2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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吉井信隆氏(以下、吉井):皆さん、どうもこんにちは。
インターウォーズの吉井でございます。おかげさまで、当社はスタートしてちょうど今年20年目を迎えるインキュベーション会社でございます。
実績だけ申し上げておくと、我々が今、創業以来関わってきた企業内新規事業並びにベンチャー支援っていう役回りも含めて、126件ほどお手伝いをさせていただいております。
我々の事業、売り上げの数字ではございませんが、今3,000億円ぐらいの事業が、当社の出会いの中から、世の中に生まれ育っています。
最近こういったパブリシティを毎日のように見られると思いますが、産業構造の大転換期に今我々はいるのだと思います。
構造転換期のときビジネスの機会の窓が大きく開いてきてますので、企業内新規事業、あるいはベンチャー企業にとってはチャンス到来の時期です。
まず初めに皆さんに、2万6000社、この数字からお話をさせていただければと思います。この数字は、100年以上、この国で存続してる企業の社数なんです。
日本は世界で類を見ないぐらい、100年企業が、多い国なんです。
ちなみに、日本で一番古い企業は、金剛組っていう会社、寺社仏閣をつくる企業が確か578年に創業されてますので、もうかれこれ1400年ぐらいなんじゃないですかね。
ちなみに、一番多い地域は京都です。2番目に多いのは何と山形なんですね。
4番目に多いのは、私のふるさとであります新潟で、何で山形とか新潟が、そんなに100年企業が多いかと申し上げると、あそこには直江兼続っていう人がいて、彼がインキュベーターの役回りをしていたのかもしれません。
日本で2万6000社の100年以上の歴史を持つ企業が存続していたということは、企業のイノベーションがどんどんどんどん営まれた歴史のある国だということをご理解いただきながら、話に入っていきたいと思います。
以前「事業の生命って30年平均よ」と言われていました。
聞いたことがあると思いますが、30年で1つの事業は大体終焉を迎えると言われています。
今、ビジネスの生き残る確率っていう部分でいくと、設立から経過年数による存続率は20年で1パーセント以下なんですね。特に今、グローバル社会、あるいはIT社会になってきて非常に事業の寿命が短くなってきています。
以前はよくドッグイヤーなんて言葉を聞きましたが、ますます、事業の生命が、短くなってきています。日本のみならず、全世界的にもこういう徴候がある。
アメリカのベンチャーキャピタルの方から、富士フイルムのことを聞かれることがありました。
ちょうど今、日経ビジネスの表紙に古森重隆さんが出てますが、イーストマン・コダックは数年前に倒産しましたが、富士フイルムは同じドメインの同じ商品をつくって、イーストマン・コダックを追従しようってやってたにもかかわらず、コダックは倒産して富士フイルムは存続をしている。「なぜ富士フイルムは今、存続してるの?」っていうことを聞かれるんですね。
富士フイルムは直近でいうと、iPS細胞の分野にチャレンジをしています。
富士フイルムは、イノベーションを常に起こしていますが、4~5年後ぐらいには、新しい顔を表現する会社になってるかもしれません。
今日のテーマです。「新規事業で最も大事なことって何なんだろう?」っていうことですが、結論から申し上げると、事業機会に向き合うか、向き合わないかっていうことだと思います。
今、アメリカのバブソン大学の人気が高くなっていると言われてます。
バブソンはマネジメントのMBAだけでなくてアントレプレナー、イントレプレナー育成のコンセプトの大学なんですね。
ちなみに、日本ではミドリムシのユーグレナの出雲さんや、トヨタの豊田章男さん。イオンの岡田元也さんもバブソン大学のご出身です。
バブソンでは、オポチュニティ(機会)が大事なんだと。あとは経営のアセット、経営資源が大事であり、どうチームをつくるかがバブソン大学のメッセージです。
事業機会は非常に重要な要素です。
企業内新規事業の立ち上げで、どんなスタンスで向き合ってくかっていうところから話をさせていただこうと思いますが、企業内新規事業の最大の競争優位は何かっていうと、経営アセット、資源を使うことにあります。
ベンチャー企業には経営資源がほとんどありませんが、企業内新規事業は会社の資源、アセットが使える。これは非常に大きな、競争優位性だということをまず理解していただきたいと思います。
事業は、人がやるものです。
この写真の人は、企業内起業家で、日本で最も大きな会社をつくった豊田喜一郎という人の若いときの写真なんですね。
数年前にTBSの番組で、『LEADERS リーダーズ』っていう番組をご覧になったことがあるかもしれませんが、豊田喜一郎さんが日本を代表する企業内起業家だと思います。プラスさんからアスクルを起案した岩田さんや、富士通からファナックを起案した稲葉さんであるとか。流通ではセブンイレブンの鈴木さんとか、日本の企業で大きくスケールをしている企業は企業内起業が多いんですね。
日本が2万6000社も100年企業があるのは、企業内起業家がチャレンジしてきた歴史の証明なんだろうな、と思います。
成功者の話って聞いても参考にならないことがあります。
それはそのときの経営環境であるとか、その人の感性であるとか、その会社のポジショニングであるとか、今ここjust in timeで、その状況、万物流転、どんどんどんどん進化、変化してきます。経営は環境適応業でもあります。
その人の成功体験を聞いて、その人の成功体験どおりやって成功した起業家はいないと思います。
一方、失敗した人の話って参考になることが多く、これだけは新規事業でやってはいけないっていうところを、皆さんにお話をさせていただければと思います。
