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【戦略だけではダメ。最強のリーダーの条件とは】成功する経営者は必ず「両利き」になる(全2記事)

「部下が指示通り動かない」と悩む上司の勘違い チームが自走し始める“傾聴”と返報性の法則 [2/2]

成功体験の呪縛から抜け出し、常に仮説を回し続ける

入江:逆に長年成功している方は、そういう筋のいい戦略を立てることに慣れていたり、筋のいい戦略を立てられたりするからこそ、(今までとは違う)新しい戦略が立てられないという現象も起きたりするんですか?

三浦:ある意味、「この筋で成功したから、そこから離れられない」という成功の呪縛みたいなものはあります。そこで柔軟性がどんどん失われちゃっていくケースもすごく多いですよね。

入江:年代によって、同じ「戦略を立てる・戦略脳を鍛える」でもけっこう違うのかなと、聞いていて思いました。

三浦:そうですね。やはり成功体験を自分の中である意味壊していくことは、すごく重要です。それは勇気が要ることですけど、そういった意味の自己否定をするような態度がある人は、やはり年齢を重ねても、より柔軟性がある人になっていきます。

入江:成功をベースにした筋道を自分の知識や実践知としてストックしつつも、常に仮説思考を働かせている人は最強ということになりますかね?

三浦:そうですね。そういう人は仮説を立てるとしても「この筋は5年前には成功したんだけど、もう今は成功しないんじゃないか?」という仮説を立てられますよね(笑)。

入江:そうか、時代と共に変化するんですね。しかも変化がすごく激しいですから、その考えを常に持たないと遅れていってしまいますもんね。

三浦:そうなんですよね。それを持っていると、現場に行って検証したら「あぁ、違っていたんだ。もうこの成功体験は捨てよう」となるじゃないですか。

入江:そんな人が上司や経営者だったらいいですね。

三浦:最高でしょう(笑)。

入江:そういう人にいてほしい(笑)。

三浦:メディアとかでフィルターバブルやエコーチェンバーという言葉がよく使われていますけど、過去の成功に縛られちゃうと、都合のいい情報だけを受け入れちゃうわけです。

「この成功体験が正しい」という情報だけを受け入れて、それに反する情報はもう受け入れなくなっちゃうんですよね。そうなると柔軟性も失われていくし、非常にきつい言葉なんですけど、この本の中に書いたように「老害」になっちゃいますね。

入江:常に戦略脳を鍛え続けなくてはいけないですね。

三浦:そうですね。それを楽しんでいただくのがいいかなと思います。

入江:でも、楽しそうですね。こういうふうに働けたらいいなと思います。

三浦:勇気が要ることでもあるんですけど、この本にも(書いて)あるように、常にコンフォートゾーンを超えないといけません。今までの「やれること」や「成功」の中に安住したら安心ですけど、本当はそこで安心していてはいけないんですよ。

入江:本当は危機感を持ったほうがいいんですね。

三浦:そう。それはヤバいことになるんです。表面上安心なのでそこにい続けちゃうと、なかなか成長もしないし思考も硬直化していくので、筋のいい戦略も立てられなくなってくるということですよね。

入江:手放すことも必要になってきますね。

三浦:はい。アンラーニングというやつですね。

アンラーニングで柔軟性を保ち、「組織作り」の土台へ

入江:一方で戦略脳と同時に組織作りが大事というお話ですが、組織作りができるリーダーになるためにはどういうことが必要になってきますか?

三浦:僕は、本当に組織作りができないリーダーだったんですよね。

入江:そうなんですか? 意外です(笑)。

三浦:組織作りやチーム作りができないリーダーだったんですよ。(組織やチームを作るために)何が大事かというのは、この本の中にそのためのステップを書いているんですよ。でもそういうステップや技術を覚えるのもすごく大事なんですけど、本当に一番根底でいくと、やはり人の話をちゃんと聞くことなんですよね(笑)。

部下の話をちゃんと聞く、顧客の話をちゃんと聞く、ベンダーの話をちゃんと聞く。相手の話をちゃんと聞いて、信頼を得ながら組織を作っていくという土台がないと、いくら組織作りの技術だけ知識として得ても、やはり作れないんですよね。そこを痛いほど私は経験しています。

入江:実体験があるんですね。

三浦:今日もしゃべっていますけど、私はしゃべるのは昔から「利き腕」だったんですよ。聞くのは「利き腕」じゃなかったんです。だけど、やはりリーダーはこの両方を鍛えるのが大事なんです。

むしろ、聞けるほうがいいんですよ。そんなにしゃべれなくてもいいんです。実はしゃべることがあんまりうまくなくても、人の話を聞けるほうが大事なんです。だから僕は、後から自分で鍛えたんです。

入江:なるほど、意識的に。

三浦:意識的にというか、コーチングのトレーニングとかをやって、まさに3年間徹底的に鍛えたんです。そうしたらどうなったかというと、人の話を聞くのが職業であるプロコーチ、エグゼクティブコーチになっちゃったという話なんです(笑)。

入江:確かにそうですよね(笑)。苦手なわけがないと思っていたんですけど、そこで3年間鍛えたんですね。

三浦:だから私は、「3年間鍛えれば、仮に利き腕じゃないものでもプロになれる」と言っているんです。

入江:「人は変われるよ」と。

三浦:それができたら、とっても強いですよね。

入江:確かに。もともと得意なものがある場合はなおさらですよね。組織作りの基礎は、「まずは人の話を聞く」なんですね。

三浦:そこが一番です。

入江:確かに本当の意味で聞いてくれる人って、意外と少ないというか……(笑)。

三浦:(笑)。「聞いている風」みたいな(人が多いですよね)。

入江:(認識に)ずれがあったり、(話をちゃんと)聞いていた人からは出てこない言葉を言われたりした時に、「あ、聞いていなかったな」と思います(笑)。

部下の話を聞けば、部下もリーダーの話を聞いてくれる

三浦:そうですね。人の話を聞くようにすると、今度は何が起こるか。(例えば)部下の人が上司にすごく(話を)聞いてもらっていると、今度は部下の人が上司の話を聞くようになるんです。これが大事です。これを返報性の法則といいます。もらったものは返したくなるでしょう?

