると嬉しいじゃないですか、すごく。笑いで食いたいとか、広告の仕事をしたいとか、そういう人にとってチャンスを与えられるんじゃないかなとは思っています。

広告事業は儲かりますか?

赤坂:これどこまで話せるかどうかもあるんですけれど、実際広告事業での収益、収益性というか、メディアとしてどこまで成長しているんだっていうのが伝わったほうが、結構わかりやすいかなと思っていて、これはお三方ともなんですけど。

多分、一般的にTogetterもPixivもboketeも、広告事業よりもプロダクトとかサービスのほうが先行イメージとしてはあって。広告事業で食ってるんだっていうのがあまりわからないかなと思ってるので、そういうのがちょっと伝わるといいかなと思うんですけど。

言えないところはオフレコでもいいですけど。これ、最後の質問です。

イセ:みんなあんまり(情報を表に)出してないですよね。上場企業じゃないんで出してないと思うんですけど。でもまぁユーザーに対していい環境でサービスを提供し続けなきゃいけないんで、当然サーバーとかスタッフには投資はしてます。それができるくらいは、ちゃんと稼ごうと。

ただ、無理に売り上げ目標を立てて追うということは、正直してないんです。これは企業さんによると思うんですけど、僕らそういうの得意じゃないので、あまりやらないようにしています。

新甚:Togetterは赤坂さんがおっしゃったように、あんまり売り物だって知られてないところがあると思うので、そこは一番営業活動を頑張っていかなきゃなって感じですね。

Twitterのキャンペーンはまだまだありますし、Twitterの勢いが衰えていないところがあって。Togetterも先ほど申しましたように、まだ伸びてるんですよね。1000UUあるWebメディアなので、もっと企業のものを集めていく余地はたくさんあるんじゃないかなと思ってます。あとはまとめ職人たちが日々腕を磨いてますので、ぜひ難しいものでも送っていただけたらなと思っています。

赤坂:ちなみに、Twitterでキャンペーンをやられている企業さんはすごく多いと思うんですけど、「Twitter×Togetter」みたいなのもあるんですか?

新甚:基本、全部任せていただきたいくらいなんですけど(笑)。

赤坂:なるほど。

新甚:今のところ、先ほどご紹介したものだったり、ちらほらあるんですけど。もっともっと普通に使っていただいて、お役に立てるんじゃないかなというところです。

効果測定の指標は

赤坂:ありがとうございました。最後に質疑応答、1問2問でも構わないんですけど、なにかある方がいれば、挙手をお願いいたします。はい、ありがとうございます。

質問者:ありがとうございました。web媒体を運営しているオオノと申します。僕ら自身もCGMでコンテストとか、自分たちて投稿するってことをやってたりするんですけど。記事広告と違って、CGMは行動変容が一瞬じゃなくて、2週間、3週間、その先なのかもしれないですけど。そういう広告商品の振り返りとか、クライアントへの効果を、どういうふうに記事広告と区別してやってらっしゃるのかなというのを教えていただけると。

新甚:やっぱり、投稿するものだと投稿数とそれがどれだけ見られたかと、あとはリーチを算出して出すというのが、基本的には多いですね。

質問者:なにか独自の特別な指標とかを作られたりしてるんですか?

新甚:独自のを作っても、あんまり受け入れられないわけですよ、結局。なので、今あるものに則ってきちんと数字を出していきつつ。Boketeとかだったら、笑いとかポジティブな気持ちをめちゃくちゃ言いたいんですけど、なかなか市場を作るのって大変だし。すっごく正しいものを作っても、あんまり聞いてもらえなかったりするので。

当然、提案のときだったり、報告のときでも、「一番大事なのはこういうことですよね」とか、定性的な反応とかも出したりするんですけど。

イセ:投稿数とそれに対して笑った人の数、いわゆる評価数なんですけど、プラスそれが何人に見られたかどうか。それを数字で出しつつ。

新甚:システムで取れているboketeの評価とか、数字になるものは当然出せますし。過去事例と比べて、どうでしたとか、そういうところを参考に出すという感じです。

イセ:Facebookで1記事30万いいねとか結構難しい、無理ですけど。boketeだと30万☆とか3,000ボケとかあれば、取れたりするんで、とかはあるかもしれないです。Pixivはどうですか?

