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第二部「令和型ハードワークの再定義 — 成果を出し続けながら、燃え尽きないチームをどうつくるか?」(全3記事)

「できる社員」の燃え尽きや退職リスクへの打ち手 「超長時間労働」のコンサルで実現した働き方改革 [1/2]

【3行要約】
・「できる社員」が精一杯働くことで成果を出す組織から、残業を50パーセント削減しても顧客満足度を高め、売上を伸ばし続ける組織へ。
・森山貴章氏は、結婚記念日の予定をキャンセルした社員の姿に「このままでは燃え尽きてしまう」と強烈な危機感を抱いたと語ります。
・「やらない仕事」を明確にする勇気や業務のマニュアル化など、属人的な長時間労働から脱却し、持続可能なチームを作るための具体的な突破口が示されています。

超長時間労働から脱却するまでの道

小室淑恵氏(以下、小室):では、次のセッションに入ってまいりたいと思います。森山さんと好本さん、お願いいたします。きっと今日聞いてらっしゃるみなさんとは同世代かと思いますので、元・超長時間労働をされてきたお二人に、その経験も含めてぜひ率直な思いをたくさんうかがってまいりたいと思っております。

最初にお二人からご経歴の紹介であったり、どんなお仕事をされているかも含めてお願いします。あとは超絶長時間労働の経験についても、家庭の話も含めてぜひ最初におうかがいできればと思います。よろしくお願いします。

好本洋氏(以下、好本):よろしくお願いします。Public Shaper Networks代表の好本と申します。今日は、社内で働き方改革を推進してくれた取締役の森山さんにも参加していただいております。

ちょっと自己紹介をさせていただくと、私はもともとテレビ東京で政治記者と、WBSと『ガイアの夜明け』のディレクター、その後マッキンゼーで戦略コンサルを経験し、独立しました。今日、メインでプレゼンしていただくのは森山さんです。じゃあ、森山さんから。

森山貴章氏(以下、森山):こんにちは、森山です。よろしくお願いいたします。もともと好本さんとは大学院や前職の同期なんですが、創業期から一緒に事業や組織の設計をしてきました。

特に私は人や組織がどう学習するのかにすごく興味があって、弊社は事業を通して社会課題を解決していく会社ではあるんですけれども、新しい働き方もしっかり体現していきたいなというふうに思っております。

戦略コンサルとして、グローバルな企業の組織変革だったり、世界的な日系メーカーの事業ポートフォリオ再編などをしており、時差や早朝深夜関係なくかなり働く時期もありました。あとは、そういった時期に生まれた下の息子はママっ子になっちゃったりとか、家庭へのいろいろな影響があったなということはすごく感じています。

個人としても会社としても、大きく(働き方を)変えていく必要性があるのかなということを感じて、今回は3ヶ月ぐらい「残業を半減させること」にかなりコミットして取り組んできました。そういった取り組みについて今日はお話ししていきたいなと思っております。じゃあ、このまま中身に入っていければと思います。

社員の残業時間を50パーセント削減

小室:実際に(残業を減らすプロジェクトに)取り組んだ期間は短いけれども、その割に劇的な変化が出てるなと思いました。そのあたりからうかがってまいりたいと思います。お願いします。

森山:ありがとうございます。今、小室さんにおっしゃっていただいたとおり、2025年9月からの3ヶ月程度と取り組みはかなり短いんですが、開始前は従業員もかなり少なくて。フルタイムのメンバーも夜遅く、20時~22時まで残業をしてなんとかギリギリ保っている状態でした。

あるきっかけがあって、「重要な経営課題としてしっかりと取り組まなきゃいけないな」ということで、業務プロセスや会議の設計、採用育成、職場環境などをすべて見直しました。

離職率は0パーセントで引き続き誰も辞めずに残っていてくださってるんですが、そこはキープしながらも、顧客満足度をしっかり高めていくという取り組みで、社員の残業時間を50パーセント削減することができました。

実はここ(スライド)には書いてないんですけど、この間にも毎月2名ずつぐらい戦略コンサルタントやメディアの出身者が入ってくれて、すごく優秀なみなさんを採用できました。やっぱり働きやすさやチームの良さを追求していくと、結果として売上・利益にもつながるなということをすごく実感しています。

「できる社員」に限界までがんばらせてしまっていた

小室:ありがとうございます。一番聞きたいところは、マッキンゼー時代から含めて、長時間労働の成功体験をけっこう持っていたんじゃないかなと思うんですよね。今日聞いてらっしゃるみなさんもそうですが、それで成果を出してきたので、働き方を変えること自体は非常に怖かったんではないかなと思うんです。

そこをなぜ変えられたのかというところや、想定していた怖かったことや、さまざまなネガティブ要素を実際に変えてみてどうだったのかもぜひうかがえればと思います。

森山:わかりました。まずはなんで変えられたかというところですが、おっしゃるとおり創業当初はちゃんとバリューを出す(=成果主義)を大事にしていて。

結果を出してきた戦略コンサルのメンバーが主体だったので、みんな精一杯、超効率的に働いた。効率的ながら夜も働くといった中で、「少ない人数で結果を出すぞ」という気持ちでやってきたんです。ただ、やはり多くの案件を持つメンバーの休日対応が出てきてしまって、特にゴールデンウィークに緊急対応があったんですね。

