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一流の上司と二流の上司の伝え方|部下が伸びる上司は、何を伝えているのか?(全3記事)

“部下のため”のつもりでも逆効果な伝え方 一流の上司と二流の上司を分けるフィードバックの着眼点 [2/2]

仕事ができない人はそもそも自己認識が欠けている

——「厳しく伝えるべき場面で、部下を潰さずに成長につなげるには、どのように伝えるべきですか? 厳しく伝えなきゃいけない場面があると思いますが、待つべき場面はどのように見極めればよいですか?」。

木下:まず、厳しく伝えても相手に伝わらなければ意味がありません。その判断の基準ですが、場面や状況に合わせて言い方を変えるのではなくて、相手の特性に合わせて選択しないといけないんですね。

もちろん場面もあるかもしれませんけど、どんな状態であったとしても厳しい伝え方をすると、(部下の成長につなげるのは)たぶん無理だと思います。

具体的な話をすると、あまり仕事ができない人には構造的問題があります。仕事ができないというのもいろんな定義があるんですけど、大雑把には、まず自己認識が欠如している場合がけっこう多いです。

仕事ができていない人の特徴は、自分が仕事ができていないという事実に本人が気づいていないケースがすごく多いです。自他共にわかっている状態だったらまだいいんですけど、多くの人は気づいていない。

人をどう見るかなんですけど、僕は「基本、人はがんばっている」っていう前提で見るんですよ。もしかしたら「がんばっていない」っていう前提で見てもいいかもしれないけど、一応がんばっている前提で見ているので。

仕事ができていない状態の人は「がんばっているけど仕事ができていない」と思っていないから「さらにがんばらなくちゃいけない」とは思っていない状態なんですね。

できる部下との比較より「前向きな改善提案」が効果的

木下:なんで自分が仕事ができていない事実に気づいていないかというと、こういう人って周りを見ていないんですよ。周囲をほぼ見ていないので、他の人との客観的な比較をしていない。自分が遅れているってほぼ気づいていないと思います。

自分ががんばっているかどうかっていうのが主観的な基準のみであったので「自分はがんばっている。だから仕事はできている。これができていないとすると、それは基準が高過ぎるんだ」っていう認識をしがちなんですね。

ここで無理に他者と比較する。「でも、あの人はこれだけやっているよ」とかって言うと、今度は「あの人は特別だから」みたいな感じに、だいたい受け取ってしまいます。

基本的にはあまり自分の課題として捉えない。自己課題の認識能力があまり高くない方が、結果的に仕事ができない人になる可能性がすごく高いんですね。

この状態の人に対するアプローチなんですけど、仕事ができない人に仕事ができていないことを理解させるのは、構造的にほぼ不可能なんですよ。反省させようと思っても、悪いと思っていない人に反省させるのは無理なんですね。

なので、まずこの人に対しては、仕事ができていないことを理解させる。僕もいろいろやったことがあります。数値評価とかで「他の人とこれだけ違うよ」とか、いろいろやったけど基本的には、「なんだかんだ伝わらないんだな」と思ってはいます。「その人なりに最大限がんばっている」という前提で見るしかないということですね。

なので「仕事ができていないからもっとがんばれ」という現状の指摘ではなくて「こうやるともっと良くなるよ」という改善提案。いわゆる優しい接し方、もしくは褒める接し方になると思うんですけど。

相手に不足を自覚させるプロセスは、場合によってはもう飛ばして、具体的かつ前向きな手法を提示することが最も効率的であるという場合が多いかなとは思っています。

できていない事実を責めるより、良くなる方法を示す

——その部分については、あえて言わないんですね。

木下:最初はけっこう言います。言うんですけど、ある一定段階になってくると、単なる負荷にしかならないんですよよ。

——逆にプレッシャーを与えて、できない方向に萎縮してしまうこともありますよね。

木下:萎縮してしまうとか、不満を持ちます。まず自分自身がわかっていない状態で「できていない」って言うと「そっちの求めるものが大きい」って受け取るレベルの人は、正直レベルとしては高くない方になります。なんだけど、そうは言ってもそれなりに戦力になっている場合ももちろんあるので、この方に関しては、基本的にポジティブな話をしていくという感じですね。

自分も含めて、自分の仕事ができていないってあんまり思わないでしょう?

——その時の精いっぱいを生きているので。

木下:誰しもそうで、できている人もできていない人も、自分が仕事ができないって、たぶんあんまり思っていないです。

——本当に、その状態でただ責められるんじゃなくて、改善策、そしていい方向がどこなのかっていうのを教えてもらえるのは、双方にとってもすごくハッピーですよね。

木下:そうですね。他者と比較をした時に通じなかった時には、例えば僕だったら、それなりに会社の中なら一番仕事ができるほうだと思うし、社会的にもできるほうだとは思うんですけど。

例えば、じゃあ「もっとすごい孫正義さんや三木谷(浩史)さんと比べたら、俺、ポンコツやんけ」って気づくじゃないですか。気づくっていうことは、それなりにメタ認知能力があると思うんですけど「三木谷さんは、すごく運が良くて」って言っていると、この人はメタ認知能力が低くて、あまり仕事ができない人の可能性が高いですよね。

——運はつかむものというところで、自分の下準備が必要なんですね。

年下部下に指導しづらいという悩み

——「いろんな部下の方がいると思うんですけど、自分より年上だったり経験豊富な中途入社の部下の方に対して、指示やフィードバックを出しづらいなって正直思うんですが、どうやって伝えればいいですか?」。

木下:これ、ケースバイケースですけど、1つのテクニックだけお教えします。

新しく入ってきた、もしくは中途の部下がいた時に、最初にランチとか飲み会に誘うんです。その時におごるんです。話している時は別に敬語でもいいです。僕も社内の年上のメンバーは、敬語じゃないけど「さん」付けでだいたい呼んだりしているんです。支払いの時に自分がお金を出して「私のほうが立場が上なので」って言います。ここで組織の上下をグッと認識させる感じですね。

——その後は、どういうふうに接するんですか?

木下:もちろん相手のほうが経験豊富な部分は尊重してもいいんですけど、ここで組織としての最終決定権はこっちにあるんだよっていうのが伝わるわけですね。伝わらないと、逆に相手はきついと思うんです。

——仕事の外で、ご自身の立場を認識させるっていうことなんですね。

木下:「仕事の外で」ではなくて、人対人として接している部分と、仕事の組織上の部分の違いを認識させるのも大事です。人対人として接している部分っていう、例えば食事しているところは、食事そのものは人対人なんですね。敬語でしゃべっていてもいいし「そんな経験あるんですね。すごいですね」なんだけど。

支払いをするっていう、会社の経費とかになってくるところだけは上下関係をビシッと見せるんですよ。それが例えば日常の会議とかでいくと、必ずしも上の人がバッと決めるわけでもないじゃないですか。みんなで話し合って決めたりするから、そこって上下がわかりにくかったりするんですけど。

一番簡単に上下をわかりやすくするのが、経費精算の支払いのところ。もしくは経費じゃなくて自分でおごるほうがたぶんいいとは思うんですけどね。立場は上なんだよっていうのをわからせることは大事だと思います。

——今、こんな上司と部下の関係もきっと多いでしょうね。

木下:増えているんでしょうね。悩んでいる方もいらっしゃれば、ぜひエピソードとかを(動画の)コメントでいただければと思います。

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