2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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岩瀬 はい。ちょっと今教育の話が出たので、金丸さんにお話しいただきたいと思うんですが、今日いろんなアントレプレナーを見ていて、先天的な・ジェネティックな部分もあるし、でもやっぱり教育ないし社会がそういう人たちを育んできたっていう、後天的な教育の成果ってあると思うんですね。そういった意味から、どういう風な教育改革が必要なのか、ということをお話しください。
金丸 はい。あの、先ほど裏で、私は教育について話をしてくれ、ということだったんですが、「それ以外にも自由に話をさせて」と言っておきました。
アメリカの話も1通りではなくて、東海岸にいらっしゃった人は我々と似たような雰囲気で、先ほどのジョイ(伊藤穣一氏のこと)の話じゃないですけども、ローリスク・ハイリターンとまでは言わないまでも、ミドルリスク・ミドルリターンぐらいが良いんじゃないか、と勧める環境にあるっていうことは、まさしく我々と似た環境だったなあ、と思いました。
そういう話を聞けば聞くほど、むしろ逆に言うとシリコンバレーって言うのは、本当に色んな意味で、起業する環境が社会からの賞賛も含めて揃っているなあ、ということを思った次第であります。今日の私の感想のほとんど全てはですね、ニコラスさんからも言われたんですけども、「環境だけのせいにしてはいけない」っていう非常に強い箴言もありましたので、そう思えば実は全ては私たちの心の中と頭の中にあるんだなあ、という風に思ったんですね。
心の中にあるっていうのは、今日みなさんの共通した話は、世の中を良くしようとか、さっきフィルズさんも言ってましたけど、もっと良いものを出そうとか、っていうことを思うことなので、まずはそのトリガーが自分の心にあるっていうことですよね。
今の私の担当の教育の話に持っていくと、私たちはもっと早く子供のころからリスクを取るべきで、さっきのジョイの話じゃないですけども、私の子供には赤信号でも渡れと言ってきました。要するに、青信号で渡っててよく悲劇的なことが起こるわけですから、赤信号でも車が来ていなければ安全なので、赤信号でも周りを見て渡れ、とそういうようなことを言ってきたわけです。それがまあ、リスクテイクに習慣的には繋がるんじゃないかと思いますが。そう言う意味で、(三木谷氏が金丸氏に耳打ち)あ、そっか。ストリーミングでしたね。警察の方がいらっしゃったら申し訳ありません。
それで、教育の話なんですけども、私が見てきたことで、最も我々日本が考えを新たにして今からすぐに実行しなければいけない、と思ったのは子供の教育でございます。さっきも裏でですね、いきなりこのシートを用意しろと言われて、3分ぐらいで用意しちゃったんですが。
これは昨年の秋にデンマークに行ってきた際の教室の風景なんですけども、これは皆さんパッと見ておわかりになられますか。これはキーボードのレイアウトなんですね。キーボードのレイアウトが床に敷いてありまして、このキーボードのレイアウトの所にデンマーク語のカルタを置いて、そのカルタに書いてあるアルファベットに子供がジャンプして飛ぶっていう。体を動かしながらブラインドタッチを体ごと覚えるっていうことを小学校1年生からやっていました。
次はですね、これもデジタルターザンプログラムの一環なんですけど……。
画面の下の方に平均台がありまして、これは今子供が渡ろうとしているところです。この平均台は大して高くないんで怖くはないんですが、渡ると、渡ったあとに向こう側の画面に電子黒板みたいな大きなものが見えています。これは全部の教室に各一台ありました。UFOみたいな写真が出てますけど、これは算数の問題でして、この平均台を渡って体を動かした後に算数の問題を解く、ということをやっているんですね。これはどういうことかというと、子供のころからデンマークの人たちはITリテラシーを高めておくと、将来大人になった時に国際競争力が増す、と。こういうお話でございました。
次は高学年の5年生の生徒なんですけども、これは算数の問題を解いています。
