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“ぬるい”じゃない挑戦を生む職場づくりの新常識(全3記事)

部下からの報告は内容プラス“発言した姿勢”を評価する 信頼される上司が行っているフィードバックの言い換え例 [2/2]

心理的安全性を育む具体的なコミュニケーション例

ここからは、事例も交えながら具体的なコミュニケーション方法をお伝えしていきます。冒頭で、みなさまの会社の中での各事業部のコミュニケーションの状況などを思い返していただきたいんですが、何かネガティブな報告・相談があった時に、どんなリアクションが社内で起こっていますか? 

悪い兆しや情報を出してくれたこと、しっかり共有してくれたことに対しての感謝や承認をきちんとやっていますか? そして、やって当たり前ではなくて、現場の良いところ、自分たちの強み、そういったものをきちんと各現場ごとに見つけられていますか?

まずこういったところを入り口としながら、「実際のコミュニケーションはどうかな」と思い返していただくとよいかなと思います。

心理的安全性を高めるための具体的なコミュニケーションというのは、従業員やメンバーのみなさまの行動をしっかりと見つめて、それをポジティブに受け止めてあげること。

例えば「違和感に気づいてくれてありがとう」「改善提案をしてくれてありがとう」というかたちで、従業員のみなさまが日々当たり前によかれと思ってやられている行動だと思いますけれども、こういったものを「やって当たり前」にせずに、きちんと一つひとつを良い行動として捉えて承認して感謝していく。

この積み重ねが心理的安全性のある環境を作っていくための、非常に地道なんですが地に足の着いたアプローチだと捉えています。

心理的安全性は誰でも壊すことができてしまう

先ほどのスライドでも、みんなで作っていくとか、地に足を着けてやっていくものですよとお伝えしているように、裏を返すとこの心理的安全性が高い環境というものは、みんなで作るものでありながら、誰でも破壊することも実はできてしまいます。

どんなにリーダーの方々、現場のファーストラインのマネジメントの方々がメンバーの挑戦を促すようなコミュニケーションをしていても、部門長さまがなかなかそうではないコミュニケーションになってしまっていたり。

はたまた、自分の上司はすごくそこをうまくやってくれているけど、隣を見るとまったくそうなっていないと、実は簡単に壊れてしまうというところも難しいポイントだったりします。

いくつか例をお持ちしていますが、例えば何かネガティブなミスが起きてしまいました、インシデントが起きてしまいましたという状態に陥った時、「またミスをしたな!」というコミュニケーションが起こっていませんか?

こういったコミュニケーションも、もちろんミスはミスとして受け止めなければいけないですし、もちろんミスを軽んじるということではまったくなくて、やはり会社・組織として前向きに、この事象を再発させないためにはどのような恒久的な対策を打たなければいけないのかということを、真剣に議論する必要があるかなと思っています。

ですので、真剣に議論をしていく、対策を検討していくに当たって、やはりきちんと相談・報告してくれたことに対して、感謝や承認をしてあげなければいけないと捉えています。

「すぐに教えてくれてありがとう。次からどうしたら防げるかな?」ということをみんなで真剣に考えて、こういった事象が組織の中で二度と起こらないようにしていこう。これは非常に前向きなフィードバックだと思います。

主体的な改善提案を「やって当たり前」にしない承認の重要性

また、別のシチュエーションでは、何か改善の提案や意見を主体的にしてくださったメンバーの方に対して、「それは君のすべき仕事なんだろうか?」というコミュニケーションになっていないでしょうか?

先ほどの分岐のスライドを思い出していただけるとわかるように、こういったBeforeのコミュニケーションをしてしまうと、メンバーの方は「あ、もう自分が意見を言っても受け入れられないんだな」となってしまいます。

ですので、「きちんと価値のあるリスク対応や疑問の発信をしてくれてありがとう」というコミュニケーションをしてあげることで、「また疑問を持った時には、違和感に気づいた時にはきちんと上司に伝えてみよう」という学習がされるようなサイクルが循環していきます。

これはちょっと違うシチュエーションになるんですけれども、わからないことをしっかり質問してくれる、特に入社したての社員の方々はこういったシチュエーションも多いのではないかなと思いますが。「細かく聞いてしまってすみません」みたいなかたちで、メンバーの方がおっしゃるケースも多いのではないかなと思います。

こういった時にきちんと、「いや、なんでも相談してくれてありがとう」「わからないことがあったらなんでも聞いてね」というコミュニケーションをしてあげることによって、メンバーの方は、「これはなんでも相談できてすごくやりやすいな。ありがたいな」という学習をするかたちになっていきます。

「わからない」と言える環境が、新人の適応と成長を加速させる

先ほどのインシデント関連や改善・提案関連とは違うシチュエーションになりますが、こういったシチュエーションも1つ、心理的安全性を高める、意見の言いやすさを作っていく上では重要になりますので、ぜひみなさまの組織も思い返してみていただけるとよいかなと思います。

あと、このあたりは上下間というよりは部門間での連携のお話になります。「お願いしたことはやってください。どうしてやってくれないんですか?」みたいな、詰めるコミュニケーションではなくて、「どうやって我々から依頼をさせていただくと、みなさまがうまくやれますか?」「どのあたりに難しさがありますか?」という前向きなコミュニケーションも、実は部門間の心理的安全性を高める1つのブリッジになるコミュニケーションだと思います。

一緒に取り組んでいく仲間であるという知覚を作っていくコミュニケーションになりますので、こういったものも非常に重要かなと思います。遅れている事象に対しても、遅れていること自体は再発防止をしなければいけないと思いますが、「じゃあこの際、ちょっと手分けしてやっていきましょう」「協力してやっていきましょう」。こういった手を差し伸べるコミュニケーションも、実は心理的安全性を高めることにつながっていきます。

結果だけでなく、発言した姿勢や背景を尊重する

ここでは少し具体的に、Before、Afterを用いながらいくつかの例をお話しさせていただきましたけれども。ミスや何か良くない状態というものを、すべてネガティブに捉えるのではなくて、やはり早いタイミングで気づけたということはポジティブに捉えるべきだと思います。

それが言いづらいことであっても適切なレポートラインにきちんと報告を上げてきたという行動そのものを前向きに捉えて承認・称賛すべきだと考えていますし、それこそが心理的安全性の高い環境を作っていくためのファーストステップだと思います。

ですので、なにも結果やそれだけをフィードバックするのではなくて、発言したという姿勢、同僚のみなさまに対して向き合っていく態度、そういったものに対して良いものを良いというフィードバックをしてあげることが非常に重要です。

結果だけではなくて、表面だけではなくて、過程や背景に対して目を向けて尊重する、称賛をする、感謝をする。これこそが、「自分の表面や結果だけではなくて、その過程に対してもきちんと目を向けてくれているんだな」というメンバーのみなさま、従業員のみなさまの認識を作っていくコミュニケーションになりますので。

この右側の青枠にあるように、発言した姿勢や態度に対してフィードバックをしていきましょう、ということが心理的安全性を高めるコミュニケーションをしていくうえで重要な着眼点です。

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