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第二部「令和型ハードワークの再定義 — 成果を出し続けながら、燃え尽きないチームをどうつくるか?」(全3記事)

年配者の「若手を成長させてあげよう」というお節介 スキルアップにつながらない“がんばり”を強いる組織 [2/2]


若手を「成長させてあげよう」というお節介

大塚:成果が出たらぜひ教えてください。ということで、小室さんは持続可能なハードワークのコツやアドバイスは何かありますか?

小室:私が起業したのが長男を出産した3週間後だったので、今日まで残業ができたことなどないんですよね。だけど、めちゃくちゃハードワークをしてきたつもりです。自分のハードワークの概念をどう設定するかが最も重要であり、かつ私たちは「長時間労働社会を変える」という、自分の寿命をかけても終わらないかもしれないという目的を持っています。

なので、成果を出すことに対して、まず自分の情熱の火を絶やさないようにずーっとモチベーションを高く保っていくことと、自組織に入ってきた人がさらにその夢を強く持って、またバトンを持っていってくれるという2つがないと、本当の成果までつながらないと考えています。

そうすると、どうやって持続可能にしていくのかということが、実はハードワークの一番の肝なんだと思っているんです。

少し角度を変えると、若い方に対して「今、がむしゃらに長時間やらないとこの子が成長しないんじゃないか?」って、年配者が勝手にがむしゃらで成長させてあげようとするというお節介がよくあるんです。

私も50代なのでわかるんですが、私たちが20代の頃は、長時間かけて、ものすごい「量」をやるとスキルが上がる業務が確かにあったんですよ。資生堂でも3年ぐらい倉庫業務をやると、バーコード8桁が頭に入るみたいな時代があったんですが、今はパソコンでピッと一発でできますので、まったくもって必要ないんですよね。

なので、年配者が若い人にがむしゃらに何かをさせよう、時間をかけさせようとするのは、本当にその人にとっては将来につながらないがんばりになってしまいます。

キャリアの15パーセントぐらいしか、時間外労働ができる時期ってありません。「それをしないと本人の成長につながらないのでは?」という心配は、「逆にそれをしてしまうと、その後の85パーセントの時期に本人を成長させてあげられないのでは?」というふうに、指導する側が意識をしっかり変えることは重要じゃないかなと思っています。

きちんと議論するには同程度の「知識量」と「構造理解」が必要

大塚:ありがとうございます。次に「最近著名なビジネスパーソンとお話ししていたら、『いや、日本人はもうそんなに働いていない。よっぽどアメリカ人のほうが働いてるよ。日本人は17時とか18時にはオフィス出ちゃうでしょう?』なんていうふうに立て続けに言われたんです」とのことです。

「男性は統計データとかを出してきて、もっともらしくしゃべってこられるんだけれども、この認識のズレはどこから来るんでしょうか? そもそもエリート層の認識がズレまくっているところに対して危機意識を持っているんですが、どういうふうに解消していったらいいですか? 私に何かできることはありますか?」と、非常に悩ましく、かつポジティブなご質問をいただいております。

じゃあこれは深井さん、好本さん、森山さん、小室の順でお答えいただこうかなと思います。深井さん、いかがですか。

深井:そうですね。これは僕よりみなさんのほうがぜんぜん回答が上手だと思うんですが、僕が一番大事だと思ってるのはやっぱり構造理解なんですよ。

僕が言っている内容や主張の一部に対して細かいところで揚げ足を取るとか、すぐ各論に行くんじゃなくて、全体構造として今は何を言っていて、それをどうしたいかを前向きに一緒に考える。そういう場を作るためには、同程度の知識量と構造理解が必要なんですね。そこの知識量が揃ってないというのが、僕もかなりクリティカルな課題だと思っています。

それで、知識量を揃えたいがために27時間の音源を作っているんですが、同じ知識でしゃべっていないと議論ができないじゃないですか。神学論争みたいになっちゃうので、まずはちゃんと全員勉強する。してない人は、たぶん社会的に淘汰されるので。

何度も言って恐縮ですし、別に恐怖で人を動かしたいわけじゃないんだけど、今まで世界史の現象としてそれが起こってるんですよね。ポテンシャルがあるからこそ、少なくともその部署の人たちは、今必要な知識の水準をちゃんと上げるのが重要だと思いますし、それができない組織からは去るべきだと思うんですよね。

それはすごく再現性のある現象で、そういう組織って社会淘汰されるので。「これだと社会淘汰されるな」と思ってまでもその組織にいたかったら、もちろんそれは大事だと思います。世界史上、滅びるとわかっていて一緒に滅びていくこともあるし、そういうこともあるじゃないですか。

でも、労働者が移動するのも含めて社会淘汰になるので、そういうのをちゃんと検討する。ほとんどの人には参考にならないかもしれないんですが、実際にはそういう現象がたくさん起こっちゃうと思いますけどね。

大塚:まずはしっかり勉強して、知識を高めていくことがファーストステップなのじゃないということですね。

深井:お互いが同程度の知識を持つように持っていくということですね。

小室:なるほど。お互いが。

深井:それがどうしてもできなかったら、去る。

森山:実際には二極化しており、日本の会社員はかなりハードに働いてるんじゃないかなと思っており、ここは仕組みや考え方を変えることで働き方をもっと効率的にしていく必要があります。そもそもそういったことをおっしゃる方って、経営戦略として働き方改革があるんだというマインドセットが恐らく薄いと思いますので、騙されたと思ってぜひ(働き方改革を)やってみてほしいなと思いますね。

大塚:なるほど。「騙されたと思ってやってみて」という、いいメッセージをいただきました。

日本人男性の労働時間は他国より約1日2時間長い

大塚:小室さん、まとめをお願いします。

小室:実はファクトを見ると、日本の平均労働時間が減っているように見えているのは、高齢者の社会参画が増えて平均が減っているだけで、フルタイムの男性の労働時間はまったく減っておらず、他国より約1日2時間長いという状況です。

この2時間が家庭にとって非常に重要な2時間なのです。妻にとって18時台に帰ってくる人は一緒に育児・家事をして、子どもにご飯もあげて、お風呂に入れて……と一緒に子育てをしたなという実感になります。

しかし帰宅が20時台だと「俺は昔より早く帰ってきている」と言われても、すべての育児・家事がもう終わった時間「今ごろ帰ってきてさ!」となるので、パートナーとして対等だと思えない。

この2時間が、実はさっき深井さんもおっしゃっていたような、育児・家事が偏る重要な2時間なんですよね。だからこそ、このたった2時間の差で、女性の労働力そのものがほぼほぼ社会に参画できないということを引き起こしてしまっています。

むしろ男性の労働時間を2時間下げると、今まで眠っていた女性が7時間分社会に出てくるので、社会のプラマイとしてはぜんぜんプラスになります。そのあたりまであなたは見えていますか? ということです。

「1人に(労働時間を)乗っけて、社会の労働量を増やしたつもりでいるかもしれないけど、社会全体では失っているもののほうが大きい。そういうことを話してるんですよ」って反論されるといいんじゃないかなと。質問者の方は、ぜひ戦い続けていただければと思います。

大塚:ありがとうございます。ということで、ピックアップできた質問数は少なかったんですが、みなさんの体験やお考えを深く聞かせていただいてありがとうございました。では、COTEN深井さん、それからPSN好本さん、森山さん。あらためて今日はご登壇ありがとうございます。

この後に小室から最後の言葉と言いますか、まとめのようなお話をさせていただいて、終了していこうと思っております。あらためて、お三方ありがとうございました。小室さん、お戻しします。

深井:どうもありがとうございます。

森山:ありがとうございました。

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