2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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赤坂優氏(以下、赤坂):次はボケてのイセさんから。お願いします。
イセオサム氏(以下、イセ):ボケてのイセオサムです。「ボケて(bokete)」は、2008年にWebサービスとしてスタートして、2012年にアプリが出て、今は450万インストールまできているお笑いのサービスです。今まで7年間かけて累計3,500万ボケくらいが投稿されてまして、僕も全部見れているわけではないんですけど、おもしろいものが結構大量に集まってきているという状況です。
毎日30,000ボケくらいが投稿されるプラットフォームになってまして、PCとスマートフォン、Webとアプリの両方で展開しています。今、日本のほかに台湾でも実験的に始めてるんですけど、このユーザーは、ほぼ日本だと捉えていただいていいと思います。
(スライドを指す)これは新甚さんと写っている写真なんですけど、僕自身はオモロキという会社でボケてのマーケティングや戦略面を担当していて、アプリのディレクションをやったりもしています。あと、実はさっきの狩猟社のほうでも「ViRATES」のプロデューサーをやっていて、この2つを今やっている状況です。
イケてるサービスとかキュレーターとかを世に出すことが好きで、そういう方々と組んで仕事をしていることが多いです。もともと広告代理店にいたこともありますので、クライアントがどういう課題を抱えていて、メディアがどう解決できるかというのを個人的なテーマにしてやっています。
今日、ひとつ問いがあるんですけど「広告で笑ったこと」ってありますか? 先ほどの記事広告でもウケたことがあるかと思うんですけど、ボケてはこれを追求しておりまして。3つくらい事例を出します。
アドビさんとコラボさせていただいたときのネタで、こういった画像をアドビさんが投稿しまして、それにユーザーさんがボケをつけてくれます。これでひとつのコンテンツが生まれるんです。このボケは「閃いたという衝撃が壮絶すぎて全部忘れた」みたいな。こういったものがどんどん投稿されていく感じですね。サイトには「sponsored by Adobe Photoshop」と出す。こういったコラボキャンペーンをやっております。
こちらは堅そうな富士通テンさんとやったやつで、車乗る方はカーナビの「ECLIPSE」ってご存知だと思うんですが、「絶対にいらないカーナビの新機能とは?」というお題を出してもらいました。それでユーザーがボケたのは「それでは今の左折をリプレイでご覧頂きましょう」。もう曲がっちゃってるんで見せられてもしょうがないんですけど。こういったものが投稿されてるようなキャンペーンですね。「sponsored by ECLIPSE」と。
最後に、いろんなコンテンツホルダーさんともコラボさせていただいていて、新甚さんにもいつもご協力いただいてるんですけど……これはDモーニングの島耕作ですね。漫画からお題をいただきまして、ボケをつけると。このお題は「?」を埋めなさいというやつで、「面倒な奴には、勉強になりましたとでも返事しておきなさい」。その返答で「あ、そうですか。勉強になりました」というかたちで。
このように、名作とかも笑いに変えてしまいましょうと。そういうキャンペーンをいつもやっております。
コラボのしくみなんですけど、3セットありまして。ファーストセットで、企業がお題を投稿します。(2番目は)ボケてにお題を投稿すると職人がボケをつけてくれるわけですね。3番目が完成された作品ですと。このボケがアプリだったりとかサイトだったるのフィードで流れてくるというかたちですね。
我々が、エンゲージメントになるんじゃないかと考えているのが、どういうことかというと、ボケてのなかにはユーザーが大きくわけて2種類いて、1つは見る人。見て笑う人ですね。もう1つは人を笑わせる人です。
見る人は、単純にボケてを見て笑って「これはどの企業のボケなんだろう」と。例えば先ほどのアドビさんだったら「アドビおもしろいじゃないか」という感じで、企業とのつながりがポジティブに生まれる。それがひとつの効果かなと思ってます。
