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これでイイのか⁈『感覚任せの人事評価』 / カイシャ-アップデートセミナー(全3記事)

指導しても部下の行動が変わらない原因 感覚任せの人事評価に潜む「手応えのなさ」の正体

【3行要約】
・成果を出す上司と、評価指導で関係がぎくしゃくする上司。その違いは部下の現状と目指す姿を見極める洞察力にあります。
・高桑由樹氏は「評価や指導に手応えがない原因は上司の見立ての粗さにある」と述べ、部下の内面を見抜く必要性を指摘します。
・人事評価を通じて成果を出すために上司に求められる視点や、部下の納得感と主体性を高めるコミュニケーションがわかります。

感覚任せの人事評価に潜む「手応えのなさ」の正体

高桑由樹氏:今回は「これでイイのか!? 『感覚任せの人事評価』 部下の言動・心理を見立てる上司の洞察スキル」と題して、進めてまいります。どういった問題を扱っていくかについて、まずは共有します。

人事評価はいろんな会社で運用されていると思いますが、なかなか運用にエネルギーがかかります。ただ、それがうまくいかないといったお悩みを抱えていらっしゃる企業さまは多いなと思っています。

その中でも例えば、評価を部下に伝えても部下の行動がなかなか変わらないとか、半期ごとに評価コメントを書くわけですけど、毎回同じような評価コメントになってしまうとか。

部下に評価やアドバイスをしているのになかなか反応がない。もっと言うと、アドバイスとか助言を伝えると、むしろ関係がぎくしゃくしてしまうみたいな「なかなか効果が表れにくいぞ」というお悩みをよく聞きます。

ということで今回は、この人事評価やそれに基づく部下指導に手応えがないといった事象を取り扱っていきます。こういった事象の問題がどこにあるのか、問題を整理していきたいと思います。

まず、評価・指導に手応えがないっていうことなんですけど、考えられる原因は大きく、部下側の問題、部下が上司からの評価や指導を受け止められるスキル・素養・マインドが足りていないっていうこと。

はたまた、上司側に問題があるっていうことも考えられます。例えば評価・指導の伝え方が不十分である。伝え方っていうのはもっと言うと、部下がどういう問題に今ぶち当たっているのかの捉え方によって、どのように伝えればいいのかということに紐づいていきます。なので問題の捉え方みたいなところです。

原因は部下ではない? 上司の「見立ての粗さ」が招く壁

今回のセミナーでは、部下側の問題よりも、より影響の大きい上司側の問題について扱っていきたいと思っています。部下側よりも上司側により影響力が大きいと申したのは、やはり部下っていうのは常に成長しながら壁にぶち当たっている。そのフェーズに合わせて上司が適切なフィードバックをして、成長を導いていくわけです。

部下がスキル・素養・マインドが足りていないってことよりも、導く側の導きようによって部下側の問題は解決され得るので、今回はより影響力の大きい上司側の問題を捉えていきたいと思っています。

「伝え方が」っていう話もありますけど、それは部下の今抱えている問題が何なのかを捉える、上司の力が大事になってきます。

評価や指導に手応えがない原因は、上司の見立ての粗さが存在するということが重要になってきます。今回は、この「見立て」っていう言葉がキーワードになってまいります。

今回のセミナーのゴールとしては、上司の「見立て力」について理解を深め、評価・指導を底上げするっていうことを考えていきたいと思っています。

今回のプログラム(スライドを示して)はこの4本立てで進めてまいります。1つ目は、今回のキーワード「部下を見立てる」っていうのはどういうことなのか? (2つ目は)これを踏まえた上で、見立てってなかなか難しいものですけど、見立てが狂ってしまう「3つの要因」を見ていきます。

それを踏まえて3つ目。見立てるに当たって「目の付けどころ」、どういったところを見ていけばいいのか、ポイントを見ていきます。それらを踏まえて4つ目は、上司の見立て力を高める実践法を紹介してまいります。

人事評価の真の目的は「査定」ではなく「人材育成」

1つ目の「『部下を見立てる』とは?」ということで見ていきます。評価において見立てが大事なんですけど、そもそも人事評価の目的っていうところから改めて踏まえていきたいと思います。それによってどういう見立てが必要なのかが見えてきやすいと思っています。

人事評価っていうのは、今ここに3つ要素を書きました。会社の利益。会社側としてはやはり、利益を上げていくことが大きな命題になっています。

そのためには社員さんのパフォーマンスを高める。社員さんのパフォーマンスを高めるためには、各々の社員さんの力量を高めていくことが重要になってきます。

利益、パフォーマンス、力量っていうのは、全部紐づいていく。会社としてはこれらを底上げしていきたいっていうことですね。

底上げするためによりパフォーマンス、力量の高い方にはより高い報酬を。逆にあまりパフォーマンスが高くない、力量も高くないっていう方には、それ相応の報酬を紐づけるっていうことで、よりパフォーマンス、力量を高めるモチベーションを生み出していくことになります。

ここまでを踏まえると、会社としては報酬と社員のパフォーマンス、力量を紐づけていくわけなんですけど、よく人事評価の目的を「報酬の査定。賃金を決めること」とか「社員に点数を付けること」みたいに思われる方もいらっしゃいます。

