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【組織の関係性を再構築】上司がいじめられるって…ハラスメント対策の盲点(全4記事)

優しい上司とは“部下の言いなりになること”ではない 管理職のメンタルを守る心理学的アプローチ術 [2/2]

お互いの本音を理解し合って関わり合っていく

青木:次がNVCですね。特にコミュニケーションエラーが起きている場面では、NVCはとても大切になります。ここでコミュニケーションのための物の見方と方法を学んでいくわけですね。評価とか判断をいったん手放して、キリンの視点で自分を含めたお互いの本音を理解し合って関わり合っていく。そして関係性の土台を作っていくということです。

そうすることで、パワハラに対しての物の見方も変えることができますし、対処法も変わってきます。対処できる部分も格段に増やすことができるんですね。なので、もしパワハラだったり、コミュニケーションエラーの問題を改善したいという場合には、ぜひNVCもしっかり学ばれるといいかなと思っています。

パワハラの問題だけじゃありません。自分自身のマネジメントのあり方についてのアップデートとか、メンバーとの対話、関係性の質向上、モチベーションアップだったり、自分自身やメンバーのメンタルケアにもこの4つの心理学はとても有効です。

逆パワハラ状態なら迷わず相談を

そうは言ってもパワハラだったり、ひどい態度を受け続けている状況で、さっきのNVC、キリンの視点を持つことは、実際には難しい側面があります。

自分からキリンの視点を始めるのは鉄則なんですけど、関係性にパワハラっていう鍵がかかっている状態に、いくらNVCとかいろんな心理学のツールを入れたとしても、鍵を回すための握力がなかったらロックを開けることができません。

心身のエネルギーがない、本当に疲弊してしまっている状態では、握力がない中で鍵は回せませんので、もし心身とか業務に支障が出てきていたら、窓口だったり周囲の人に相談を絶対していただきたいなと思います。

これ、大事な視点で、職場のメンタルヘルスを守るためには4つのケアが重要だと言われています。セルフケアだけが大事というわけでは決してありませんので、まずは自分だったり現状が今どの段階なのかをしっかり見極めていただく。

支障が出ているのか、自分だけでは解決してはいけない状況だなっていう判断を冷静にしていただいて、その場合には自分だけで抱えてなんとかしようとしないでいただきたいなと思っています。

さっき「マネジャー同士が協力し合う環境は大切ですよね」というコメントもいただいていたかと思います。自分だけでなんとかしないっていうのもすごく大切な視点になります。それを体制として、環境として作っていくっていう考え方もあったりしますので、その部分については北村さんからシェアをお願いしたいなと思います。

マネジメントを分担するという対応策

北村:最後に私から、今言っていたマネジャー同士で、ケアし合うみたいなところの話をしたいなと思っています。

これからお話しするのは、マネジメントシェアリングという考え方です。実はオランダでは、校長先生が2人いる学校がすでにあったり、CEOクラスだと共同CEOなんていう言い方もしていたり、マネジメントのシェアリングは世界的に見るとけっこう進んでいたりします。

日本においても非常に有効なんじゃないかなということで、我々は今マネジメントシェアリング研究会というのを立ち上げて、企業の方にも入っていただいて研究を進めているところですが、その背景を少しだけ説明したいと思います。

今マネジャーは多重責務者みたいに言われています。1950年代、部下の業務の管理・監督だけだったものが、どんどん中長期の業務を見なきゃいけないとか、プレイング業務も入ってきて、ほとんどがプレイングマネジャー。

そして人材を最適に活用・育成する仕組みも考えなきゃいけなくなってきました。さらには事業課題への対応とか将来に向けた課題の仕入れと戦略作りみたいな。こんなことで、マネジャーの業務がものすごく幅広くなっています。

こういう話を経営の方々とすると「そりゃそうだよね」、「自分もそうだったよ」「自分もめちゃめちゃ忙しかったし、いろんなことを考えてやってきたんだよね。だからそれを耐えるのがマネジャーなんだよ」みたいなお話をいただきます。

