【3行要約】・正面に座って圧迫感を与える上司と、斜め前に座って本音を引き出す上司。部下との対話をアップデートする違いはどこにあるのでしょうか。
・田島ヒロミ氏は、マネジャーは部下を待つのではなく「話しやすい空気感を物理的・行動的に演出することが大事」だと指摘します。
・1on1での適切な座り方や「5W1H」を用いた効果的な褒め方など、心理的バリアを下げて部下のやる気を引き出す実践術を紹介します。
前回の記事はこちら 1on1の本音を引き出す「斜め前」の座り方とオンラインの盲点
田島ヒロミ氏:そういうところも踏まえた上で、ここからはより具体的なところを、みなさま方と一緒に進めてまいりたいと思います。第3章ということで、部下との対話をアップデートしていきましょう。
よく1on1をやられている会社さんも最近増えてきましたね。この1on1と日常会話を進化させる実践術をご紹介してまいりたいと思います。
1on1で本音を引き出すということで、みなさま方は1on1をされている方はいらっしゃいますか? その時にどんなふうに座っていますかということですね。

(スライドを示して)例えば、こういう座り方をされている方はいらっしゃいますかね。いわゆる面接座りみたいなかたちで、正面に座るとやや圧迫感、対立構造がありますね。メンバーからしてみたら正面に上司がいらっしゃると、ちょっと話しにくかったり言いづらかったり、本音が伝えづらいということもあるかもしれないです。
真横はどうですかね? いわゆる恋人座りですよね。真横に座られてしまうと表情が見えないわけですよね。例えば、何か説明をしている時に部下がどんな表情をしているのか、観察ができないですね。こちらもあまり好ましくはないです。
良いのは、斜め前に座るといいと言われています。安心と感情把握ということで、メリットとしてはこちらですね。斜め前に座っていますので、一応周辺視野で表情変化も捉えることができます。
あと、視線を外しても不自然にならないですね。ずっと真っ正面にいて、相手の顔とか目をずっと見ていると、圧迫感がありますけど、(斜め前だと)リラックスできます。そういった意味では、心理的バリアが下がって本音が出しやすいということになります。
中には、最近はリモートということで、オンラインでも1on1をやられている方はいらっしゃると思います。その時にはパソコンに向かって話されていると思うんですけど、このカメラの位置に注意してみてくださいね。
例えば、普通にパソコンでやると、カメラの位置が下に来るので上司から見ると上から見ている感じになるんですよね。そうしてみると、少し部下にとっては圧迫感があったりしますので、カメラの位置も気にされるといいかなと思います。
「部下から話しかけてくるのを待つ」はNG
実は昭和の時代、印象的だったのは「ゴミ箱座りの対話」ですね。私が昭和の時代に働いていると、課長とかがトコトコと来て必ず私の……デスクの隣には円柱の丸いゴミ箱が置いてあって、そこにちょこんと座るんですよね。

衛生的に汚いのかなと思いながらも、そこにちょこんと座って「調子、どう?」みたいに話しかけてくるんですよ。それがすごく印象的だったんですね。
これ、今振り返ると実はこんな効果もあったんじゃないかと。私のほうがどちらかというと椅子に座っています。ゴミ箱のほうが低いので、私のほうが課長を見下ろすようなかたちになったわけです。
課長は目線を下げているわけですね。立って「最近どう?」って言うよりは、下から来るわけですから、圧迫感がなかったかなというところですね。心理的な壁がなかったのかなと。当然斜め横に座っていて、先ほどのケースと同じです。
「会議室に来て」「面談室に来て」なんて言うと、身構えてしまうんですけど、ふらっと来てちょこんと座るものですからね。本当に自然で気軽に話せたかなと思います。
そういった意味で、課長とかマネジャーのお仕事は部下から話しかけてくるのを待つということではなくて、話しやすい空気感を物理的・行動的に演出することが大事なのかなと思っています。こういうのは、昭和の良さじゃないかなと、令和でも通用する知恵なんじゃないかなと思います。
しょっちゅう、ゴミ箱座りで部下と対話をしていた課長さんが印象的だったのは、お尻にくっきりゴミ箱の跡が付いていたんですよね。廊下で前に課長さんが歩いていて、跡が付いている方を見ると「この課長さんって部下といっぱいしゃべっているんだな」っていうそんな記憶がありました。
当然座りづらいですから、長くそこに座っているわけじゃないです。3分から5分ぐらいパッと話してすぐいなくなるので、そこは非常によかったのかなと思っています。
あと、「なかなか部下のモチベーションが上がらないんだ」という、お悩みもけっこう聞きます。みなさま方は部下のやる気スイッチを見つけていますでしょうか?
昭和の時代は、やる気スイッチっていうのはどちらかというと昇進とかですね。非常にロイヤリティが高くてみんな「課長になりたい」とか、そんなふうに思っていたので、あんまりモチベーションを上げるというアプローチをされた記憶はないんですよ。
でも今は、価値観が多様化しているので、昇進したくないという方もいらっしゃいます。そういった、いろいろな方にどうやったらやる気が、モチベーションが上がるのか。そんな見つけ方のコツなんですけど。
例えば、子どもの頃の夢を聞くっていうのは非常に効果的ですね。雑談の中で、過去の原体験、小さい頃ご飯も食べずに夢中になったこと、なんていうことを聞いていただくのがいいのかなと思います。

ここでは、例えば「パイロットになりたかったんですよ」って言ったら、ただそれを「へぇ」じゃなくて、「そうなの?」と。「なんでなの?」と、詳しく深堀りをしていくといいと思うんですね。「機械を操縦するのが好きだった」みたいなことで、意外と本人も気づいていないような、いろんな原体験とか深掘りができます。