2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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ローズ:今後の展望について話しましょう。あなたは世界一を目指しているのですか?
孫:それが私の望みです。
ローズ:オーケー。十分な答えです。しかしGoogleがそのハイウェイを提供できると考えている人もいます。そしてジョン・マローンもこの分野で大きな役割をしたいと考えています。ジョン・マローンの会社(リバティメディア)がそうなるかもなんて、それは誰にもわかりませんよね。放送局? それともケーブル会社がそうなる?
孫:いい質問です。これは非常に大きな資金が要される業界なのです。有線ブロードバンドと無線ブロードバンドの情報ハイウェイがあります。考えてみてください。有線、もしくは無線ブロードバンドでネットに繋がるとします。どのみちiPadはiPadなのです。ユーザーが気にするのは、どっちの場合にiPadやiPhoneがスムーズに、ハイスピードに動作するかです。以前は固定線のブロードバンドだけがiPadのようなデバイスに高速インターネットを提供できたのです。しかし今やワイヤレス性能が上がってきていますから、新しい選択肢になり得るのです。
ローズ:まさに革命ですね。ファイバー・ケーブルがなくてもワイヤレスに何ができるか。もう1つ質問です。あなたがここでワイヤレスの良さを語っているということは、つまり、あなたは米キャリアがイノベイティブでないと考えていて、システムに不満があるということ?
孫:ネットワーク速度が非常に遅く、頻繁に携帯が切れ、とても脆弱です。私は改善の道があると考えています。
ローズ:どう改善していくつもり?
孫:まず、一定の会社、利用者、ネットワークのスケールが必要です。
ローズ:大手と戦うためのスケールが必要だと。
孫:ヘビー級の体重にならなきゃいけませんよね? これはヘビー級の戦いですから。かよわい蚊ではいられませんよ。
ローズ:それじゃ彼らに叩かれてしまうね。
孫:そう。そして彼らは私たちを無視するでしょう。そして彼らは脂肪だけつけて、利益を上げていられます。私は彼らに戦わせたいんです。そうすれば彼らも脂肪じゃなくて筋肉をつけるでしょう? それは米市民にとってもいいことです。私はもっとハイスピードな技術を提案したいのです。最速で毎秒200メガビットです。これは固定線ブロードバンドよりさらに速いのです。私たちにはそれを可能にする技術があります。
ローズ:あなた方のワイヤレスは固定線ブロードバンドより速い?
孫:そうです。私たちはすでに東京では実証しました。
ローズ:オーケー、東京(のワイヤレス)は速いとして。
孫:同じことがアメリカでもできます。
ローズ:ソウルも速いですよね。世界一速いのはどっち? 日本、それとも韓国?
孫:オーストラリアもある地域では速いのですが、ユーザー(規模)が十分ではありません。ですからユーザーが一定いるなかでは、日本とソウルが上位2国です。
ローズ:AndroidとAppleのOS対決にはついてはどう思いますか? どちらが優れている?
孫:Appleはフェラーリのようなものでハイエンドユーザー向け。とても素晴らしく、実際多くのユーザーにとってもいいものです。Androidはもっと一般向け。まだハイエンド製品を持っていない国の人々向けです。Androidはもっと多様的ですね。ともに展望があると思います。
ローズ:ユーザーのタイプによるということですね。Samsungはこれ(OS)について真剣に取り組んでいます。Samsungについて、あなたはどう思う?
孫:Samsung は素晴らしい会社です。彼らは成功し続けるでしょう。この先も成長し続けると思います。
ローズ:彼らにはなぜそれが可能だと?
孫:彼らは幅広くかつ高度な技術を持っています。それはセミコンダクタからLCDディスプレイまで、トータル的なテクノロジーに及びます。そして彼らには成功に対する情熱があります。
ローズ:ドットコムバストの話をしましょう。あのとき、あなたに何が起きましたか?
