【3行要約】
・本来は中長期の戦略を描くべき部長や事業部長が、課長と同じように短期の成果や現場の各論ばかり追う「大課長」化していませんか。
・リデザインワーク創業者の林宏昌氏は「部長や事業部長がワークしないと、どんな良い戦略も機能しない」と現場の課題を指摘します。
・本記事では、組織の成長を阻む「大課長問題」の構造的な原因をひもときます。
「スキルとキャリア」をつなげるために起業家に
林宏昌氏(以下、林):今日はみなさん、よろしくお願いします。人事図書館には初めて来まして、なんかこんなアットホームな雰囲気の会でお話をするのも本当に久しぶりなので、僕自身も楽しくやっていけたらなと思います。
そうですね、あだ名ということなので、「ぱや」という僕のあだ名を書かせていただいたんですけど。子どもが3人いまして、小学校でPTAの副会長を長くやっている関係で、そのメンバーには「ぱや」と呼んでいただいています。
簡単に僕から20分、25分ぐらいお話をざっとしつつ、たぶんみなさんでもお話をしたりとか、そんなかたちで進めていけたらいいかなと思っています。
事前に(ご質問をいただき)ありがとうございます。僕も拝見したんですけど、本当に多岐にわたるいろいろな質問をいただいています。それを1個1個はなかなかスライドの中では答えにくい部分もありますので、後でまた質問もいただいたりしながら、インタラクティブにやれたらなと思います。
そうですね。今日は原(純哉)さん、「じゅんじゅん」さんにグラレコをやっていただけるということなので、じゅんじゅんさん、よろしくお願いします。
原純哉氏(以下、原):よろしくお願いします。
林:「ぱや」から話して「じゅんじゅん」が描くかたちで今日は進めたいなと思いますので、よろしくお願いします。
では、あんまり自己紹介しないほうがいい場なのかどうかちょっとわからないですけど、簡単に自己紹介だけさせていただきます。「ぱや」こと林宏昌と言います。もともとリクルートという会社に新卒で入って営業をやって、その後社長秘書をやって、経営企画の責任者をやっています。

その頃ちょうどIndeedとかグローバルのM&Aだったり、新規事業開発の責任者をやったりIPOもありましたので、アラブのお金持ちの人たちに「株を買ってください」と言いに行くような、グローバルオファリングをやって。
その後、全社のブランド戦略や、2014年、2015年、2016年ぐらいに働き方を改革しようとしていて、当時リモートワークを全社で進めていくとか、副業をもっと進めていこうということをやっていました。
リクルートにいながら、まさにそういう働き方をやっていこうということだったので、自分自身もリデザインワークというコンサルティングの会社を立ち上げました。NTTさんやサントリーさんやコクヨさん、けっこう大手の会社さんが多いんですけど、そういう会社の社長さんや人事の責任者の方々と、中長期戦略や人事戦略から具体的な推進までやっています。

2025年の2月に、どうしてもスキルとキャリアをつなげていきたくなって、このテーマで2社目の創業をしているかたちになっています。
「大課長問題」とは何か?
林:今日お話をさせていただくのは、この
『上司はリスクばかりを指摘する (会社を潰す「大課長」問題)』ということで、「大課長問題」というテーマで本を出させていただいたので、今日はそのあたりを中心にお話しできたらなと思っています。
今日は本当に処方箋ということでお話をさせていただいて、みなさん、気づきとかシェアをしていただきながら、後で質問やディスカッションができたらなと思っていますので、よろしくお願いします。みなさんの質問で僕もたくさん気づきがありますので、ぜひぜひ気軽に投げ込んでいただけたら。
オンラインの方もなんか書いていただいたら、たぶん「かさまっち」がフォローアップしてくれると思いますので、よろしくお願いします。
今日のゴールですね。「大課長」という定義をしています。これは後で説明しますが、部長や事業部長の方々も、課長と同じ仕事をしていることによって起こる問題を「大課長問題」というふうに言っています。

