【3行要約】・
『Googleで学んだ 圧倒的成果を出し続けるマネジャーの最優先事項』出版を記念し、著者の中谷氏、諸橋氏、水野氏と、ゲストのエール株式会社取締役の篠田真貴子氏によるトークセッションが開催されました。
・著者陣は、管理職が「自分がやったほうが早い」という誘惑を断ち切るカギは、個人の能力を足し算するのではなく、チームの力を「掛け算」にすることだと指摘します。
・メンバーの強みを組み合わせ、予測不能な変化をチームの力に変えるマネジメント術について語り合います。
前回の記事はこちら チームの目標と個人の成長にどう折り合いをつけるか
篠田真貴子氏(以下、篠田):心理的安全性を入り口にした部分の最後のほうになってくるんですが。今、ローパフォーマー(の話題)から、だんだん「パフォーマンスフィードバックをどうする?」と、遡ってきました。ここでまさに今、公三さんに触れていただいた目標についてうかがいます。「そもそも何をゴールにするんだっけ?」というところの設定がありきなんだと思うんですよね。
これは実際にご質問でもいただいていますし、私自身もすごく難しいなと。適切なゴール設定、適切な課題やハードルという言い方をされていたものが難しい。

1つは、チームとして達成しなきゃいけない目標があるから、機械的にはみんなの頭数で割って「みんなでやれや」みたいなものが、ある種の極にあり(笑)。もう1つには、一人ひとりの個性や成長。まさに「まだローだけど、この人なりのスピードでは伸びているよね」があり。でも、それだけを見てもチームのパフォーマンスは絶対に(成長して)いかないわけじゃないですか。
という中で、「これ、どうすんの?」というのを、ちょっとこの本を読んでいても正直、自分の状況にひもづけにくいとやや感じ……。これはちょっと質問としてどうかたち作っていいか、私もわからないながら言っているんですけど。ちょっとそこが難しいんだよな、という読後感を今持っています。
中谷公三氏(以下、中谷):ゴール設定の話は解説したほうがいいですね。ここは、みなさん営業部隊だから、ただ単に「ゴールは売上が何億円です。はい、あなた(の目標)はいくらです」と言うんだったらめっちゃ簡単なんですけど、そういうゴール設定だけじゃないので。

ネオさんとジュンさん、それぞれが(メンバー)一人ひとりと対話しながら、どうやってその数字を作るかも含めて、フロントラインマネージャーとして議論しているので。
水野ジュンイチロ氏(以下、水野):そうですね、今思い出しながら話しているんですけど、まずは僕らに対して挑戦的な目標が来るわけですよ。毎四半期、「ふざけんなよ」という数字が下りてきて。
篠田:見た瞬間?
水野:意味がわからんやろ、という数字を何回も落とされてきて(笑)。
篠田:きっと今、これを見ながら首がもげるほどうなずいている人がいますよ(笑)。
逃げ場のない野心的な目標が変化を強制する
水野:意味わからん挑戦に、まずマネージャーが「よし、やろう」という気持ちになるところから始まるわけですよ。となったら今度は、これを機械的にやるのはやはりすごく難しいんですよね。
さまざまなシチュエーション、いくつかの考慮事項を勘案して決めていくしかないんですけど、まず要求されているものがあると。さっき公三さんの数字だけという話があったけど、僕には数字だけでポンと来るので。
篠田:マネージャーには数字だけ来るんですね(笑)。
水野:ギャップが出てきたから、これくらい野心的なことをしないといかんなということが、まず僕らに来るからこそ、僕らも(メンバーに)求めざるを得なくなるという仕組みもありましたよね。
となった時に、さっきも言ったとおり、幸いなことにメンバー自身も成長したいと思ってくれてはいるわけですね。なので、彼らの成長とトライすることをひもづけて、「じゃあ、ここを目指しましょう」というふうに落ち着けるのが結局やることなんですけど。
とはいえ、彼ら自身も人生のプライオリティとか各々の興味範囲がある。こっちもやってほしいことがある。折り合いをつけるというか、やはり結局は玉虫色のことを避けられないんですよ。
だから、あんまり手続き的に決まるとは思わないほうがいいなと思っていて、そういう3要素ぐらいがウニュッとなって、良い具合を見つけるのがこの作業なんだろうなと私は思いました。どうでしょうか?
中谷:いや、 ホントそうなんじゃないですか。
諸橋峰雄氏(以下、諸橋):まぁ、でも玉虫色というのは実際そうなんだと思いますよ。たぶん、「これが必勝法だ」というものはぜんぜんなくて。
本にもちょっと書いてはいるんですけれども、僕らがやっていたのは、その数字を誰がどう達成するのかをちゃんと言語化していくことだと思うんですね。そこにはその人の強みや興味があるところに沿ったものとして、「こういうことをやれば、たぶんこれぐらい達成できるだろうな」というのがセットで用意されている。
やはり僕らが日頃会話をしているので、その人の動き方だとか、なんとなくの期待値がけっこう見えているわけですよね。だからこそ、そういった会話ができる。
部下のスキルに合わせた「テーラーメイド」でプランニング
篠田:「野心的なものでも、あなたならできるでしょ?」という。
諸橋:そうです。「それでも、いけるよ」という感じの乗せ方でできるのか、もうちょっとおしとやかに収めていくのかみたいな。たぶん、その人のキャラとかを見ながらやっていくんだと思うんですけど。だから僕らは数字が下りてきてから、けっこう時間をかけて議論をしながらかたちにしていきます。
中谷:ちょっと具体的な作業イメージで解説すると、例えば2人に部下が5人から7人ぐらいいたとしましょう。ただ、この部下はコンスタントに目標を達成している人もいれば、たまたま当たった人もいる。ちょうど伸び盛りでもっと伸びそうな人もいるし、たまたま良いお客さんをつかまえて、来期もつかまえられそうとか、そういういろんな要素があるじゃないですか。
それをテーラーメイドで、今期、来期、再来期の時に、誰をハイパフォーマーとしてここまでにストレッチさせるか。この人はちょっとベンチだけど、「ターゲットはちょっと下げるから、ここまで持ってきてね」と、次はハイパフォーマーに持っていけるように約束させるとか。
「(今回は低い目標値にしても)でも、次はないよ。来期はアクセルを踏ませるからね」みたいな会話をしながら。人はみんなバイオリズムがあるから、ワンショットでドーンと数字を落とすよりは、半期なり9ヶ月なり1年かけてプランする。チームの目標に対して個々のメンバーのパフォーマンスのアップダウンは絶対あるので、5人から7人でうまく掛け算して作るのがマネジメントの仕事。
そのためには、手前で一人ひとりのコンディションについて、あらかじめインプットをちゃんと持っておかなきゃいけないという。例えばここに2人いたら、こっちのチームが3回ミスって、こっちのチームが3期達成していたら、どういうふうにアレンジするのが一番良いかとか、そのあたりを考えながらモチベーションマネジメントをしています。