【3行要約】・これからの時代、部下を「管理」し続ける上司と、AIを補佐役に据えて部下を「導く」上司では、組織の成果に大きな差が生まれます。
・企業研修やコーチングを手掛ける田島ヒロミ氏は、「AIは最強の補佐役。最終判断や人間関係の構築はマネジャーしかできない」と語ります。
・AIを賢く活用しながら、定型業務から「最終決定や部下育成、ビジョン提示」へとリソースをシフトしていくための視点を紹介します。
前回の記事はこちら AIの進化でマネジメントのあり方はどう変わっていく?
田島ヒロミ氏(以下、田島):では、ここから質問やお悩みコーナーなんですけど、実は事前に2つほどご質問をいただいています。そこの解説をしながら、このセミナーの中で気になることがありましたらチャットに書いていただければ、お時間が許す限り回答してまいりたいと思います。
1つ目の質問は「生成AI、AIエージェントが経営、マネジメントにも浸透する中で、これからのマネジメントのあり方はどう変わっていくのでしょうか?」です。
これもさまざまなんですよ。お若い方は使っている確率が高いんですけど、ベテランのマネジメント層って、使っている人とあまり使っていない人の差が激しかったりします。
AIはチェック、人は決裁みたいなかたちで、先週4月の8日『日経新聞』に三井不動産の事例が出ていたんですよ。どんな事例かっていうと「本部長AIエージェント」っていうような事例だったんですね。
これは、このAIエージェントに本部長の思考とか過去のコメントをAIに学習させて、そこでAIに対して部下とか社員が、今までは本部長に直接持っていっていたのがそのAIの部長さんにこの資料をチェックしてくださいというふうにするようになったら。
そのAIが部長の口調で、部長の思考プロセスで「こういうところが足りないよ」とか「ここはいいよ」っていうふうに、チェックをするということですね。
効果としてここに書いてあるんですけど、資料完成までの時間が8時間から5時間になりましたって言っているんですね。ただ、最終決裁は必ず人が行っていくということで、AIはそこの補助役なんだと。そんな事例がありました。
これからのマネジメントに求められる判断と育成
田島:よくAIを使われている方は、何かわからないことを聞いたり、文章をチェックしてもらったり、いろんなやり方をされている方がいらっしゃいますよね。企業によっては、会社の専用のAIがあります。そういった意味では、ぜひAIも上手に使われるといいかなと思います。
これからは、役割は判断と育成へシフトということで、AIに定型業務とかチェックをやってもらえます。マネジャーさんはこちらの最終判断・意思決定、部下の育成、ビジョンとかを「管理」から「導き」へということで、そっちにお時間、リソースをシフトしていただくといいかなというところですね。
「AIリテラシーが必須スキルに」ということで、もしAIをあまり使っていないよっていう方がいらっしゃったら、そんなに難しくないので使ってみていただいてもいいのかなと思います。
この間私が驚いたAI活用例は、会社さんによって人事評価で、行動とかコンピテンシーを評価するような会社さんがあって、たくさんのコンピテンシーがあるとけっこう大変なんですよ。
それを、全部1回コンピテンシーを等級ごとにAIに覚え込ませて「とある部下の行動って、評価はどうなりますか?」ってAIに聞いて、AIに回答してもらって、それを参考にしている方がいらっしゃいました。
それを同じ部署のマネジャーに共有して、みんなが使える人事用のAIみたいなものを作っている方がいらっしゃいましたね。
ですから、単純にわからないことを聞くとか、文章のチェックだけじゃなくて、AIエージェント的なやり方もできますよということで、「今AIは何ができるのか?」を知っていただくといいかなと思います。
今回私がみなさま方と一緒に見ているプレゼンテーション資料も、実はAIに作っていただいています。中身はもちろん私が作りました。ただ、私はこんな上手にパワーポイントの資料は作れません。これはAIと対話をしながら全部作ってもらったということです。ですから、60歳を過ぎた人でもぜんぜん使えるようになりますからご安心くださいね。
AIは最強の補佐役です。ただ、最終判断とかビジョンとか人間関係の構築はマネジャーしかできませんということです。
もう1つ質問がございました。「職場環境の改善をビジネスコンセプトとして会社を経営することは可能でしょうか?」です。これは結論から言うと、十分に可能です。
職場環境の改善というのは、投資です。コストではないんですよということですね。これをうまくやると、離職率の低下とか生産性の向上、採用力の強化、イノベーションの創出、これらはすべて利益に直結するようになります。
職場環境を改善させる3つのポイント
田島:では、具体的に成功のポイントは何か? 大きく3つあります。理念と合致しないものはあまりうまくいかないので、ちゃんと経営理念に組み込む必要がありますね。
あと、数値での可視化であったり、エンゲージメントのサーベイとか離職率とか、マネジャーの育成を最優先にしていくということが1つ。
こちらに成功の事例が3つありますね。サイボウズさん、離職率が大幅に減りましたと。あるいはパタゴニアさんとか、仕事中に自由にサーフィンに行けちゃうらしいですね。未来工業さんとか。
共通点としては大きく3つですね。トップの強い意志と一貫性とか、社員の幸せを最優先する経営理念。あとは短期利益より長期的な企業価値。こういうところを共通点にしていただくといいかなと思います。