もう1つのボケ職人のほうは、彼らはやっぱり……僕もたまにボケますが、人を笑わせるのが非常に好きなんですね。なので、企業のお題でボケてやろうと。「こんな堅い企業を、こんなにおもしろくしてやろう」ということを企てて、だいたい5分くらい考えます。考えてボケを投稿する。結構スベることも多いんですけど、これがハマったときが非常におっきくてですね。そのなかで、企業のお題に対して5分も悩む。こういうエンゲージメントがあるのかなと思ってます。
先ほどのライブドアニュースさんもおっしゃってましたけども、笑われることができる人って人気者になれると思うんですね。こういう場でボケてみたりとか。人に笑われるって結構人気者になるコツだと思ってるので、僕もそういうふうにしたいと思ってるんですけど、企業も同じだなと思ってまして。ツッコまれたりとかバカにされたりすることで愛着が生まれると言えるんじゃないかなと思ってます。
これまでいろいろな企業にボケさせていただいたんですけども……(スライドを指して)ここに載ってるような、ソフトバンクさんもそうですし、日清さん、キリンさんとか、堅いところだと宮崎県日南市さんなどなど、皆さんにボケさせていただいております。
たまに「うちは絶対ダメだ」っていう企業さんもいるんですけど、それはそういう事情があると思いますので無理にとは言いませんが、試していただけると非常に楽しいかなと思います。
これが最後になりますけど、これまでで一番堅そうな印象の静岡県さんとボケてのコラボをやっておりますので、よかったら見てください。お問い合わせは僕でも新甚さんでも大丈夫なので、よろしくお願いします。
赤坂:ありがとうございます。ここからは私がモデレーターのもと、リラックスしてゆるい感じで話していただいていいですか。
イセ:ゆるいほうがいいですね。
赤坂:ちょっと堅いです。堅いですし、話しすぎです。5分って言ってるのに8分くらい話すし、むちゃくちゃです(笑)。
イセ:すいません。ちょっと緊張しております。
赤坂:もしお時間が厳しい方がいれば途中で出ても構いませんので。では、やらせていただきます。
赤坂:僕はこのテーマ、このメンバーでやりたいと思っていて。PVがかなりあるサービスなので、実際にそういったCGMのサイト・サービスが広告主を入れて広告事業を展開したときに、「本当にうまくいってんの?」みたいな話を深く聞いていきたいなと思います。よろしいですか?
イセ:はい。
赤坂:テーマ的には「ユーザーを巻き込んだテーマ広告の新しい形」というものなので、その辺をおうかがいしたいんですけど。じゃあ手前のイセさんから。ボケてもpixivもTogetterもそうで、今、事例をいっぱい見せていただいたんですけど、あえてCGMサービスに広告を出稿する意味はどこにあるのか。
クライアントさん目線、代理店さん目線だとそこが結構重要だなと思ってて。「なんで出稿するんですか?」というところだと思うんですよ。この3サービス以外に、クックパッドさんとかもCGMサービスじゃないですか。なんでCGMサイトに広告出稿してタイアップしていくことに価値があるのかということを、教えてもらいたいなと。
イセ:あんまりそこまで深く考えてなかったんですけど。ただ、それが広告の未来じゃないですかね。これまでは、僕らが頑張って作って出すってことを何十年もやってきてると思うんですよ。なんですけど、インターネットが普及してからだんだんコンテンツをユーザーが作って、それが流行るわけなんですね。Youtubeとかが、わかりやすい例だと思うんですけど。
それでよく考えたら、広告もユーザーが作っていいんじゃないかと。これだけ才能ある人がいっぱいいるんだから、そういった広告が今後大量に発生するんだろうなと思ってるところなんです。
例えばボケてって人を笑わすじゃないですか。「写真で一言」でボケるんだったら、ダウンタウンの松ちゃんが一発やったほうが、この瞬間だったら多分おもしろいんですよ。だけど10,000人くらいがボケたときに、たぶん2個か3個くらい松ちゃんに勝てるやつがあるんですよね。
そういうことで、僕はプロをユーザーが負かすことができるんじゃないかと。当然プロはプロの仕事があるんですけども、ユーザーが作ったものがそれ以上におもしろいコンテンツになっている。それが企業に伝わってるんじゃないかと考えて、こういう取り組みをしています。
赤坂:ありがとうございます。お二方はどうですか?