孫:私たちの株価は上昇し続け、私は3日間、ビル・ゲイツよりリッチだったこともあります(笑)。
ローズ:ラリー・エリソンも数日だけ、ビル・ゲイツよりリッチでしたね。
孫:そうですか。
ローズ:あなたも3日間トップだったんですね。そのとき、周りに世界一の富豪だったこと言ってまわった?
孫:そうするには短すぎました(笑)。
ローズ:「私は世界一リッチな男だぞ!」。
孫:人に言う前に、すでに株価は下がっていました。
ローズ:あなたが言おうとしたとき、時すでに遅しだった、と。
孫:その3日間、時価総額は2000億ドルに達していました。
ローズ:2000億ドル? そしてバブルがはじけた?
孫:そう。
ローズ:そのバブルがはじけたあとの時価総額は?
孫:20億ドル。
ローズ:2000億ドルから20億ドルに下がったのですね?
孫:1年に99%下がりました。
ローズ:あなたの総資産額は?
孫:700億ドルから6億ドルにまで減りました。
ローズ:本当? そこから挽回できると思っていましたか?
孫:私には自信がありました。異常な上昇と下落だったので、いずれ正常に落ち着くという自信です。なぜなら私たちのユーザーは増え続けていたし、利益も増え続けていいました。ですから上昇にしろ下落にしろ、オーバーリアクションだったのです。いずれ正常価で落ち着くというのが私の見方でした。インターネットが成長し続けていて、インターネット利用者が増え続ける限り、挽回できるというのが私の見解でした。
ローズ:ある人が私にこう言いました。「Googleは、世界最大の企業になる。間違いない」と。あなたもそう思いますか?
孫:可能性としては明るいと思います。しかしながら、かつてIBMが繁栄していた頃、世界は「IBMこそ」と言っていたし、Microsoftが繁栄していたとき、「Microsoftは永遠だ」と言っていました。今やGoogleはそのポジションにいます。しかし、30年後、300年後、何が起きるかは誰にもわかりません。
ローズ:テクノロジー改革ですね。
孫:彼らは間違いなく改革者です。スマートで、優秀なエンジニア集団です。そして素晴らしいビジョンがあります。世界一に最も近い会社のひとつであることに私も疑問はありませんし、それに彼らに対して私は高い敬意を払っています。しかし先ほども言ったように300年続いたテクノロジーはありません。
ローズ:Appleには現在も、ティム・クック、エディー・キュー、ジョニー・アイブがいます。
孫:Appleも素晴らしい会社です。
ローズ:以前と変わらず?
孫:はい。
ローズ:スティーブのいた頃と変わりない、と?
孫:ともに素晴らしい会社です。この2社に関して私は高い敬意を払っています。もちろんAmazonやFacebookに対しても。
ローズ:ジェフ・ベゾスは少しあなたに(やり方が)似ていますね。彼もまず市場のシェアを得ようとする。そしてシェア獲得のためには積極的に(商品の)値段を下げる。
孫:彼はとてもスマートです。とても長い目で見ています。
ローズ:FacebookのWhatsApp買収についてはどう思いますか?
孫:賢明な判断ですよね。
ローズ:もしあなたもFacebookのように12億のユーザーがいたら、600億ドルを支払っていますか?
孫:少しもためらうことなく支払ったでしょうね。
ローズ:あなたの交渉哲学は何ですか。もしあなたが価値あると判断したら買収するのですか? たとえ誰より最高額は払うことになっても、もし可能性を見出せたら、それに従うのですね?
孫:はい。私は過去でも現在でもなく未来を見ています。もしパワーを得たら10年後、20年後、私たちに何かできるかを見ているのです。
ローズ:あなたが、ワイヤレス通信インフラにとどまらず、世界最大のキャリアを作り、そしてコンテンツプロバイダーになりたいと望んでいるというのは本当ですか?
