部下の「やる気スイッチ」を押す、過去の原体験と仕事の紐付け
私もよく聞くのは、例えば「スポーツが好きでした。野球をよくやっていたんですよ」って聞くと、「そうなんだ」と。「なんでサッカーとかではなくて野球なのかな?」と、他のスポーツと対比しながら聞いていくと、いろんな特徴を話してくれるんです。
そこから本人の大事にしていることとか、夢なんかがつながって、本人もハッと気づいたりしますので、子どもの頃の夢を聞くというのは効果的ですね。
ただ、いきなり聞くとびっくりするんですよ。部下に「君、ところで子どもの頃の夢、何だった?」なんていきなり聞くと「え?」って引かれてしまうので。
そんな時は「昨日子どもに『子どもの頃、パパは何になりたかったの?』って聞かれちゃってさぁ」って言って「『実は僕は仮面ライダーになりたかったんだよ』なんて、そんな話をしていたら気づいたんだよ」みたいな話をします。
その後で「ところで、君の小さい頃、夢中になったことは何?」というふうに、お話ししていただくと、自然なのかなと。課長、マネジャーから自分のことをオープンにしながら、その後部下に聞くのがいいのかなと思います。
あと、最近の感動体験ですね。「何か心を動かされたことってあった?」みたいに、仕事面でもいいですしプライベート面でもいいと思います。特にお客さまとの感動体験っていうと、すごく心に刺さっていい体験になると思いますので、そんなことも聞いていただくといいのかなと思います。
それを聞いていただいたら、ぜひ価値観ワードですよね。貢献とか挑戦とか、少し抽象度を上げて、「それってこういうことを大事にしているんだな」っていうことを見つけていただいく。
今やっている仕事と結びつけるっていうことが大事ですね。「こういうことが好きだったんだね」と。「これは今の仕事と結びついているよね」っていうことをしていただくと、本人も「実は夢とか、叶っていたんだな」みたいに、腹落ちすることが多いんじゃないかなと思います。
「ハーズバーグの二要因理論」から考えるモチベーションの本質
私は小さい頃、仮面ライダーになりたかったんですよね。小学校1年生ぐらいからずっと砂場で空中回転の練習をしていたんですけど、当然小さいですからぜんぜんうまくできないんですよ。最初は背中から、砂場に落ちてすごく痛い思いをしていたんですけど、なりたいとかやりたいとか思っていますので、1回でめげずに毎日練習するんです。
そうするとだんだん、尻餅をついたりして、できるようになって成長していくんです。そこから、人って好きなこととかやりたいと思っていることはめげずに継続的にやる。それがいつの間にか強みになっていくんじゃないかなと思います。
仮面ライダー(の仕事)というのは人々を助ける、困っている人を助けることですね。そういった意味で今の私の仕事も、マネジメントとかリーダーシップで困っていることを助けるということで、つながっているのかなと感じています。

(スライドを示して)このやる気ということで、ハーズバーグさんの二要因理論というのもあります。衛生要因と動機付け要因で大きく2つあるんですよね。
衛生要因は、例えば給与とか条件とか、会社の方針。これは、マイナスがゼロになります。こういうような、マイナス要素はゼロにしなきゃいけないんですけど、やる気を高めるとかモチベーションを高めるためにはこれだけじゃちょっと足りないんですね。
動機付け要因は、フラットからプラスにするということで承認とか達成感とか、仕事そのものとか、昇進・成長の可能性なんかの動機付け要因も大切ですよということです。
衛生要因は、標準的にやっていただいて、動機付け要因はそれぞれ個性があります。価値観が違いますので、個別化しながら対応していただくといいかなと思います。
昭和世代の鬼門? 5W1Hで実践する「効果的な褒め方」
コミュニケーションで言うと、褒めるというところですよね。昭和の方はなかなか、褒めるというのに苦戦されている方が多いのかなと思います。研修とかで、ロープレとかをしますよね。その時に、やはり年配のベテランの方はうまく褒められないんですよ。
そんな時に言うのは「私、若い頃に褒められたことがないので、褒め方がわからないんです」っておっしゃるんですね。
昭和のマネジメントで育った方は、上司からぜんぜん褒められたことがなかったので、「じゃあ、今度、部下を褒めろよ」と言われても、戸惑ってしまうことがあるんじゃないかなと思います。そういった意味で、(スライドを示して)ここの5W1Hを使って、褒めていただくのはいいのかなと思います。

まずは「Why」ですよね。いったい何のために褒めるのかということで、ご機嫌取りとか、承認欲求を満たすのではなくて、部下の望ましい行動をしっかりと繰り返してもらう、そういうような投資だということです。いい行動は、ちゃんと認めてあげて「これ、いいよ!」と繰り返してプラスのフィードバックを与える。
「Who」、「誰に」ということで、名前を呼んであげてくださいね。「○○さん、ありがとう」と名前を呼ぶだけで「ちゃんと認められているんだな」っていうことで、実感が3倍になっていきます。
「Where」、「どこで」ということで、人前で褒めていただくといいかなと。朝礼、会議とか、チャットのパブリックチャンネルとか、第三者がいるところで褒めていきます。
「What」、いったい何を褒めるのか。単純に「がんばったね」とか、「よくやっているね」なんて、抽象的な言葉で褒めてしまうと「研修で褒めろって言われたのかな?」とか「なんか裏があるんじゃないか?」と、逆に警戒されたりします。
具体的に、例えば「資料のこのグラフが見やすかった」っていう事実を伝えていただければ大丈夫です。
「When」、「いつ」。鮮度が大事ですからすぐ褒めていただくのがいいかなと思います。
「How」、「どうやって」。短く率直にということですね。余計なことは言わないで褒めるだけに集中するということで、実名、具体行動、即時性の3点セットがいいかなと思います。
「間接褒め」の仕組み化で部下の承認欲求を満たす

(スライドを示して)昭和流は私も経験があったんですが、直接褒めてくれることは少なかったんですけど、意外と間接的に褒めてくれたことがあったんですね。同僚・先輩から「あの課長が褒めていたよ」なんて言われると「え?」とか思って、すごくうれしかったですね。直接言ってもらったことはないのに「ちゃんと認めてくれていたんだな」と、ほっとした記憶があります。
第三者経由で、「課長が褒めていたよ」っていうふうに言っていただくと、ウィンザー効果というところで、本人もすごく喜ぶ。すぐ忘れちゃいますので、部下の良い行動はぜひ、メモしておいてくださいね。
褒めるメモは残していただいて、影響力のあるキーパーソン、先輩とかを使って、意図的に話を流して「○○さんが、すごくがんばっていた」みたいなことを言っていただくと、先輩たちにも「あいつがんばっているんだ」と。「じゃあ、本人にも言ってあげよう」みたいになりますね。
そういった意味で、直球と変化球ですね。直接褒めるやり方と、間接的に人を通じて織り交ぜることで、承認の鮮度を保っていくのも効果的ということです。
人はすぐ忘れてしまいますから、記憶より記録、パパッとメモを取っていただいて、月1回間接褒めを仕込む習慣化をしていただいてもいいかなと思います。