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なぜなぜ分析、やってるのに成果が出ない理由~業務改善につなげる5つのポイントを60分で解説~(全5記事)

「たぶんこれが原因だ」という思い込みが業務ミスを繰り返させる 再発を防ぐための原因の洗い出し方

【3行要約】
・業務ミスの原因分析では「80対20の法則」のように原因を絞る考え方では不十分で、再発を防ぐにはすべての原因を洗い出す必要があります。
・高松康平氏は、「たぶんこれが原因だ」という思い込みが他の原因の見落としにつながり、分析の精度を下げてしまうと指摘します。
・行動・個人・組織といった複数の視点で原因を広げ、「なぜ」で深掘りしながら「他にはないか」と問い続けることが再発防止につながります。

前回の記事はこちら

業務ミスでは「80対20の法則」に頼ると再発が止まらない

高松康平氏:続いて、なぜなぜ分析を成果や業務改善につなげるための3つ目のポイントにいきます。大事なのは、行きたい方向に原因を誘導するのではなく、すべての原因をきちんと見ることです。

「なぜなぜ分析」をしていると、「結局、結論に誘導しているだけではないか」という場面が起きることがあります。経験が豊富で、そのミスとも長く向き合っていると、「たぶん原因はここだろう」と思うこともあります。実際に、その方向に話が進むこともあるでしょう。

ただ、それでいいのでしょうか。そもそも、そのために分析をしているわけではないですよね。本来は、起きた問題の原因をすべて探したいわけです。では、それをどうやるのか。正直に言うと、これは人間にとって苦手なことだと思います。自分が気がついていない可能性のある原因まで探ろうとしているわけですから。

でも、それをやらないのであれば、「なぜなぜ分析」をしてもしなくても、結局同じ結論になってしまいます。それでは意味がありません。

ではどうするか。問題解決の基本としてよく言われるのが、80対20の法則です。

いわゆるパレートの法則です。結果の80パーセントに影響している原因は、20パーセントに集中している。だからその本質的な原因を取り除けば、大きな効果が出るという考え方です。

ただし、業務ミスの場合は、この考え方をそのまま使ってはいけません。「この原因を解消すれば、ほとんどのミスはなくなります」と言われると、一見よさそうに聞こえます。でも、それでもまだ20パーセントの可能性が残っているわけです。ミスは起き続けてしまう。

だから業務ミスの世界では、「課題は1つです」と言い切るような整理は基本的にしてはいけません。目指すのは、原因の100パーセントをなくすことです。ミスを根絶するために、すべての原因を探る必要があります。

安全工学や生産の分野では、これを「スイスチーズモデル」と呼ぶことがあります。ミスというのは、スイスチーズの穴をくぐり抜けるようなかたちで発生すると考えられているからです。

小さな油断、小さなミスが重なり、その穴をすり抜けてしまうことで、大きな事故やミスが起きてしまう。だから「ここで止めればいい」という考え方ではなく、途中にある小さなミスも含めて、すべてなくしていくという考え方が重要になります。

業務ミスの再発を生む「たぶんこれが原因だ」という思い込み

自分の中では「原因はここだ」と思っているかもしれません。でも、それ以外にも原因があるなら、そこも潰していかなければいけません。「なぜなぜ分析」は、原因を上から下へ深掘りしていくことが基本です。しかし、それと同時に、「他の原因はないだろうか」と横にも目を向ける必要があります。

でも、ここが人間の難しいところです。「他に原因はないか」と言われても、すぐに思いつくとは限りません。自分の中では「たぶんこれが原因だ」と思い込んでいるからです。例えば、誰かに「他に原因はないか」と聞いてみると、だいたい「うーん」と考え込む顔になります。それも無理はありません。もちろん、周りの人に聞くこと自体は大事です。ただ、自分の頭だけで他の原因に気がつくのは、実はかなり難しいです。

だからこそ、「他の原因として、こういうものがあり得る」という枠組みを知っておくことが重要になります。そうした枠組みを持っていれば、「うちの会社でもこういうことが起きていないか」と探れるようになる。つまり、こうした視点やフレームワークを持っておくことが、なぜなぜ分析ではとても大事だということです。

思い込みで原因を見落とさないためのフレームワーク

問題が起きる構造を探るためには、あらかじめ枠組みを持っておくことが大切です。

ここでは「問題定義」「問題分解」「原因分析」と書いていますが、いわゆるヒューマンエラーや業務ミスは、問題が起き、そのどこかに原因となる悪い箇所があるという構造になっています。

すべてのプロセスが悪いわけではありません。多くの場合、どこか特定のプロセスで問題が起きています。そしてその背景には、直接的な原因となる行動があります。なぜその行動が起きたのか。そこを掘り下げていくと、スキル、知識、マインド、ルールといった要因が絡み合っていることがわかります。

こうした視点を知っておくと、行動の背景を考える際に、「あの人はスキルがなかった」といった説明だけで終わらせずにすみます。「知識がなかった可能性はないか」「知っていたけれど、やる気が起きなかったというマインドの問題はないか」「そもそも業務ルールとしてやらなくてもよい状態になっていなかったか」といったかたちで、他の可能性を探ることができます。