今の左半分に書いてある関係性を見ていくと、点数を付ける、賃金を決めるというのは手段ですね。本当の目的っていうのはパフォーマンス、力量を高めること。それによって会社の利益も底上げしていくので、目的は人材育成にあります。人事評価の目的は人材育成です。成長を後押しするっていうことですね。

ここを踏まえていくと、今回「見立て」っていうものがどういったことが必要になるのかが見えてきます。

育成を推進する「現在地と目的地」のすり合わせ

続いて、人事評価の目的は育成であるって踏まえた時に、育成するために必要な上司の関わりっていうものを見ていこうと思います。

まず、(スライドを示して)左側に三角形を描いています。これは「現在地」と「目的地」って書いていますけど、これは「現状」と「目指す姿」と捉えていただいてもかまいません。この差分がよく言われる「問題点」ですね。その問題を埋めていくためのアクションが「課題」「解決策」であります。

となった時に、いろんな問題解決に当てはまる図ではありますけど、部下育成、人材育成においてもまったく同じ考え方を当てはめていくわけです。

例えば、部下Aさんという方がいた時に、そのAさんの現在地「力量としてどのあたりにいるんだろう?」「目指すべき目的地ってどこに設定するのか?」、その差分が「問題」ですね。「その問題を解決していくために上司としてどういうアプローチをしていくのか? どんな仕事をアサインして、どんな指導をして、どういうふうに後押ししていくのか?」みたいなものが解決策になります。

こういった図を使って、育成策を整理していくわけですけど、育成するために必要な上司の関わりっていうのは大きく2つ考えられます。

まず1つ目は、今このようにこの三角形を使って、上司も部下も、現在地と目的地を、そして課題を明確にする。すり合わせをするっていうことなんですけど。

部下が自分自身の課題を納得した上で改善に向けてどういった取り組みをしていかなくちゃいけないっていうことを理解する。主体的にそれに動いていける状態にすること。

目に見えない心理と成長を捉える「見立て」の技術

続いて2つ目は、その部下が自分の課題をクリアしていくに当たって、部下1人で乗り越えられるものでもなかなかないので、上司も支援していくわけですね。

あまり過保護に支援し過ぎると、今度は部下が育たないだとか、逆に放置し過ぎても部下が潰れてしまうことがあるので、どういう状況の時にどのように上司が支援していくのかを上司・部下間ですり合わせをして共通認識を持っておくと、部下としても「上司はちゃんと見てくれているな」とか、上司のフィードバックを受け入れやすくなるっていうことになります。

この三角形でこの課題を登っていくに当たって、この1番と2番が必要になってくるということになります。

こういったことを整理していくのが上司に必要な関わりになってくるんですけど、今この目的地とか現在地とか、あとは問題とかあります。これって、今言葉でしゃべりましたけど、通常部下を見ていても目に見えないものですよね。部下のレベル感が数値化されるとかって、人間のことですのでなかなか無いです。見える化がされない、されにくいものですね。

こういった目に見えないものを捉えにいこうとすると、人間って「おそらく部下Aさんの現在地はここだな。次の半期で目指す目的地はここらへんだな」っていうことで、仮説を立てて捉えにいくことをするはずです。この「仮説を立てる」っていうことが見立てっていう言葉で表していることです。

今日、ずっと見立てって言っていますけど、この見立てっていう言葉をあまり聞き慣れない方も多いと思うんですが、目に見えない部下の成長度合いで仮説を立てるっていうことが、見立てと呼んでいるものになります。この見立ての精度が、上司の育成力に直結してくる非常に重要な要素となります。

今見立てっていうものが何なのかを紹介しました。では、目に見えないものを見立てる、特に人を見立てるってどうやるのかについて考えていきます。

行動と内面を結びつける「日常の解釈」とトレーニング

ここに今イラストを描きましたけど、我々は評価制度において見立てるとかばっかりではなくて、日常生活においても日頃他者を見て「あの人、こんな人だな」っていうふうに無意識ながらに見立てています。

例えば、この図でいきますと、ベンチで昼間からたばこを吸って「サボっているな、あの人」みたいな行動を見る。サボっている人っていうことは、「不真面目な人」とか「裏表のある人」「適当な人」みたいに結び付けるわけですね。行動と内面の特性を我々は結び付けています。

ということで、「○○なことをする人は、××な性格だ」みたいに、事実をもって勝手に解釈をするっていうのが見立てです。これって日常で普通にやっていることですし、これを評価制度の運用においても私たちはやっているっていうことになります。

あらためて申しますと、人の行動と行動に当てはまる「この行動をやる人ってこういう内面の特性を持っているな」っていうのを、私たちは経験上、たくさん紐づけの知識を持っていて「こんな人はこういう性格を持っている」っていうことを紐づけるわけですね。

これらの行動と内面的特性の知識を対応させて、無意識に自動的に判断をしているのが、我々の中で見立てるっていうことです。なので、見立てって意外と、日常的によくやっていることでもあります。

ただ、この見立てが評価制度を運用するにおいてとか、部下指導をするにおいて、けっこう難しい。難しいからこそ、評価を運用していても、指導をしていても手応えがないっていうことですね。

実際に今回のセミナーでは、評価における部下を見立てることをワークショップとして実際に参加者さんにやってもらいました。この記事を見ていただいている方々も、ぜひやってみてもらえたらと思っています。

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