孫:コンテンツも、アプリケーションも、それはプラットフォームの上に実る果実であり、咲く花なのです。私たちはインフラを提供し、様々な果実や花を育てる手伝いをしたいのです。ジョン・マローンのケーブル会社リバティメディアのようなものです。
ローズ:映像もワールドワイドでワイヤレスなものが求められますよね。巨大なパワーネットがあれば何でも見られますから。
孫:そのとおりです。
ローズ:インターネットに限らず、あなたはソーラーと風力発電システムにも、興味があるそうですね。こういった未来テクノロジーが世界を変えると思っているのですね?
孫:もともと関心があったのではなく、3年前の東日本大震災を機に興味を持ちました。電力なしにインターネットは機能しません。コミュニケーションは機能しません。日本国民が電力不足に苦しんだのです。
ローズ:原子力発電に対するあなたの最終的な結論は?
孫:長期的な解決策になるとは思っていません。反対です。ですからソーラーもしくは風力という代替エネルギーの供給に挑んでいるのです。
ローズ:単にビジネス的な判断ではなく、日本にとっても最良の答えだと?
孫:日本国民にとっても、世界にとっても最良だと考えます。
ローズ:現総理大臣については、どう思いますか?
孫:彼はスマートな人です。しかし彼のすべてに賛同することはできません。
ローズ:その賛同できないこととは?
孫:そのたぐいの質問で追い込むのはやめてください。その手の質問について何か言うとあとで日本に帰って問題に巻き込まれます。
ローズ:あなたは、彼はナショナリストすぎると考えていますよね?
孫:なんと言うべきか、もっとバランスが必要でしょう。
ローズ:彼にはもっとバランスを持ってほしい、と。
孫:そうですね。少なくともバランスが求められるときに、国民が彼からバランスを認められるように。彼にとっても、国にとってもいいことではありませんから。
ローズ:私たちは今グローバル世界を生きています。文化的な違いは問題になりますか?
孫:私はすでにインターネットが世界を繋げていると考えています。政治家、政府が国同士の間にバリアをはっているのです。しかしインターネットの世界には国境がありません。1秒もかからず(インターネット上では)世界を旅することができます。人々はインターネットを通じて即座にコミュニケーションすることができます。私たちがあらゆる摩擦を忘れることができれば、世界はもっと平和になるでしょう。
ローズ:他にどんな分野に興味を持っていますか?
孫:私にとって情報革命こそが唯一人生を捧げられることであり、情熱を持っていられることです。我々人間は農業革命を起こし、そして産業革命を起こしました。そして今度は3つ目の革命、情報革命です。小さな課題ではありません。この先300年は続く課題です。ですから、私はこの情報革命にフォーカスした300年のビジョンが必要だと言うのです。
先ほど言ったように、どのテクノロジーであるとか、うちの会社が発明したとか、うちの従業員が発明したとか、そういったことは関係ないのです。すべてのイノベーションを私たちのエコシステムに取り入れたのです。多くの米企業は1つのブランド、1つのビジネスモデルにこだわって世界を手にしようとします。私はそのタイプではありません。パートナーシップを信じていて、多くのジョイントベンチャーを起こしています。起業家に投資することは、彼らが自分の情熱を育てることに手を貸すことだと考えています。もし彼ら熱い起業家たちが素晴らしいテクノロジーやサービスを生み出すことに手を貸せるなら、それほど幸せなことはありません。
私がヒーローになる必要はないのです。私たちが作るエコシステムの上で彼ら(起業家)がヒーローになればいいのです。これが私のこの先300年に向けたビジョンです。私は1つの製品、1つのビジネスモデル、または1つのブランドに頼りません。私はシリコンバレーになるつもりはありません。もちろん彼らは私のビジネスパートナーですが、私は(システムを)作ることに興味があるのです。私はシリコンバレーの人々の情熱と、そこで起きているすべてのことに敬意を払っています。ですから私はソフトバンクグループでバーチャルなシリコンバレーを作りたいのです。様々なブランドがシナジーを生むのです。
ローズ:起業家たちが起こすシナジーでアイデアが生まれる、と。ところでソーシャルメディアを買収する計画はありますか?
孫:いずれなら、はい。
ローズ:今日はありがとうございました。楽しかったです。
孫:ありがとうございました。
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