そのお子さんの特性によって、文章問題が得意な人には文章問題、図形が得意な人だと、わざと文章問題を絵にしてあげて、先生がひとりひとりの個性に合った問題に変えて出している、ということをやっていました。しかもこれも、算数の問題を紙の教科書を使わないでわざわざパソコンを使う、と。これもITリテラシーを向上させて、将来の国際競争に備える、ということであります。
我々の世代も今日集まって、これから頑張ろうっていう話をしてたんですけども、もう今皆さんのお子さんがいらっしゃると思いますけども、子供の世界でも日本の教育との差が相当ありますので、そういう意味では、将来、10年後、20年後にまた同じように今日みたいなカンファレンスが行われた時のITリテラシーは、今の我々の世代よりももっと差が出ている危険があります。
私は先ほどの「自分が思ったことの具現化をする」ということのためにも、できる限り早い段階でプログラミングの基礎ぐらいは、そろばんを我々が持った時と同じようにできるよう、教育課程を変えたほうがいいんじゃないかとおもいます。また同じように、ビジネスの分野でも、マーケティングであるとかですね、そういうビジネスの分野に直結したものを教育の課程の中に入れたほうが、自分たちの教育と社会の現場が繋がって良いのではないかという風に思いました。
岩瀬 ありがとうございます。じゃあ、次に熊谷さん。今の話で、リスクリターンに対する姿勢みたいなものと、あとはリスクを取った人が報われる環境整備ということで、税制の点についてもお話しいただきたいなと思ったんですが、最初に2日間の感想をお話しいただいて、それから税制面での提言というかご意見をいただければと思います。
熊谷 2日間の感想はですね、他の皆さんと一緒なんですけども、日本の良さを再発見できた。あと、海外の方はそういう風に見ていただいている、っていうことに僕も感激しました。
ルイ・ヴィトンのモノグラムというのが、日本の家紋からインスパイアされて今からすごい前に作ったという話を聞いたことがあるんですけど、確かにデザイン力、日本はすばらしいので、良い所を伸ばしていける、良い所を伸ばす、という方向性で、またこの提言書も、政府がだめだ、税制がだめだとかそう言う話じゃなくて、日本の良い所を伸ばすっていう角度の記述ができて、政府に提出できたらいいなあ、と思います。これが感想です。税制に関してなんですけれども、僕税金の専門家じゃないし、CEOでありましてCFOではないので、ちょっと正確なお話ができるかどうか自信がないんですが。創業して一番最初に苦労したのは、お金の調達ですよね。これはもう古今東西、ベンチャーみんな同じだと思うんです。今みたいにちょっと景気が良くなってくると、ばーっと調達できるタイミングもあるんですけど、総じて日本は資金調達がしづらい。
ベンチャーの存在そのものがまさにイノベーションに直結するというね、ベンチャーの存在がイノベーションそのものだ、という風に言わせていただきますと、その血液である資金の供給というのは潤滑にできるようにしたほうがいいと思います。自分の苦労を鑑みてもですね。
で、米国なんかだと、3つの大きな資金の流れがあるという風に思ってまして、1つはVCの投資。それから、もう1つは個人の成功した経営者が、個人でエンジェル投資をする、という流れ。そして3つめは、政府が直接動けないようなところっていうのは、財団法人であったり、そういう堅い所の資金がベンチャーに向いている、と。
この3つの流れが米国なんかではあるようですけども、まず日本の現状っていうのは、たとえばVC投資だと、年間1000億円ぐらいの規模です。これが大きいか小さいかって言うと、米国の20分の1っていうような統計数字が出ているようです。対GDP比でも、日本の場合0.02%、米国の場合には0.2%。このような形の違いがあるようです。
VCが投資しやすくする環境というのを整える必要があって、そこにはやはり税制が非常に大きく絡んでいるという風に思います。僕の経験だと、日本のVCさんの場合には、資金がVCそのものに供給されづらいので、資金集めにVCさんが苦労されるので、やっぱり投資した資金に対してものすごい厳しいわけですね。
実際に、あるVCさんの投資契約書とかって、結局一言にすると「事業に失敗したら個人で返してください」って言う内容なんですよ。平たく言うと。それって融資じゃないですか、と。投資じゃないんじゃないですか、と言うような内容の契約書もあるぐらいで、やっぱりVCさんがもっと寛容にたくさん投資できるように、VCそのものに対する資金の流れを、税制などを使って強化していったほうが良いという風に私個人的には思っています。
