【3行要約】・成果を出すマネジャーと部下に信頼されないマネジャー。その決定的な違いを生み出す「3秒の傾聴」のノウハウとは。
・田島ヒロミ氏は「最初の3秒で信頼の8割が決まる」と語り、部下の話を全身で受け止める傾聴の大切さを指摘します。
・Z世代の指導法や適切な負荷をかける「任せる技術」を学び、部下から憧れられる育成者へと変わるアプローチを示します。
前回の記事はこちら 部下から話しかけられた時の「正しい対応」

田島ヒロミ氏:クイズです。マネジャーのみなさんはお忙しい中、お仕事をしていると思うんですけど、部下が横からトコトコっと来て、「ちょっとよろしいですか?」って話しかけられたら、どう対応しますか?
1番、「忙しいので、パソコン作業をしながら相手の顔を見ないでそのまま聞く」。2番、「パソコンに手を置いたまま、一応顔だけ横に向ける」。3番、「作業を全部止めて、体ごと横を向く」です。
みなさま方はふだんどんな対応をされていますか? いろんな意見がありますね。3番をやっていただくのがすばらしいですね。ついつい忙しいと2番になってしまうこともあるかもしれないっていうことですかね。
私は毎回研修の中でデモをやるんですよ。受講生の中からお一人選んでいただいて、私に話しかけてくださいっていうことで、この3つをやってみるんですね。
1番は、話しかけられても一切見ないで、仕事しながら「何? どうしたの?」なんて、聞いているんですね。すごい「聴いてくれていない」とか、「嫌な感じがしました」って、部下役の方がおっしゃいました。これ、実は昭和時代の私なんですよね。ついつい忙しそうにして、相手の顔を見ないで聞いたりしていました。これはもう絶対駄目ですね。
2番は、パッて顔だけ向けるやり方なんですけど、これだとちゃんと聞いてくれていると、そんなことを部下役の方からおっしゃっていただいたんです。
最後の3番は、表情が変わるんですよ。すごくびっくりしたような表情を浮かべて、笑顔になったりして「ちゃんと聴いてくれている」っていうふうにおっしゃるんですね。これは、非常にインパクトがありまして、この研修をした後に、これを職場でやられる方が多かったんで、ぜひお勧めです。
「耳・目・心」の全身で受け止める「傾聴」のポイント
正解は3番ということで、体全体を向けると部下の心はこう変わります。ここで「傾聴」の「聴」の「聴く」という字は、「耳プラス目と心」ということで、体全体で聴きましょう。耳だけではなくて、目と心も全身で受け止めましょうということですね。
マネジャーの行動としては体全体を向けてちゃんと目を合わせて、作業の手を止めるということです。そうすると部下の方はどんな心理的反応になるかというと、安心感、信頼感とか、すごく話しやすいという気持ちになります。
実際に研修をやった後、フォロー研修で試してみた方のコメントとして、こんなコメントが挙がりました。
鉄道会社の女性マネジャーのお話だったんですけど、あんまり関係性が良くない女性の部下がいたそうなんですよね。(マネジャーの席に)不満そうにやってきたらしいんです。その時にパッて体を向けたら明るい顔、笑顔になって、表情がすごく変わったらしいんです。そこから関係性がすごく良くなって、よく話しかけてくれるようになりましたって、すごく喜んでいました。
あと、こちらの方はそれを部下にやったらしいんですね。そうしたら、その部下が自分のまねをして、その部下が今度は逆に後輩に話しかけられた時に体を向けてしゃべっていたところを見掛けたと。
職場全体で話しかけられたら全員が体を向けるような、そんな風土になりましたと言って、すごく喜んでいました。
体を向けるか顔だけ向けるか、これだけでぜんぜんインパクトとか印象が違うんですね。「聴く」という字は「耳プラス目と心」。体全体で聴くことがとても大切と、部下の心を開く鍵なんだというところです。

私もいろんな会社さんのマネジャーさんのお話を聞くと「この方ってどうしてうまくできているのかな?」ってとても不思議に思うんですよね。
いろいろお話を聞くと、特別なことをしているわけではないんです。こんなかたちで、ただ部下から話しかけられたら体を向けていますとか、本当にちょっとした行動だけで大きく組織って変わっていくんだなっていうのはすごく印象深かったですね。
最初の3秒で信頼の8割が決まる
ぜひやっていただきたいのは、(スライドを示して)部下が話しやすくする3秒の傾聴。これ、とても効果があります。まず話しかけられたら手を止めましょう。そして体を向けて、しっかり目を合わせるということですね。最初の3秒で信頼の8割が決まります。

ただ、お忙しい時もあると思います。そういう時には、いったん手を止めて体を向けて、「ちょっと今忙しいので、この大事なメールを打ってからまた話しかけるよ」っていうふうに言っていただければいいと思います。
その瞬間だけはちゃんと部下に向き合うということが大事ですね。こういうことを知っているか知らないかで、組織の成果とか風土が大きく異なっているというところです。
これもすぐ忘れてしまうので、この3秒ルールをデスクのところに貼っておいて、話しかけられたら「これをやってみよう」っていうふうに、思い出していただくとよろしいかと思います。

そして、(スライドを示して)ティーチングとコーチングの使い分けということですね。ティーチングというのは、対象は新人さんとか未経験者とか、異動してきたばかりの方。これは答えを教えてあげるということが大切になりますね。
ややベテラン、経験者についてはコーチングということで、問いかけながら上手に引き出す。本人の気づきを促して、自走を支援するということになりますね。
そういった意味でこちら、新人にコーチングをしてしまう。これは放任・迷子になってしまいますし、経験者にティーチングをすると、干渉し過ぎとかやる気が低下しちゃうことがあります。相手の成熟度、タスクの難度で使い分けていただくといいかなと思います。
特にZ世代の方は、すぐ答えを知りたがる傾向があります。だから「これ、どうしたらいいか考えてごらん」って言っても、きょとんとしてしまうんですね。なぜかというと、やはりGoogle世代で、特に今はAIとかもありますから何かわからなければすぐ調べられるわけですよ。
ところが「そんな、調べられるのになんで教えてくれないんだろう?」っていうことで、「意地悪されているのかな?」っていうふうに勘違いをされてしまうこともあります。