それは確かにみなさんもやってきたんだろうなと思うのですが、1つは経営(層)に上がるスペシャルな方たちだからこそという部分もあります。

もう1つは、その方々も経験してきてはいるんですけど、今のマネジャーの方々が負っている業務の幅の広さや種類の多さ、複雑さを考えると、昔とは違うんじゃないのか。多種多様なことに考えを巡らせなきゃいけない中で目の前のプレイングもしなきゃいけない。これ、(マネージャーの働き方が)かなり変わってきているんじゃないのかなと思います。

そういうマネジャーの状況を考えると、マネジメントを複数でしていくのはできないのだろうかというのが、このマネジメントシェアリングを考えていった背景にあります。

職務を分担・共有し、精神的余白を生み出す組織デザイン

北村:「じゃあ、マネジメントシェアリングって何なの?」っていうことで、簡単に書くとマネジメントの職務を複数の人で行うことで、分担や共有をしたり、こういうことを通じてお互いを補完し合うみたいなところかなと思っています。

例えば人のケアに関しての役割と、それから仕事を進めるっていう役割を分けて「Aさんは人のケア、Bさんは仕事を進めるところにしましょう」みたいな分け方をしたりします。

あと、共有する意味では、マネジメント全体を一緒にやっていく。だから人のケアも仕事を進めるっていうことも、全部一緒に情報共有しながら2人で、あるいは複数でやっていく。

その中でもやはり得意・不得意とかいろいろありますので、お互いの特徴を見ながら補完し合うみたいなことをやっていく。そうすることでいろんな知恵が、1人でやるよりもどんどん生まれてくるんじゃないのかな。結果的には生産性が上がっていくのではないかな。そんなことを考えているところです。

(スライドを示して)ここに書いてありますが、マネジャーの時間的、精神的余白を生み出すとか。結局、多種多様なものがあり過ぎて、本当にやらなきゃいけない仕事、マネジメントに手が回らないみたいなことはあるんじゃないかなと。

なので、そちらにきちんと時間を作れるとか、エネルギーを注げるような環境としてのマネジメントシェアリングも観点としてはあります。

それから、さまざまな働き方でマネジメントを担えると書いてありますが、ドイツなんかは週3日勤務で、2人でやりますと。なので月・火・水はAさん。Bさんは水・木・金。水曜日はお互いにすり合わせをしていくみたいなかたちでやっていたりするそうです。先ほどの校長先生の例なんかもそんな感じですね。

そういうかたちでマネジメントシェアリングをしていくと、短時間勤務とか、副業みたいな働き方についても対応できるので、マネジメントをやる人のバリエーションが増えるかなと思います。

いろんな生活の中で役割を担っていて、フルタイムで働くのが難しい期間があったとしても、そこでもマネジメントに関わることができるのは非常に大きなことだと思います。

若手がマネジメントに希望を持てる未来へ

北村:そういうことも含めて、先ほどの「今の上の方たちを見ていると、とてもマネジメントしたいと思いません」みたいなところから少し余白が生まれて、よりマネジメントの醍醐味を味わえるようになっていくと、若手が目指せるようになってくるんじゃないのか、みたいな話があります。

若手が目指せるようになるのはもう1つあって、若手のうちにマネジメントシェアリングの一端を担ってみることで、(マネジメントを)試すのもあるかなと思います。

そうすると意外と「マネジメントってこういうことなんだ」みたいなことがわかって、「自分ももっと中心的にやりたい」って思えるようになるかもしれません。こういうマネジメントシェアリングみたいなことで、逆パワハラみたいなところから少し違う方向に持っていけるんじゃないのかなと思います。

すでに日本でも制度として取り入れいるところは出始めていますけど、まだまだ少ないかなと思います。いろいろ調べていくと、実は現場レベルでは仕組みとしてとか、制度としてシェアリングをしているわけではないんですけど、特に補完し合う、共有するみたいなことは、必要に駆られて起きていたりするんですよね。

それによって、自然と自分たちで工夫してやっている中で、知恵がどんどん生まれて少し楽になっているとか、精神的な負担が減っているケースもあったりします。

実際にそれを拾い上げて、広げていけば、マネジメントシェアリングという考え方を導入することもできるんじゃないのかなと。そこに向かっていけるといいなと思っていて、これも解決策の1つとして考えられるんじゃないかなというところです。

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