(逆に、)上司が人の話を聞きもしないのに「あれをやれ」「これをやれ」「こうするぞ」と言っても「うん、いいですよね……」みたいな感じになりますよね(笑)。

入江:(笑)。冷えちゃいますもんね。

三浦:でも、「あのリーダーは話をよく聞いてくれるし、理解してくれようとする」(と部下から思われているとします)。そういう中で(上司が)「ちょっとこういうことやりたいんだよ。それでこういうところに行きたいんだよ」というビジョンを述べます。(そして、)「そのためにこういう作戦をやろうと思っているから、ちょっと細かいところを聞いてくれる?」と言ったら、聞きたくなりませんか?

入江:聞きますし、「そのために何かできることはないかな? 力になりたい」と思いますね。

三浦:そうしたら聞いてくれるでしょう。その上で「こういうふうにやろう」と(伝えれば)、それをロジックとしても非常に納得してもらえるし、「あそこに行きたいね」という共感も(してもらえます)。

(『ONE PIECE』の主役である)ルフィが「宝島を目指すぞ!」と言ったら「一緒に行こう!」(と応える)みたいなノリで共感と納得ができたら、組織というかチームは、みんなが組んだビジョンや戦略の方向に一緒に行こうとなりますよね。そこの力を作ることがまず一番大事です。

入江:話を聞くことがまず基礎なんですね。関係性を構築するという意味でも、信頼関係とかもそうですね。

三浦:まさにそういうことでございます。信頼できない人についていくのは怖いでしょう?

入江:怖いですね、ハラハラします(笑)。

イーロン・マスクは両利きのリーダーなのか?

三浦:(この本の中で)「イーロン・マスクは両利きのリーダーなのか」という話を書いたので読んでいただきたいんです。

イーロン・マスクの場合は、すごいビジネスプランを作るし、超天才です。だから、別にイーロン・マスク個人についていきたいというよりも「この『すごいこと』をやりたい」みたいなノリでみんながついてきてくれています。

でも、やはりちゃんとした組織を作っていなかったり、慮りをしてくれなかったりしていたら、そこで限界が来ますよね。半年はいいんだけど、1年ぐらい経ったら「この会社にいるのはさすがにしんどいな」みたいな感じになってきます(笑)。

会社というのは1年、2年のものではないんです。最終的には10年、20年、30年、場合によっては何百年と続くことに価値があるものです。なので、ちゃんとした組織を作り、組織の考えを反映させるためには、リーダーがすごく大事です。

稲森さんは「従業員の物心両面の幸せを考えて動きなさい」とよくおっしゃっていました。やはり組織の人たちを慮りながら、それを実行できる能力を鍛えていくのが、リーダーのあるべき姿じゃないかなと思うんですよね。

入江:本当にいい話ですね。いろんな経営者の方と仕事やプライベートでもお会いしたり、今までの仕事でもたくさん会ってきたりしました。(その中には)「結果だけを出せばいいんだ」みたいに見える方がいるかなと(思うことがありました)(笑)。

三浦:結果を出すのも大事なんですよ。

入江:「本当の意味で両利きのリーダーの方ってあんまりいないのかもな。両利きのリーダーのように見えても社員の人の話を聞くと内情はけっこう違ったり、いろいろあったりするんだな」と日々思っています。

三浦:それは、爆発的なアイデアと推進力で進めるビジネスマンなのか、(両利きの)リーダーや経営者なのかというリーダーの定義(の違い)なんですよ。

そういうことを言ったら、僕は個人的にイーロン・マスクのキャラはすごく好きなんです。けれども真のリーダーや経営者ではないし、彼自身もそれになろうと思っていないんじゃないかなと思うんですよね。イーロン・マスクになりたかったらこの本を読まなくて大丈夫です(笑)。

入江:(笑)。真のリーダーになりたい方や真の経営者になりたい方、両利きのリーダーシップを身につけたいという方向けの本で、そのための考え方も(書いて)あります。また、後半には実際の具体的なトレーニングがたくさんありますね。28種類ですか?

三浦:28種類ですね。戦略脳を作るためのトレーニング方法と、組織作りのためのトレーニング方法がそれぞれ14種類、具体的に書いてあります。

入江:全部はすぐにできなくても「自分はこれからやってみようかな」とか。

三浦:そうですね。中に診断も入っているんですよ。診断していただいて、「これからやる」というのが見えるような仕組みになっています。

入江:「あれがやれていないな」と(すぐに確認できるように)、常に近くに持っていたほうがいいですね。

三浦:ぜひぜひ。辞書みたいに使っていただければと思いますね。

入江:そうですね、ぜひ多くの方に読んでいただきたいです。三浦さん、今日はありがとうございました。

三浦:ありがとうございました、楽しかったです。

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