【3行要約】
・人の何倍も努力して会社を伸ばしてきたのに、なぜか社員がついてこない。そんな孤独や限界に悩む経営者は少なくありません。
・自身の挫折を経験した坂東放レ氏は「『経営者とはこうあるべき』という鎧を脱ぐことが必要」だと、ありのままを語ります。
・会社への依存から抜け出し、経営者自身が「本当はどうしたいのか」を見つめ直す、自律のヒント。
前回の記事はこちら 経営者にとっての「自律」
坂東放レ氏:この人間中心、社員中心っていうことを考えた時に、「自律」っていうのは、経営者にも突きつけられてきて、厄介なんですよ。経営者自身がまず自律していること。本当は、自分は何したいのか、どう生きたいのか。それが中心にあって、それを経営に発露させていくことができると、こういった組織は作りやすくなるんです。
経営者が「俺はもっとガンガン会社伸ばしていきたいし、そのために社員は自分の言うことを聞いてほしい」と心の中では思っているんだけど、それを本音では言えないから、社員には「自由にやっていいよ」、みたいなことでは通用しないんですよ。
経営者自身が自分自身を生きることと、手放す経営っていうのはリンクしてきて、それがこの9年ぐらいめちゃくちゃ模索してきたことでした。結局、僕自身ってどうしたいのかなと。
経営者としてうまくいかなかった理由
僕はもともと、ゴリゴリの営業会社でバリバリと働いてきました。もともと自分にはぜんぜん自信もなかったし、価値がないなって思っていた。だから、人より2倍も3倍も努力しないと人並みになれない、会社にいられないと思って、めちゃくちゃがんばってきたんですよ。
がんばってきて、それなりには実績は出してきたかなぁって思うんです。経営者になってからも、それなりの経営者になってやると。そのために人の2倍、3倍がんばって、めちゃくちゃ会社を伸ばしていって、いっぱしの経営者と思われたい! みたいな、そういうエゴがあるわけですね(笑)。
そう思ってがんばってきたんですけど、うまくいかない。会社は伸びてきたんですけど、社員がぜんぜんついてこない。死んだ魚の目をしているなぁ、みたいな。
じゃあ管理してるのがいけなかったのかなぁと思って「管理をやめる」って言って「これから自由にしていいよ」って言ったら、社員がババッと、半分ぐらい辞めちゃったりしてですね(笑)。本当に切ない思いしかしていないんですけど、「なんでかなぁ」みたいな。
経営者の鎧を脱ぐと
結局僕自身が「経営者とはこうあるべき」みたいなことをずっと握りしめていて、そのためにそのやり方ばっかりいろいろ変えようとしてきたんです。でも「経営者である前に、坂東放レという人間は、本当は何をしたいのかな?」みたいなことに気づいていなくて。
ずーっと経営者の鎧、ビジネスパーソンとしての武器を磨いてきて、それで戦って生きてきたんです。この鎧を脱ぐ、本当にしたいことをするという時に、「本当にしたいことがよくわかんない」と止まってしまって、その模索を繰り返してきたわけです。
でも、世の中の社員だけじゃなくて、経営者の方もそういう人が多いなぁと思っているんですよ。こういった手放す経営を実践していくと、経営者が自分らしく、自分を発露できるようになることも起きています。
さっきのG社の川添克子さんという代表の方は、4年前にこの『DXO』を導入して、自律分散型経営を丸4年やっているんですね。

「
『DXO』をやるって決めたことが、20年の経営者人生で一番いい仕事したって思う」って言ってくれているんですよ。これが僕はすごくうれしいなぁと思っています。
管理を手放したら、やりたいことができるように
この会社でなくなったこと、できたことっていうのは、さっきも書いたように、誰でも意思決定ができるし、稟議もないし、経営計画書もない、売上目標もないみたいなことをしたんです。
代表の川添克子さんが実際にどうなったかっていうと、すごいきちっとした会社で、事業計画立てて、それを月次に落として、週次に落として、日次に落として、きちっと管理しながら進めていくっていうことで、すごく順調な経営をされていたんです。でも管理とか、本当は嫌だったそうなんですね。