ただこれは、個人の問題というよりは構造的な問題だなと思っていますので、実際にどういう問題があるのかということと、その処方箋のところも少しお話をしていくので、少しでもレバレッジポイントを持ち帰っていただける場にできたらなと思っております。
では、「大課長とは何か?」「なんでこういう大課長問題っていうことが起こってくるのか?」「そのために会社・個人でどういう処方箋を準備していけばいいのか?」というお話ができたらなと思います。
まず、ここはもう簡単ですね。課長・部長・事業部長というのは、本来は違う役割をやらないといけないんですけども。みなさんが「今月の数字はどうなっているんだ?」とか「あのプロジェクトは大丈夫なのか?」という、本当に短期のことばかりに目が行ってしまっているという問題を取り上げています。
ミドルマネジメントがワークしないと、どんな戦略も機能しない
林:僕自身もそうなんですけども、いろんな会社さんのご支援をしたり、自分が会社を運営している時には、とにかくこのミドルマネジメントの方々の改革、変革、アップデートがもう本当に一丁目一番地だと思っています。
とにかくこの部長や本部長の方々がワークしないと、どんなにいい戦略を書いても下りていかないですし、あるいは「大きくこっち側にもっと会社をシフトしていこう」と言っても、まったく組織もついてこないということなので。
わりと部長・本部長のみなさんも相当がんばられているので、この本を書くのも忍びなかったんですけども。やはりこの一丁目一番地で変えていかないといけないので、あえて課題感として設定させていただいたという背景になっています。
自社が「大課長問題を抱えているかどうか」のチェックリスト
林:実際に、大課長問題を抱えているかどうかというところで、実際は本の中ではだいたい15〜16個の問いを立てていますけど、今日は簡易的に5つぐらい出しています。このへん、どうでしょうかということですね。

みなさん(自身)や、あるいはみなさんの会社で部長・本部長が今月の数字や成果ばかりを気にしていたり、あとは現場が本来するべきことを実務として抱えてしまって、「これはこうしたほうがいいんじゃないか? ああしたほうがいいんじゃないか?」みたいな各論に口を出してしまっていないだろうかと。
あとは、もう日々の仕事を回すのがけっこういっぱいいっぱいになってしまっていて、人材育成に手が回っていない。「彼はどうなんだ」「これからどうなってほしいのか」とか、結局3つ目の話は、翻って言うとよく聞くんですけども、「いや、なかなか下がいないから任せられないんだ」ということをけっこうおっしゃられる部長や事業部長の方がいらっしゃるんですけど。
それは結局、今まで育ててこなかったから今そうなっているわけであり、半年後、1年後も「いやぁ、下が育っていないんですよね」ということは、あなたの問題ですよねと。あなたが育てられていないから、結局「任せられない」といつまでも言っているということをあらためて、いつもお話をするんですけども。
あとは、「戦略を語っているぞ」とみなさまがおっしゃいます。現在の延長線上で7パーセント、10パーセント伸ばしていこうよということ自体は悪いわけではないんですけども、やはりどうしても現在の延長線上で描いていく(ことが多くなってしまう)。これだけ変化の激しい時代なので、そこはやはりアップデートしていかないといけない。
今いる人たちだけで「業務をなんとかしよう」としていないか
林:あるいは、今いる人たちだけで業務をなんとかしようとしていることですね。例えば「もっとAIを取り入れて業務改革をやらないといけないよね」という時に、「まぁ、俺もあんまり詳しくないよね」と。メンバーを見渡してもあんまりそこは詳しくないので、「なんとかしないといけない」と言っているけども。
だったら、そういうAIを活用できる人材を外から採ってきたり、あるいはもうコンサルティングに入ってもらったりして、踏み込んでやらないと変えられないわけなんですけども。今なんとかここで議論しながらやっていこうということで、なかなか踏み込んでやれていないという問題を生んでいるんですけど。
みなさんはこのあたり、どうですかね? 5つぐらい挙げていますけど、(このうち)3つ以上あるとかなり黄色信号というか大課長問題を相当抱えているなということですね。本来的には「これが1つも当てはまらない。うちの会社にはこんな人はいない」と言い切っていただくのが理想かなというふうに思っています。
なんか、どうですか、みなさん? リアルで参加されている人で、「3つ以上ありそうだな」みたいな方っていらっしゃいますか?
(会場挙手)
ありがとうございます。そうですね。オンラインのみなさんはほぼほぼ、リアルはわりとみなさん手を挙げていただいているということです。
このあたりは先ほどもお話ししましたように、ビジョンを描いたり中長期戦略を立てても、結局実行されなかったりしますよねということです。「これは研修を増やしても変わらないのか?」みたいなことは(思われるかもしれません)。

もっと具体的な話は後でもしますけども、結局、じゃあ例えば「人材育成なんだ」「1on1なんだ」と言っても、本来1on1で問うべきことは、「あなたのキャリアはどう持っていきたいのか?」というテーマを話していきたいわけです。
そんなことより、もう今月の数字のことを上からも聞かれているので、例えば何かうまくいかないことがあったとなると、例えば部長も「なんでお前がそれを把握していないんだ?」と言われてしまう。なので、結局「じゃあ、各論で今どうなっているのか?」をつぶさに見に行かないと評価されないか、あるいは叱責されるという。
このカルチャーの構造の中で言うと、結局「じゃあ、1on1で」とか、あるいは「もうちょっと中長期で考えよう」という研修を打ち込んでも、日々の中の業務と接続しないので、なかなかそれが浸透していかない構造になっていますと。