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「管理」を手放したら、なぜか組織が回り始めた。 〜『手放す経営』出版記念トークライブ ✕ PAG〜(全3記事)

「意思決定できる人」が育たない会社の特徴 優秀な人が居続けたいと思う「手放す経営」のススメ

【3行要約】
・AIの普及で仕事が奪われると不安視される一方で、自ら意思決定できる人材の不足に悩む企業は少なくありません。
・手放す経営ラボラトリーの坂東放レ氏は「決定は人間のやること」と語り、社員の自律を尊重する「手放す経営」を提唱します。
・優秀な人材から選ばれ続ける企業になるために、自分らしさを発露できる意思決定の仕組みについて語ります。
前回の記事はこちら 

管理型の組織では扱われない「自律」

坂東放レ氏:さっき会社中心か人間中心かって話をしたんですけど、「会社中心」っていうのは、つまり意思決定が会社中心っていうことなんですね。「人間中心」っていうのは、一人ひとりが意思決定できる。つまり一人ひとりの意思を尊重しているっていうことで、ベースになっている。

もう1つ、今「自律分散型組織」っていう言い方をするんですけど、この自律っていうのがポイントです。自律っていうのは、自分の命からの願いを、本当に自分がこうしたいと思っていることについて、自分自身が向き合うとか尊重するっていうことなんですけど。これを管理型組織、一般の会社は、扱わないですよね。



なんでかっていうと「私は週に2日だけ働きたいんですよね。一所懸命がんばるので、週に2日だけがいいんですよ。他の会社でも仕事をしたいし、育児もあるんで」と言っても、基本的には正社員だったら無理じゃないですか。(会社に)合わせないといけない。

逆に「僕、めちゃくちゃ仕事大好きなんで、24時間働きたいんですよ。だから8時間じゃなくて24時間働くっていうことにできませんか?」って言ってもダメじゃないですか。労基法上ダメなんですよ。つまり、尊重されない。会社に合わせてもらわないといけないんですよ。自律は扱えないんです。

経営者として、管理を手放す怖さ

だけど、自律分散型組織、手放す経営のほうは、自律っていうものを大切に考えたいと。そういう人たちが今の法規制とかの中で、どうやったら一人ひとりの自律を尊重できるのか。働く場所、働く仕事の内容、それから給与とか評価とか、そういったものをどうやって相手を尊重していくのかということを中心に考える。

それを、今のデジタルツールとかAIを駆使して実現できるんじゃないかということが、この手放す経営で言いたいアプローチなんですね。

ということで『手放す経営』という本にはこういった内容も書いてあります。実際に手放す経営ってどういうステップで進めていったら安全にできるのか。この管理型組織から「じゃあ、うちは自律分散的な組織にしたい」と、「社員を中心に考える組織にしたい」って言った時に、どうやったら安全にできるのか。

これ、会社の経営者にとってはめちゃくちゃ怖いんですよ。今まで管理していたのを手放す、意思決定が誰でもできるようにするっていうのは、恐怖でしかない。会社がぶっ壊れそうな感じがするんですよね。実際に僕もぶっ壊れかけたんですよ(笑)

だから、この決められた順番でやれば、スムーズに、安全に、そして葛藤もほとんど起こらず、会社としては安全に移行できるのです。そのやり方がこの『DXO』という本に書かれています。

この中にワークショップの内容が書いてあるんです。これをやれば自律分散型組織がスタートできるので、ぜひやってほしいです。

なぜこれからは手放す経営なのか

一人ひとりが尊重され、意思決定したい人ができるっていう組織を作る、組織にするという会社が増えてくれるといいなって思っているのが、僕がこの『手放す経営』っていう本を書いた理由なんですね。

『手放す経営』(内外出版社)



ここからはよもやま話なんですけど、「なぜこれからは手放す経営なのか」ということで。こういった組織が出てきた時代背景とかがあるわけなんですよね。

それはさっきも言ったように、AIとかデジタルツールが発展してきた。中小企業であってもコストがかからず使えるようになってきたのが理由なんです。

僕が思うには、これから特にAI。めちゃくちゃみなさん使っていると思うんですけど、会社でもどんどん導入されているじゃないですか。

そうすると、怖いっすよね。「AIめちゃくちゃ使われて、仕事をどんどんできるようになっていったら、あれ? 社員っているのかな?」みたいな。「何やんのかな?」みたいなことになってくるじゃないですか。それが今、多くの会社で悩みだと思うんですよ。

AIが発達して残った“人間がやること”

AIでできることはどんどん仕事を任せていったほうがいいと思うし、そのほうが楽じゃないですか。総論ではOKなんですけど、みんな怖いんですよね。「自分のやっていた仕事がなくなっちゃったら、給料がもらえなくなるんじゃないか」とか「生活できなくなるんじゃないか」って思うのが怖いんです。

AIが発達してくると、人間のやることって何になるのかなぁと思った時に、人間は判断とか意思決定、それから実行。これが人間のやることになってくると思うんですよ。これは残ると思うんです。

AIは分析はできるけれど、判断できないですよね。決定もできない。決定は人間のやることなんですよ。それが僕らのやることなんですよね。そういうことがしたいっていう人が会社に集まってきてくれれば、会社は有機的にAI・デジタルツールを活用していって、事業推進をしていくことができるじゃないですか。