あと、2番目のエンジェル税制に関してなんですけれども、ちょっとこれも調べましたら、エンジェル税制は97年に作られてます。16年目に入ってます。しかしながら、過去にこのエンジェル税制を使った方は4700件。総額なんか、わずか80億円だそうですよ。さっき三木谷社長ともお話ししたんですけど、三木谷社長もご成功されて、ご自分が色々とご投資をされたんですけど、(三木谷氏のほうに乗り出して)何件でしたっけ? エンジェル税制を使われたの。
三木谷 通算、適格だったのは3件だけです。まあ、100件ぐらいはやってるとは思うんですけど。
熊谷 100件ご投資されて、3件しか通らなかった、というようなことがあるそうです。やっぱり、どこかに使いづらい問題があるんだろうな、と。だからここはやはり的確に変えていかなければならないと思います。しかも、エンジェル税制ですけど、ライブドア事件以降ですね、東証さんがね……。
私どもも今、現状グループ上場6社ございますけども、うち5社はオーガニックに上場させました。ですからもう、ありとあらゆる上場審査を我々は受けてきてますけど、非常に上場審査で株主審査が厳しいんです。で、株主は、それこそ身元全部調べられますね。もちろん反社会勢力が入らないように、という配慮なんですけども。で、個人投資家がいると、三木谷社長だったら問題ないんでしょうけど、一般の方が投資されたりすると、その方をもう根こそぎ全部調べる、と。
だからやっぱり、このエンジェル税制でエンジェル投資をさせようという政府の動きと、一方東証さんのそういう厳しい審査というところが、ちょっとちぐはぐ感がありますので、税制と同時に東証さんまで含めてその辺がうまく回るような仕組みっていうのが必要だと思います。そして3番目の件に関しては、僕はいまいちちょっと不勉強ですが、ジョイが非常に詳しいと思いますので、3番目の米国との違いの件に関しては、一言ぜひお願いできたら、と。
伊藤 一言話しますと、僕は今、ナイト財団ていうのとマッカーサー財団ていうところの理事をやっていて。外国人なのに。マッカーサーは今5000~6000億円ぐらいの資産で、ナイトが3000億ぐらいで。トップのアメリカの財団15件入れると、だいたい年間1兆円切るぐらいのお金を毎年5%寄付しなきゃいけないんだよ。寄付もベンチャー投資もしていいのね。
僕も先々週ワシントンDCにいたんだけど、ワシントンのトップの人たちが「Joi, 教育やってくれよ」と。政府ができないところのお金は、結構財団がやってるの。国際裁判所もうちのマッカーサー財団がやってるし、もうホントに民間のあらゆるところが。これは結構税制-本当は税収入にして国が出す-って言うのがたぶん日本的な考え方で、アメリカは独立した財団にしっかりした理事を入れて、そこを税金から守ってあげる代わりに、そのお金をちゃんと社会のためにやる。
もう桁違うよね。1兆円あれば結構できるんだよ。国はやっぱり遅いから、小回りがきくちょこちょこしたやつ、もうホントうち、500万ぐらいのやつをバンバンバンバン出したりするんだよね。ベンチャーと繋がるのは、マッカーサーもナイトもそうなんだけど、ベンチャー投資もやって、社会的に意義のあるベンチャーに投資するとかいうのをやっています。
civicsという言葉があって、国民が国の運営に関わる方法っていうのがすごく大事で、やっぱり日本って言葉がないぐらい、国民が国のやるべきことに直接関与しちゃいけないっていうので、提言はするけども自分たちでやるっていうのがない。税制ってすごくそこにも繋がってると思うんだよ。
熊谷 ありがとうございます。以上3点で。あと、最後におまけなんですが、証券会社も経営しつつベンチャー企業も経営している僕と三木谷さん、共通点なんですけども、株式の未上場株式と上場株式の損益通算が3年後には廃止になるっていうお話があるようですよね。これはぜひ、ベンチャーの存在そのものがイノベーションに通ずるんだったら、ベンチャー企業に対する資金の流れを弱めるようなこういうことは、やめていただきたいですよね。はい、以上、税制に関してでした。
