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森川亮・スピーチ(全1記事)

「日本の大企業は動物園。ライオンすら自給自足ができない」 LINE元社長・森川亮氏が挑戦をつづける理由

2015年3月にLINE代表を退任し、ファッション動画サービス「C CHANNEL」を立ち上げた森川亮氏がSLUSH ASIAに登壇。自身の経歴を振り返りつつ、好調のLINEをやめ、「C CHANNEL」を起業した理由について語っています。(SLUSH ASIAより)

音楽好きが功を奏して、エンタメ業界志望に

森川亮氏(以下、森川):この機会を光栄に思っております。私は森川亮です。LINEの元CEOで、現在は「C CHANNEL」のCEOをしています。今日は、私の変わったキャリアと独自の経営スタイルについて話そうと思います。

子供の頃、私はよく歌をうたっていました。CMソングなどを歌っていたのですが、中学生になると高いキーが出なくなったのでバンドでドラムをするようになりました。

ドラムを練習するようになってから、皆がプロのドラマーになろうとしているわけではないと知り、私はショックを受けました。それが、私がエンターテインメント業界を変えようと考え始めるきっかけとなったのです。

筑波大学ではコンピュータサイエンスを学び、日本テレビに入社しました。4チャンネルですね。そこではデジタルビジネスを手がけ、うまくいってました。

しかし、幹部達はそれにあまり興味がありませんでした。利益が出ているビジネスがある時に、新規ビジネスはしなくてもいいという考え方でした。すでに大きなビジネスができあがっていると、会社は変化をしないのだと私は気づきました。

そこで私はソニーに転職しました。「ネットワークサービスの会社に変わらなければならない」と、ソニーのCEOはそう言っていました。コンテンツと端末を繋げようとしていたのです。そのアイデアは私がしたかったことに、とても似ていました。なのでソニーでは、トヨタ、東急と合併事業を立ち上げました。

それはブロードバンドビジネスで、うまくいきました。しかしソニーからきた古株の社員が合併事業をコントロールしだしたので、それに私は疲れてしまいました。

スピードのはやいネット業界では、日本式経営は使えない

その後、私はNHNでオンラインゲームビジネスを担当しました。2007年に私はNHN JapanのCEOになり、NAVER Japanを創設しました。当時のライブドアがサーチコンテンツだった頃です。その頃の私はスマートフォンビジネスにフォーカスすることにしました。

2011年に震災が発生し、外国人従業員が日本を離れてしまったことから、私は焦っていました。しかし同時に、スマートフォンのコミュニケーションにおけるチャンスも発見しました。

震災前は、人々はインターネット上のバーチャルのコミュニケーションを求めていました。しかし震災後になって、人々は本当の友達や家族との、リアルなコミュニケーションを求めるようになりました。そうして私達はLINEサービスを発達させました。

LINEは急成長し、今や世界中、特にアジアで相当な人気があります。しかしグローバルビジネスやグローバル経営を実行するのは大変なことでした。私がCEOになって最初の頃は、日本式のマネージメントでやっていこうとしていましたが、失敗してしまいました。

特にインターネット業界のマーケットは変化がはやい。最初、最も巨大な会社はYahoo!でした。そしてGoogleがその位置をとり、今はFacebookは業界内で非常に強力です。水の如く変化するこの業界で、私達は川のように変化する必要があると考えました。しかし日本人は変化が嫌いです。これは日本の会社と業界においての問題点だと私は考えます。

なので、そういった習慣を変えようと思いました。ダーウィンは『進化論』で有名ですが、彼はこういうことを言っています。「変化する種が生き残る。強いものでも賢いものでもない」と。

日本人は定例MTGをルーチンワークと捉えてしまう

私は会社のために決断をしました。プランを建てることをやめたのです。常に変化するマーケットでは、各四半期ごと、毎月、時には毎週、変化する必要がありました。

しかし日本人は計画変更を好みません。なので、計画を作ること自体をやめました。定期ミーティングもやめました。なぜなら日本人は、定期ミーティングをルーティーンワークと捉えてしまい、ただのプロセスと化してしまうからです。結果に注目しなければいけない。そうして、本来の仕事に集中するために、情報のシェアをやめました。

日本人は、プロセスに目を向けたがりますしマニュアル作りも好きです。でも大事なのは結果なのです、特に変化が激しいマーケットでは。

日本の大企業は動物園にも似ていて、そこではライオンすら自給自足ができない。今、変化するマーケットでは、エサは自分で確保しないといけない。私達はひとつの生命体のように変化し、自分自身で独自のビジネスを作っていかなければならない。

私の経営スタイルは、言うなればサッカーみたいなものです。サッカーは野球より柔軟です。日本の経営スタイルは野球みたいなもので、非常にカタい。バッティングオーダーを送り、ポジションを決め、中心プレーヤーがホームランを打たなければならない。

しかし迅速な変化が求められる現在は、皆が中心プレーヤーでなければならない。全員が走ってドリブルし、ゴール前でパスなんてしている暇は無い。これは非常に重要なことなのです。

ですから私の動きは早いです。今月もそうです。「会社も大きいし有名だし、新規ビジネスとかしなくていいんじゃない?」こう言う人が多くいますが、私は変化していきたいし、新規ビジネスを生み出したい。特に、私はエンターテインメント業界を変えたいのです。

LINEをやめて「C CHANNEL」を立ち上げた理由

今月「C CHANNEL」という新しいサービスをスタートさせましたが、皆さん楽しんでくれてますでしょうか? 

(挙手を求める) 

あ、そんなにいない。アクセスお願いします(笑)。

(会場笑)

この新しいサービスをぜひ楽しんでください。エンターテイメント業界を変えたいのですが、特にブロードキャスティングビジネスを変えようと思っています。

私達はタテ画面にすることにしました。最初、ゲームはヨコ画面でした。しかし今は、パズドラのようにタテです。なので動画もタテに変わると思ってます。そしてそれが、よりよいスタンダードになれると思います。

今ではスマートフォンを使うジャーナリストだっています。iPhoneとかスマートフォンとかで動画は撮れますし、それはエンターテイメントビジネスの進化のようなものです。そういうふうにしてエンターメントビジネスを変えていこうと思っています。

最後になりますが、変化は力であり、未来です。ありがとうございます。

司会:退場されるまえに聞きたいのですが、すでにうまくいっている中で、なぜファッション動画サービスに行こうとしているのでしょうか? そのやる気ってどこからくるのでしょうか?

森川:現在、若者のためのメディアというのはまだ多くありません。若者が未来を変えると思っているので、彼らのための新しいメディアを作りたいのです。

司会:ありがとうございます。

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