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第63回:「差別化」は簡単にできるものではない(全1記事)

差別化が難しい時代に、Webマーケティングができること

競合他社との差別化をするときのポイントはなんでしょうか。ラウンドナップ・コンサルティング代表の中山陽平氏によれば、どこでも応用ができるようなコツなどはなく、地道に現状認識を深掘りして、一つひとつの企業の実態に応じた施策を行なっていくことが重要なようです。Webマーケティングで差別化をするのが難しい時代だからこそ、地道に活動を行っていきましょう。

明確な強みを持っている企業は一握りもない

中山陽平氏:今回のテーマは、差別化や強み、ストレングスというものについてお話できればと思います。

なぜ今回この話題にしたのかというと、昔の私もそうだったのですが、お客さんのマーケティング、コンサルティングでWebサイトを作るとか、ランディングページを作るとかそういったときに、お客さんの方から色んな情報をもらおうとするじゃないですか。そのときに安易に「差別化ポイントってなんですか。強みってなんですか」とポンっと聞くんですね。

答えが返ってくる場合も返ってこない場合もあるのですが、この考え方は危険だなと思います。なぜかというと、どの業界どの業種でも、オンリーワンな強みや差別化ポイントを持っている企業は一握りもないと思います。

明らかに分かりやすい「創業500年」とか「無形文化財の人がいる」とかそういったものでないとどこもそんなに大きく違わないです。特にローカルビジネス系で「こういう商売をやっています」という企業さんはかならずいらっしゃいますし、それで商売できている場合、他にその商売をしている人がいてもおかしくないわけです。

何で違いが出るかというと、Webに参入しているかしていないかという差があるくらいで、現在競合としてもちあがっていなくても、後から参入してくる可能性はあるわけです。

競争が激しくない市場であれば、マーケティング屋さんが「あの辺の地域は競合が弱いからそっちの地域に参入しちゃおうぜ」といって無理やり参入するケースもあります。

なので露骨に「うちはここが強みなんだよ」というポイントはなかなか持っていないし、見つからないというところから考え始めた方がいいです。今回はそれに尽きます。

今の顧客にあった部分を深掘りしていく

「この企業には分かりやすい強み、差別化ポイントがあるはずだ」という前提でコンサルティングや自社分析をするとブチ当たります。そんなにわかりやすいものなんてないです。同じようなサービスはみんなやっていますからね。

大事なのは、そこで諦めるのではなく、そういうところを自覚して、じゃあその前提でこの市場マーケットで生きていくためには一体どういうサービスを出していかなければならないのか、どういった商品をつくらないといけないのか、あるいはどういう見せ方をしないといけないのか。

さらに言えば自社は最終的になぜ選ばれているのか、自社は一見すると普通の商売しかしていないように見える。けれどお客さんは来ている。新規の方も来ている。なぜこの人たちはこの会社を選んでいるのか。

ただ近いからとか安いからとかだけで売れる時代でもないですよね。とすると、その間にはいろんなものがあるはずです。

そこを深掘りして、その上で分かりやすく表現し、ネット向きにあつらえて、それがわかりやすい商品の設計やサービスにしてセールスメッセージを出していく。

こちらから見つけ出して作り出して、そしてそれを表現するという考え方に持っていった方がうまくいくケースが多いです。一番極端な場合、これからはこのマーケット、この地域だったらこういう人が多いからこういうサービスにやっていくしかない、こういう形に見せ方を変えるしかない。DMの内容もこういう風に変える必要があるし、フロントエンドの商材もその人に合わせたこういうものにしていかなきゃいけない、というのを今から作っていくことです。

今あるものを増幅するというよりは今ある企業の中でできることを、今の顧客にマッチしたものを作っていく。そういう方法しかなかったりします。ゼロベースで考えた方がいいです。

発見した強みをWeb上で表現していく

とはいえさっきも少し出ましたが商売をやれているということは何かがあるというはずなのでそこをひたすら掘り進む。例えば地元に買い物に来たお客さんに「なぜうちを選んだのですか」「もしこういう企業があってうちと全く同じ立地で同じ条件だったら、どちらを選んでいますか?」「もしこういうことならうちを選んでいますか?」このようなかんじでお客さんに聞きまくる。

こういうことをしていくと問い合わせの時のテンションだったり、資料のちょっとしたことだったり、周りでこういう噂がたっている、あるいはDMのこういうところがいいとか。そういう細かいところで選ばれているというお客さんの判断基準が見えてきたりするんですね。

そしたらそれをうまくWeb上で表現していき、こういうものがあると安心だよねとか、お客さんも無意識に安心してくれたりしてWebからの問い合わせも増えたりする。そういうケースが非常に多いです。

いきなり強みや差別化ポイントを見つけることはないと思います。だからといってすぐに諦めるのではなくてそこから深掘りをしてなぜ商売をやれているんだろうということをぜひ探してみてください。

ちょうどお盆でお客さんが動かない時期の人もいると思います。ちょうどいいと思います。既存のお客さんに「なぜ選んでくれたのか」ということをいきなり聞いてもわからないと思うんで「もしこういう企業があったらどうしますか」「もしうちがこういうことだったらどちらを選びますか」というふうに具体例を出しながらお客さんの価値観判断基準を探っていってください。

そのようにして出てきたものを強み、差別化ポイントとしてWeb上で表現していく。こういうステップを踏んでいくことが必要だと思います。でないと現在ほとんどの業種で競争相手がいる、レッドになりつつあるマーケットの時代に生き残っていくのは難しいと思います。

マーケティングで差別化しにくい時代にできること

繰り返しになりますが、差別化や強みというものを露骨に持っている企業はそんなにいないです。なのでゼロベースで考えてどういうものにしていったらいいかを考えて、聞いて、そして作って表現していく。

そしてそれを実際にWeb上でコンバージョンにするのかとか、問い合わせするのかどうかということを定量的なデータにして、「あれ、あたらないよ? これは違ったのではないか?」ということになったら、また別のところにあたっていく。この繰り返しですね。

この繰り返しを行なっていくと、「なぜかわからないけどこの企業がいいな」「なんだかんだ言って、ここのホームページがいいから、ここに問い合わせしてみよう」とか、実際に行って聞いてみて「やっぱりいい! よし、ここに決めた」というような話になり契約数が増えていく。そういう流れが特にローカルビジネス系では多いです。ローカルビジネス系といわず人間が介在する商売は多いですね。

マーケティングやコンサルティングを担当する人はお客さんに対して、そういうところも見ていただけたらと思いますし、企業の担当者の方は自社をゼロベースで見つめて、いろんな発見をして、それをWebサイト上でいかに表現していくことをやってもらえたらと思います。

なかなかマーケティングで差別化をできる時代ではなくなりました。昔は競合も少なく簡単だったのですが、今はそういう時代でもないので、マーケターにとっては負担が増えていくと思います。こういう考え方は浸透していくでしょう。

マーケティングは進化し難しい方向に進んでいくと思いますが、結局相手は人間ですから、お客さんをよく知って、いろんなことを考えていくことが重要ですね。

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