笠原智志氏(以下、笠原):僕もぜんぜん深く考えたことがなかったんですけども。でも一言でいうと、なぜユーザーを巻き込むかという話ですよね。やっぱり「我々がCGMサービスだから」ということになるのかなと思ってます。
もちろん、なにかしら消費者やユーザーの方にメッセージを伝えようと思ったとき、我々が伝えるとか広告主さんが自ら伝えるというのはひとつの手段としてあると思うんですけど、Twitterなりブログをみたときに「ユーザーの拡散力」による数には正直かなわないなと。
pixivについても、今までどうやって大きくなってきたかというと、やっぱりユーザーの口コミに助けられてきたというのはあります。Twitterと我々pixivのサービスなんかは相性が良いので、例えばTwitterでライブ検索をしてもらえるとわかるんですけど、1分間に十数件とかがこうしてる間にもつぶやかれてているようなところがあるので。
CGMとしてなにかしらユーザーにメッセージを届けようと思ったときに、Twitterのような拡散力のあるユーザーの力っていうのを、使わないほうが不自然なのかなと思うので、それであればユーザーを巻き込んだかたちのプロモーションのほうがいいよね、みたいなところなのかなと思っています。
赤坂:ありがとうございます。いかがでしょう。
新甚智志氏(以下、新甚):広告視点で教科書的な回答をすると、単純にユーザーが見るものを選ぶ時代になったっていうことと、コンテンツが無限にあるなかで、見てもらうためにはそういう方法を取っていかなきゃいけないのかなっていうのが、真面目な回答としてあり。
僕たちがやっているのはそこで、イセさんのお話ともかぶるんですけど、ちょっとロマンじゃないですけど、かなり皆さん時間と知恵を使って(コンテンツを)作ってくださるじゃないですか。1ツイートにしても、皆さん個人個人のいろいろな事情とかがありますし、イラストもボケもそうですよね。
そういうすごいエネルギーが入ってきたものに、いやらしいことにWebサービスだと淘汰されて、上澄みばっかり世に出るわけですけど、そこのクリエイティビティが、プロモーションみたいなところと結びつくといいな、みたいなところでやってたりします。
赤坂:僕も、今3人の話をうかがっていてすごく思うのは、広告ってクライアントさんがお客様を巻き込むために、直接的に投げるメッセージなんですけど、それを各媒体にいるユーザーさんがフォーマットを変えて、かたちを変えて、展開してくれるから、見ているお客さんの目に入りやすい、耳に入りやすいようなフォーマットに変わっているのかなと思っていて。それがCGMサイトでやる価値なのかなと思うんですけど、どうでしょう?
イセ:その通りですよね。普段ユーザーが見てるのは、ユーザーが作ったものなんですよね。僕らが間に入って出すよりは、彼らに作ってもらったほうが自然なかたちで面白いっていう。
笠原:我々もうちの会社が依頼をかけるわけではないので、企業さんのメッセージを絵にして伝えるとこんな感じです、っていうところをで考えると、やっぱり普段からPixivでイラストを描いて投稿していて、みたいなところに任せて、それもユーザー同士でコミュニケーションを取りながら作っていってもらったほうが、クオリティもいいし、盛り上がりもあるし、コミュニケーションでコミュニティも活性化するし、いいことずくめみたいなところはあります。
イセ:正直、自分たちはあんまり作れないって事情はありますね。
赤坂:(笑)。
イセ:「面白いボケ作ってください」って言われて、僕作る自信ないんで(笑)。基本的に全部ユーザーが面白いんですよ。
笠原:そうですね。
イセ:「すみません、僕ら作れないんでユーザーに任せましょう」っていう感じですね。
赤坂:クライアントさんが作る広告内容だけじゃない付加価値っていうのをプラスオンしてるから、さらなる価値がついて読まれてるんですかね。
イセ:プロセスとかも大事かもしれないですね。ユーザーがその企業に対して、お題に対して悩んでくれたりとかっていうのが結構大事だなと思います。
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