笠原:Pixivも毎日投稿枚数がどうなっていくかというのを見ていくところになるのかなと思います。

ただ、イラストってぱっと数分、1時間で描けるものではなく、数時間とかかかってしまうものなので。企画始まってから数日は正直わからない感じです。ページのビュー数とか、企画のブックマーク数とかくらいで、いけそう、跳ねそう、跳ねなさそう、みたいなところが何となくぼやっとわかるくらいで。

1週間くらい経って、さすがにちょろちょろ上がってくるかなって感じなんですけど、そこで1週間経って5件とかだったらさすがに「これはマジでヤバい」みたいな感じになっちゃうので、まぁいろいろやりますね(笑)。誘導枠を追加するとか、ビジュアルにテコ入れるとかだったり。

通常誘導してないところからの誘導だったり、Twitterでつぶやいたり、なんだかんだテコ入れをして。ただ、なかなかコントロールできるものではないなっていうのが、正直な感想ではあります。

例えば1,000件くらい集まるコンテストだったとして、うち200件か300件くらいは最終日に集まる感じなんです。なので、最後ふたを開けてみるまでわからないみたいな。最後の爆発力っていうのは、コンテストによっても違うので。そんな感じです。

質問者:ありがとうございます。

企業の古い慣行をいかに崩していくか

赤坂:ほか、なにか質問ある方。

イセ:女性の方が、一番後ろに。

質問者:本日は、ありがとうございました。うちはいろんな日用品を扱っている会社なんですけど。今日はお知恵を借りたいなと思い、皆さんの事例を見ているだけですごく使えるなと思って、わくわくしていたんですけど。

いかにしてクライアントさんの慣行を溶かすといいますか、修正が入るとPV数が減るみたいな話がセッションでもありましたけど。そういうのをなかなか聞き入れられないというか、情報を発信するということを素直にやり続けているクライアントさんが多いのかなと思いますので、どうすればいいのかを、ぜひ私も知りたいなと思いまして。

イセ:これはどうでしょう、新甚さんが一番得意ですかね。

新甚:boketeの話もしていいですか? boketeみたいなサービスは僕らも結構受け身になっちゃうところはあって、ほかのWeb、MixChannelとかもそうですけど、クライアントさんが自分でサービスに触れてくれてないと、かなりきついというか。上滑ったり、KPIの設定にしても数字ばっかりで、達成等々についてもやっぱり数字ばっかり見られることになっちゃうときついので。基本的にはこういうことがやりたいとおっしゃっていただいた方、みたいなところは前提としてあって。

あとは守るべきところと、そうじゃないところの解説をできるだけ上手にしてあげるというか。「当然なんでもありです、と僕らも思ってません。だから、ココとココとココはしっかりしておきましょう」と。応募要項とか書くにしても、「クライアントさんの責任範囲はここまでで、こういう風になります。ただし、ここからは自由にしてもらわないと、多分キャンペーンとして成立しないです」みたいなところで、歩み寄っていくイメージになるかなと思います。

イセ:大体そんな感じですね。社内にお一方、情熱を持っている方がいらっしゃるとありがたいですよね。「絶対社内で通すぞ」みたいな。そういう方がいらっしゃると通るけど、そうじゃないとキツイなというのが正直なところです。

笠原:あとやっぱり、昔に比べると、大手の固そうな企業さんがそういうのにどんどんチャレンジしていく事例はかなり増えてきているなって、ここ2、3年で思っているので。一部上場とかの超でかいメーカーさんとかが、面白いことをやっている事例は探せばたくさん出てくると思うので、その辺も説得材料としては強いのかなと思います。

イセ:「あそこもやってます」っていうのは大事ですよね。

笠原:そうですね。

イセ:最初の人がすごいキーなんですけど。

笠原:そうですね(笑)。

質問者:ありがとうございました。

イセ:ありがとうございます。

赤坂:じゃあ、時間も時間なのでここで締めさせていただきます。ご登壇いただいて、ありがとうございました。最後に拍手をいただければと思います。

(会場拍手)

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