【3行要約】
・部下を成長させる「優しい上司」と、組織をダメにする「甘い上司」。その決定的な違いは成果基準の扱いにあります。
・伊庭正康氏は、成果への妥協は部下の成長を奪うとし「要望レベルを変えず、コミュニケーションを優しくする」ことが重要だと語ります。
・現代のリーダーが嫌われずに最大の成果を出すために、ぶらしてはいけない成果基準や責任、期限の持たせ方、具体的な対話術を紹介します。
「優しい」と「甘い」を混同すると、マネジメントは悪循環に陥る
伊庭正康氏:今日のテーマは、「マネジメントは甘くしないでください」という話です。優しいと甘いの違いはなんでしょうかね。このあたりを押さえておかないと、なめられる上司になるばかりか、上司としての役割を果たせなくなってしまうことがよくあります。実際に私の研修先でもそういう事態をよく見ます。
「今の時代に求められる新しいマネジメントとは何か」という話をしていきますので、ぜひヒントにしてください。(スライドを示して)一番やってはいけない誤解がこちらです。「若い世代は扱いにくいから優しくしよう」「年上部下には怒らないようにしよう」「嫌われるとやりにくくなるから」ではダメなんですよ。この場合は、甘くすると悪循環になるということなんです。
優しいと甘いはまったく違います。じゃあ何が違うんでしょうね。部下育成は当然、子育ても一緒だと私は思っています。甘くすると優しくするはまったく違いますね。そこの違いを今日お伝えさせていただきます。上司としては絶対に押さえておかねばならない。
(スライドを示して)メニューはこちらです。「甘い上司」がやっていること。問題の本質は何か。絶対に変えるべきことと変えてはいけないこと。これを紹介しますので、新しいマネジメントスタイルをぜひ仕入れてみてください。

(スライドを示して)まず、甘い上司がやりがちなことを4つ紹介します。1つ目、指示が曖昧。この動画でもよく紹介していることがあります。マイクロマネジメントは止めておきましょう。なので、指示をしすぎてはいけないという話をします。
でも、だからといって指示をしなさすぎるのも問題です。「うまくまとめておいてもらったらいいよ」とか「伊庭さんなりでいいからやってもらっていい? あんまり細かく言うとやりにくくなるものね」と思いがちなんですけど、やっちゃいかんのですよ。かえって混乱を起こします。
成果への「仕方ない」という妥協が、部下の成長機会を奪う
2つ目、結果が出なくても注意しない。例えば、100パーセントの成果を求めているシーンだったとしましょうか。80パーセントしかやらなかった、できなかった。それに対して「まあ、がんばったから仕方ないよね」と。上司が会話する中で、仕方ないという言葉はまず出てきませんので、それだけはNGワードでお願いします。
仕方ないということであれば、もう指示すんなよなんですよ。上司としてはわかるけど、部下としてはそういう構造になっています。「できなくても仕方ないよね」「じゃあ、そういうことを指示するなよ。いや、サポートしろよ」ということなんですよね。仕方ないという言葉は、思っていても使ってはいけない言葉、結果が出なくても注意しない。仕方ないはダメです。
あと、成果基準がどんどん下がる。これ何かというと、今の仕方ないもそうなんですけど、それとまた違いますね。例えば、会議とかでよくあるんですけど「時間内に集まってくれてありがとうございます」というセリフが最近あるんですよ。「時間どおりに来てくれてありがとうね」とかね。そこで一時停止ですよ。
当たり前やろってことですよね。当たり前のことを褒めてどないすんねんと、誰が思っていると思います? Z世代と言われている若手たちも思っています。時間どおりに来るのは当たり前。なんでそこで「来てもらってありがとう」って言うんでしょうね? おかしいんです。
「成果基準をどんどん下げて子ども扱いするな」です。「馬鹿にしてんのか!」っていうことです。この間、ある企業で新人研修をやった時にこんな声が上がっていました。「ちゃんと挨拶してくれて、すごいよね」。
それに対して「上司は子ども扱いしている」。その業界が商社さんだったんです。商社さんなので、優秀な方が多いわけですよ。「何言っちゃってくれているの」という感じやった。「新人だからといってどういうこと?」ということなんですよね。ちゃんと鍛えてほしい、ちゃんと育ててほしいと思っている。成果基準をどんどん下げちゃダメです。
そして、期限を守らなくても許容する。これも一緒ですね。会議や研修に遅れた時に、「エレベーターも混んでいるから」。ちょっと待て、一時停止です。エレベーターが混んでいること、わかるやろってことですよね。
期限や時間のルーズさを許容することが、組織を甘えさせる
あと、もう1個気になることがありまして、(私)研修講師なんですよ。研修するでしょう? 誰か遅れてくることがあるんですよ。特に若手の方ね。若手の方が遅れてきて「連絡ないですね。あと2~3分待ちましょうか」とか事務局の方が言うんですよね。でも、他の方は時間どおりに来ているんですよ。
早く来た人、ちゃんと時間どおりに守った人から見たら「えっ、どういうこと?」と思う感覚、大事なんですよ。時間ってめちゃくちゃ貴重じゃないですか。それに対して「遅れている人がまだいるので、3分待ってもらっていいですか」「待ってもいいんだ」。ダメですよね?
一般的には時間どおりに進め、3分遅れて入ってきた人がいたら「ちょっといい?」っていう。「何かあったんですか? あ、電車が(遅れて)ね。じゃあ次回からよろしくお願いします」と言って席に座っていただく。叱る必要はないんですよ。それなりの対応はするっていうことと、時間はオンタイムに進めたらいいんですよね。
期限は必ず守る、時間は必ず守る。これ、原則中の原則ですね。そこを許容してしまったら、甘い上司です。ご注意ください。
もし、それをやっている人が、上司じゃなく先輩がやっていたら、それは上司として「そこはね」って教えてあげたほうがいいと思います。そういった方が新人を育ててしまうと、新人も「この職場甘いよな」と思うからです。じゃあ、この本当の問題ってなんだと思います? 問題の本質はこの2つのことを混同しちゃっているってことなんですよ。