日本の組織が抱える課題
ちょっと暗いニュースっぽくなってしまうんですけれども、このようなトレンドの変化の中で、日本も例えばジェンダーギャップであったり、人への投資の部分であったり、従業員エンゲージメントというところは、世界の他国と比べてもまだまだ伸び代があるのではないかというデータも示されています。

定性的な情報としても、ここ数年間、企業における不正の問題やハラスメント関連の問題がメディアで多く取り上げられるようになったことも、よく目にされているのではないかと思います。
このように、外部の環境に少し目を向けさせていただいた時に、あらためて組織を取り巻く環境は非常に速いスピードで、そして大きく変わっていっています。
ですので、この心理的安全性というテーマにおいても、今までの当たり前が大きく変化している状況になるため、この当たり前を見直して、やはりきちんと根本から変えていくことに、会社として取り組んでいく必要が非常に高まっているタイミングかなと思います。
従業員の方々一人ひとりが力を十分に発揮できる環境を作って、その集合体である組織やチームの結束を高めること。これが、先ほどの需給ギャップを埋めることに貢献すると思っていますし、はたまた働き手のみなさまの大事にされている考え方や、そういったものを踏まえても土台を整えることにつながると考えています。
今日の心理的安全性というテーマは、なにも心理的安全性を高めることだけを趣旨とした内容ではなくて、それを通じて従業員のみなさま一人ひとりが働きやすい環境づくりに寄与するものであり、その集合体である組織のパフォーマンスや生産性が高まっていく。そういった経営としても非常に重要なテーマに直結するような内容だと思って、本日のプレゼンテーションをご用意しております。
人的資本経営の核心は「個の力を引き出す土台」の再構築
また、少し違う角度で、組織や人事のみなさまを取り巻く環境の変化であったりホットなテーマで申し上げますと、やはりこの数年間は人的資本経営の影響や波は非常に大きいものがあるかなと思っています。
人的資本経営というものも、実は先ほどまでのお話や今日のテーマである心理的安全性というものと非常に関わりが深く、本質は近い内容を指しているかなと思っています。

これは中央大学の教授の方がインタビューの中でお答えいただいていた内容をお借りしているんですけれども。「人的資本経営というのは、個人の持つ人的資本を十分に発揮するための土台を再構築し、組織的人的資本を創出する経営である」と、お答えになられています。
先ほどのスライドでお伝えしていた、この「一人ひとりが力を十分に発揮してチームワークを強化していく」というお話と、「人的資本経営とは、個人の持つ人的資本を高めていき、十分に発揮するための土台を再構築し、そしてそれを組織的人的資本として創出していく経営である」。これは、非常に近いことを言っているなと思っています。
ですので、このようなかたちで個人の能力を高めて、それが発揮されやすい環境や、その土台を構築していくことは、人的資本経営という観点においても非常に重要な考え方であり、人的資本経営を推し進める活動の方向性であると認識をしています。
すべての上場企業さまで開示義務が発令されて数年経ちますが、各社さまの開示の内容も、すごくレベルの高いものやユニークなものがどんどん増えているなと感じております。

ですので、このようなかたちで組織の土台をきちんと再構築する活動を社内的に実施して、それをきちんと社外に人的資本開示というかたちで共有していく。それによって自社の魅力や未来における将来性、組織の良い部分、ないしは課題を市場に対してアピールしていくというサイクルが、法改正もあって少しずつ実現し始めているのが、今の組織を取り巻く環境の変化かなと捉えています。
心理的安全性の定義と、構成する4つの要素
このような前提条件を踏まえた上で、本題である心理的安全性のお話に入れればなと思っています。おそらく初見の方は少ないのかなと思いますけれども、あらためて心理的安全性の内容や構成要素みたいなところを冒頭で確認させていただくと、心理的安全性というのは、地位や経験にかかわらず、対人関係のリスクを恐れずに率直な意見や素朴な疑問を発言できるチーム状態のことを指します。
ここでポイントになるのは、「チーム状態のこと」と書いてあるように、実はこの心理的安全性というのは、個人の中で高まっていくものではなくて、同じテーマの下に集まって仕事やプロジェクトを一緒に進められるメンバー同士の中で醸成されていく概念である、ということが非常に重要なポイントです。
実際にどのような要素で構成されているか。それが下に書いてある、「話しやすさ」「助け合い」「挑戦」「新奇歓迎」、この4つの構成要素で語られることが多いです。

ですので、みなさまの組織、ないしは事業部を思い返す際にも、例えば「反対意見や懸念点も含めてちゃんと話せているか」「チームで協力して問題解決がなされているか」「結果を問わず、挑戦そのものが奨励されているか」「新しい視点や個性の発揮が歓迎されているか」。こういった具体的なフレーズを思い浮かべながら組織を見ていただくと、心理的安全性の現在地が少し見えやすくなるかなと思います。
つまり、違和感に気づいた時に、(入社した)年次や立場を問わず、「こうしたほうがいいんじゃないでしょうか?」「ちょっとこれ、おかしくないですか?」と言える環境が、心理的安全性が高い状態であると、今日は冒頭のパートでご認識いただけるとよいかなと思います。