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なぜ、1on1は現場任せにすると機能しなくなるのか? ― 人事が押さえるべき「1on1マネジメント設計」の考え方(全4記事)

部下が「意味がない」と感じる1on1の共通点 管理職が組織の不調を見抜くためのマインドセット [2/2]

部下の「忙しい」から組織の設計不全を見抜く

まず、組織マネジメントという言葉について定義や整理をしていきたいと思います。「組織マネジメントとは、組織目的の達成に向けて、メンバーが適切に働ける環境・仕組み・役割を設計し、組織活動の全体を見渡しながら運営・改善することです」と定義しています。

(スライドの)下の表に、個人の仕事と組織マネジメントの仕事の違いを示しています。個人の仕事はとても大事ですね。「自分で成果を出す」という目的に向かって、自分の業務・タスクに集中して、それを処理していく。これはとても大切です。

もう1つ、組織マネジメントの仕事というのもありますね。「成果が出る状態を作る」という目的のために、組織全体を見渡し、状態を整えるという視点を持って取り組んでいくことです。ここが管理職やリーダー的な立場でチームをまとめる人たちには特に重要になります。

今日は「上司」という言葉がところどころで出てきます。1on1の面談をする側ですね。こちらは(スライドの)右側の組織マネジメントの仕事に重点を置いてほしい人たちを指しています。

(スライドの)右下の「整える」という文字に赤字でアンダーラインを引いていますが、この「整える」について、もうちょっとお話を深めていきます。

「整える」とは何かという話ですね。「整える」とは、「メンバーが迷わず動けるように、役割・情報・基準・プロセス・環境を揃えることで、組織の実行力を高め、個人の行動を前に進めるための基盤作り(をすること)」を指しています。

(スライドの)下に絵がありますように、基盤とは、役割や情報、基準、プロセス、環境であったりします。また、それぞれに細かい項目がたくさん書かれています。これらすべてを総合的に基盤と呼んでいます。この基盤の上で、チームや組織は1つの方向に向かって活動をしていくわけですね。

でも、活動していくためにとても重要になるのが、メンバーが迷わず動ける状態を作ることです。これを「整える」という言葉で表現しています。

「整える」ために1on1ミーティングをどうやって組み込み、意味のあるものにしていくかがこれからの話になってきます。先ほどのありがちな1on1会話にちょっと戻って、具体的にひもといていきたいと思います。

組織課題のシグナルに問いを立ててみる

まず1つ目のありがちな1on1の会話です。部下は「最近ちょっと忙しくて……まぁ、大丈夫ですけど」。上司は「そうか、大変だね。無理しないでね」。1つの会話がこれで終了してしまうことがよくあります。

通常の解釈では、個人支援止まりで終わってしまうということですね。「忙しそうだね」「ちょっと部下へのケアが必要かな?」「○○さんのストレスにもちょっと配慮しなきゃいけないのかな?」で終わってしまうのが一般的な1on1だと思います。

これを組織マネジメントの視点に変えてみるとどうなるでしょうか。この一言の中にある組織シグナルに問いを立ててみるということですね。これが、この話全体のポイントになってきます。「この一言」というのは、例えば「忙しい」という一言ですね。そこには組織マネジメント上のシグナルが発信されていると考えてみるということですね。

「忙しいって、例えばどんなことが具体的にあるんだろうか?」「役割の偏りはないのかな?」「業務の属人化は進んでいないかな?」「優先順位の共有が曖昧ではないのかな?」と問いを立ててみることが、1on1の中で上司が取るべき思考なんですね。これを「問いを立てる」という言い方にしています。

そして、それを組織マネジメントに接続していく。例えば可能性や仮説として「特定メンバーに負荷が集中しているのかもしれない」「業務設計がちょっと不明確なのかもしれない」「説明不足なのかもしれない」「中間管理職自身の判断の負担がちょっと過多になってきているからかな?」「目標と現場実態の乖離があるのかな?」みたいなところにつなげていってほしいということです。

ここが1on1を組織マネジメントに組み込んでいく上で大事な上司側の思考プロセスです。そこが1つ、大きなポイントになってくるということですね。つまり、このケースにおいてですけれども、1on1の中で「個人が忙しいのは組織の設計不全の可能性がある」という考えに至ってほしいなと思うわけです。

評価への不満と「特にない」に隠された組織の歪み

2つ目の事例も見ていってみましょう。(部下は)「それは私がやるべきなんでしょうか?」「正直、この仕事を私がやる意味ってありますか?」。上司は「会社として必要だからお願いしているんだよ」。(部下は)「そうなんですか」。ここで(会話が)終わってしまう。

通常の対応としては「ちょっと動機づけが不足しているのかな?」「やる気の問題なのかな。ちょっとモチベーションが上がるように何か手立てをしないといけないかな?」「Aさんのキャリア志向ってちょっと違うところに関心があるかもしれないな。ここがズレているのかな?」と思う。このことについてはすごく大切なことだし、見逃してはいけないことだと思います。

ただ、この思考は(問題意識が)個人に向いています。個人の問題として捉えている部分は決して悪くはありません。けれども、もうちょっと組織マネジメント上にも着眼点を落としていこうよというのが今日の話になっていきます。

先ほどと同じように組織マネジメント視点での着眼点で考えてみます。この一言の中にある組織シグナルに問いを立ててみましょう。「役割定義は明確かな?」「その業務は戦略に接続しているかな?」「成果の評価基準は言語化されているかな?」「意味が共有されているかな?」と問いを立ててほしいんですね。そして、それを組織マネジメントに接続していきます。

「目標の翻訳不足やミッションの分解不足、管理職の説明責任不足など、いろいろなものが不足しているかもしれないね」。つまり、この事例で言う「意味の問い」というのは、組織の方向性が個人に届いていないサインであることが多いんですね。

つまり、「共有されていない」「ちゃんと届いていない」「納得していない」「合意されていない」みたいなところがけっこう潜んでいることが多いです。こういうところに落とし込んでいけたらいいなと思うんですね。

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