【3行要約】・ドムドムハンバーガー代表の藤﨑忍氏は不慣れな事務作業に「本当にきつかった」と当時のモヤモヤした心境を語ります。
・同氏は、数字を読み上げるだけの形骸化した会議に「何の意味があるのか」と疑問を抱いた過去を振り返ります。
・「来るものは拒まず」と語る藤﨑氏の哲学から、ファンとの信頼関係を築き、ブランドを再生させる組織の在り方を学びます。
前回の記事はこちら ドムドムに入社してから社長になるまでは「本当にきつかった」
司会者:すごく攻めの姿勢もあるけど、押さえるところは押さえて、全員が幸せになるかたちっていうのをいつも選ばれているなと思います。そんな藤﨑さんは、いつもすごくうまくいっているように見えてしまうんですけど、こんなご質問もありました。
「藤﨑さんがドムドムに仲間入りしてから一番大変だった時期はいつですか? どのように乗り越えましたか? そういった際の決断の軸とか優先事項、優先順位はありますか?」というご質問です。
藤﨑忍氏(以下、藤﨑):入社してから社長になるまでですかね。本当にきつかったです(笑)。当時、入社して1ヶ月目から厚木店の店長をやっていました。その時、私の家から厚木まで2時間以上かかっていたんですよ。
その店舗が、親会社のすぐ足元のところだったので営業時間を長くするということで、朝7時から夜10時までだったんですね。生まれて初めての店長ということで、本当にやらなきゃいけないことがいっぱいあり過ぎて。
ずいぶん長い時間店舗にいたような……ほとんど寝られない。体重も4キロぐらい減って、本当に苦しかったです。そこに通うことも苦しかった。
その後、何が苦しかったかっていうと、SV(スーパーバイザー)になるんですけど、会社自体は事業再生するつもりで譲り受けた会社なので、みんな本当に事業再生していこうっていう機運はすごく高かったんですよ。だけど「いや、どこに向かってみんなと走っていけばいいのかな?」と、すごくモヤモヤしていた。
会議で売上数値を報告、未達で謝罪…抱いた違和感
藤﨑:それからもう1つが、会議体とかでもみんな言葉を発しなかったんですね。例えば、経営ミーティングで何を言うかっていうと、1週間の売上の数値をみんなが言うんですよ。当時6人SVがいて、毎週月曜日にやるんですけど「何々店舗、売上高、いくら、前年対比何パーセント、予算比何パーセント、客単価何パーセント、客数何パーセント」っていうのを読み上げるんです。
今は、ほとんどが予算とか前年をクリアしているんですけど、当時はまったくクリアできていなくて、ただ「申し訳ございませんでした」とみんな謝るんですよ。それを聞いていて「この会議、何の意味があるのかな?」と思ったんですよね。
というのは、その紙が配られていて、見ればわかる数字です。というよりも私はむしろ、「何々店舗の何々さんというバイトの方がすごくいいので、社員になるようにお声掛けをしましょう」とか。
「こういう苦情があったんだけど、これはうちだけの問題じゃなくてみんなで共有しましょう」とか、「この商品はおいしくてすごく盛り上がりました」とか、「いや、この商品はまずかったので商品開発、なんとかしなさい」とか。そういったいろんなことについてコミュニケーションを取れる会議体でなければいけないなと思っていました。だから当時の会議体でモヤモヤしていた。
それともう1つ、自分の都合があったんですけど、私は企業の中で働いたことがなかったから「稟議書って何ですか?」とか、精算の「楽楽精算」の使い方とか、ぜんぜんわからないんですよ。50歳の新入社員には誰も教えてくれないんですよ(笑)。
「PDFを取って、じゃあ、楽楽精算にくっつけて」とか言われても、「それ、どういう意味ですか?」みたいな。なので、本当にその時は苦しかった。辞めたいっていうかモヤモヤして、私の元の店「そらき」の、のりちゃん(新村法子氏)のところに行ったんですよ。
「のりちゃん、本当にきついわ」とかって言ったら、「きつそうですね、痩せましたね」とか言われました。「そうなの」とかって言って、レモンサワーを飲みながら、「私、戻ってこようかな」って言ったら、「いやいや、それはもう絶対無理です」って言われて(笑)。そうだろうなと思って、がんばろうと背中を押してもらってがんばれたっていうところですかね。
司会者:すごく好きなエピソードです。のりちゃんに「帰ってこなくていいです」ってあっさり言われちゃう感じですよね。
40種類ある「どむぞうくん」グッズ
司会者:続いてのご質問が、「どむぞうくん」グッズについても、みなさん大好きなんだなっていうのを感じたんですけど、たくさんの「どむぞうくん」が生まれて、今何種類ぐらい?