こうした枠組みを知らないと、原因をスキルだけに限定してしまいがちです。知識やマインド、ルールといった観点は、なかなか自然には出てきません。人間の思考のクセとして、原因を1つに絞ってしまうからです。しかし、この枠組みを知っていれば、「他にも原因があるのではないか」と探ることができるようになります。

さらに、より深いレベルでは、体調、人間関係、環境、制度といった要素が関わっていることもあります。こうした要素が典型的に絡み合っていることを知っておくと、他の原因を見つけやすくなります。もちろん、実際にその要因が関係しているかどうかはケースによりますが、「その可能性はないか」と探ることができるようになります。

人間の3つの行動に注目すれば再発は減る

では、具体的にどうやって他の原因を出すのか。まずは行動から考えてみましょう。ミスにはさまざまな種類があるので一概には言えませんが、なぜミスが起きたのかを考える際、多くの「なぜなぜ分析」は一番上の原因だけに注目しがちです。つまり「本人がミスをした」という事実から始まり、「なぜ」「なぜ」「なぜ」と掘り下げていく。

もちろんそれも大切ですが、その場合、対策は「本人がミスをしないようにする」ことに限定されてしまいます。しかし、本来目指すべきなのは、組織としてミスをなくすことです。そう考えると、行動は1つではありません。例えば次のような行動があります。

まず、本人がミスをしたという行動。次に、本人がそのミスに気づかなかったという行動。そして、周囲の人もそのミスに気づかなかったという行動です。

この3つの行動を出せるようになるだけで、なぜなぜ分析の質は大きく高まります。これは特別な技術というよりも、「こういう出し方のパターンがある」と知っているかどうかです。

つまり、この3つの視点で行動を整理するというのが、「なぜなぜ分析」の1つの基本パターンだということです。こうしたパターンは、知っておくことが大切です。

もう1つあります。行動というのは、情報を受け取り、それを認知・知覚し、判断し、処理するという流れの中で起きています。ですから、そのどこで間違いが起きたのかを考えることも重要です。

例えば、受け取った情報そのものが間違っていた可能性はないでしょうか。見間違い、聞き間違いがあったのかもしれません。あるいは認知や知覚の段階でミスが起きていた可能性もあります。

また、情報は正しく受け取っていたのに、「これで問題ないだろう」と判断してしまった、つまり判断ミスが起きた可能性もあります。さらに、操作の段階でのミスも考えられます。例えば、ボタンを押す場面で隣のボタンを押してしまった、といった操作ミスです。

このように整理していくと、行動の原因として他に何があり得るかを考えやすくなります。これも、知っているかどうかが大きいところです。

「なぜ」で深掘りし「他にはないか」で原因を広げる

同じように、その行動がなぜ起きてしまったのかも考えていきます。自分の中で思いつく原因はあるかもしれませんが、そこで終わらせず「スキル、知識、マインド、ルール」という観点で見ていきます。

例えばスキルの原因です。その行動をしようとはしたものの、技術的あるいは能力的に実行できなかったという可能性はないでしょうか。次に知識の原因です。必要なことを知らなかったために、その行動をしてしまった可能性はないでしょうか。さらにマインドの原因。やるべきだと認識していたにもかかわらず、やろうとしなかった、あるいはやる気が起きなかったということはないでしょうか。またルールの原因もあります。

そうした行動をしてしまった背景に、業務の手順やルールが影響していた可能性はないでしょうか。あるいは、やるべきことがルールとして明確に定められていなかったという場合もあります。逆に、その行動をしてしまうようなルールになっていた可能性も考えられます。このような観点で原因を探る方法も、知っておくことが大切です。

さらにその下の層として、「体調、人間関係、環境、制度」といった要因があります。まず体調です。忙しくて集中力が落ちていた、あるいは叱責が続いて精神的に疲れていたなど、体調やメンタルの状態が影響していた可能性はないでしょうか。

次に人間関係です。部署の雰囲気が悪かった、あるいは特定の相手に意見を言いにくかったなど、組織内の人間関係が影響していた可能性もあります。また環境の原因も考えられます。職場が散らかっていた、作業場所の温度が高すぎた、設備が使いづらかったなど、働く環境が影響していた可能性です。

さらに制度の原因です。会社にはさまざまな制度があります。例えば休憩時間の取り方や勤務時間の制約などです。そうした制度の影響によって、本来取るべき行動が取れなかった可能性もあります。

このように、なぜ、なぜ、なぜと深掘りしていくとともに、「他にはないか?」と考えることが重要になります。ただ、「他には」と言われても、何を探せばよいのかがわからないことが多いでしょう。

だからこそ、自分なりに原因を探るための下敷き、つまり枠組みを持っておくことが大切です。そうすることで、自分の行きたい方向に原因を誘導するのではなく、他の原因にも目を向け、すべての原因をなくす方向で考えることができるようになります。

これが3つ目のポイントです。あらためて言うと、行きたい方向に原因を誘導するのではなく、すべての原因を探すということです。

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