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第二部「令和型ハードワークの再定義 — 成果を出し続けながら、燃え尽きないチームをどうつくるか?」(全3記事)

「できる社員」の燃え尽きや退職リスクへの打ち手 「超長時間労働」のコンサルで実現した働き方改革 [2/2]

働き方改革に向けてやめること・始めること

小室:コンサルティングファームで働きやすいところがあったら、もう採用は無敵だなって思うんですよね。今はどっちかコンサルに行くなら長時間労働、働きやすい企業を選ぶとコンサルのようなエキサイティングな仕事は出来ないというイメージがあるので、人材不足な時代に本当に一番強い戦略を組んでいるなと思ったんです。

さっき「やめたこと、変えたこと」というようないろんな話があったんですが、具体的にはどういうことをやめていかれたんでしょうか?

森山:日々、優先順位が変わっていく中で、提出するいろんな書類が業務支援チームにどさっと積ん読されていくわけですね。できればそういったものも全部なくしたいということで、「もう今日はそれでいっぱいです」となったら、「今週はこれはやらなくていい」というふうに言ったりしています。

家族を持っている人は本当にわかると思うんですが、究極、子どもの育児って死ぬか・死なないかの中で戦っているものですから、ビジネスも同じように「本当にそれは今やらないと死ぬのか?」ということを真っ先に考えて一線を引く。

その上で、「できたらよりインパクトが出るもの」と「できなくても死なない、でもやれたほうがいい」というものでちゃんとグラデーションをつけるということを、チーム単位や個人単位で日々やっていました。


小室:今のはけっこう重要なポイントだと思いますね。目の前に積んであるものに対して「今日できる限り、1センチでも掘り下げて帰らなきゃ」というような真面目な人たちがそれをやり続けると、「仕事が終わる」ことなんてないんですよね(笑)。

なので、私たちがお金をいただいて出せる付加価値というのは、どこに注力して、8時間という限られた時間の中で何をやるのか。それこそが重要で、その思考って日本人はほとんど持たずに働いているケースが多いかなと思いました。

「依頼されたらすぐ対応」をやめた結果

森山:そうです。すごく原始的ではあるんですが、みなさん真面目に本当にやってくださるので、「依頼されたらすぐ対応」というマインドがあってアジャイルに働いてくださるんです。ただ、実はちょっと寝かせて、1週間貯めてまとめて処理したほうが業務効率上はすごくいいものもあって。

その都度で資料を作って、その都度提出するというふうにやっていたところを、「同じ資料の種類であれば、毎週火曜日に1週間分まとめて処理しますので、月曜までにリクエストをください」というふうに1週間まとめるだけで、実は効率性がすごく上がることもあって。そうやって、プロセスやルールやコミュニケーションに落とすこともやっていました。

小室:なるほど! 勉強になります。次に好本さんも、どうぞ。

好本:ちょっと追加すると、森山さんが今おっしゃっていたこととすごく似てるところなんですが、一番効果があったかなと思うのはマニュアル化を徹底したことです。

当社の場合、戦略コンサル業界出身の社員がかなりインディペンデント(自主的)に働いているのですが、その中でクライアントの満足度を極限まで高めようと、必要のない箇所まで過剰にクライアントサービスをやっちゃうところがあります。

我々の目的は世論を巻き込んでルールメーキングにつなげていくことですが、例えば“業界分析”を追加でやるとクライアントが満足してくれる等、当初のスコープにない部分まで過剰にやってしまうケースが多々ありました。当社のコンサルタントはプロ意識が高く、“クライアントが喜ぶなら”と、必ずしも世論形成や政策提言とは関係ないコンサルワークをどんどん積極的にやってしまうことがありました。

その瞬間はクライアントは喜ぶかもしれないですが、我々が目指しているゴールには近づいてないということはけっこうあって。そこは私や森山さん含めた経営陣で時間を割いてマニュアル化を進めていきました。

まだマニュアルは日々進化しているところではありますが、インディペンデントに働いているチームにとって、何をやるべきか・何をやらないべきかをよりクリアにできたのは1つ効果としてあった部分かと思います。

「労働時間の上限引き上げ」は何をもたらすか?

小室:本当に共感します。能力の高い人はマニュアル化を嫌うという傾向があるんですけれども、実はそれ(マニュアル化)をやることで、自分の能力ギリギリいっぱいの一番(パフォーマンスの)高い仕事が本当はできるんですよね。だから能力の高い人ほど、その領域にもっと連れていってあげるべきだなというふうに思います。

最後に一言いただきたいなと思いますのは、今の経済界でよく言われている「労働時間の上限をもっと引き上げたほうがいい。裁量をもっと与えて、労働時間を測らなくていいんだ」ということですが、一瞬そのほうが柔軟に働けるから成果が出そうな気はするんですが、果たしてそれをやっていく先に、本当にこの国の経済成長や勝ち筋ってあるのだろうか? みたいなところをお二人から聞いてみたいなと思います。

好本:ありがとうございます。これは締めコメントでちょっと準備してたんですが、小室さんがおっしゃっていたことで言うと、財界もそうですし政府・与党のメッセージでも、今はけっこう「残業すべし」って捉えられてるというか。労働時間の上限を緩和してると見られてるところがあると思うんです。

これは小室さんと議論させていただいて気づいたポイントですが、政権が今作ってる政策や、与党での議論内容とかを見ると、必ずしも“残業を増やすこと”をゴールにおいているわけではなくて。

どちらかというと、労働人口や労働力が足りないという課題をどう解くかを包括的に議論してると思うんですね。なので、やっぱりここは民間側からも単に「残業時間を増やしてくれ」と提案するんじゃなくて、全体として労働力が増えるように、包括的に提言していくことがすごく大事だと思っています。

ポイントで言うとまず「労働人口の増加」が必要です。これ以上外国人労働者を増やすのはなかなか難しいかもしれないですが、例えばその分女性やシニアの雇用をどう増やしていくべきか、労災による死傷者をどう減らしていくべきか、という議論になるかと思います。

また、働き方改革やリスキリング等による「労働生産性の改善」も労働力を増やす1つの大きなファクターになります。

3つ目は、「稼働時間の確保」です。残業を増やすだけでなくて、柔軟な働き方によって稼働時間を確保する必要があると思います。

4つ目は、AIを中心とした「技術革新の普及」。この4つの要素にどう力を入れてやっていくか、国としてどうそこを設計していくのかを民間側から提言していく必要があると思っています。財界も含め、そういう方向に議論が進んでいくべきだと思っていますし、我々も注力している領域です。

小室:ありがとうございました。今日の深井さんのお話とお二人のお話を真ん中に置いて、経済界の偉い人に議論してもらいたいなと思いました。もう本当に今、経済界が一番時代遅れな提言をしてしまっているので。

これを解決していこうとするならば、まだまだ能力を発揮できていない、時間に制約のある人たちをもっと働ける職場にする。それが未曾有の潜在労働力なんです。このあたりも、まだまだお力を借りながら一緒に政策提言していきたいなと思っております。

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