藤﨑:40種類ぐらいですかね。
司会者:すごいですね。
藤﨑:私これ「あんまりやるとみんなに悪いよ」って最近言っているんですよ。みんなが買っちゃうから(笑)。
司会者:そりゃあ、買っちゃいますよね。
藤﨑:本当にごめんなさい(笑)。
司会者:たぶんコンプリートされている方もいらっしゃる感じがしますけど、「その中でお気に入りの『どむぞうくん』はどれですか? 1品で買うとしたらどれがいいですか?」という質問をいただいています。
(会場笑)
藤﨑:これも、私の立場としてみんなかわいいって言わなきゃいけないじゃないですか。だけど、やはりこの「しのこ」は「39(サンキュー)」っていう、みんなへの感謝も込めていて、非売品なんですよね。なので、ちょっと意味が違う。

この本を出す時に、みんなでいろいろ話していた時に、ちょうど2025年が、働き始めて20年、還暦1年前、それからドムドムが55周年、いろんなことが重なって、本当にみんなに感謝があって今があるねみたいな話をしていた時に。
『39歳、初就職。』、「39(サンキュー)」じゃないですかっていう話になって、じゃあ「39(サンキュー)」の「どむぞうくん」を作って、本でこういうイベントというか、ここで会った方とか、感想文を書いてくださった方とか、そういうつながりができた方にお礼として差し上げたいねと。
なおかつ、今回MBOしたので、親会社のスタッフの方にもいっぱいお世話になったんですね。なので、役員だけじゃなくてホールディングスのみなさんとか、私どものスタッフ。ここまでよくがんばってくれて、支えてくれたんですけど、そういう方たちにプレゼントするという非売品です。
どうして紺色にしたかっていうと、私、紺色のスーツが多いんです。なので、私の勝負服が紺色のスーツになっていたりすると。
あまりにも紺色とか黒が多いので、小物はピンクなんですよね。昔は赤だったんですけど、やめたんですよ。商売をやるようになって「赤字」っていうのが嫌なので、全部ピンクなんです。携帯もピンクなんですよ。
それから、システム手帳を持っているんですけどピンクなんですよ。なので、自分のいつも身に着けている色にしたということで、「39(サンキュー)」……あっ、「しのこ」?
司会者:「しのこ」、そうですよね。今日会場にもいらっしゃっていただいているんですけど、今回一緒に編集してくださったカヤシマさんと藤﨑さんと、うちの会社のもう一人の4人でお酒を飲みながらいろいろ盛り上がっている時に。
藤﨑:そうそう。「39(サンキュー)じゃん」と。
「しのこ」と名前をつけた理由
司会者:「39(サンキュー)じゃん」みたいな話が出て、私は飲み会の席で出た話がまさかこうやって実現すると思っていなくて、それも本当に作ってくださったので、ご厚意で作ってくださっているんですけど。こういう遊び心をずっと忘れていない藤﨑さんは「本当、藤﨑さんだな」みたいな……。
藤﨑:ありがとうございます。自分のそんなイメージで作った「どむぞうくん」なので、「名前を付けるのは嫌だ」って言ったんですよ。そうしたらうちの女性のスタッフが「いやいや、全部付いているんですから、名前を付けないなんてあり得ないですよ」って言うんですよ。
「そうか、やっぱり」って思って。「じゃあ、『しのぶ』でいいじゃないですか?」っていう話になったけど、それは小っ恥ずかしいと。「自分の名前を付けて、ちょっと嫌じゃない?」とか「格好悪くない?」って言って、「じゃあ、他に類似する名前で何かないんですか?」っていった時に「あっ、そうだ」と思って。
もう他界している実の父が私のことをどう呼んでいたかというと、「しのこ」って呼んでいたんですよ(笑)。兄や叔父も「しのこ」って呼ぶので、じゃあ、ちょっとかわいらしいかなっていうことで「しのこ」にしました。父は私そっくりなんですけど、父の思いもあって、という感じですかね。
司会者:「しのこ」ちゃん、かわいがってあげてください。
藤﨑:かわいがってください。お願いします。