まず誰に任せるかっていう人選のミスっていうのが致命的なことだと思います。
誰にその事業をやっていただくかっていうところの人選が非常に大きな成功・失敗に影響し、人選を間違えてしまうと、どんなにすばらしい可能性のあるアイデア、事業プランでもうまくいかないことをぜひご理解してもらいたいなと思います。
あと、うまくいかないもう1つの要因は、トップが新規事業をやれとか、こういうことをやっていきたいとか、いろんなことをおっしゃいますが……。
昨日、日本を代表する140年の歴史の企業がお粗末な報道がなされていますけど、新規事業、最近やってるのか解りませんが、短期の利益を求めた結果の事件だと思います。
トップが本気になって、新規事業をやるんだと、覚悟してかからないと、新規事業ってなかなかうまくいかないんです。
かといって、この話をすると、皆さん、「うちのトップは、本当にそんなことを思ってない」という風に思ってらっしゃったとしても、違ったアプローチの仕方があると思うので、その辺のところは後ほどお話し申し上げていきたいと思います。
会社の本社、ヘッドオフィスの中に新規事業チームを置くっていうのが極めてうまくいかない、失敗する要因です。
なぜならば、マーケットにこそいろんなニーズがあって、マーケットにいろんな不があって、それを解消することがビジネスですが、ついついボスの頭の中に答えを求めようとしてしまう傾向があるんですね。
会社の近くに新規事業開発室を置くと、必ず自分のリーダー、あるいはボス、ときには経営者、あるいは役員が「おまえ、どうなった?」ってことを聞いてくるケースが得てして、オープンな会議ではなくてもあるんですね。
そのときに何かしらのことを言うと、必ず「おまえ、そんなんじゃだめだよ」みたいな話になると、やっぱり自分の人事権を持ってる人に「そんなんじゃだめだ」っていうふうに言われると、自分のボスの頭の中に気に入られようとするようなアイデア、あるいはそういう商品、モデルを考えようとするところに落とし穴があるっていうことです。
例えば、ファナックっていう会社は富士通から生まれた、世界を代表する工作機器のメーカーになりました。稲葉さんは、日野に新規事業を持っていったんですね。富士通の本社からは思いっきり離れたところで起業したのは極めてうまくいった要因であると思います。
全てではありませんが、企業内新規事業でうまくいってるケースは本体と物理的に距離を置くという傾向があるっていうことを、ぜひ皆さん理解していただきたいと思います。
あとは、経営幹部、上司が善意の介入をしてくる。
「おまえ、それ違うよ」「こういうふうにしたほうがいいよ」「こういうような形でないとうまくいかんと思うよ」ってことを直属の上司とか役員とかトップは必ずアドバイスを良心でしてくれるんですね。
ただ、マーケットの中にいろんなWANTSとかさまざまな要望があるのであって、トップ、あるいは上司はそんなに日常、朝から晩まで市場のことを考えてるわけではないんで、企画の段階でそういうことを聞いてくるっていうところが、結果的には失敗する大きな要因になることを理解していただきたいと思います。
リクルートの江副さんは、ワンマンな人でありましたけど、必ず「おまえ、どう思う?」ってことを聞いてきた人なんですね。
リクルートの新規事業はもちろん全てがうまくいってませんが、リクルートのカルチャーは「おまえ、どう思う?」っていうことを聞くカルチャーがあって、数十年たった今でも「おまえはどう思うんだ」ってことを新入社員にも問う会社なんですね。
そういう意味で、善意の介入をする前に「おまえ、あなたはどう思う?」っていうカルチャーは非常に大事です。
もう1つは、「俺たちのときはこうだ」っていう過去の成功体験に基づく判断。皆さんの会社の中でもそうだと思いますが、ある程度の規模感の歴史のある企業は創業者が社長をやってるっていうケースがほとんどないんですね。
今の経営者を批判する話ではもちろんありませんが、世の中の経営者の多くは、オペレーショナルな世界で運営、マネジメントで社長になってこられた人が多いんです。起業とか新規事業の判断と経営のオペレーションの判断って全く似て非なる世界があるんで、その辺のところが結構落とし穴になってしまうことがあります。
そうは言っても、自分のところのボスや役員がそういう判断をすることに対して、当然、仮に皆さんが新規事業やる立場になったとしたら「お言葉ですが」ってなかなか言いづらいと思うのですが。
そのときこそ、いろんな外部の人たちの力を借りて、判断基準値を明快にして、直感だとか、何となくそれはだめだ、みたいな話ではない、仕組みをつくるかということが非常に重要だと思います。
あとは、いろんな関係者が関わりすぎると、事業案って丸くなってしまって、エッジのないものになってしまう。何人か皆さんもうなずいていらっしゃいますが、これもすごく大きな失敗の要因になることです。
あと、経営資源、アセットが使われてない。お金とか、目に見えるものではなく、目に見えないアセットをどのぐらい使うかが大事だと思うんですね。
目に見えないものを使っていったほうがうまくいくケースが多いと思います。経営資源をフルに使っていく事が大事です。
また、計画の段階で「あ、これは失敗するな」と思うプランは、具現化するための経営の要素、要因が何なのかっていうことが明快にイメージングできてないと大体失敗します。
このことをやるためには、絶対これとこれとこれは要るよねっていうのがイメージできてないと失敗します。
料理をつくるとき、例えばゴーヤチャンプルーをつくるときに、当たり前だけど、ゴーヤがなければ作れませんが、どんなオイルがいいのかとか、どんな豆腐がいいのかとか、どんなコンロがいいのかとか、どんな火加減が必要なのかとか、この辺のところまでイメージングしないと、美味しいものは作れないですよね。
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