なので、そういった「したい」人をどうやって集めて会社に居続けてもらうかっていうことと、「したい」って言った人が意思決定とか判断が上手にできる体制を作っていくこと。これが、これからの会社のポイントだと思うんですよ。

意思決定ができる人になるには、練習が必要

意思決定って、ちょっと怖いし、難しいじゃないですか。特に会社のお金を決裁するって経営そのものだと思うんですけど、会社のお金を使って何かやる、(例えば)新しい事業をやるとか、マーケティングの企画をやるみたいなことって、責任が重いじゃないですか。

意思決定をしたい人ができるようになるためには、僕は練習が必要だと思っているんですよね。

経営者って、最初から経営ができているわけじゃなくて、経営しながら日々決断・判断・意思決定しているんですよ。自分以外にする人がいないんでせざるを得ない。誰かに委ねられない。だからやらなきゃいけなくて、毎日意思決定している。

僕もそうなんですけど、ほとんどの人はひたすら失敗しているんですよ。やっているうちに、つまり打席に立ってバットを振っているうちに、少しずつ打てるようになってくる。最初はポテンヒット。そのうちヒットが打てるようになってきて、2割~3割ぐらいの打率で打てるようになってくるって、そういうことなんですよ。

打席に立たないと意思決定ってうまくならないと思っているんですよね。だから社員にも、意思決定をやりたいって人はどんどん打席に立ってもらうことが必要なんですよ。

意思決定ができる仕組みにする

でも管理型の組織はそれができないんですよ。意思決定は上司とか会社に委ねるので。稟議を上げるとか、幹部会議で決裁してもらうってやっていると、意思決定の練習をする暇はないんですよ。「偉くなってから意思決定しろ」っていうことだと、意思決定したい人って打席に立てないし。

「今したいのに」と。「お前、10年経ったら課長になるけど、課長になったらこんだけ意思決定できるぞ」みたいなことって、「もう今の時代のスピードの速さからしたら遅いわ!」みたいな感じじゃないですか。

だから、意思決定したかったら今日からでもできると。入ったばかりの人でもできる、しかも会社が安全な状態でできるっていう仕組みにすれば、「僕AI使いこなして作業は全部任せるんで、意思決定したいんですよ」っていう人は、会社にいやすくなるじゃないですか。

これから超絶な少子化、高齢化になりますよね。すべての会社は基本的には会社を伸ばしていきたい、大きくしていきたいって思っていると思うんですけど、その時に大事なのは、そういった判断とか、自分で意思決定をして実行ができる人じゃないですか。作業できる人は、もうAIとかアウトソーシングとかでいい。

やる気のある人はどんどん“希少人材”に

優秀な人で、意欲がある人で、(意思決定を)やってみたい人をどうやって獲得していくかっていう時に、人がどんどん物理的に減りまくっている。

僕とか野見さんとか、平野(友朗)さんとかが生まれた時代って、赤ちゃんがだいたい200万人ぐらい、毎年生まれていたんですよ。僕の同級生が200万人ぐらいいるんです。

去年、赤ちゃんが1年間で何万人生まれたかみなさんご存じですか? 67万人なんですよ。僕の時は200万人。3分の1以下になっているんですよ。これからもどんどん減り続けていくんですね。

子どもがいないから、大人になる子どもがめちゃくちゃ減っていて、その中でなおかつ「意思決定したい」「判断したい」「経営っていうものをしてみたい」みたいな人は、めちゃくちゃ引っ張りだこになるんですよ。

かつ、AIが発達していったら、言語の壁もこの数年で取っ払われると言われています。つまり日本語しかしゃべれなくても、同時翻訳の機能で、英語だろうがフランス語だろうが、どんどん自分が使えるようになる。そうなると、世界中のグローバル企業から優秀な人材、優秀な日本人は引っ張りだこになっていくんですよ。

特に意欲のある女性は、世界中から引っ張りだこになるんで、もう日本からいなくなると思っているんですよ。日本の企業ではまだまだ女性が活躍しづらい。目の前にはいるけど「イギリスの企業で働いています」みたいな感じになるんで。

居たいと思ってもらえる会社になるには

その時にどうやって、自分の会社がやる気のある人に居続けてもらうかっていう時に、僕は会社中心の組織では回らないと思っているんですよ。

でもすべての会社が管理型組織を辞めるっていうことじゃなくて、中には管理された中で働きたい人もいます。そのほうがやりやすい人もいるからね。「指示・命令されたいんです」みたいに言う人もいて、ぜんぜんいいと思うんですよ。

だけど、やってみたい、自分らしさを発露したいって思っている人にとっては、それができやすい組織のほうが、同じ給料、同じ仕事内容だったらそっちのほうがいいって人はこれからも絶対に増えてくると思います。これからは会社のほうが人材を選ぶ立場にないですから、常に人材に選ばれなければいけない。

そうでなければ、瞬間的に他の会社からオファーは常に、今この瞬間もかかっているんです。なので、どうやって居たいと思い続けてもらうかということのために、社員中心、人間を尊重する組織が必要なんじゃないかなって思っています。

こういったことをやっているんですけど、僕自身それができているかというとそうでもなくて、本当に失敗ばっかりしていて、今も試行錯誤しまくっています。

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