岩瀬 ありがとうございます。では、藤田さん。同じく2日間の感想と、あとは藤田さんにコメントいただきたかったのは、今言ったような、国が起業家を応援する仕組み・風土作りの中で、政府が果たしうる役割っていうのがあるのか、ということと、あとは、人材の誘致とか企業の誘致という面で、今日もいくつか議論出たと思うんですけど、国ができること。そういったことについて簡単にコメントいただければと思います。
藤田 はい。まずはこの2日間の感想なんですけど、この「新経済サミット」、新経連が発足した時から三木谷さんが「これだけは絶対に成功させるんだ」とずっと鼻息荒く(笑)おっしゃってたんですけど、僕の感覚では大成功じゃないかな、という風に感じています。
僕は新経連の中ではアントレプレナーシップの分科会の委員も兼ねているんですけど、その中で、今回の「新経済サミット」をやって本当に世の中的にすごく良かったな、と思うのは、まず昨日の段階で安倍総理がこのイベントのために2回お越しになって、話し合う機会を作ってくれた、と。これが大きく報道されていた、ということがあるんですけれども。
政府にお願いしたいことの1点目として、政府から力強い応援があるというのが、非常に意味がある、と。これは思い起こしてみるとですね、2000年の当時の森総理がIT革命という打ち出しをしていた。あの、「イット」って読み間違えたことばっかり有名になっちゃいましたけど(笑)。
IT革命というメッセージを出してくれた時は、僕のような起業家も本当に世の中に正しいことをやっているんだ、と非常に勇気づけられて仕事ができましたし、中で働く社員たちもITで変革を起こすことが国益にかなうんだ、という風にすごく活気づいていた時期がありましたし、起業を目指す人もどっと増えたという時期がありました。やっぱりそういう明確な強いメッセージが欲しい、と。
これはアベノミクスの初期の段階でインフレターゲットの話をした時、雰囲気ががらっと変わりましたけれども、それと同じように、非常に強い覚悟を持ったようなメッセージが欲しい、というのがあります。それとあわせてですね、メッセージだけじゃなくて、いくつか制度的なものもあったらいいな、と思います。
例えば、多くの雇用を生み出して沢山税金を納めて、社会的にすごく良い影響を与えたような起業家を表彰する制度とか、ハッカソンのようにプログラマの参加を促すような制度とかはあったほうが良いと思いますし。あとは、こういった方針を打ち出す際に、制度ももちろんなんですけど、一番効くなあ、という風に僕も企業経営をしていて思うのは、シリコンバレーのような特区だとか、物理的な建物があるとすごい良いな、と思うんです。
これはサイバーエージェントを経営していて、今は正社員・それ以外を合わせて5000人ぐらいスタッフがいるんですけど、非常に重要な打ち出しをする時に、今、我々で言うと「打開と改善」がインターネットビジネスで大事だということで、常に「打開と改善」をやるように言ってるんです。けど、なかなか伝わらなかった。それが、打開部屋と改善ルームというのを2個ですね、非常に無駄なんですけど会社内に設けまして、で、物理的なものを設けたら、みんなそれが当たり前だとして、「打開と改善」をやり始めた、という傾向があるんです。
そのようなですね、象徴的な建物だとか区域というのを作っていただけると、メッセージが伝わりやすいと思うんです。なかなか特区を作るというのは難しいし、時間がかかるかもしれないんですけれども、例えばアジアの研究開発の拠点となるようなインキュベートセンターを作るとか、アントレプレナーシップとかグローバルを題材としたビジネススクールを作るといったことも有効だと思います。以上です。
岩瀬 ありがとうございます。では石田さん、同じように2日間の感想と、石田さんは特に1つ前のセッションでオープンプラットフォームの重要性ということを訴えられておりましたが、技術面からの提言等あったらお願いします。
石田 はい、2日間、起業家としてずっとセッションを聞いてたんですが……あの、起業家って結構孤独なんですね。で、いろんな意味があって、自分自身で問題点を解決しないといけないところもありますし、相談できる場合も相談できない場合もありまして、最近藤田さんが書かれた「起業家」という本を見て、非常に大きく頷く場面があったんですが。