当然、代休は取ったんですが、「実はその日が結婚記念日でした」というメンバーもいて。「ちょうどディズニーランドに向かう準備中に予定をキャンセルした」という話を後から聞いて、これは奥様にも申し訳ないとすごく思いました。

当然、これは氷山の一角で、このままだと社員が燃えつきちゃうんじゃないかなとか、長期的に続けられる訳がないなと。ひいては社員だけじゃなくて、家庭にも影響を出してしまう仕組みをすごく感じまして、好本さんととても強烈な危機感を持ったというのがまずは大きなきっかけとしてありました。

働き方改革の代表的な打ち手

小室:さてさて、劇的に残業が減ったというのはありましたけれども、業務量は変わらず多かったと思うんですね。永田町の人って「これを1枚にまとめて、明日くれ」とか、すぐ言うじゃないですか。

本当に短い納期の中で、たくさんの業務量に追われている中で、何を具体的にやったのかもぜひうかがえればと思います。

森山:ありがとうございます。取り組んだことは大きく3つです。書くとすごく当たり前に聞こえるんですが、この質を高めることをすごく大事にしてきました。

1つ目が、業務量の削減と型化。2つ目が、それをしっかりノウハウとして蓄積し育成に活かすこと、仕組み化すること。最後に3つ目が、人に自慢ができる働きやすい職場を作る。この3つでした。

1つ目に関しては、戦略コンサル出身のメンバーが多かったので、彼らが事務作業も調整も資料も社内プロジェクトもクライアントプロジェクトも、全部1人で対応するというふうに、1人がマルチに何でもやるという体制だったんです。

だけど、特に調整業務や事務業務や資料作成を請け負う「業務支援チーム」を中に作りまして、コンサルタントの負荷を減らしました。「この会社にとって何が本当に付加価値なのか?」を徹底的に突き詰めた時に、そこにおいて時間をかけられるような体制を作ろうということをしました。

それに紐づいてプロセスを変えるとか、それに合わせてクライアントに向けて提供するサービスの水準も見直す。場合によっては価格も見直すということを徹底的にやったというのが1つ目の話です。

2つ目(育成の仕組み化)は、特に半期の個人目標を設定することがけっこう大事だったんです。「こういうことがあれば効率的に働けるな」とか「将来こういう働き方をしたいな」といったいろんな思いが一人ひとりにある中で、それがちゃんと救いきれなかったところがありました。

個人のゴールと成長計画、それから「本当はこう働きたい」という理想の働き方と、それに必要な支援を全員1枚にまとめてもらうということを一緒にやって、その中で一人ひとりの育成と相互支援を加速させることに取り組みました。研修や定期的な1on1などで、しっかりと新人や若手中心に育成支援できるように注力しています。

激務なコンサルティングファームで行った「働き方改革」

森山:最後です。ここが一番大事かなというところもあるんですが、コアメンバーはやっぱりフルタイムのメンバーが多かったんですけれども、実は今は20パーセント稼働や週4(稼働)といったメンバーも多くいます。ある種の制約がある方をリスペクトするというか、多様な働き方をできるような体制をしっかり作るということで、まずは制度化しました。

ただ、やっぱりそれだけだと「やることがたくさんだ。どうやって20パーセントで終わらせるんだ?」ということになるので、我々としては一番大事なことは、まずはやらない仕事を見つけることですね。

全部が必要な仕事なんですが、「これは今はやらなくていい」「これはやらない」って決める。そういうふうにやらない仕事を見つけることと、一方で「特に今日は何に注力するのか」「今週は何に注力するのか」ということを毎日明確化することに取り組んでいます。

それだけじゃなく、定性的にも充実して働いてほしいなと思うので、細かいことですが、おいしいコーヒーがあってお菓子があるとか、特に女性向けですが産婦人科のオンライン診療サービスを会社が全額負担で用意したり。福利厚生や職場環境といったことも含めて、友人にも自慢できるような職場にしたいなというところで、今は取り組んでいます。

小室:具体的に変えていく時には、みなさんにどんな話をしたんですか? 「言っていることが急に違うじゃないか」みたいになったと思うんですが、「僕たちは雷に打たれて急に気づいたんだ」という感じだったのか、どういう話し合いを経てみなさんについてきてもらったんですか?

森山:先ほどのディズニーランドの話もそうですが、良くも悪くもというか、各メンバーがどういった状況にあるのかが見やすいチームでした。なので、「これは絶対にもう二度と起こしてはいけない」ということは、繰り返しのように言っていました。

その上で、じゃあ会社は何をゴールとして目指していくのかというところに関しては、「コンサルティングファームだけど、ワークライフバランスがいい会社を作り、あわよくば終身雇用で一生みんなが一緒にいる会社にしたいんだ。そのためには持続可能であるべきである」ということを、繰り返し言っていたと思います。

なので、もしかしたら(当時と)言ってることは変わっているかもしれないんですが、目の前にいる仲間を一番大事にするということに関しては、おそらく変わってないかなと思うので、そこはけっこうすっと伝わったかなと思っています。

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