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形骸化した目標管理を、現場が自ら考え動く「成長の地図」に変えるKPI 4兄弟とG-POP習慣(全3記事)

成果が出ない組織のKPIは“あれもこれも” ドラッカーやジョブズが示した、パフォーマンスを上げる条件 [1/2]

【3行要約】
・あれもこれもと指示を出して現場を混乱させる企業がある一方で、成果を出す組織は注力する行動を「1つ」に絞り込んでいます。
・元リクルートの中尾隆一郎氏は「複数の指示を出すと現場は勝手に取捨選択し、仮説検証のデータが歪んで振り返りができなくなる」と指摘します。
・実行スピードを高め、確実に成果を出すために、リーダーは現場の行動や目標をどのように絞り込むべきなのでしょうか。

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ダイエットと経営の共通点

井上将司氏(以下、井上):みなさん、ダイエットにチャレンジしたことがない方はあんまりいないかなと思うので、ダイエットを例に挙げています。ダイエットはあまりKPIになぞられて考えたことがないのかなと思いますので、ちょっと考えてみたいと思います。

要は「5キロ減らすぞ」と言った時にこういうツリーができるわけですけれども、候補としては摂取カロリーと消費カロリーがあるわけです。1つに絞る時、どっちの筋がいいかみたいな話があるわけですよね。これは中尾さんから見てどうですか。どっちのほうが筋がいいんでしょうか。

中尾隆一郎氏(以下、中尾):ダイエットって結局、摂取カロリーよりも消費カロリーを増やしたいわけですよね。これって企業が利益を出す時に「売上-コスト」だというのと同じ式なんです。ダイエットの場合は、運動して痩せるってかなり難しいですよねと。

井上:年を取れば取るほど、そうですよね。

中尾:代謝も下がりますしね。そういう意味で言うと、摂取カロリーを小さくするのがすごく大事ですよね。

井上:なるほど。こういうKPIツリーを考えて、候補を絞り込む時には、摂取カロリーをKPIとして重点的に管理していくことが、ダイエットでやるべき行動かなということがわかりましたよね。

中尾:そうですよね。毎日ビール2本飲んでる人は1本はやめるってことですね。

井上:そうですね。それ相応のことを消費カロリーで回そうとすると、逆に効率が悪いと言えるかなと思います。

中尾:だって運動って、雨が降ったら「もう外で運動するのやめよう」となるじゃないですか。やらない理由がいっぱいありますもんね。

井上:(笑)。そうですね。KPIは、そういうやらない理由にならないようなものを定めないといけないですよね。さっきの実行可能性というところですね。

中尾:そうですね。

KPIは1つに絞るべき理由

井上:ありがとうございます。「1つに絞る」という話が徐々に出てきましたけれども、ここからはちょっとそこにフォーカスを変えたいなと思います。いろんな人がいろんなKPIを「これだ」「あれだ」と言うようなことが起こっていると、混乱をきたすと思います。中尾さんが見られている組織で、実際にそういう組織はけっこうあるんですか。

中尾:……というか、みなさんの組織はどうですかという感じなんですけれど。僕はもともとリクルートという会社にいました。技術から営業に移って、営業が長かったんですけれど、営業組織の部長なんてだいたいどこも怖いんですよね。

例えばここにA、B、C、D、Eと書いてありますけれど、要は営業現場に「この5つをやれ」というわけですよ。それで僕たちはどうしたかと言うと、時間的に5つなんかできないんですよね。だから、やりやすいA、B、Cだけやるわけですよ。DとEをやっていないんですけど「やってない」と言うと怒られるわけですね。

井上:(笑)。

中尾:だから、やったことにするという話をするんですよね。

井上:(笑)。

中尾:それで、やったことにしたら何がまずいかという話なんですけど。要は仕事って「これをやりましょう」と決めて実際にやりましたと。当然うまくいくこともあれば、うまくいかないこともあるわけじゃないですか。

その時に「やったけどうまくいかなかったこと」と「本当はサボってやらなかったからうまくいかなかったこと」が混ざってしまうと、振り返ることができないんですよね。

要は、僕たちは何かの仮説を持って、それを現場の人にやっていただいて、その仮説が正しかったか間違っていたかを検証して、このループを回すわけじゃないですか。ABテストをし続けるわけじゃないですか。そこに間違ったデータが入っているとまずいですよね。

本気で取り組むためには数を絞る必要がある

中尾:逆に、戦略じゃないし、やってないのにマーケットが良かったからうまくいくことってあるわけですよ。そうすると、「やってないのにうまくいったこと」と「やったからうまくいったこと」が混じって、また戦略を振り返れないですよね。

井上:うん、うん。

中尾:だから、みなさんの組織が本当に同時に2つのことができる組織だったら、2つ頼んでもいいわけですよ。3つできるんだったら、3つ頼めばいいんですよ。僕が営業の時みたいに取捨選択しないでね。

マシンのように「3つやれ」と言われたら、できる組織は3つやればいいんだけど。「うちの組織はそうだ」と言ってる管理職はたくさんいるんだけど、営業現場の本当の行動を見たら、みんな取捨選択してますよという話なんですね。

井上:うん、うん。

中尾:この矢印で言うと「Aを重視しよう」とか「Cを重視しよう」と言ってるんだけど、一番上の「私たちが重要なことはA、B、C、D、Eです」と言っているおじさんには、全組織が「ちゃんとやりました!」と報告するんですよ。

井上:そうなってしまいますね。今のお話だと、仮説検証をするにはやっぱり本気で取り組まなきゃいけなくて。本気で取り組むにはなるべく数を絞ったほうがいいと思いました。

中尾:そうです。だいたいマネージャーになる人は、同時に2個か3個できたりする人が多いんですよ。今の自分はできるからメンバーもできると思うんですけど、その人も昔はできなかったと思うんですよ。

井上:はい。

中尾:だから、自分ができればみんなもできるというバーを勝手に上げているんですよ。その事実を見ないっていう。

井上:なるほどです。ありがとうございます。このA、B、C、D、Eを同時にやる必要はないわけですもんね。Aに注力して、Aがクリアされたら次に行けばいいっていう。

中尾:そうです、そうです。

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