【3行要約】
・創業期の熱気が薄れ、社員が50人を超える頃に「雇われモードの人が増えた」と嘆き、壁にぶつかる企業は少なくありません。
・株式会社チームダイナミクス代表の三浦将氏は、そういう構造の中で「どう戦略を実行できる組織を作るかが大事」と指摘します。
・組織が拡大するフェーズにおいて、経営者やリーダーが向き合うべき従業員のための時間と、組織作りの本質がわかります。
ベストセラー作家の三浦将氏が登壇
入江美寿々氏(以下、入江):みなさんこんにちは、クロスメディアの入江です。今回の「業界ビジネスチャンネル」には、クロスメディア(・パブリッシング)の新刊
『エグゼクティブコーチが教える戦略と組織づくりの教科書』の著者である三浦将さんにお越しいただきました。よろしくお願いいたします。
三浦将氏(以下、三浦):よろしくお願いします。
入江:今日はありがとうございます。私の第一印象なんですが、(三浦さんは)すごく気品が漂っていますね(笑)。すごく穏やかで安心しております。
三浦:ありがとうございます(笑)。
入江:今までもクロスメディア(・パブリッシング)で本を何冊も出してくださっていて、大ベストセラーもありますね。
三浦:ありがたいことでございます。
入江:こちらの『自分を変える習慣力』と、私も読ませていただいています『チームを変える習慣力』、そして『相手を変える習慣力』の3冊……。
三浦:もっとありますけれども。
入江:もっとあるんですね。私はまだこの3冊しか読めていなくて恐縮なんですけれども(笑)。
三浦:(笑)。みんな『習慣力』(シリーズとして)続いています。
入江:(このシリーズは)累計でもう30万部を超えていて、日本だけではなくて、中国や韓国、台湾、香港などアジアでも発売されています。こちらの新刊(『エグゼクティブコーチが教える戦略と組織づくりの教科書』)もぜひチェックしてください。
三浦さんのことをご紹介させていただきます。現在は株式会社チームダイナミクスの代表でいらっしゃって、人材育成・組織開発のコンサルタントやエグゼクティブコーチをされています。「エグゼクティブコーチ」はこちらの(本の)タイトルにもなっています。
三浦:偉そうな名前ですよね(笑)。
入江:いや、偉い方なので(笑)。
三浦:これは「相手がエグゼクティブ」ということなんですよね。エグゼクティブの方のコーチングをさせていただいているので、エグゼクティブコーチなんですね。
入江:エグゼクティブとなると企業の経営者や起業家の方など、いろんな方がいらっしゃるんですかね?
三浦:オリンピック選手やアーティストにも(コーチングを)させていただいていて、そういう人も世の中的に言えばエグゼクティブなのかな。
入江:そういう方のコーチングをされているということですね。今までの経歴を軽くご紹介いただいてもよろしいですか?
三浦:(実は、一般的なキャリアの)コースからいろいろ外れている人間なんです。
入江:え、そうなんですか?
三浦:はい。大学は理系で工学部を出たんですが、理系でやっていく自信がなかったので新卒で広告会社に入って外資系の会社のマーケティングを何年もやりました。
その後にコーチングやコミュニケーションに興味を持って勉強し始めました。そうしたら「マーケティングよりこっちのほうがやりたいし、自分は才能があるんじゃないか?」と思ってコースを変えました。
その中でこういう会社も作って、企業の人事や組織、リーダー育成のことなどのお手伝いをさせていただいています。
入江:すごくいろいろなご経験をされているんですね。
キャリアは何度でも作れる。「3年間」の密度がプロを育てる
三浦:僕の本にもちょうど書いているんですけど、この本の後半では「能力化」という(キーワードを使って)、「知識だけにとどまらせず、能力にしないと意味がない」と言っているんです。

僕のポリシーとして、「何事も3年間集中したらプロになれる」と思っているんです。
入江:3年?