起業家が集まったこういうような団体っていうのは、やはり他の団体とは違う、実効性のあることを次々に打ち出していくところで大きな特徴になるのではないかな、というように思いました。あとは、先輩の経営者の話であったりとか、シリコンバレーの話などを間近で聞くっていうことは、非常に大きな機会だったなあ、と思っています。我々自身にとってもとても大きな学びの会になったと思いました。
僕自身、この理事の中での理系&テクノロジーの担当をしておりますが、今のITの中、ITだけじゃなくて日本の産業の中で、継続性を考えていく時に重要なものは、電力の問題というのが出てきています。今の状況で経常赤字になっているような状態もありますので、電力問題に関して言うのは、そこにちゃんとイノベーションであったりとか、新産業が入るような道筋を政府にはしっかりとつけていただきたいな、と思います。
三木谷さんもよくおっしゃってますが、自分たちはお金が欲しいんじゃない、と。とにかく規制緩和してくれれば自分たちがやる、と。これが本当に起業家であり新産業の非常に重要なポイントだと思います。ですから、発送電の分離であったりとか、ネガワット取引であったり、さまざまな論点がありますが、ここだけは決して後ろ向きにするのではなくて、前を向いて進めていただきたいな、と思っています。
あと、もう1つ先ほどの村井先生とのセッションでありましたが、通信というのはプラットフォームです。通信のプラットフォームの上でいろんなアプリケーションであったりサービスであったりが生まれてきます。ですから、プラットフォームは常にオープンでないといけませんし、そこに対していろんな規制がかかるべきものではない、というように信念を持っております。いろんな意味で、通信というのは国のインフラと言うこともありまして、規制がかかる。それからまた、新しい独自のものをですね、なんかまたガラパゴスのようなことをやろうとするような動きもたまに出てくることがありますが、そういった所にはしっかりと反対していきたいな、というように思っています。
あと、2日間の中で本当に皆さんがおっしゃっていたことで、ジョイさんもおっしゃっていましたけど、やっぱり変人が重要である、と。で、変人ばっかりだと世の中カオスになってしまいますので、それをサポートしないといけない、と。そういったところで、ジョイさんも解説やられていましたTEDの方でですね、結構有名な"how to start a movement"っていうビデオがありまして、それをぜひともみなさんに観て欲しいんですが。
ある草原で上半身裸の男の人が踊り出んですね。普通だったらそのまんまなんです。そこに、ある他のフォロワーがついたんです。一緒に踊り出す人がついたんですね。そうしてくると、今度どんどんどんどんそこに参加する人が増えてきて、あるところで、逆に言うと、人数が増えていくこと自体が情報になり、価値になり、そこに参加しないといけないムーブメントができてくる。
こういったのが、起業家だけではなく-そこに飛び込んでいく起業家ではなくて-、それをフォローしていただく1人めの人には、みなさんなれるんじゃないかな。その中でのコメントとしては、1人のフォロワーが1人のバカをリーダーに変えてしまう。そういうような、フォローしていく、フォローしている人を賞賛していくっていうようなマインドセットってのも重要なんじゃないかな、と感じました。
岩瀬 ありがとうございます。では、いよいよ時間も参りましたので、私から簡単にまとめさせていただいて、あとは最後に三木谷さんから総まとめをいただければと思います。
私が今日、この2日間で一番印象に残っている言葉、それはずっとなんとなく感じていたものをフィルが表現してくれたんですけども、"Japan is on the version on entrepreneurial Renaissance."「日本はまさにアントレプレナーシップのルネッサンスに入ってるんじゃないか」ということで、何かが変わるかもしれない。そんな予感と期待を持っています。
ニコラスからさっき、スウェーデンではSkypeという成功例が生まれたことで社会の風土が少しずつですが変わった、という話があったんですが、我々も願わくは今日のこの日を1つの象徴的な日として、これから変わっていければいいな、と思っています。で、今、議論の最後に出たポイント、7つあるのかなあ、と思いました。
