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第一部「歴史の構造と最新の調査からみる、戦略的ハードワーク時代を生き抜く視点」(全3記事)

現場を追い詰める“根拠のない長時間労働” 成功体験が仇になる“昭和100年”型の経営が陥るリスク [1/2]

【3行要約】
・株式会社COTENの深井龍之介氏は、「ビジネスの才能を持っている人たちを社会にたくさん参与させないと、日本は社会淘汰される」と、歴史の再現性から導き出される未来に警鐘を鳴らします。
・深井氏は科学的に能力差がないにもかかわらず「古い規範」に縛られ、貴重な人的リソースを捨てている現状を指摘します。
・根拠なき長時間労働や性別分業を続ける組織が生き残る道はあるのか、ファクトとロジックに基づいた「戦略的転換」の必要性を探ります。

前回の記事はこちら

生産体制が生んだ「性別分業」の呪縛

大塚万紀子氏(以下、大塚):さっき「(仕事と子育て・家事が)両立しない」と、おっしゃっていたようなことですね。

深井龍之介氏(以下、深井):種をまくことは別に5歳とかでもできるんだけど、牛のそばに5歳の子どもを置くとけっこう危ないので遠ざけるんですよね。そうすると家にいないといけなくなっちゃうとか、違う仕事の内職とかをしないといけなくなっちゃう。そこで性別分業が行われてしまって、それが規範になっていくんですね。

最初はそういう生産体制で決まるんですが、それが「女はこうするもんだ、男はこうするもんだ」という規範に変わっていって、固定化されていって、因果関係を知らなくてもみんなが自明のこととしてそれをやるような社会が形成される。それが、宗教や家庭で何度も再生産されることが起こっている。

このような生産体制に司られることを考えると、今、我々が行っているビジネスは筋力を必要としないわけですよね。知能に差がないことはもう科学的に証明されているんです。男性脳・女性脳がないことも、リーダーシップに差がないことも全部科学的に証明されているんですね。

今、これを聞いて「いや、リーダーシップに差があるけどな」と思っている人は、それは生物的性差じゃなくて社会的性差というやつです。差がある今の社会で生きてきたから、結果として女性が遠慮してリーダーシップを発揮しない、みたいなことは確かに存在しますが、実際は発揮しようと思ったらできるわけです。

そこでイギリスとかドイツとかアメリカと日本で差がついちゃうのが、めちゃくちゃヤバいわけですよね。恐ろしいのが、筋力を必要としないビジネスが誕生した瞬間から、さっきも言ったようにすべての社会でそれが不可逆な変化として起こっているわけなので、戻れないです。

ビジネスの変化に合った規範に変えないといけない

大塚:不可逆というのは、元には戻らない変化ということですね。

深井:つまりビジネスを主要として以降、そのビジネスの才能を持っている人たちをなるべくたくさん参与させた社会が勝つことが自明なんですね。これが、歴史の再現性なんです。この再現性からいくと、日本が社会淘汰されちゃうということです。その構造を経営者が理解していないですよね。

大塚:社会淘汰は当然されたくないわけなので、なんとかしたいなと思うんですけれども、深井さんとしてのなんとかするアイデアってどんなものがあるんですか?

深井:いろんなのがあるんですけど、大ボスが2ついまして。

大塚:大ボス(笑)。

深井:1つは「規範」です。やはり女性自身も規範を持っていますし、当然男性も規範を持っている。この規範というものを、新しい時代のものに変化させていかないといけないということですよね。70代とかの意思決定者が持っている規範は、今よく言われる「昭和100年」ですよね。まさに昭和初期から中期の規範です。

大塚:戦前の規範ですね。

深井:生産体制はもう変わっちゃいましたから、今の規範は高度経済成長期の重工業時代、大量生産時代の規範なんですよね。それが今はもういろんな産業が新しくなって、IT産業や金融産業とかいろんなものが出てきて、けっこうかたちが変わっちゃっているんですよ。このかたちに合わせた新しい規範に変えないといけないというのが1つ。

変えなければ、社会淘汰されます。銃が出てきた時に、銃をいち早く手に入れられなかった人たちが死んだかのように。銃の登場以降、それまで本当に強かった遊牧民のモンゴルとかが一気に負けていくんですけど、まったく同じような感覚でダメになっていきます。これが社会規範ですね。

家事・育児の偏重を解消するための「戦略的撤退」

大塚:規範が、まずは大ボスの1人目。

深井:もう1つが「家事と育児の偏重」です。

大塚:急に身近になりましたね。

深井:今は家事と育児が女性に偏重しているために、規範と本当はセットなんですが、仮に規範を改革したりして「意思決定層になりたいです。したいです」ってなったとしても、「育児があるのでできません」ということが今は実際に起こっているわけですよね。

大塚:起こっていますね。

深井:これを解決しないといけないんです。この2つ、特に後者のほう(家事と育児の偏重)を解決しようとすると、長時間労働できないんですよ。

大塚:そうですよね。保育士さんたちの働き方を維持しようと思ったら、保育所や保育園にもだいたい16時とか17時にはお迎えに行かないといけなくなりますよね。そうすると、会社を15時半とか16時には出ないといけない。

深井:そうなんです。実際、女性の意思決定参与が進んでいる国では、長時間労働はけっこう減ってきているわけじゃないですか。そこと相関性があるんですが、ジェネラルに、一般的に(労働時間を)減らしていかないといけない。別に、長時間労働している人がいてもいいと思うんですが。

大塚:この手の話になると、「国が悪い」とか「国がやるのを待ってる」というスタンスの方もけっこう多いかなと思うんですが、深井さんはその点はどうお考えですか?

深井:今はジェンダーギャップの構造理解からしゃべりましたけど、この角度の理解は国はもうまったく理解していない。今、やっと僕たちの音源を大臣とかが聞き始めたところなんです。

大塚:すごい。

深井:だけど、たぶん別に担当大臣の方じゃないので(笑)。やはりリーチしていないですし、高市さんに聞いてもらっているわけでもない。日本ってジェンダーギャップ指数のランキングは世界の先進国の中でめちゃくちゃ低くて、最下位のほうなんです。

大塚:低いですね。下から数えた方が早いですね。

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