三浦:3年です。適当にやっていたらダメですけど、めっちゃ集中して真剣にやるとプロになれるというのが(ポリシーとして)あります。なので、キャリアは何回でも作れるんじゃないかなという思いもあります。
AIが出てきたりして、いろんな新しい分野があると思いますけど、そこにチャレンジする時も一生懸命、真剣に3年間やったらプロ級になれると思っています。そういった意味では、この人生の中でキャリアを変えることは(僕はもう)ないと思いますけど……。
入江:もうこのまま。成功されていますから(笑)。
三浦:ありがとうございます(笑)。みなさんもいろんなところにチャレンジしていただければなと思っています。
入江:確かに日本だと、10年とか、すごく長年やっていることに価値を置いています。もちろんそれはすばらしいことですけど、(経験の)密度もありますもんね。
三浦:密度(が大事)ですね。これもまた本に書いてあることです。ハーバード(大学)の研究で「研修医から上がってきた医師と10年医師をやっているベテランの医師と、どちらのほうが技術は高いか」という調査をしたんです。10年やっている人のほうが(技術は)高いと普通は思います。けれども、実は研修医から上がって間もない人のほうが高いケースが多かったんです。
これはどういうことか? まず、若い人のほうが最新のものを取り入れていくところがやはりありますよね。逆に言うと10年やって、もうある程度できちゃう人は、みんながみんなそうではないし言葉は悪いですけど、惰性でやってしまうんですね。
みなさんも、仕事を惰性でやっちゃうことはあるかもしれないですが、それが続いちゃうとやはり成長ってぜんぜん起こらないんですよね。むしろ衰退・後退していっちゃうんですよね。だからこういうことが起こるんです。
なので、僕は「(仕事を)どれだけ長くやったか」という時間の問題よりも、「どれぐらいの密度でどれぐらい真剣にやったか」のほうが大事だなと思っています。
入江:確かに、慣れてくると、良くも悪くもこなせちゃうようになりますからね。
三浦:「こなす」「流す」みたいなね。
「両利きのリーダー」とは? 戦略と組織作りの両立
入江:今回のこの動画なんですが、こちらの書籍を元にお話をしたいと思っています。表紙に「両利きのリーダーになり限界を超える」というキャッチフレーズがついています。「両利きのリーダー」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃると思いますが、具体的にはどういう方のことを指すんですか?
三浦:結論から言うと(「両利き」とは)、筋のいい戦略・作戦が立てられて、組織作りもできるということです。さらにはその戦略を連動させることができる組織作りができたら最高なわけですね。だから戦略と組織作りの両方を両利きとしてできるのが、最高のリーダーの形かなと思っています。
入江:今日のテーマは、「両利きのリーダーになりたい方向けにこれからできること」です。そこを深く教えていただきたいんですが、実際にいろいろな方を見ている中で、両利きのリーダーの方って多いんですか?
三浦:多いかどうかと言えば、たぶんそういう方は貴重だと思います。つまり、多くはないですよね。「そういう方は貴重だし、なかなかいない」と言ったほうがいいのかもしれないですね。
入江:(戦略と組織作りの)どちらかだけはものすごくズバ抜けているとか、ここは才能があるなという方は一定いらっしゃいますよね?
三浦:そうですね。起業家のコーチングもしているんですけど、いわゆるアントレプレナータイプの方は、戦略がめちゃめちゃ優れているけど、組織に無頓着という方がすごく多いですね。
とにかく最初は成功しなきゃいけないので、気をつけていられないというのが現実的なところじゃないかなと思うんですけどね。
入江:確かに、起業家で早く結果や数字を出そうとすると、「組織に配慮したり、気にしたりしている時間がもったいない。何かを推進させていく時には組織について考えるよりもこっちが優先だ」と思ってしまう。そういうイメージがあるんですよね。もちろん組織がついてこなかったら成り立たないでしょうけど。
三浦:そうですね。次のようなパターンがよくあります。何人かで(会社を)始めますよね。そうするとそれに賛同して入ってきてくれる初期の社員の人たちがいますよね。
この20人から30人ぐらいまではベクトルが合う中で一生懸命できるわけですよ。だから別に組織を作るなんてことを思わなくても、ある意味立ち上げた仲間みたいな感じでドーっと一緒にやっていくわけですよね。(そもそも起業で)成功するのは非常に大変なんだけど、ある程度そこでドーっと事業がうまくいったとします。
その段階を超えてしまうと、社員がだんだんと50人とか、それ以上になってくるわけですが、その時になって「あぁ、組織を作らなきゃ」と、組織が必要になるのが通常ですね。