2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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中村仁氏(以下、中村):ということで、なぜプレゼンが大事なのかっていうのを、もう一度、整理します。
僕は今まで実際に、いろいろなプレゼンをしたり見たりしてきましたが、プレゼンをしたときに、「商品そのものの評価」と「プレゼンの評価」とを、ちゃんと切り分けて判断できる人はまずいないんです。
なので、商品がダメでもプレゼンがいいと勝っちゃうんだよね。でも逆に、商品がどんなに良くてもプレゼンがダメだと負ける。
それは、この前僕が出たピッチイベントでもそうで、プレゼンがちゃんときれいにまとまっているだけで、すごく高い評価をもらえるわけですよ。「いいサービスですね」って。
それだったらもう、プレゼンの評価を徹底的に高めてしまえば、結果的に商品を良く評価をしてくれるわけだから、そっちのほうが得だよねっていう話です。
人間そんなに冷静に評価を切り分けることなんてできなくて、「この人はプレゼンすごいうまいけど、商品クソだろう」ということはないんです。なので、プレゼンの改善っていうのは実は営業にとって最も効率的な投資なんじゃないかと思うわけです。
もちろん、「この機能がありますか?」って言われたら「あります」って答えたいんで開発してくれとか。ここ使いづらいって言われてるので、ここ改善してくれとか。そういうリクエストに耳を傾けて対応していくことも、売っていくためには大事だと思うんですが、それはそれでもちろんやっていただくとして。
ただそれ以上に、プレゼンをいかに上手にやるかっていうのは、実は一番リターンが見込める特別な投資だと思っています。なのでここ、頑張ってみんなやりましょうねっていう話です。
最後にちょっと事例をご紹介。僕めったに出ないんですけど、この前「RISING EXPO」出たんだよね。あれ、見てる人ほとんどいないですね。なのであれをちょっと最後に見ていただきながら、どういうことを考えて、あのプレゼン作ったかを、ご説明します。
RISING EXPO、どういうピッチイベントだったかと言うと、持ち時間は10分ということで制限されてました。ただ良心的なイベントだったんで、10分たっても叩き切られずに、ちょっと話をさせてもらえるという、結構猶予があったんですけど。
相手は投資家だけです。事業提携だとか、そういうの全然なし。投資する人たちだけです。ベンチャーキャピタルの方ばっかり。
サイバーエージェント・ベンチャーズが主催です。彼らがもってきたオーダーは、10分のなかで会社概要と主要メンバーの紹介、事業計画と課題説明と解決策、トレタの強み、今後の展開、全部収めてくれっていう内容でした。
実際やってみようと、まず時間の制限を考えずに作ってみたら、まず課題説明、うちはBtoBサービスなので難しいんです。これがBtoCだと、みんな「いいお店がなかなか見つからないよね」って言ったら、「そうだね」っていって、ひと言で納得してくれる、共感してくれるんだけど、「飲食店の予約の管理って大変なんですよね」って言っても業界を知らない人には、「そうなの?」っていう話になっちゃって共感を得られない。なので課題の説明がかなり大変。それで2分かかります。
あとトレタの強みはUIだね、と。デザインを見せたいんだ、そこちゃんと説明したいんだっていうことになると、ふだんの営業活動でやってるようなデモになるので、あれをやると下手したら5分かかるんだよね。さらに、1画面ずつ、ここにはこういうボタン、こういう機能があってっていうことになると、これだけで7分かかるんですよ。
それ以外に、あと3分で全部を説明する。無理ですよね。ということでどうしたかっていうと、もう割り切ろうと。今回のゴールは、投資家の皆さんに興味を持ってもらうっていうことだけにしようと。とにかく興味さえ持ってもらればいい、そしたらそのあと連絡が来るだろうというところにとにかく限定してしまいましょうということです。
なので、投資家の興味を引きそうなことだけを話す。もう、飲食店の人に刺さることなんて、時間の無駄だから一言も言わない。あと基本的に「すごそうだな」と、なんとなくそういう印象与えられれば勝ち。なので、いちいち細かい説明はしないっていう、こういう方針でプレゼンを作りました。
実際にどのぐらい準備したかっていうと、資料をだいたい、大きいバージョンで5つ作りました。その5つのバージョンで、だいたい少ないので5回。多いので10回ぐらいデモやって。多分、4、50回ぐらいデモをやってるって感じです。
あれ、3か月前ぐらいだったっけ? 最初に準備し始めたの。セルフリハーサルを会議室にこもってやったりとか、ケンゴチさんに付き合ってもらったりとか、カトズミさんに付き合ってもらったりとかやりながら。
説明の仕方も、5バージョン作ってやるとまったく違うのをやるわけだから。うまくいかない、どうもしっくりこないって言って、5回作り直すんです。
あと、やっぱりウチの売りはUIだし、プロダクトのデモはどうしてもやりたいと。確かに時間はかかるんだけどやりたい。なのでここも機能の細かい説明は一切しないっていうことで割り切って、それよりもいかに簡単に予約ができるか、取れるかっていう点さえ伝わればいいやと。
なのでデモは短時間で一気に終わらせる。短時間で終わらせれば、「ああ、すげえな、スムーズに予約取れんな」ってなるはずなので、もうさっさと短時間で終わらせましょうっていう方針で、だったら僕がお店の人の役をやって、予約を取るお客さんの役をケンゴチさんにやってもらって、ロープレ的に普通に予約の電話を受けている、そのままに再現してしまおうと。
そうして、「紙で書いてるのと全然、変わらないテンポでスムーズに予約管理ができるね」みたいなことが伝われば、それで勝ちかなっていうことで割り切りました。
ということで、どんなプレゼンができたかっていうのを、ちょっとご覧いただきます。
(当日のプレゼン映像。実際の予約の流れをデモ)
中村:それなりに結構早口でしゃべって詰め込んで、でもきっちり10分で喋るということでやっています。
ちゃんと決められた時間内で収めるって、相当練習を積まないといけないと思うんですが、営業の方は、そこまでシビアでもないと思うので、そこまで突き詰めなくてもいいとは思うんですが、やっぱり練習量って必ず出てくるんで、つっかえた時点でもう練習足りないんだなって感じるように、自分のことを評価すればいいと思うんですよね。
なので、そんな感じで皆さんぜひ丁寧に資料を作って、自分の言葉で語って、練習を積み重ねてください。僕もそれやるときに、自分の説明のしかたが最初の説明と当日本番やるときの説明って全然違っていて、やっぱり自分なりの洗練され方があるんだよね。
なので営業の皆さん、それぞれスタイルがあると思いますから、自分なりの語り方みたいなものを練習のなかで見つけてもらえばいいんじゃないかなと思っています。
以上です。ありがとうございました。
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