管理業務がだいたい社長としての仕事の半分ぐらいあったのが、1割に減ったそうなんですよ。会社にいる時間も、9割会社にいたのが、週に1日~2日になって。
今までは社長としてやらなければいけないことがだいたい仕事の9割を占めていたと。だけど自律分散的な組織になって、本当に自分のやりたいことに集中することができるようになって、やらなければいけないことは1パーセントになって、やりたいことが99パーセントになったっていうことで「めちゃめちゃ自分のご機嫌度が増した」って言ってくれているんですよね。

本当にやりたいことは、こちらに書いてあるとおり。新規事業の開発とかをすごいやりたい人なんですよね。今、そこに全力集中しています。会社は自律分散的に自主経営で回っているんで、みんなを管理する必要もないということで、自分もいいし、みんなも良くなって、すごくいい状態にあると。
結果的になんですけど、会社の売上も上がっているし、利益も上がっているんですよ。管理を手放して、目標も手放してるのに、売上が上がっている。社員の給料、報酬も増えているっていうことになっているんですよ。
「自分はどうしたいのか」を探す旅路
もし経営者自身も本当にやりたいことができる、社員も自分のやりたい仕事ができる……もちろん今までどおりがいいっていう人はそれでもいいんですよ。何か提案したいなってことは提案しやすい。
そういったことができながら、業績も結果的にちゃんと事業が推進するかたちで成り立っていくことができるんであれば、そのほうがよくないですか。こういう選択肢を世の中に提案していきたいなぁと思ってですね。
この手放す経営とか自律分散型経営は、まだまだほとんどの人が知らないと思うんですけど、こういう選択肢があるよと。その時に経営者自身も社長自身もどうやって生きていくのかって問われると、やっぱり経営者の会社に依存していたなと僕自身は思うんですね。
社長と呼ばれたらやっぱ気分もいいし、「苦しゅうない」みたいな感じで思って(笑)。そう思っていても、「結局僕はどうしたいのか」みたいなのが常に問われ続けて、自分を見つめ続ける旅路が始まっていきます。
僕はうまくいっているわけじゃなくて、今も自分自身を見つめ続けていて。自分は何を大事にしたいのか、手放す経営ラボで何をしたいのかみたいなことに、昨日もまさに直面していました。
「こうしなきゃ」と思う自分を許し、手放す
僕、昨日から仙台にいるです。一緒に会社の経営をしているトミー(赤塚智高氏)という経営チームのメンバーがいるんですけど。トミーが自分の会社(
イノセントワールド)の20周年のイベントがあるっていうことで、前夜祭で入りました。
このイノセントワールドの浅井麻衣子さんという経営メンバーがいるんですけど、その人に会ったら、「バンちゃん、無理してない?」「バンちゃん、自分を許してあげて」って言われたんですよ(笑)。
「バンちゃんね、繊細だからすぐ傷ついちゃうでしょ」って。「もう虚勢張らなくていい、自分を許すっていうことが大事だよ」って言われて、ズキューンってきて、泣きそうだったんです。
自分は「経営者としてこうしなきゃ」とか「もっと会社を自分が回していかなきゃ」みたいなことを思っているんですけど「そうじゃないとダメだ」って、自分は許していないです。「俺はこうじゃなきゃいけない」ってどっかで思っていて、それがぜんぜん手放せていないんですよね。
だけど、やっぱり自分を手放していく、受け入れていくことが、体験でしかなくて。この『手放す経営』っていう本も、実践書というより、僕の体験談が書いてあります。
経営者は何を体験していくのかっていうことを、僕は一歩先にやっているなぁっていうことで、成功とか失敗とかも踏まえて、体験そのものがすごく大事なんだ。これが自律ということであり、自分を生きるということであり、手放す経営だなぁと思っています。
以上です!