ですから、これをビジネスにしようと思ったら、こういう成功企業の事例を踏まえて現状を測定して、エンゲージメントサーベイをしたり、1on1でいろんな方のヒアリングをして、状況をしっかり押さえる。いきなり全部を変えるのはなかなか難しいんですよね。
風土とかなかなか難しいですから、1部署で小さく試してみて、パイロット的に実験をしていただいて、うまくいったらそれの効果を全体に共有していただくというところですかね。
職場環境の改善はコストではありません。最高の投資ということで、社員が輝く会社は必ず成長しますよということです。
ということで、ご質問は他にありますか? はい、ありがとうございます。飲みニケーションですね。実は本の中にも書いてあるんですよ。飲みニケーションのところは、まさにこの第6章の225ページに書いてあります。非常に効果的なのかなって私個人的には思っています。
というのも、やはり1on1だけだとなかなか本音を話せることが少ないですよね。腹を割って本音を聞く時にはお酒の力を借りるのもありかなと思います。
現代における「飲みニケーション」のあり方と関係性構築への効果
田島:ただ、上司から今の時代、誘いづらいですよね。私も外資系にいた時にマネジャーになったら「部下を誘うな」って言われたんですよね。「え?」って思ったら「ハラスメントになるから。誘われて行くのはいいよ」と。「でも、自分からは誘わないでくれ」って言われてしまって、けっこう困った記憶があるんです。
ランチを上手に使うとか、勉強会に行くついでの2次会でちょっとお酒を飲むとか、何かイベント事にしていただいてもいいかなと思います。
これも印象的だったのが、お若い方でちょうど3年目の方が「これから自分はビジネスパーソンとしてどうしたらいいのか?」っていうプレゼンテーションをした時に「飲みニケーションをしたい」っていう方がいらっしゃったんですよ。他の同期の方は「令和の時代に、何を言っているんだ?」みたいな意見もありましたけど。
実は1on1とか、お客さまと普通に営業の折衝をすると、何回も行ってもなかなか営業がうまくいかないんだと。ところが1回飲みに行って仲良くなっていくと、関係性がすぐ作れていろんなことがすぐできるようになるということです。実は今時飲みニケーションってすごく効果があるんだってそのお若い方がおっしゃったんですね。
だから、時代が変わってもそこは変わらないのかなと思います。私も同期からよく「10回1on1をやるより1回飲みに行ったほうが早いよ」って言われました。そのとおりかなと思っています。ですから、これも上手に使っていただくといいかなと思いますね。
司会者:「Z世代は人前で大々的に褒められるのを嫌がる人もいると、他の書籍では見たのですが、実際はどうなんでしょうか?」というご質問をいただいています。
田島:Z世代の方ってあんまり目立つのが好きじゃなかったりしますよね。人前で褒めてしまうと、なんか後で言われるんじゃないかとか、そういうことはあると思います。
やはりあらかじめ1on1とかで相手の性格とかを見ながら「この人は人前で褒められるのって苦手そうだな」って思ったら、避けていただいてもいいと思います。
ただ、「人前でもっと褒めて」っていう方もいらっしゃいますので、そのへんはもうケースバイケースです。人によって違うと思いますので、個別対応というか、上手に使い分けていただくのがいいかなと思います。
私もたぶん人前で言われるのは嫌だったかもしれないですね。ちょっと恥ずかしいとか、そういう思いもあったので。コソッと褒めていただくのが好きな方もいらっしゃいますので、そこは使い分けていただいてもいいかなと思います。
司会者:ありがとうございます。
田島:では最後に貴社の人づくり・組織づくりのサポートということでご紹介ですね。
私は企業研修・ワークショップとか、エグゼクティブコーチングとか、組織開発・コンサルティングのお仕事をしています。何かお困り事があったら気軽にお問い合わせ・ご相談ですね。こちらはホームページに飛ぶようになっていますので、こちらから何か聞きたいことがあれば、ご質問とかご相談をしていただければと思います。
最後まとめということで、こちらの本(
『昭和型のマネジメントは本当にもう通用しないのか』)をまだ購入されていない方がいらっしゃって、興味を持っていただけたら、ご購入いただければいいかなと思っています。

少しでも参考になればということで、昭和の時に出会ったすばらしい人間味あふれる課長さんの事例であったり、今令和の時代に成果を出し続けている人のノウハウなんかもたくさん。特に効果があったものをたくさん載せていますので、どこから読んでいただいてもけっこうですから、ご参考になればと思います。
特典なんですけど、実はこの本に載せていない2つのエピソードを、PDFでプレゼントしています。何かというと、昭和の課長と令和のマネジャーの情報収集です。昭和の時代はインターネットもスマホもなかったわけですからね。何か調べる時はどうしていたんでしょうか? そんなところを書いたりしています。
2つ目は、昭和の課長と令和のマネジャーのファッションで、どのようなファッションをしていたのか。特に令和は非常にフリースタイルなところもありますので、そういう違いなんかも載せています。
ということで、お忙しい平日の夜にご参加いただいて本当にありがとうございました。