1つ、これは1番大切なんですが、風土として、挑戦する人・起業家を賞賛する社会をみんなで作っていこうじゃないか、と。ジョージが「みんな、立て!」ってやってもらったと思いますけど、ああいう形で、出る杭を打つんじゃなくて、挑戦する人たちを賞賛する、そういう社会を作っていくべきじゃないか、ということが1つ。
2つめで、国がそれを応援する仕組みですとか、インフラ特区みたいなものを作る。そういった国の役割というのもあるんじゃないか、ということです。
3つめのポイントは、これもフィルの言ったことですけど、日本は本当に素晴らしい強みをたくさん持っているんだから、卑下することなく自信を持って日本の強い所をどんどん伸ばしていこうじゃないか、と。もう欠点をあんまり言わなくていいんじゃないか。そういった点が印象的でした。
4つめは、ニコラスが言ってくれたことですが、グローバル化。世界を見よう、と。最初から世界を見て挑戦していこう。若いうちから旅をして、留学して、言葉を学ぼう。そういったことが印象的でした。
5つめがですね、教育改革。金丸さんからデンマークの例を画像で見せていただきましたが、やっぱり教育を変えていかないといけないんじゃないか。そういうふうに思います。6つめ、だんだん数えてわかんなくなってきたんですけど(笑)、税制改革。熊谷さんとジョイさんが話してくれましたが、リスクリターンのインセンティブというものを構造的にきちんとしなければいけない、と。
あとは、最後は三木谷さんが冒頭に言われた、規制改革。
そういった7つのメニューをもってして-それ以外もいろんなことがあると思うんですけど-やっていくことで、今日この日を1つの出発点として日本でも"entrepreneurial Renaissance"ていうものが進めばいいな、と感じました。では、三木谷さん、最後お願いします。
三木谷 本当に、お忙しい中ご参会していただきまして、どうもありがとうございます。この後またパーティーもありますけども、長時間に渡りいろんな議論をしていただいて、非常に、私自身も目が……"eye opening"って言いますかね、本当に「ああ、そうだな!」っていう気づきもありましたし、また、日本というものを見つめ直す良いチャンスになりました。
今年のテーマはですね、"Destructive Internet"ということで、世の中本当に大きく変わりつつあるんだと思うんですね。で、今回はベンチャー的な話が中心でしたけども、実はこれは日本の大企業にも非常に影響のある話だと思っております。サムスンのDJ・リーという新しい社長は、私の親しい友人でありますけども、彼はもう超アントレプレナーですよね。やはり、スマートフォンの将来が、僕も思いつかないような戦略を考えていっている。
そういう人たちを大きな企業も相手にしていかなくちゃいけないし、将来的にはもしかしたらグーグルがトヨタのコンペティターになるかもしれない、という世界の中で、イノベーションとアントレプレナーシップ。これが日本の経済のドライビング・エンジンなんだ、ということをですね、もう一度-2回も安倍総理が来てくださったので、本当に、心の底からご理解いただいているんだなあと思いますけども-我々新経済連盟としては、今後も粘り強く政府のほうに働きかけていきたいと思いますし、また皆さんのほうに色んな形で情報共有なり、啓蒙活動をやっていきたいと思っています。
最後に、気が早いですが来年の話ということで。今年はですね、ニコラスを除き、日米の参加者を、ということだったんですが、来年はもう少しですね、場合によっては期間も延長し、そしてアジア・ヨーロッパのアントレプレナーも集めて開催したいと思っています。
また、今日議論できなかったエネルギー論。これもですね、シェールガスっていうのはすごいんですよね。本当に、インターネット革命と並ぶぐらいのエネルギー革命が今起こっております。日本であんまり議論されてません。いろんな政策的な理由があって、敢えて報道されていないんじゃないかなあ、という風に思っていますが、こういう問題をですね、この新経済サミットでは積極的に取り扱っていきたいと思っていますし、また、先進医療についても、今後テーマとして取り組んで、幅の広い、世界的なイベントに発展させていきたいという風に思っておりますので、ご期待いただければ、と思っております。どうもありがとうございました。
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