独自調査での「大課長出現率」は半分以上
なぜこれが大量発生しているのかというと、さっきの個人の問題ももちろんあるんですが、それを生んでいる会社側の問題もけっこう大きいなと思っています。
1つはプレイングマネージャー化ですね。まさに管理職は罰ゲームなんじゃないかというふうに言われていることとも関わってきますけど、やはり組織がフラット化していますよねということとか。

あとは、働き方改革みたいなものも走ったことによって、若手に残業をさせられないので管理職が残業していくしかないような構造になったりしているということ。
あとは、まさに2つ目ですね。トッププレイヤーをそのまま昇進させていくので、現場でプレイングの能力の高い人がマネジメントをやっている。つまり、「名プレイヤーは名監督じゃない」とよく言われますけども、それがそのまま名プレイヤーが監督になっていく構造になっていますよねということです。
最後は「本業の低迷」と書きましたけど、そのまま伸びていれば何かに投資する判断もやりやすいんですけども、なかなかそういう構造ではなくなってきていると。
本来的には、「リテールの顧客群は1回もう諦めよう、むしろ僕らはこっち側にシフトしよう」、あるいは「こういう施策は1回もうやめて、こちら側にもうリソースを集中させたほうがいいんじゃないか?」という議論を本当はしていかないといけないんですけども。
じゃあ、そうすると他で本当に伸びるのかというのが、蓋然性もない中で決められないということで、「全部やろう。それで、追加でこういう施策をやろう」みたいな話になるので、結局疲弊していく構造になっているかなと思います。
まさにみなさん、先ほど手を挙げていただいたんですけども、僕らの書いた本の中でも、大課長出現率は、課長から見て、部長・事業部長は大課長なのかということについては、もう半分以上が大課長だというようなことで言っていただいています。
「課長・部長・事業部長」の役割を定義
おもしろかったのは、やはり育成ですね。育成のところが一番、課長から見た時に、部長や事業部長にもっと期待したいことなんだなというのがアンケートの結果からもわかってきました。やはり「人材が育っていない」とか「計画的な人材育成ができていない」。
ただ救いとしては、部長以上のみなさんも改善の余地はあるよね、というふうに気づいていらっしゃることはあります。
じゃあ、ここまでが「何が問題なのか?」というのをざっと説明したので、処方箋ですね。このあたりはまたちょっと細かくお話ししますけれども、まず役割定義です。「課長・部長・事業部長は何をする人なんですか?」ということをちゃんと定義しましょうということと。

あと、課長と部長は役割がまったく違うので、まず延長線上にはありません。課長がやっている仕事と部長がやっている仕事はまったく違うので、任用のあり方とか、あるいはそこがまったく違うんだという認識でステップアップしていっていただかないといけない。
あとはマネジメントも大変なので、本人たちに任せるんじゃなくて仕組みで乗り越えていきましょうといった話を簡単にできたらなと思っています。

まずやるべきことについては、ちょっとTipsをお話します。役割定義みたいなところをやる時に、やるべきことと「こうなっちゃ駄目だよ」ということを書いておくことがけっこう有効だなと、いろんな会社とやってきて思っていますね。

例えば、もちろん戦略を描くんだよとか、KPIを設定していくんだよということもそうなんですけど、一方で現場の各論に口出しするのはやめようねとか、あるいは戦略を1回共有したら浸透したと思うのはやめようねとか。
やはりもう、くどいくらいに「この方向なんだ」ということを言い続けて、「いや、もう部長、その方向はもう聞き飽きました」というところまで戦略を語り続けないと、浸透なんかしないわけなので。
「いや、期初に1回話したぜ」「なんであいつらわかっていないんだろうね」というのは絶対ダメですよね、ということを一緒に書きましょうということです。
このあたりも、課長と部長・本部長はまったく違うので、アンラーニングしないといけないです。現場でうまくやっていたやり方を、各論に入ってメンバーのフォローに入って推進していくんだというふうにそのまま持ち込まれてしまうと、本来の大課長になっていってしまうので、1回忘れましょうということもやっていかないといけないなと思います。
管理職のサポートやキャリアの複線化も重要
また、一人ひとりの管理職も大変なので、まさにHRBPみたいなことで人事領域のところをサポートするとか。あとはチーム制マネジメントで、日揮さんとかもそうですけども、部長も2人に分けて、「ヒト」側のマネジメントと「コト」側のマネジメントの役割を分けましょうといったこともやっていく必要があるかなと思います。

あとはキャリアの複線化ですね。プレイヤーの人たちが、今だとどうしてもマネジメント職を担っていかないと結局キャリアが上がっていかないとか、年収が上がっていかないという構造になっていたりするので。
いや、プレイヤーはプレイヤーでしっかりとキャリアパスがあるし、年収も上がっていくんだ。管理職は管理職であるんだという、この複線化を運用に乗る状態でちゃんとやっていかないとならないです。
別にマネジメントをやりたくなかったのに、自分のキャリアと年収を上げていくためには嫌々マネージャーをやっていますという人たちも一定いたりするので、このへんは整えていきましょうねということです。
今日からできる「脱・大課長の8ヶ条」
なので、今日からできる「脱・大課長の8ヶ条」ということで、まずは感覚ではなく定量分析に基づいて将来を描きましょうねと。また、あれもこれもやりましょうと言うのは、簡単なんですけど、戦略というのは「略する」と書くわけですから、何をやめるのかをちゃんと決めましょうねということですと。

あとは、上から言われたことをメンバーに下ろすだけじゃなくて、現場でこういうことも起こっているんだということで、「ちゃんと上司に提言する」のもそうだし、例えば課長から部長が相談された時に、部長も「ちょっと上に確認してみるわ」みたいに、常に確認するというカルチャーをやめていかないといけないですし。
あとはよく言われがちなのは、厳しいフィードバックができない。つまりメンバーの育成のために本人のことを思って、「ここ、足りていないよ」とか「もっとこうしたほうがいいよ」ということをぜんぜん言わないと。
だけど、裏側の評価会議とかでは、「いや、仕事ができないんですよね」と言っているような人たちが一定いらっしゃるんですけど、これは本当に冷たいなと思っていて。
本当の優しさは、本人にもっと成長してもらいたい。もっとここまで期待したいんだ。「ここが足りていないぞ」ということをしっかりフィードバックして人を育てていかないといけないなと思っております。
本の中には、もっと深く知りたい方のために書いてあることもありますけど、今日はご一緒していますので、この後いろいろ聞いていただけたらなと思います。

なので、研修を足していくということだけじゃなく、役割をちゃんと定義し、課長と部長というのは断崖(のように大きく隔たっているもの)なんだということをみんなが理解する。その上で、ここをどうやって乗り越えていく人材を育てるのか。まったく変わってもらうために何をするのかということに取り組んでいけたらいいなと思っております。

ちょうど20分、25分ぐらいですかね、ご清聴どうもありがとうございました。引き続きよろしくお願いします。